FLYプログラム体験談(後半)

2021.2.25

ボランティアしながら世界一周 (Y・Tさん)

プログラムの内容

 タイ、インドネシア、インド、ルワンダ、タンザニア、イギリス、アイスランド、カナダ、メキシコ、エクアドルの10カ国をめぐり、各地で主にボランティア活動を行った。ボランティアをしていれば費用は少ない上、現地の人たちと密接に関わることができると考えたからだった。国際ボランティアNGOのNICEが取り組んでいる「ぼらいやー」というプログラムを利用した。(FLYはあくまでギャップイヤーの場を提供してくれるものであってそこで何をするのかの自由度はかなり高い。そのため、プログラムの中身については、このように別種のプログラムを利用して計画を細かに定めることもある)
 ボランティアの内容は国によってバラバラで、小学校での英語教育や女性支援、障害者支援、動物園でのボランティアなどに携わった。その理由は、多様なボランティアを経験することで、自分が何に興味があるか知りたかったから。プログラム中の各国間の移動は基本的に単独行動で、現地では世界各国から集まったボランティアと一緒に行動することが多かった。

インドでの女性支援活動

申請した理由

 一番大きな動機は世界を一周して世界をこの目で見たい、という気持ちだった。高校2年生のときに東大のオープンキャンパスで当プログラムの存在を知った。ギャップイヤーについては中学時代から知っており、すごく魅力を感じていた。


タンザニアの子どもたちと


現地での印象的な経験

 2つある。1つ目はタンザニアで強盗に遭い、携帯も現金も銀行のキャッシュカードも盗まれ、ATMから勝手にお金を引き下ろされたこと。幸い危害を加えられることはなく、その後一時帰国し、態勢を立て直してイギリスに向かった。
 2つ目は、ルワンダでジェノシド後のツチ族とフツ族の関係修復の活動に従事している日本人の方の活動を視察したこと。親族を殺された遺族と殺した加害者が対話し、お互いを情ある人間として認識し合い、継続的な関係の修復へと向かっている現状を目の当たりにした。

インドでボランティア仲間と

良かったこと

 予期していた学びと予期していなかった学びがあった。前者としては、世界中の社会問題のリアルな現場を見ることができたことと、英語とスペイン語が少し話せるようになったことが挙げられる。
 後者としてはまず、「教科書や授業で学んでいたことは本当に世界で起こっているんだ」という感動、つまり知識として知っていたものの本物、実物に出会う感動を味わえたこと。また逆に実物を見ることで大学の勉強のイメージが湧きやすくなったことも挙げられる。
 さらに、自分が前提だと思っていることが相手にとっては前提ではない、という異文化理解の難しさがわかり、コミュニケーションの難しさを痛感した。最初は固定観念で誤解が生じてしまうこともあったが、次第に互いの意図をうまく確認してコミュニケーションが取れるようになった。


メキシコの児童福祉施設にて


大変だった経験、失敗

 途中で日本からイギリスへと再出国してから1か月くらい経った頃、自分はなんでこんなことをしているのだろう?と思い悩んだ。新しい地域に移動して一ヶ月くらい滞在してはまた移動、ということを繰り返していたため、安定した暮らしがしたい、と感じるようになった。またボランティアと言ってもあまり実質的なことはできない、というもどかしさもあった。


渡航準備について(英語力・費用)メキシコのフェスティバルにて

 FLYプログラムに応募することを、合格通知が届いた後に考え始めた人はあまりいない印象。Tさん自身は、高校2年生頃からFLYプログラムについて考え始め、受験期には勉強の息抜きがてらFLYの計画を立て、来る世界一周の旅のイメージを膨らませていた。
 FLYプログラムの英語力要件はあまり厳密に設定されているわけではない。費用は全部で150万円ほどで、大学からの助成金は50万円程度。


