FLYプログラム体験談(前半)

2021.2.25

この記事ではさらに2名の方の体験談をご紹介します。

被災地でインターン(T・Kさん)

プログラムの内容

 東日本大震災から5年が経過した被災地(釜石市)で復興やまちづくりについて学ぶため、釜石市役所でインターンを行った。市役所での仕事は多種多様。高校生に向けたキャリア教育事業、観光プログラムの運営などに関わった。市内の総合戦略を管轄する部署に配属され、施策の進捗確認、関係者への施策説明、復旧活動、インフラ整備などの部署横断の会議(復興推進会議)に出て進捗を管理。何度かイベント運営にも関わった。仮設住宅での生活も経験した。


↑復興支援員の方とのミーティング。バックグラウンドが様々な方と協働した。



↑仮設住宅での1枚。地区によって住民同士のコミュニケーションがとりやすいようにもなっている。

申請した理由

 母親が最初にFLYプログラムを見つけ、紹介してくれた。両親は「行って来い!」、という乗り気な姿勢で、サポートもしてくれた。
 Kさん本人は、もともと被災地の復興に強い関心があった。今回のプログラムも、あえて1つの場所に長期滞在することで地域の人と同じ立場で活動したい、インフラから地域福祉まで地方自治体の担う様々な役割について学びたい、という思いがあった。
 復興に興味をもったきっかけは、中学校の修学旅行で被災地を訪れたことだった。積み重なる瓦礫を目前に衝撃を受ける、などの経験をして、メディアを通してでは得られないたくさんの情報に接し、現地に行って体験することの大切さを学んだ。釜石市役所には震災を契機にコンサルを辞め地方自治体に転職した知り合いの方がいて、その方のもとで活動できることが決定要因となった

現地での印象的な経験

 インフラの復旧は終わりつつあったが、手伝いに行っていた定期的な住民説明会の後半の質疑応答で、かなり厳しいことを住民の方から言われた。「子供が入学したばかりだtまた引っ越しさせるのか」という不満や入居予定だった家の着工遅れ、地域の方向性についての怒りの声もあった。こういった経験を通じて、行政が一生懸命にやってもどうしても不公平が生じてしまうことへのやるせなさや、自分の無力さを痛感した。

良かったこと

 良かったことはキャリア教育に携わるなかでさまざまな経験ができたこと。具体的には以下の三つある。一つ目は、高校生のキャリア教室の運営に一年間継続的にコミットし続けた結果、しだいに認められるようになったこと。講演会の運営に関する企画案や工程表の作成など、徐々に自分の仕事の範疇を増やしていくことができた。
 二つ目は、自分でPDCA(Plan→Do→Check→Action)を回すことを初めて経験できたこと。具体的には、P:1回のイベントの内容を企画、D:実際にイベント運営を行う、C:イベント後にアンケートを実施して、イベントへの満足度を確認、A:次のイベントに向けて動く、というサイクルを経験できた。失敗もあったが、それを克服しながら手足と頭の両方を使って動く経験はとても貴重だった。
 三つ目は、いろいろな人とのつながりができたこと。例えばキャリア教室の事業を通じて学校関係者や外部講師とのつながりができ、さらに同事業のことを市内で次第に認知してもらえるようになって高校生以外の人にもアプローチすることができた。

↑キャリア教育事業の中での1枚。社会人と高校生の間に入って双方のコミュニケーションを円滑にすべく、ファシリテーターも務めた。

大変だった経験、失敗

 自分からこれをやりたい、これができます、ということを言わなくてはならず、何か動いたときにも自分の力不足を痛感することがあった。また、周りの大学生と比較して、「自分は何をやっているのだろう?」「この経験は一体何になるのだろう?」と思い悩むこともあった。日々の仕事に追われつつ、自分のやっていることの定義付けがわからないことの苦しさがあった。当時はこの悩みを言語化できておらず、ただもやもやした不安があった。残り数ヶ月はもうやりきるしかない、と割り切った。目の前のことに集中しようと切り替えた。


↑日々の業務の1枚。(普段はスーツではなくオフィスカジュアルで出勤) 部署内に机をもらい、自前のパソコンで悪戦苦闘しながら食らいついた。

高校生のときにやっていたこと

 麻布高校出身。中学校の修学旅行で東日本大震災の被災地を訪れたことがきっかけで、復興に強い関心を持ち、高校1年、2年のときにも被災地を観察しに訪れた。一年経つと、道路整備が進み、自家用車も走るようになり、さらにもう1年経つと、人が集まって済む地区ができたりするなど、現場の空気感の変化から復興の動きを感じた。

費用面について

 支援金+自分の貯蓄・バイトで貯めたお金+親の資金。インターンだが、実費の支給はない。ただし仮設住宅は家賃無しで住むことができた。なお食費と光熱費などは自持ち。

高校生に一言

 ハードルは高いと思うが、自分で動いて世界へ飛び込んでみることは良いことだと思う。ただし、FLYは誰にでもおすすめできるものではない。留学とは違って、非常に自由度が高いため、方向性が自分の中にひとつあって、それをもう少し具体化できていないと、大変な思いをすることになるかもしれない。

スケジュール

5月:神奈川の自宅にて、釜石での生活の準備。運転免許の取得。
6月:釜石市役所にてインターン開始。
7月〜3月:定例の仕事として、オープンシティ推進室、釜石コンパス、釜援隊事務局で働く。その他にも国体などの種々のイベント運営に関わったり、まちづくり協議会や委員会にも参加するなど、多種多様な仕事に従事。

