西森優さん

部活、サークル、学生団体...学内外でさまざまな活動を行う西森さん。そんな彼女は、後期課程への進学を前に、1年間の休学を決意しました。大学に入って経験した学び、発見、挫折、そして新たな出会い...悩みながらも前に進み続ける西森さんの大学生活に迫りました。

インタビュアー:高崎千実(文科一類2年, 後期教養学部相関社会科学コースに進学予定)

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西森優さんプロフィール

岩手県の県立高校出身。2019年に文科三類に合格し、教育学部比較教育社会学コースに進学予定。運動会ホッケー部、東大ドリームネット をはじめとした複数のサークルに所属。学生団体「Platz」を立ち上げるなど、学外でも精力的に活動する。2021年から1年間休学し、サークル活動や岩手県釜石市でのインターンに取り組む。
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学生団体「Platz」

1.「部活一筋」の高校時代

ー西森さんこんにちは!今日はよろしくお願いします。 まずは、西森さんの高校時代についてお聞きしたいです。高校時代はどのようなことをされていたんですか?

高校時代はほぼ部活をしていたかな。登山部に入っていて、インターハイにも出場しました。部活に熱中したのは、山に登ることで、「世界は美しいんだな」「生きててよかった」という感情が生まれたから。その経験をして人生が豊かになったと思う。

ー部活は大変だったと思うのですが、その中で東大を目指したのはなぜですか?

東大を目指したのは「頭が良くなりたかった」から(笑)。どういうことかというと、中高の時に、すごく尊敬していて大好きな先輩がいたんだよね。でも、その人と話をするたびに、自分には知識や意見が足りていないなと感じて。その先輩と対等に話ができるようになりたいとずっと思ってた。そこで、勉強して頭が良くなったら、胸を張ってその先輩と対等でいられるかな、と思って、受験勉強もかなり頑張った。

2.「答えのない」学び

ー実際に東大に入学してみてどう感じましたか?

想像以上に勉強が楽しかったな。自分が興味を持った分野だけ勉強していいし、勉強をするたびに深い学びが得られることがめちゃくちゃ楽しかった。特に倫理の授業が面白かったな。授業の中で、以前は倫理的に正当だと認められていたことでも、今はおかしいと判断されるような事例を見せてもらって、時代によって「当たり前」が変わっていくことがすごく興味深いなって思った。倫理って決まった正解が出てこない分野だと思うんだけど、答えがない問いをずっと問い続けていくのも楽しくて。自分の視野が高くなったのを実感した。

3. 課外活動で直面した苦しみ

ーでは、逆に大学に入って苦しかったことはありますか?

私はホッケー部に入ったんだけど、初挑戦の競技で、上達するまでかなり時間がかかったし、慣れない暑い中で練習するのがしんどかったなあ。別のサークルで仲がいい同期が出来たこともあって、部活にあまり帰属意識を持てなかったこともあった。

サークルで企画をすることもあったんだけど、その時にうまく周りの人を巻き込むことができなくて。そこに苦手意識を感じてしまって、自分の「苦手」に向き合わないといけなくなったのも辛かった。

あとは、人と新しく繋がるのは楽しかったんだけど、インプットだけが過剰になってしまったり、自分が処理し切れないくらいの問いが自分の中で生まれてしまったりして疲弊しちゃったこともあるかな。

ー大学って新しい出会いがたくさんあるぶん、これまで意識してこなかった壁にぶち当たることもありますよね。

4. 地元の魅力再発見!新たな活動への一歩

ー西森さんは「Platz」という団体の立ち上げメンバーでもありますが、そこに至るのにはどんなきっかけがあったんですか?

最初のきっかけは、入っていたサークル(東大ドリームネット)経由で繋がった社会人の方から、「岩手わかすフェス」に誘われて参加したこと。

元々は、自分の地元に対して息苦しさとか閉塞感を感じていて、「早く離れたい」って思ってたんだよね。でも、わかすフェスで岩手と関わったことで、岩手の人とかまち、自然、文化を改めて見つめ直して、「岩手って面白いな」って思うようになった。

ー具体的にはどのようなところに魅力を感じましたか?

岩手山とか盛岡に流れる川とかの自然はもちろんだけど、やっぱり岩手の人に一番惹かれた。信念を貫いて行動する社会人、岩手を大好きだと言ってくれる学生、地元のために行動を起こしてくれる同年代の人がいて、岩手に対する見方が変わった。

ーそれがどのように「Platz」に繋がっていったんですか?

