「アメリカの農場で農業体験」「温泉街での町おこし」「ハーバード大学の研究室訪問」「オホーツク海での流氷観察」....実はこれらの活動、全部東大のプログラムで経験できるんです。この記事では、このような活動を提供している東大の「体験活動プログラム」を特集します。
そもそも「体験活動プログラム」とは?
「体験活動プログラム」とは、東京大学の学部生が、今までの生活と異なる文化や価値観に触れることを目的とし、大学が主催して開催されるプログラムです。
ボランティアなどの社会貢献活動、就労体験(インターン)、農林水産業・地域体験、日本各地でのフィールドワーク、国際交流体験、海外大学訪問、研究室体験など、個人ではできないさまざまな活動を体験することができます。また、大学からの奨励金を受け取ることもできます。2020年以降はオンラインと現地体験を併用してプログラムが行われています。
2021年の体験活動プログラムでは、合計で60個以上のプログラムが開催されました。ここでは、その一部を紹介します。
《ボランティアなどの社会貢献活動》
・東大病院入院中の難病の子供の家族を支援するドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンのインターンシップ
・高校魅力化プロジェクト〜超人口減少・少子高齢化・財政難の離党中山間地域で学習支援と課題発見・解決〜
《就労体験(インターン)》
・農家に泊まろう!〜農林業のフロンティア・水上で一次産業の可能性を考える〜
・科学技術大国日本の未来を担う知識プラットフォームでの武者修行!
・加賀温泉郷丸ごとキャンパス体験
・JICAの国内の現場で国際協力を知る
《農林水産業・地域体験》
・おじゃり申せ種子島!宇宙に最も近いディープな島丸ごと体験プログラム
・伝統工芸木炭生産技術保存会とともに伝統工芸に必要な駿河炭を焼く
《日本各地でのフィールドワーク》
・ラムサール条約湿地「宍道湖」・「中海」で水環境と生態系保全の未来を考える
・中世の時代が輝く島根県益田市歴史観光プログラム企画開発プロジェクト
・オンライン公開保育に参加してみよう!〜現役保育者・OECD政策アナリストによる解説つきの市民講座への招待〜
《国際交流体験》
・「クリケット」を通じて世界を知ろう!〜クリケットを通じた国際交流〜
《海外大学訪問》
・中国訪問+キャンパスツアーと学生交流
・シンガポールでビジネスを学んでみよう
・サウジアラビア プリンセス・ヌーラ大学 国際交流体験活動
・スリランカでSDGsフィールドワーク体験 ”SDGs Fieldwork experience in Sri Lanka”
・Tokyo Oxford Programme of Summer 2021
・GTL Summer Intern for Systems Method Experience at MIT
《研究室体験》
・先端的蛍光イメージング技術を用いた脳科学・神経科学研究体験
・生命科学分野の研究領域の可視化ツール入門
さらに詳しく知りたい方は、東京大学体験活動プログラム公式webページ をご覧ください。
プログラムの一連の流れ
エントリーシート記入・提出
締め切りまでに氏名・学部・学年・志望動機などを記入したエントリーシートを提出します。
書類選考(+面接)
提出したエントリーシートの内容に基づいてプログラム参加者の選考が行われます。プログラムによっては面接を行う場合もあります。
選考通過者での顔合わせ、説明会
選考を通過し、プログラムへの参加が許可された学生が集まり、顔合わせやプログラムの詳細に関する説明会を行います。プログラムの実施までに何度かミーティングやワークショップを行うプログラムもあります。
プログラム実施
夏休みや春休みを中心にプログラムが開催されます。開催期間はプログラムによって異なり、数日のものもあれば、1ヶ月程度かかるものもあります。
開催報告書作成
プログラムが終わったら、プログラムで学んだことなどを報告書に記入して提出します。
報告会参加
プログラムに参加したメンバーのうち2~3名が、プログラムの内容や体験談についてプレゼンを行います。この報告会には、プログラムの担当者や学生の受け入れをしてくださった現地の方々も参加します。
プログラム体験談
《凡例》
【プログラム名】(国内・海外・研究室)
・開催期間
・開催形態(対面・オンライン・ハイブリッド)
・プログラム内容
・感想
【英国ロンドン、海外で働くとは】(海外)
開催期間:2020年度 1週間
開催形態:オンライン
プログラム内容:
