K.A さん

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K.A さんプロフィール
東京都出身。都立高校を卒業後、1年間の浪人生活を経て2017年に理科一類に入学。その後、工学部電子情報工学科に進学し2021年3月に卒業。
高校時代はアメフト部に所属。大学2年生からwebエンジニアとしてバイトを開始。その後、学生団体LGTMに加入。クックパッドでエンジニアとしてインターンも経験する。
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1. 中高時代について

ー はじめまして!今日はよろしくお願いします。まずは、高校時代についてお聞きしたいです。高校時代に一番頑張った活動はなんですか?

100%部活ですね(笑)僕は高校時代にアメフト部に所属していました。うちの高校の中ではかなり強い部活で、関東大会にも出場しました。ほぼ毎日部活があって、高3の11月まで続けていました。ほぼ部活しかやっていなかったですね(笑)

ー 一方で、中高時代からエンジニアリングに興味を持っていたんですよね?

そうですね、中学生の時に友人からプログラミングを教えてもらって、中学生の最後あたりには結構ハマってたんですよ。でも、高校の時はずっとほんとに部活しかしてなくてですね(笑) 興味はずっと持っていたんですけど、それ以来エンジニアリングとかプログラミングとかは触れていなかったですね。

ーそもそも、プログラミングに興味を持ったのはなぜだったんですか?

友達にプログラミングを教えてもらって、とりあえずやってみたら、中学生ながらに作りたいものを形にできたところが面白いなと感じました。最初は数独を解くプログラムを作ってたんですよね。「数独を解けるプログラムってこうやって書けるよ」ってどこかで教わったわけじゃなくて、「これ使ったら数独解けるんじゃね?」って思って、実際にやってみたら作ることができた。それが成功体験になったんですよね。

ー「これができたらいいな」と思うものが自分で作れたという経験から、エンジニア・プログラミングに興味を持ったんですね。

ーでは、東大を志望したのはなぜだったんですか?

正直、ほとんどの高校生がそうだと思いますが、あまりちゃんとしたビジョンを持って東大に入ったわけじゃないんですよね。一浪してはいるんですけど、自分の学力を見ていけそうだったから、という動機が一番強いですね。

2. 東大に入学してみて

ー実際に東大に入学してみて、周りの環境はどう感じましたか?

環境という面ではどう考えても高校よりも良かったと思います。設備がいいのはもちろん、やっぱり人のレベルが高いですよね。 具体的には、僕の同じクラスの友人はやばかったですね。ぱっと見のすごさとかオーラとかは感じないんですよ。でも、ちゃんと接しみると、すごく頭がいいし、行動力もあるんですよね。留学行って、留学先でAppleのインターンちゃんと見つけて来るとか。TOEFLも、英語圏で育っていないのにとてもいい成績を叩き出していて。

僕もエンジニアの世界で頑張って生きようとしていますけど、エンジニアとしてもやっぱ目指したくなるような同級生はいっぱいいました。 LinuxっていうOSがあるんですけど、大学1年生の段階でそのプログラムを解読している奴がいたんですよ(笑)プログラムを読んで、Linuxの内容や仕組みを勉強していて。その頃の僕にとっては「そんな深みまで行っているのか、やばいなあ」と(笑)

彼らを見て、単純にすごいなと思いました。でもやっぱり、彼らに出会って「そんな世界があるんだ」「そんなこともできるんだ」と学ぶことができたというのが一番大きいですね。自分もその世界に入ってみたいな思いましたし、その後実際に入って見たりもしました。それができたのは、やっぱり彼らに新しい世界を教えてもらったからだと思います。

ーでは、大学4年間の中で、具体的にどのような活動をされてきたのか伺いたいです!

まずは、大学の勉強ちゃんとがんばりました。前期教養の勉強は楽しかったし、僕は真面目にやってきた方だと思います。普通に授業に出て聞くのが面白かったですね。

中でも、夏に行われる集中講義が一番楽しかったです。自分が今までしてきたプログラミングとはまた違う世界のプログラミングを学んだんですよ。その授業では、チップセットっていうCPUを作りました。CPUって「いろんなプログラムを動かせるプログラムが乗っているもの」なんですよね。それで、いろんな補助的な設計図も書いて、1週間くらいかけてそれを作ってました。結局CPUには届かなかったんですけど(笑)、「CPUってこんな感じで設計して作るんだ」となんとなく知ることができました。

そこでのものづくりの経験が、進振りで工学部と理学部で迷った時に、理論を突き詰める理学部よりも、ものを作って応用することを主軸にしている工学部を選ぶ決め手になりましたね。

あとは、必修の授業も楽しかったです。 高校で習った「無限」「発散」のような概念を大学ではちゃんと定義してもらえるんです。高校では「そりゃそうやん」と盲目的に思っていること、例えば、「1/nのnが無限大に発散したら0になる」みたいなことの厳密な定義を大学では学びます。「そういうふうに考えたらちゃんと理解できるんだ」と感じましたね。 「無限大」に関しては、高校時代に「なんか適当だなあ」と思う気持ちはあって。それを「こう定義したらうまく説明できるじゃん」とわかったのが僕にとっては印象的でした。

3. 「うちでバイトする?」教授の一言で、エンジニアの世界へ!

