「先輩に聞く!進学選択のリアルとホンネ」イベントレポート vol.4 経済分野

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この記事は、6月15日開催、「先輩に聞く!進学選択のリアルとホンネ」経済分野のイベントレポートです。進学選択に悩む1,2年生に向けて、内定者が学科の内容から将来の進路までお答えします!
 
「自分の興味のある分野の人に話を聞いてみたいけれど誰に相談すればいいのかわからない...」
「そもそも〇〇学科って何するところなの?」
「学科のパンフレットだけではわからない、雰囲気やホンネを知りたい!」
そんな疑問に答えるべく、Twitterでアンケートをとった結果、特に人気の高かった6分野の先輩を集めて座談会を行いました。
今回は経済分野の紹介です。UT-BASEの学科紹介記事とも合わせてぜひご一読ください。

目次

     

    登壇者紹介

     
    Oさん
    ・(文科一類)→経済学部経営学科→金融学科(4年時に転学科)、以下「金融」
    ・興味分野:金融
    ・迷った学科:工学部システム創成学科Bコース、文学部日本史学科
    ・将来の進路:日系証券会社の投資銀行部門
    時間割

     
    Kさん
    ・(理科二類)→農学部農業・資源経済学専修、以下「農経」
    ・興味分野:食品ロス・食料問題・フードバンク
    ・迷った学科:農学部国際開発農学専修/応用生物学専修
    ・将来の進路:修士→農水省→国連→大学
    時間割

     
    Sさん
    ・(文科二類)→工学部システム創成学科Cコース、以下「シス創C」
    ・興味分野:データサイエンス、経済、経営
    ・迷った学科:経済学部
    ・将来の進路:就職:院進(TMI)=7:3
    時間割

     
    Tさん
    ・(文科一類)→教養学部教養学科総合社会科学分科国際関係論コース、以下「国関」
    ・興味分野:移民・難民問題
    ・迷った学科:教養学部超域文化学科表象文化論コース
    ・将来の進路:広告代理店(マーケティングとクリエイティブ)
    時間割

     
    Hさん
    ・(文科二類)→経済学部経営学科、以下「経営」
    ・興味分野:ベンチャー投資
    ・迷った学科:なし
    ・将来の進路:外資系戦略コンサル→VC
    時間割 なし
     

    授業や学生生活の様子

     

    学問の特徴は?


     
    Oさん(金融):理論に軸足を置きつつ、実践が多めですね。学部進学者の志望理由も多様なので、対象分野は広いですね。ゼミも経済・経営・金融と三分されるのですが、経済1つとってもミクロ経済なのか、マクロ経済なのか、ゲーム理論ををやるのかで分かれてきます。2Aの間はミクロ・マクロ経済・統計学基礎など全て理論の授業で、3S以降は実践の授業が多くなってきます。3S以降、取りたい人は実践系の授業を履修することがありますが、こうした授業を取る人は経営学科の学生が多いですね。
     
    Sさん(シス創C):社会システムに関するものなら何でも扱うので、対象分野はかなり広いです。理論と実践は半々くらいで、必修の授業は1つしかないものの、実践に近い印象ですね。社会システムの分析手法は理論、事例は実践寄りかなと思っています。
     
    Tさん(国関):国関は国際法・国際政治・国際経済を必修として学ぶので、経済を中心に扱う訳ではありません。社会科学現象であれば何でも良いので、対象は大小様々ですね。基本、理論:実践=3:2くらいのイメージです。必修についても、週2コマ講義、演習が1コマなどといった感じです。理論と実践を並行して行いますが、国際経済だと、初学者が多いこともあり理論が重めです。
     
    Kさん(農経):農経は農業や食に関わるものであれば基本的にどんなテーマでも研究の対象となるため、扱う分野は広いと言えると思います。経済学部との違いとして特徴的なのは、農経では「経済学を分析の手段(ツール)として用いて研究をおこなう」ということです。したがって、経済学の理論というよりは、農業の現場に基づいた農学という「実学」を研究する実践よりの学科です。2Aで農学が扱う様々な分野の知識と経済学の基礎的な理論を学び、3Sでは実際に農村へ足を運ぶ授業も加わってくるという感じですね。
     

    授業の実態は?