イギリスで働いている民間企業・官公庁の講演や座談会に参加しました。具体的には、PwC、在英日本国大使館、JR東海、丸紅、三菱UFJフィナンシャル・グループ、欧州復興開発銀行、York大学、ケンブリッジ大、オックスフォード大学の職員や研究員の方と議論や対話を行いました。
※具体的なワークショップと講演の例
PwC:PwCのかたを交えた、新規事業提案のワークショップを行う。学生が考えたビジネスプランに対してPwCの方からフィードバックをいただいた。
欧州復興開発銀行:国際機関の実情や、他の国際機関と欧州復興開発銀行の違いについてのお話を伺った。質疑応答にて、「国益」と「国際益」についてのディープな議論が行われた。
感想
海外事業と日本国内の事業の違いや、留学についてのお話をじっくり伺うことができました。私が一番印象に残ったのが、国際機関の内部事情についてのお話です。国際機関は公益を追求しているように見えますが必ずしもそうではなく、各国の国益のぶつかり合いが常に生じている場だというお話を聞き、国際機関の見方がかなり変わりました。 また、同じプログラムに参加したメンバーがかなり個性的かつ意欲的な方でした。そのメンバーの中で面白そうな活動をされている方とプログラムが終わった後お話したり、別のプログラムで再会してお話したりするなど、オンラインでのプログラムでも関係が続いている方がいます。1年生〜4年生まで参加できるので、学部も関心も全く異なる先輩に出会うことができたのは貴重な経験になったと思います。
【ニュージャージーの有機農家での農業体験】(海外)
開催期間:2017年度
開催形態:対面
プログラム内容
アメリカのニュージャージーで、有機農業を営んでいる農家の方の家にホームステイをしながら農業体験をさせていただくプログラムです。平日は、現地の方の指導のもと、野菜の種まきから収穫、土地の手入れまで幅広く農作業を手伝い、夜は収穫した食材を生かして料理も作ります。休日は、農家の方がカヌーの体験など自然を満喫できるレジャーも用意してくださり、とても密度の濃い体験をさせていただくことができました。
感想
有機農業というあり方や、それを普及させていきたいという考えを持つ方の近くで生活をさせていただくことによって、ライフスタイルや価値観の多様性についての理解が深まりました。普段自分の生活圏内にいるだけでは手に入らない出会いや経験を通じて、より他人に対する理解力や様々な文化に対する関心が高まったように思います。
【中国訪問+キャンパスツアーと学生交流】(海外)
開催期間:2018年度
開催形態:対面
プログラム内容:北京上海で現地大学生との交流や企業訪問、東大OBとの交流などを行いました。
感想:中国では、社会も個人の生活も変化のスピードが早くて生きてて楽しそうだと感じました。将来中国で働くのもありだなと思いました。
【加賀温泉郷丸ごとキャンパス体験】(国内)
開催期間:2018年度 1週間
開催形態:対面
プログラム内容
加賀温泉郷が有する、温泉、歴史、文化、自然、風景、食などの資源を活用し、市域全体をフィールドとして様々な体験や現 地学習をした。体験活動を通して見聞したことを基に、少子高齢化に起因する、 人口減少や、生産人口の減少という大きな課題を抱える地方観光地である加賀温泉郷に対し、再生の糸口となるよう な意見や提案をする活動をした。具体的には、温泉地の現状分析と魅力創出、伝統工芸に焦点を当てたブランド強化、観光プロモーション、観光客増大プラン等の策定 などを行った。
感想
具体的な解決策を出して貢献する、というよりは現場に飛び込む練習機会、教育機会だなと感じました。募集要項から受けた印象よりもゆるい雰囲気で活動を行っていました。 地域の方々と交流して一つのものを作り出すには3~4日じゃ到底足りないし、学生も問題解決のフレームワークを知らない状態でプログラムに参加するので、真剣に考えて議論する時間があまりとれなかったなと感じています。とはいえ、いざ一晩考えてみても市役所の方を納得させられる解決策は思いつかず、そこは反省点だと感じています。
詳しい
体験談は体験活動プログラムのFacebook( https://www.facebook.com/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E5%AD%A6-%E4%BD%93%E9%A8%93%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0-199334930268654/ )
をご覧ください!
いかがでしたか?体験活動プログラムは毎年春に募集を行っています。もし興味のある方は、大学に入ったらぜひ参加してみてください!