もう1個頑張ったのは、プログラミングですね。エンジニアリングの世界に頑張って入っていこうとしてましたね。

大学1年生の時に授業を受けてた先生が、自分で会社を持っている方だったんです。その会社は、当時はまだベンチャーのはじまりたてみたいな感じで、オフィスも駒場の1号館の教室くらいしかないようなところでした。ある授業終わりに、「僕もIT系に興味があるんですけど、今後の進路はどうしたらいいですか」と教授のとこに相談しに行ったんですよ。そしたらその教授が「じゃあうちでバイトする?」と言ってくださって。そこからITベンチャー企業で、プログラミングの勉強させてもらいながらバイトをさせてもらって。そこでwebのプログラミングを学んでいたら、気づいたらwebエンジニアになってましたね(笑)あれがエンジニアとして一歩を踏み出すための1つの分岐点だったと思いますね。

ープログラミングのサークル(LGTM)にもかなり初期から関わられていますよね。それはどういう経緯で参加されたんですか?

LGTMは学生エンジニアのコミュニティのような団体で、ハッカソン(※みんなでプログラミングを通してものづくりを行うコンペ形式のイベント)などをちょこちょこやっていますね。僕はLGTMの第1回目のイベントであるハッカソンに呼ばれました。使っている技術は普通でも、ちょっとしたアイデアですごいいいプロダクトやウェブサイトができて、すごく刺激を受けましたね。単純にその会が面白かったので、LGTMのコアメンバーとして入らないかと言われて、そこから関わるようになりました。

そこから、企業に協賛をもらってハッカソンを開いたりしていましたね。自分が学んできた新しい技術を実際に使ってみることができる場だったので、遊びみたいな感覚でプログラミングのアウトプットができてすごく面白かったです。

4. 互いに高めあえる環境

ー友達とプログラミングを勉強することでどんな変化がありましたか?

上が常に見えている環境だったというか、すごい人たちは周りにいっぱいいたので、「こういう分野もまだ勉強できるんだ」という新しいフィールドがずっと見えていました。

特にLGTMで出会った友人は、同じwebエンジニアの世界にいて、同じようなエンジニアのリテラシー持ってて。会話の中で情報交換してると、「ああなるほどな、そういうこともあるんだ」って視野が広がるんで、面白いですね。勉強するのは一人でいいんですけど、自分が知らない世界を知っていくのは一人だと厳しいので、彼らと付き合いをもつことで自分の見えていなかった分野を知ることができて、いいですよね。

5. 「学生は実力がなくても使ってもらえる」とりあえず飛び込んでみることの重要性

ー確かクックパッドでインターンもされていましたよね。

そうですね。 クックパッドのインターンに出会ったきっかけは、LGTMでのハッカソンでした。クックパッドの人とハッカソンをして、その時に「クックパッドにインターン来ませんか」というアンケートがあったんです。そこで「行きたいです」って答えたら、クックパッドのエンジニアの人に直接メッセージをもらって「じゃあ面接しましょう」となって。いやーよく拾ってくれましたよね(笑) あの時の僕はずっとフロントエンドしかやってなくて、全然バックエンドの知識がなかったんです。言うなれば、「webエンジニアとか言っておきながら、お前webのwくらいしか知らんやん」みたいな状況でした。でも、後から聞くに僕の面接には熱意があったみたいで(笑) なぜか拾っていただいて、インターンを始めることになりました。

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※フロントエンド:WebサービスやWebアプリケーションで直接ユーザーの目に触れる部分のこと。WebサイトやWebアプリケーションなどでユーザーが文字を入力したり、ボタンをクリックしたりする部分や、バックエンドのソフトウエアと直接やり取りをする部分のことを指す。
※バックエンド:サーバーサイド(Webサーバー側)やデータベースのシステムなど、ユーザーの目に見えない部分のことです。ユーザーが入力した内容などのデータ処理やデータベースへの保存、検索結果の出力といったことを行います。ユーザーからは見えない後方の部分の処理を担っている。
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こんな経験をしてみて、向こうみずに飛び込んでみるのは大事だと思いましたね。エンジニアのバイトは、僕に何ができるのか知らなかったけど、「来てみなよ」って言われて「行きます!」って即答して始めて。クックパッドのインターンも、最初は実力なかったけど飛び込んでみて、そこで力をつけることができました。始めた当初は、あまりにも勉強することが多すぎるとは感じましたけど、でもそれが成長に繋がったんですよね。

