2023.3.12
教養学科 総合社会科学分科
人数 |
30名程度 |
---|---|
ジェンダーバランス |
2:1程度 |
要求/要望科目 |
・要求科目 ・要望科目 |
就活or院進 |
院進2:官僚3:就活5(外資多め) |
公式サイト |
http://www.kiss.c.u-tokyo.ac.jp/undergraduate/aboutundergraduate/ugir/ |
教養学部 教養学科 総合社会科学分科に設置されたコースである。総合社会科学分科は「相関社会科学コース」(相関)と「国際関係論コース」(国関)の2コースに分かれていて、コース選択は2年の10月に行う。
国際関係論コースと言うと国際政治をイメージする人が多いが、国際法や国際経済も、下記のように必修で行われる。学部レベルで身につけるべきベースを1年半で網羅したうえで、並行して個々人で関心を持つ分野を膨らませておき、4年生の卒論に備える。
後期課程で76単位を取得する必要があり、高度教養科目から6単位以上、言語共通科目から8単位以上(うち英語は6単位が上限)、コース科目から34単位以上、卒論10単位という内訳になっている。コース科目のうち国際政治/国際法/国際経済が必須である。3年生までに60単位程度取るのが一般的。なお、1セメスター20単位は、前期課程のノリで行くと苦労するので要注意。国関のコース科目は、基本的に負担が大きいものが多い。
国際政治が2Aに6単位、国際法が3Sに6単位、国際経済が3Aに6単位あり、必修である。これに加えて卒論関連の12単位も必修。4Sに卒論研究指導が行われる。
少人数講義が多く、他学部で見られるような「ゼミ」「研究室」等に属することは無い。
・進振り時点ではコースを決めず、総合社会科学分科として希望を出す。進振り点は年により変動し、なおかつ非公開だが、概ね80台後半くらいあれば確実。80前半がボーダーか。ただし文Ⅲは例年文Ⅰ・Ⅱと比べて競争が激しく、85点前後がボーダーとなることもある。
・分科の定員数は34名で、受け入れ枠としては指定科類枠(文Ⅰ・Ⅱと文Ⅲ)、全科類枠の区分が存在するが、第一段階で24名、第二段階で残りの10名が決定する。全科類枠に至っては第一・第二段階ともに1名のみであるため、非常に狭き門である。
・定員数と各科類からの受け入れ数
受け入れ枠 | 第一段階 | 第二段階 |
---|---|---|
文Ⅰ・Ⅱ(指定科類) | 12 | 8 |
文Ⅲ(指定科類) | 11 | 1 |
全科類 | 1 | 1 |
・重率をかける科目として、基礎科目の「社会科学」の成績上位8単位分、総合科目のうち以下の大科目に属する科目の成績上位4単位分が定められており、いずれも重率は2である。なお、履修登録した科目のみを対象とし、規定の単位(8単位ないし4単位)に満たない場合は自分が履修登録した科目の単位のみに重率をかける。詳しくは「クイズ進振りケース 第4回」の「基本平均点について・重率」の項目を参照。
・重率2となる総合科目
系列 | 大科目区分 | 開講授業例 |
---|---|---|
A | 【現代哲学】【思想史・科学史】 | 現代思想、東洋思想史、西洋思想史 |
B | 【国際関係論】【歴史世界論】 | 現代国際社会論、平和構築論、近現代史 |
C | 【法と社会】【現代社会論】【相関社会科学】【経済と社会】 | 日本国憲法、ジェンダー論、現代政治理論 |
F | 【統計学】 | 基礎統計、統計分析 |
・なお、総合社会科学分科には2018年度までいわゆる文Ⅲ規制(※)が存在していたが、以降この規定は撤廃されている。
※文Ⅲ規制について
〈授業について〉
公式HPにもあるように、国関の「幹」は国際政治・国際法・国際経済であるため、これらの必修科目は講義・演習含めかなり比重が大きく、負担感は否めない。ただ、「枝」である国際取引や国際協力といった授業を履修する際にはこうした基礎知識が活きてくる。
また教養学科全体に当てはまることではあるが、そもそも1授業あたりの履修人数が他学部と比較してかなり少なく、講義と銘打っていても実質ゼミ形式であることも。したがって、文献を読んでくるといった予習が前提である授業も多い。必修と合わせると1週間に何十ページもの論文を読まなくてはならない時期もあるが、学問に打ち込みたい学生にとっては貴重な環境だと言える。
〈留学について〉
分科全体としてもコース単体で見ても、留学する学生の比率は高め。
・スタンダード(5年で卒業)