メキシコで公現祭(el Día de los Reyes)に食べられるロスカ(rosca de reyes)というパン

高校生のときにやっていたこと

 高1の春休みに高校のプログラムでアメリカに行く機会があり、そこで英語を話すことに対する抵抗がなくなった。高2の2月には交換留学でインドネシアにホームステイをしに行った。特にアメリカでの海外経験は、世界の広さを実感し、「もっと世界をみたい。いろんな経験をもっと積みたい」と思うきっかけとなった。
 高校のときに勉強したことをFLYでは直接目にし、体験することができた。裏を返せば、高校のときにしっかり勉強していたからこそ、FLYでの体験はより感動的で学びの深いものとなった。

メキシコのフェスティバルにて

高校生に一言

 FLYについて調べてみて、その存在を頭の片隅においておくと良い。また、自分が大学の勉強を始める前に何をやりたいのかを考えておくことも大切。


エクアドルで赤道をまたぐTさん


スケジュール

5月:東京自宅にて計画ブラッシュアップ・アルバイト・渡航準備
6月:タイの小学校で異文化交流活動・英語教育のボランティア
7月:インドネシアのスラム街で小学生を対象にノンフォーマル教育を行うボランティア。ジャカルタでは高校時代に姉妹校交流でお世話になったホストファミリーを再訪。
8月:インドにて、母の友人宅にホームステイ。文化体験や女性支援のボランティアに携わる。
9月:ルワンダにて、ジェノサイド後の和解の現場を視察するスタディツアーに参加。タンザニアにて、有機農業のボランティアに携わる。
10月:タンザニアで強盗にあったため日本に一時帰国。
11月:イギリスのロンドンにて、友人を訪問し少し観光。11月下旬にはアイスランドにてボランティア活動を行い、11月末にはカナダに移動して英語の語学学校に通った。
12~1月:メキシコにて、スペイン語の語学学校に通う。児童福祉施設やホースセラピー施設などでボランティアにも従事。
1月末:エクアドルにて、動物保護施設でボランティアを行う。
2~3月:帰国。報告書作成。



録音機を片手にブラジルを旅する(T・Fさん)

プログラムの内容

 言語学に興味があり、ブラジルの各地域の話し方の特徴や方言について調査したいと考えた。そこで「ブラジルの混濁を渡り歩く」というテーマで、録音機器を持ってブラジルの7州を渡り歩き、現地の住民や学生を取材した。録音したものを書き起こして活動成果発表の際に見せた。また各地域の大学に連絡を取り、現地の教授にもアドバイスをもらった。

北東部の名物料理carne de solを実食。

申請した理由

 受験後にFLYプログラムについて知った。高知の実家に帰り後期の試験勉強の合間に要項を見ていたら偶然発見し、合格したら行こうと思った。父親が日本人、母親がブラジル人のハーフだが、日本で育ち日本の学校教育を吸収して育った。ポルトガル語の日常会話に支障はないものの、ブラジルに関しては特に日常生活の常識や書き言葉の点で知らない事が多かった。ブラジル人と日本人のハーフというアイデンティティに迷っていたこともあり、自分のルーツの片方であるブラジルについてもっと学びたいと感じていた。田舎の子が東京に行って東京人になろうとするイメージに近いかもしれない。

現地での印象的な経験

 アマゾン地帯への入口で、赤道直下のパラ州の市場での取材が印象的だった。原住民の文化が色濃いパラ州では、伝承された知識を基に地元の人が自生している植物を薬にして売っている。そこに地元の大学の薬学部の学生が5、6人程やってきて、その薬を売る人に話を聞いていた。近代科学という枠の外で発達した伝統的な治療薬を、正式な研究機関が調査の対象としていたことに驚いた。そして、現地の学生が民俗学的領域を学問の領域に敷衍しようとしていた点に面白さを感じた。
 現地に赴き感じたことは、ブラジルという国が情報として認識していた以上に多様であること。例えば宗教面では、カトリック、プロテスタント、アフリカ系の宗教、原住民系の文化などが混在する。混在しつつ、それぞれの宗教がそれぞれのアイデンティティを強く持っている。そうした多様なブラジルがありながらも、一つの国家として統合されているという複層性は実際に現地に行ってみないと学べないことだった。渡航前は体系化された知識を身に付ける経験しかしてこなかったが、ブラジルでは感覚を言語に変換するという全く新しい体験が出来た。ただし、この体験を最大化するには、やはり受験勉強で得た体系化された知識も必要だった。この点で、受験直後に行ったことに価値があったと思う。