とりあえず、大学生とか高校生の時はどうやら、実力がなくても使ってもらえるみたいなので(笑)自分がまだできないからという理由で何かを止めるのはもったいないことなのかなって思いますね。

これは東大受験にも言えることだと思っていて、東大を目指し始めることも1つの”jump in”だと思います。もし目指せるんだったら、それは1つのチャンスなので、飛び込んでみることも大事だと思います。

ー「まだできない」と思う以前に、「何をやりたいか決まっていない」という人も多いように感じます。

僕は、将来なりたい職業とか、働き方とか決まってなくても、少しでも気になったら飛び込んだ方がいいと思ってます。

僕の経験から言うと、僕は今webエンジニアとして色々やっていますけど、webじゃなくて、他の分野でも楽しめていたと思うんです。でも、最初に偶然出会ったのがwebの世界だったから、これだけwebエンジニアリングを嗜んでいるんですよね。全ての世界を見てからどれが面白いって決めることはできなくて、ある程度深掘りして初めてそれがそれが面白いかどうかわかると思うんです。なので、「まず飛び込んでみて、そこが面白いと思ったらその世界を突き詰める」というやり方でいいんじゃないかなと思います。

ー「やりたいこと」とか「楽しいこと」ってやってみないとわからないのに、それをしない段階で意思決定しないといけないことって多いですよね(笑)でも全て経験しようと思うといくら時間があっても足りないので、「とりあえずやってみる」って大事ですよね。

そうそう、それ大事ですね。早めにどこか1つの分野を深くみてみるのがいいと思います。もしその分野が自分に合わなくても「ここは自分に合わない」という解が得られるので。

6. 「いいチャンスは人からしか巡ってこない」

ー今までのお話を聞いていると、人との繋がりってすごく大事だなって感じました。

高校生当時の自分や今の高校生に伝えたいことは、コネというものの強さですね(笑) 「コネ」というと悪い雰囲気が出てきてしまうけど、たいてい良いチャンスが巡ってくるのは人から何ですよね。なので、教授も含めて、大学で出会う人とは真摯に向き合った方がいいと思います。コロナ禍が無かったら教授の繋がりで海外インターンに行けることもあったらしいです。大学の教授は、頼まない人には手を差し伸べてくれないんですが、自分からアクションすると協力してくれる人がほとんどだと思います。僕は2人の教授に直接話を聞いたり何かを頼んだりしたんですけど、2人とも本当に面倒見よく、そのお願いに応えようとしてくれました。

7. 将来やりたいこと

将来は、SRE(site reliability engineer, 変更への即応性や信頼性の高いシステム基盤の設計、運用管理の自動化/自律化の仕組みの設計・構築、開発者が利用しやすい標準化されたポリシーやルールの整備などを行うエンジニアのこと)という職業についてみたいなと思っています。エンジニアの中でのSREって、警察の中でのSATみたいな立ち位置なんです。「特殊部隊」みたいな(笑)でも、日本でSREになるのは難しいので、海外に行くのもありかなと思っています。

また、ベンチャー企業で働くことにも興味を持っています。高校時代にずっとスポーツをしていたのにも通ずることがあると思うんですけど、みんなで1つのものを作っていくのがすごく楽しいなと感じていて。あと、ベンチャー企業は意思決定での自分の裁量が大きいので、それも魅力だなと感じています。

なので、今は大企業で自分の力をつけた後に、ベンチャー企業を立ち上げた友達の会社でエンジニアとして働けたらいいなと思っています。

こんなことを言っていますが、僕が大学1年生の時に思い浮かべていた将来像とは全然違うので、今後も変わり得ると思います。ビジョンを持って何かをやるのは大事なんですけど、いずれ変わってしまうので、ビジョンを持てなくてもさほど気にする必要はないと思います。大きな夢はなくても、小さな目標を少しずつ立てていければいいんじゃないかなと。

はい、僕の将来について思うことでした(笑)

ー私はいろんな分野をつまみ食いしている最中で、あまり深掘りできていないんですよね...なので、お話を聞いて、どれか1つでも一度じっくり取り組んでみようと思いました。本当にありがとうございました!

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