地元のために汗を流して活動する人たちに出会って感じたのは、「自分が帰ってくる場所があるのっていいな」ってこと。私は親が転勤族だったから、それまでは自分の故郷だと思える場所が無くて。でも、自分も地元のために活動したら、岩手がもっと自分にとって「帰ってきたい場所」になるんじゃないかなって思ったの。

あとは、色々なイベントに参加したり、新入生のために相談会をやっている先輩を見たりしてきて、自分自身でもイベントやりたいな、何かを発信したいなって思うようになったんだよね。そこで、友達と「Platz」を設立して、岩手の高校生と面白い社会人が集まって座談会をするイベントを何回か開催した。

高校生から「社会人と話すことで刺激を受けました」って感想をもらったことや、メンバーと一緒に何かを作り上げる時の連帯感が楽しかったなあ。 他にも、私たちの代は対面での成人式ができなかったので、出身地に縛られず全国から参加者を募る「オンライン成人式」なんかも企画してた。今も、一年遅れだけど、地元での対面の成人式が実行できないか、メンバーと話を進めてたりします笑。

5. 休学への決意

ー西森さんは今休学されていますが、休学を考えだしたきっかけはありますか?

高校時代から、大学に入ったら休学したいと漠然と考えていたから、特にこれといったきっかけはなかったかな。

最終的に決断する決め手になったのは、サークルや課外活動で出会った大人に話を聞いてもらった時に「今やってみなよ」と言われたこと。休学するなら進振りが終わったタイミングがいいなと思っていたこともあって、休学しようと決めた。

ー休学中はどんな活動をされているんですか?

休学中は、東大ドリームネットの活動と、釜石(岩手県釜石市)でのインターンをしています。4月から6月まではドリームネットに専念していたんだけど、7月以降は釜石にいる。

ドリームネットは、今まで中途半端にしか参加できてなかったから、最後くらいしっかり活動したいなと思って。その時の活動は、社会人と学生がキャリアについてディスカッションする「交流会」の運営がメインだったかな。

ー釜石でのインターンにはどうやって行き着いたんですか?

もともと、休学期間中には地方に行きたいと思ってたんだよね。あとは、岩手の高校生のために貢献できることを増やしたいなと思ってて。

自分でインターンを探しつつ周りの人に聞いたりもしてたんだけど、私が尊敬する人が釜石にいたこととか、釜石の面白い人を紹介してもらったこと、「釜石コンパス」っていうキャリア事業が気になっていたこと、津波の被害や復興の現状を自分で学びに行きたいと思っていたこと...などなどいろんなことがあって、釜石で活動することを決めた。

ーインターンでは具体的にどんなことをされているんですか?

私がインターンしているのが、「かまいしDMC」という「観光地域づくり」に取り組む第三セクター。みホームページに載せるインタビューのライティング、防災学習施設の館内ガイド、修学旅行生やワーケーション受け入れプログラムや研修作成、オンラインプログラムの企画、ふるさと納税の商品の掲載...ってとにかくいろんなことをしてる(笑)。

ーインターンの様子を西森さんのSNSで拝見したんですが、すごく楽しそうで(笑)活動のやりがいや、魅力はどんなところですか?

私のインターン先には、釜石の人よりも市の外から色々な経験をした人が来ているんだけど、その人たちの暮らしも含めた生き方を知れるのがすごく楽しい。

あとは、釜石は規模があまり大きくないまちなんだけど、そこに眠っている観光資源を掘り起こしたり、それをどうやったら魅力的に伝えられるかを考えたりするのも面白い。小さいまちである分、社会の仕組みが見えやすいんだよね。地域が活性化しているサイクル全体を見ることができるのも、今の活動の魅力だと思う。

6. これからの展望

ーでは、西森さんはこれからの大学生活でどんなことをしたいですか?

何かに腰を据えてとことんやり切る!っていう姿勢も持ってみたいんだけど、私だったら途中で飽きてしまいそうだなと思って(笑)。だから、私はその時素直に楽しい、好きだなと思ったことに挑戦して、飽きるまで取り組んでみたい。

それと、休学期間の残りでは、自分の心との向き合い方を知りたいなあ。インターンを始めてからずっとアクセル踏みっぱなしで進んできたんだけど、今はふっと力を抜いて周りが見えるようになって。だから、自分へのアクセルとブレーキを使い分けながら生きていく方法を見つけられたらなって思っています。

7. 高校生に向けて

ー最後に、高校生へのメッセージをお願いします!

大学選びに関しては、5年後10年後に振り返っても、「あの時の自分の気持ちに正直に選べたな」と思えたらいいんじゃないかな。もしそれが東大だと思ってくれたら嬉しい。

受験勉強に関しては、よく「こんなに勉強に集中できるのは今しかないよ」って言われるかもしれないけど、私は必ずしもそうじゃないと思っていて。大人だって大学に入り直している人はいるし、もちろん成長してからでもたくさん勉強することはできる。

一方で、今の友達や先生、家族、そして今の自分と向き合いながら何かをできるのは今しかない。だから、勉強だけに限らず、「今だからこそできる」ことを大切にして欲しいなって思います。

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