↑釜石よいさという地域のお祭りの際の1枚。市役所チームとして練り歩きつつ踊った。



↑観光イベント実施後。やりきって安堵して自然な笑顔が出た。このイベント実施をもって活動を終了した。



ドイツでジェンダー問題と向き合う(H・Mさん)

プログラムの内容

 ドイツに渡航して現地でジェンダー問題について学んだ。最初はドイツ語の勉強に時間をかけたが、ある程度話せるようになるとジェンダー問題に関する活動に関わり始めた。女性支援団体に入って、ドイツで生じているジェンダー問題について、団体に集う女性たちや現地の学生とディスカッションをした。他にもボランティアやイベント運営に関わったり、Praktikum(ドイツ語でインターンの意)に応募し、保育園で職場体験を行ったりした。インターン先の保育園の移民への支援は手厚かった。年末に帰国した後は、女性支援クラウドサービス WAN(Women‘s Action Network)(上野千鶴子さんが理事長)に携わるなど、日本のジェンダー問題について学んだ。


東アジア学専攻の学生とのボンでの交流

申請した理由

 Mさんは、父がドイツ人、母が日本人のハーフで、ドイツで生まれ九州で育った。大学へ行く前に自分が生まれたドイツに一度行ってみたいという強い気持ちがあった。
 また、九州にはジェンダーステレオタイプが根強く残っており、女子だからという理由で理系に進学することや東大を目指すことを周りから反対されたこともあった。Mさんはそういった固定観念に強い疑問を抱いていたため、世界経済フォーラムが示すジェンダーギャップ指数のランキングでトップ10に入っているドイツに赴き、現地のジェンダー問題意識を肌で感じて、日本のそれと比較したいと思った。
 留学ではない選択肢をあえて選んだ。現地の大学には行かず、現地での体験をメインにしたかった。

現地での印象的な経験

 南ドイツのFKK(free body culture)区域では、誰でも裸になっていい。そこで文字通りのカルチャー・ショックを受けた。FKKは、旧東ドイツ(旧がないと大変なことになることがあります)で栄えた、現在は世界各地で見られる文化。
 ベルリンに行った際に、ベルリンの壁の崩壊を経験した現地の人々の話を聞いて、リアルな歴史を学べた。

Topfmeisterin(陶芸マイスター)の作品たち

良かったこと

 かけがえのない経験ができる。ひとつひとつの経験は楽しいものも苦しいものもあるが、総括したときに、そのひとつひとつができてよかったと思える。毎日泣くような日々もあったが、そんな極限状態は他ではなかなか経験できなかっただろう。また、語学力とドイツについての知識が身についた。今の自分があるのは、ドイツでの学びや経験があったからこそだと思える。

ベルリンの壁崩壊後に施されたアート(East Side Gallery)

大変だった経験、失敗

 自分のいるべき場所がはっきりしないことがすごく辛いが、自分の居場所を自分で作る努力をする経験はとても重要だと思う。
 高校や大学にいると、授業に出なければいけない、というように、外的に居場所が与えられるが、FLYだと自分で何をするか、自分の居場所は自分でつくらないといけない。まさにアウトサイダーとしての立場をひしひしと感じる。これが精神的に辛くなってしまう要因。
 学生1人あたり3人教授をつけてくれるが、FLYの報告書などは、結構厳しめに指導されることもある。

渡航準備について(英語力・費用)

 語学要件は特にないが、英語力はあったほうが良い。ドイツ語が出来なかった時は英語で話すことでコミュニティに入っていった。
 大学から支援金をもらえるがそれでは足りない。日本や現地で働いて得たお金や親からの支援も必要。Mさんはドイツの日本食レストランで働いていた。


高校生のときにやっていたこと

高2のときにドイツに行きたいという思いが強まった。
高1までは医者になりたかったが、しだいに医者になりたいという思いよりも選択肢を残しておいて、外の世界を見てから自分の人生の方向性を決めたいという思いが強くなった。それと同時にドイツに行きたいという思いも大きくなった。受験生の身としては英語を通じて外の世界に手を伸ばしたほうがよいと思い、高2の夏にオーストラリアへ留学した。

高校生に一言

 やってみようかな、くらいの覚悟でFLYに応募すると、結構大変な思いをするかもしれない。人生でかけがえのない経験ができるプログラムなのは間違いないが、メンタル的なタフさも必要である。

スケジュール

5月:東京大学教養学部にてドイツ語履修。東京でアルバイトをして資金集めを行う。5/30に渡独。
6月:ドイツのミュンヘンの語学学校にて集中的にドイツ語を学習。
7月:継続して語学学校に通いながら、ボランティアも同時に行う。
8月前半:ドイツのラウバッハの叔母の家に滞在し、ドイツ語を研鑽。
8月後半:ベルリンで現地の学生と交流。各都市周遊も。
9月:東ドイツ・東ベルリンに滞在し、ドイツ分断の歴史を学んだ。ベルリンの女性団体(EWA)にコンタクトし、活動のテーマであるドイツのジェンダー観について学び始める。
10月:ミュンヘンの女性支援団体(JUNO)にコンタクトし、活動に携わる。
11月:同上
12月:コブレンツという街の保育園でインターンを行う。
1月:帰国。集中講義に参加するなどして日本の女性問題について学ぶ。
2月:WAN主催や国立女性教育会館におけるキャリアセミナー等各イベントに参加。
3月:報告書作成。


ミュンヘンでのクリスマスマーケットの様子


以上、FLYプログラム体験談(前半)の記事でした。後半の記事はこちら

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