宿泊施設で知り合ったカナダ人とイグアスの滝を観光。


大変だったことと良かったこと

 学生として大学で授業を受け学問をする、となると研究成果を報告することを見据え枠組みをしっかり組み立てる必要がある。一方で、FLYプログラムではそこまで学問的にしっかりした計画を立てることが要求されていない。そのため、あまり深く考えずに活動してしまい、きちんとした研究成果にはならなかった。FLYプログラム自体は研究上の成果を出す目的で設置されていないものの、少し後悔している。ただ、FLYプログラムの自由度には良い点もある。例えば、インタビューの際に研究に必要な部分だけを切り取るのではなく、直接調査に関係ない雑談を考察することを通じて、新しい知見を得ることができた。研究成果を出す際に不要となる部分を切り捨ててしまう必要が無い。
 知らない場所で一人で宿の手配をしたり、治安が良くない街でインタビューしたりするのは不安だった。FLYプログラムでは三人の指導教員がついてくれるが、こちらから連絡を取らない限り介入することはない。何をどうすれば良いのか分からなくなってしまうこともあった。ただ、これも制約がないという点ではメリットに数えられると言える。

渡航準備について(英語力・費用)

 FLYの選考に通った後、バイトを大学の窓口で斡旋してもらい費用を貯め始めた。ただ渡航まで二か月と短かったので、長期で働くことが要求されるしっかりしたバイトは始められなかった。そのため、受験期に出来なかった読書をしたりブラジルの地理歴史をさらったりする時間に充てた。語学については特に準備しなかった。


南部で出会った友人と浜辺を散歩。

高校生のときにやっていたこと

 高知の高校で合唱部に所属していた。塾には通わなかったが勉強は好きなタイプで、高校一年の冬からは過去問演習を始め先生に添削してもらっていた。模試で日本史と世界史、両方とも5点前後を取ったことを契機に、歴史の勉強に力を入れるようになった。これがのちに、帝国主義時代の歴史についてしっかりと勉強し、ブラジルの大土地所有制を日本史で学んだ土地制度と結びつけて理解するなど、ブラジルというかつて植民地だった国家を理解することにも役立った。また、アフリカ系の文化の中にもヨーロッパ的な要素が見られる歴史的背景について考えるなど、歴史を軸にした思考・仮説構築ができるようになった。やはり一つの知識体系を持っていないと、ひとつひとつの経験を意味付けることが難しいので、高校の時にしっかり勉強したことはとても役立った。

友人の地元、北部でプロテスタントの集会に参加。

高校生に一言

 なるべく色んなことを勉強した方が良い。苦手科目や将来全く使わないように思える科目も少し我慢して勉強すると次第に面白さが分かったり、自分の興味分野に関連付けられるようになる。

叔母の家への道中、朝靄のかかった景色。

スケジュール 

5月:バイトで活動資金調達。
6月:ブラジル到着。親戚宅に滞在しつつ調査を開始する。
7月:南東部で方言調査。大学の国際ウィンタースクールに参加。
8月:南東部の大学の授業を遠隔で受講しつつ南部に移動し方言調査。現地の教授との親交を通し言語の様態や外国語学習についての考えを深めた。
9月:同上。
10月:北部に移動。調査を継続しつつ、言語学の学会に参加した。
11月:共同生活していた友人の実家に一泊二日で滞在後、北東部に移動。
12月:調査と並行して、サンパウロで美術館見学や演劇鑑賞。
1月:リオデジャネイロでの美術館・博物館見学。のち、アフリカ文化が色濃く残るサルバドールを訪問。
2月:初心者向けの日本語の授業を行う。その後、帰国。
3月:活動報告書を作成。


以上、4人のFLYプログラム履修者の方の体験談を紹介しました。
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