2年の夏から英語を準備、2Aでアプライ→2年生末の1月に学内選考終了→協定校への出願(春休み)→派遣決定(3S)→派遣(3A-4S) →4Aを3Aだと思って過ごす→5Sと5Aで就活&卒論
・詰め込み(あまりいない)
上記の派遣(3A-4S)のあと、4Aで卒論を書き4年で卒業する
国際関係論コースも相関社会科学コースも「総合社会科学分科」に属することから社会科学を中心に扱うが、履修(特に必修科目)については大きな違いが存在する。国関では国際政治/国際法/国際経済がカリキュラムの三本柱であるため、これらの比重が非常に大きくなり、負担も大きい。相関は政治・法・経済・社会・文化など各学問を分野横断的に学び、問題解決の手法として身につけることを目的としているため、自らの興味関心に合わせて幅広い科目を履修することができる。どちらのコースにおいても、自分の軸をしっかり持っていないと最終的に何の専門性も持たないという状態になってしまうので注意が必要。
科目 | 区分 | コマ数 |
---|---|---|
国際政治 | 必修 | 月2,火2,火5 |
・10月中旬~下旬に「相関社会科学コース」とのコース選択が行われる。ただ、国関では必修となる国際政治の履修の関係から、実際は9月の履修登録時点で事実上のコース選択は行われている。コース選択は、成績順などなく自由に選ぶことができる。
・必修は週3コマの国際政治。1コマが少人数の演習で、2コマは講義。
・国際政治の講義は、通常2回の小論文(4000-6000字程度)と期末試験で成績が決定する。どちらもかなり評価は厳しく、優や優上を取るのは至難の業。
・国際政治の演習は、講義に関連する文献を事前に読み込んだ上でディスカッションをするゼミ形式である。講義受講者は10名程度のグループに振り分けられ、各グループには議論のファシリテーターとしてTA(院生)が参加する。なお、文献は20-30ページの英語論文であり、演習の前日までに論文に関するTAからの課題に回答し、かつ疑問点や論点を提示するための「討論メモ」の提出が求められる。これが毎週繰り返されるため、どの学生も最初のうちはかなり苦しむことになるが、案外同期生との話のネタにもなる。
科目 | 区分 | コマ数 |
---|---|---|
国際法 | 必修 | 月5,火4,水3 |
・五月祭にて「世界のお酒」という名前の模擬店を出すのが通例。
・必修は週3コマの国際法。1コマが少人数の演習で、2コマは講義。
・国際政治とは異なり、全員が討論メモを作成する必要はない。各回の論文担当者がレジュメを作成し、報告したうえでメンバー間でディスカッションを行う。
・卒業論文に向けた関心の絞り込みを行っていく時期。
・民間就活志望者は、サマーインターンへの応募に追われる。院進志望者は悠々自適に学問をしているイメージがある。
科目 | 区分 | コマ数 |
---|---|---|
国際経済 | 必修 | 火2-3,金3 |
・必修は週3コマの国際経済。3コマともに講義で、かつ講義言語が英語となる。(PEAK生も受講するため)
※PEAK(Programs in English at Komaba)とは、教養学部英語コースのことであり、前期課程の「国際教養コース」、後期課程の「国際日本研究コース」ならびに「国際環境学コース」から構成されている。
〈卒論関係のフロー〉
時期 | 内容 |
---|---|
4月 | 卒論説明会(分科全体) |
6月 | 卒論題目提出開始(分科全体) |
11月 | 卒論題目提出締切り(分科全体) |
1月 | 卒論提出 |
2月 | 卒論審査・判定 |
3月 | 卒業者発表 |
・卒論研究指導という2単位の科目を履修しつつ、各自卒論を執筆。
・できればこのセメスターで、卒論以外の単位を全回収。
・就活する人は割と忙しくなる。
・卒論を執筆、提出。
・「授業の進み方、内容は、ホームページ等で調べた通りだった。」
・「実際に入ってみたら、必ずしも国際関係に強い関心がある学生ばかりではなかった。」
・「想像以上にグローバルな環境だった。親が外国籍であったり、海外在住経験があったりなどする学生が極めて多い。」
・「授業のハードさは予想を超えていた。」
・「コース科目にヨーロッパ系の科目が少なく、物足りない学生がいるかもしれない。」(地域文化研究の方に先生方がいらっしゃる場合が多い)
・「ベースとして理論的知識を積みつつトレーニングを行い、そして好きなテーマで卒論を真剣に取り組むことができる環境が魅力的だった。自身の関心分野が、国際政治だけでなく理系分野含めた学際的な環境で研究するのがもっとも相性良いと考えたから。」