     
    Hさん(経営):座学の授業が多く、余裕があると言われています。これが何を意味するかというと、課外活動に力を入れたり、経済学部外の授業を履修し自分の興味分野を探究したりすることができるということです。ゼミに入るとより実習・実践に近い学びができるはずです。
     
    Kさん(農経):農学部の中では文系寄りです。2Aは必修が3コマ程度しかなく、それ以外は自分の関心に沿って授業を履修できるという点において、かなり余裕があると思います。3年生までに順調に単位を取っていれば、4年次は卒論のみという形にすることもできます。授業スタイルは座学が中心ですが、3年次には、農村にフィールドワークに行って調査を行ない、論文を書くという授業が開講されます。また、農経の特色として2Aからゼミがあるため、農学部の他の学科と比較して同期と交流する機会が多い専修です。さらに、3年次には、農学部ならではの授業として、農学部が所有する田無の畑で農作業実習をする機会もあります。
     
    Sさん(シス創C):ハードであるように見えますが、人によりますね。私は4年次に余裕を持たせたいので2Aに授業を詰め込んでいますが、人によってやり方を変えられます。2Aでは動機付けプロジェクトなど実習に近いものもありますが、必修は1つのみで、それ以外はかなり自由に履修できます。ただ、授業自体は座学が多いので、プログラミングなどは自分で学ぶ人が多いという印象です。
     
    Tさん(国関):出席がほぼ必須であるという点ではハードですね。演習系の授業が大半を占めるので。ただ、討論などが上手くなるという点においてはためになるハードさだと思います。2Aや3Sはかなり大変で、「日本の大学で一番勉強してるよね」というようなことを学科メンバーで話していたような気がします笑。それ以外はそこまででもないですね。
     

    質疑応答

     

    Q1. 経済学部は外交的かつ積極的な人が多めなイメージですが、そうでない人でもやっていけますか。

     
    Oさん(金融):派手な人はいることにはいますが、今はオンライン授業で顔を合わせることもないですから問題ありません。彼らはそもそも授業に来なかったりするので、彼らに囲まれることも特にありませんしね。安心してこれまで通り平和な生活を送れると思います笑。
     

    Q2. 数学が苦手なのですが、経済学部の三学科はそれぞれ数学色が濃いですか。

     
    Oさん(金融):濃くないと思います。経営と金融は取る授業があまり変わらないのですが、双方とも数学色が薄いですね、仮にあったとしても使うものは曲線と直線の接点を求めるというようなレベルで、さほど難しくはないです。
     
    Hさん(経営):数弱でも単位は落とさずなんとかやっているので、大丈夫だと思います。
     

    Q3. 経済の実践的な部分とは具体的にどういったものでしょうか。

     
    Hさん(経営):ゼミに入っていなかったのであまり分からないのですが、例えば会計系の授業などで計算書を見ながら会社のバリエーションをエクセルを使って作る、解析系の授業では特定の因数から会社の価値や売り上げを分析するといったものがあるので、授業の中で実践的な部分は味わえると思います。
     
    Oさん(金融):統計分析や議論などはゼミで行えますが、これ以外の機会は少ないですね。ゼミで行う統計やプログラミングなどもまとめて座学以外の実践だと思います。
     

    Q4. 文一から経済進学を目指しています。数学Ⅰ・Ⅱや経済Ⅰ・Ⅱを履修していなくても大丈夫でしょうか。

     
    Oさん(金融):経済Ⅰ・Ⅱを取ってなくても大丈夫です。数学に関しても私は履修しておらず、2Aの専門科目で初めて見る手法もありましたが、他にも文一から来た人はいますし、授業で扱う数学のレベル自体もそれほど高くはないので問題ないと思います。
     

    Q5. シス創Cは数Ⅲが分からなくてもついていけますか。

     
    Sさん(シス創C):私は数Ⅲはやっておらず、数学Ⅰ・Ⅱをを履修していた程度ですね。入ってから数学の授業があって苦労はしました。必修ではないので避けることも可能ですが、単位取得上は厳しいかも。自分で調べて解けるくらいのレベル感になっていれば問題ないかと思いますが、分かっているに越したことはないです。
     

    Q6. 経済と比べてシス創Cの就活はどんな感じでしょうか。

     
    Sさん(シス創C): 就活については、経済学部と比較すると情報量が少なくなりがちなので、積極的にキャッチアップする必要があります。自分で学んだプログラミングスキルやITスキルはアピールポイントになると思います。
     

    Q7. 経済的視点から貧困問題や国際問題にアプローチしたいのですが、どの学科が適切でしょうか。

     
    Tさん(国関):これは開発のテーマになりますので、国関でもがっつり扱います。この分野の先駆的な教授が多くいらっしゃるため、国関でも学べると思います。
     
    Oさん(金融):ゼミのテーマだと、国際協力をテーマにしているものはあまり知らないですね。貧困問題の中でも教育格差なら財政のゼミなどになると思います。
     
    運営:国際協力に関する貧困問題だと、開発経済についてマクロ的に扱いつつ貧困について考えるゼミは古澤ゼミなどがあります。ゼミを履修していない人でも受けられる授業がありますね。もっとミクロな観点から扱う場合、澤田ゼミなどが有名です。双方ともハードなゼミとして知られていて、経済学部の中でも真面目な学生が集まっている印象です。
     