・「進振り先で迷うのは、法学部第3類が多い。まず駒場の魅力として、学際的に何でもやれる環境があり、更にコースの魅力として、法政治だけでなく経済までも取り組むことができる。」
※法学部第3類:主として政治学を学ぶ法学部のコース。例えば、「国際政治」と「国際法」は、法学部でも「国際政治」(4単位)、「国際法第1部」「国際法第2部」(各4単位)として開講されている。
(文三→国関)
項目 | 内容 |
---|---|
ズバリ、学生間のつながりは: 10(強いと感じる)↔0(全くない) | 4-5 |
LINE | 有(分科単位)※1 |
Slack | 有(分科単位) |
オフラインでのつながり | 有(コース単位)※2 |
上下のつながり | 希薄※3 |
※1 LINE&Slackは総合社会科学分科単位。リアルで会うのはコース単位。
※2 「学科部屋」が8号館に存在するが、しばしば通っている方でないと話す機会も特にない。
※3 最初のオリエンで先輩と関わりはあるが、それ以外で先輩との直接の関わる機会は少ない。
項目 | 内容 |
---|---|
1クラス当たりの人数 | 数名-30名前後 |
成績評価 | 出席/レポート/期末試験 |
・レポート:試験=6:4くらい
・授業形態として、論文の輪読が多い。予習として読んでくるのが前提、という授業など。
・講義系では各回ごとに課題が出されたり、試験に向けてキャッチアップに追われたりと、どちらにせよ単位数あたりの勉強時間は前期課程より多くなる。
・出欠は取る先生取らない先生両方いる。どちらにせよ、少人数授業なのでいなければわかってしまううえ、内容理解にも遅れるので、欠席を重ねると単位・好成績は遠のいていく。
〈カリキュラム概観〉
なお、ここに載っている授業の題目は実際の授業内容と大きく異なるものが多いので、進学を真剣に検討する者は後期課程のシラバスで講義題目ではなく実際の内容をチェックするべき。シラバスはUTASで検索可能。
〈代表的な教員〉
○国際政治(必修の国際政治は、石田淳先生が担当。昔は古城佳子先生と隔年で担当していたが、古城先生が2019年度で定年になったため固定化しそう。)
石田淳先生:2017・18年度の教養学部長
○国際法(必修の国際法は、ここ数年両教員が隔年で担当している。)
西村弓先生
北村朋史先生
○国際経済
竹野太三先生:10年ほど国際経済を担当
岡地迪尚先生:今年度の国際経済を担当
○名物教員
岡田晃枝先生(初ゼミ、軍縮ゼミなどで有名)
川島真先生(前期課程の学生にも有名、中国史研究者)
倉田博史先生(『基礎統計』の著者)
佐藤俊樹先生(前期課程では基礎統計でおなじみ)
※総合社会科学分科に連続する大学院のコースは「国際社会科学」なので、統計などの社会科学の専門家が結構多く在籍している。
古城佳子先生(国際政治経済の専門家/一度退官されたが、2020年度も講義を行う予定)
遠藤貢先生(アフリカ研究)
森政稔先生(近代政治思想/相関の授業の方が多そう)
橋本摂子先生(社会学研究などを担当/ハッキリモノを言う性格)
・サブメジャープログラム:所属コースの主専攻だけではなく、他コースが提供する15単位程度の科目群を副専攻として履修するプログラム。修了生は卒業時に、卒業証書だけではなく、サブメジャー・プログラム修了証ももらえる。
・学融合型プログラム:分野横断的な学習を行うプログラムで、グローバル・エシックス、グローバル・スタディーズ、東アジア教養学、進化認知脳科学、科学技術インタープリターの5種類がある。例えばグローバル・エシックスでは社会・人文科学系の問題のみならず自然科学やテクノロジーに関わる諸問題に対応していくための包括的な価値観や倫理に関わる判断を下す力を身につけることを目的としている。国関では必修との兼ね合いから履修は難しいかもしれないが、文理の壁を超えてより複眼的知識を身につけたい人は検討してみても良いだろう。詳しくはこちらを参照。
最後まで記事を読んでくださりありがとうございました!
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「学際性」「国際性」「先進性」を軸に、深い教養を基盤に従来の枠組み・領域を超えて新しい分野を開拓する人材を育成する学部
第1類~3類までまとめて説明
J群(社会学_社会学)
教養学科 地域文化研究分科
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