    Kさん(農経):農経にも、農村開発金融という開発経済系の研究室があります。開発経済学が力を発揮する発展途上国では、農業が基幹産業である場合が多く、農業を振興することが国の発展に繋がることが少なくありません。この意味で、農業は途上国における貧困問題と非常に密接に関係しているため、農経としても大きく扱いたい分野です。貧困について国際的な視点から考えたいという方は、ぜひ農学部も視野に入れてみてください。
     

    Q8. 経営・金融・国関の一般的コマ数と、課外活動に力を入れたい場合のコマ数を教えてください。

     
    Hさん(経営):3学科とも2Aは20コマ/週くらいです。3S3Aは人によって異なりますが、割とがっつり学業をやって4年で取るべき単位がない状態にする場合は、16コマ/週くらいかなと思います。就活を早めに行う場合は12-14コマ/週くらいです。金融も大体同じですね。
     
    Tさん(国関):合計で33コマ履修する必要があります。大体12(2A)・12(3S)・8(3A)単位取得して4年次は卒論のみ、という形にする人が多いです。3Aや4Sを暇にしたい場合、2Sと3Sで15コマ/週ずつ履修することも可能ですね、履修コマ数に上限はないので。
     

    Q9. 進学する学部学科の決め手とタイミングについて教えてください。

     
    Sさん(シス創C):タイミングは宇野ゼミの進学相談会参加時です。そのときにシス創の存在を知り、調べ始めました。正直決まりきらなかったというのが個人的なところです。個人の関心としてはプログラミングやAIに関心があったのですが、経済をしっかり学びたいという気持ちもあり、どれを大学で学ぶべきかという観点から考えて、前者を大学で学ぼうと思いました。
     
    Kさん(農経):農学部内での学科の選択に迷いました。一時は農二や農国も考えたことがありましたが、2年生向けに5月末頃に行われる学部・学科ガイダンスに参加して、ガイダンス終了後に先生や先輩に相談したところ、親身になってアドバイスをいただいて、国際的にも専門性が認められている農経を選択することに決めました。迷っているのであれば、直接学部・学科の先輩や教授にお話を聞いてみるのが一番良いのではないかと思います。
     
    Oさん(金融):迷っていたのが文学部の日本史とシス創と経済でしたが、正直決め手は特になかったです。就活含め、自分の時間を確保できる学科が良かったので。タイミングについては、先輩に聞いて2年の6月くらいに決めた感じです。ちなみに各学部学科や教務課が発行している便覧 (※) は参考になりますよ。
     
    Hさん(経営):割と定性的にビジネスケースを分析することが大好きなので、そういう授業が多いと思われる学部を選びました。その他の観点で言うと、やはり授業以外の時間を確保できる場所が良かったという背景があります。
     
    Tさん(国関):アドミニ棟 (※) の便覧は結構参考になるので、やりたいことがまだ決まっていない人はぜひ参考にしてみてください。自分自身は文一で法や経済に関心があったのですが、人のつながりが薄いところは避けたいという気持ちがありました。国関は少人数で、教養学部自体も留学生がが多いなど、人間関係が楽しそうというのが最終的な決め手です。
     
    (※) 後期課程の便覧は基本的に内定生のみが閲覧可能です。ただし、学部ごとの前期課程生向けガイダンスや学科のサイトで配布されていることもあるようです。また、アドミニ棟に前年度のものが置いてある可能性があります。

    Q10. 学部名が就活に与えた影響はありますか。

     
    Tさん(国関):結論から言うと、法学部や経済学部など、分かりやすい高学歴の学部のほうが良い影響があるかなと思います。国関は学内では有名ですが、就活においてはESに教養学部として書くしかありません。学部でやっていることを説明するのに面接で時間を取られることもあります。国家公務員を目指す場合は、国関はルートが多いのでおすすめです。
     
    Hさん(経営):どこを受けるか次第でで名前に意味があるかは変わると思います。
     
    Oさん(金融):就活を見据えて学部を選ぶ場合、学部の勉強はある程度軽めのほうが良いとですね。そういう意味では時間のある学科を選んだほうが良いかも。
     
    分野横断ごとに学科を比較することで、より自分が興味のある学科を絞り込むことができると思います。学科のパンフレットを見るだけではなく、研究室のホームページを見たり教授にコンタクトをとったりするのもおすすめです。後悔のない進学選択を応援しています!

    最後まで記事を読んでくださりありがとうございました!
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