「東大発スタートアップでインターン!?」は、東京大学の完全子会社のベンチャーキャピタルである東大IPCと、東大の学生メディアUT-BASEが連携して執筆する連載記事です。
東大発スタートアップ企業でインターンをする現役学生と、その企業の創業者やCEOの方などをゲストにお迎えし、どんな思いでどんなお仕事をされているのかを率直にお聞きして記事にしました。
この記事を読んでくださっている皆さんに「スタートアップで働くこと」の魅力が伝われば幸いです。どうしてこのような記事を執筆することになったかについてはこのシリーズの第0弾の記事をこちらからお読みください!
※広報等を含め、当企画において、UT-BASE及び東大IPCは一切の金銭その他の報酬を受け取っておりません。事実に基づき客観的に記事執筆を行っていますが、事実誤認等がありましたら早急にお知らせください。
はじめに
筑波大学4年生の浅井さんがインターンに参加しているのは 株式会社Yoii。スタートアップ企業の資金調達を支援するプラットフォームを開発しています。
そんな浅井さんがYoiiで感じているものについて強調するのは、「ビジネスから開発まで様々な側面を見ることができること」と「チームの一員であること」です。CTOの大森さんがエンジニアでありながら法務や組織開発も担当していることからもわかるように、スタートアップでは幅広いことを学ぶ必要があるようです。
スタートアップの世界の魅力について、ぜひ読んで感じてみてください。
⓪基本情報
CTO:大森さん
株式会社Yoii CTO。東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻修了。ブロックチェーン基盤を開発するStake Technologiesにてリードエンジニアとして従事。パブリックブロックチェーン向けのツール開発においてWeb3 foundationに認められGrantsを獲得。ブロックチェーンを用いた企業向けの決済システムの開発も実施。
学生インターン:浅井さん
2019年4月に筑波大学理工学群応用理工学類に入学。2021年4月からは筑波大学情報学群情報科学類に所属を変更。現在、同学類四年。専門は自然言語処理。卒業後は東京工業大学大学院 工学院情報通信系に進学予定。2021年7月より株式会社Yoiiでインターンとして就業中。趣味は小説・ゲームシナリオの執筆および鑑賞。Yoii就業前はゲーム会社でソーシャルゲームのシナリオライティング業務を行なっていた。
取材先:株式会社Yoii
「起業家の野心によりそう」を目的に、未来査定型資金調達プラットフォーム「Yoii Fuel」の開発と運営を行うfintechスタートアップ企業ブロックチェーン業界において、金融×ブロックチェーンの経験を積んだ宇野雅晴と大森亮が2021年に創業。「挑戦しようとしているスタートアップに資金が行き渡っていない」「価値を見出されていないスタートアップが多すぎる」という課題を解決するために、まだ評価されていない企業価値を評価し、柔軟な資金提供を行うプラットフォームとして、Yoii Fuelを開発・提供している。
募集職種:エンジニア・ビジネス・データ分析
表記:CTOの大森さん - (O)・インターンの浅井さん -(A)
①どんなスタートアップ?
ーーー(Y)はじめまして。大森さん、浅井さん、今日は宜しくお願いします。このような機会を頂き、誠にありがとうございます。早速なのですが、まずはYoiiさんがどんな会社なのか簡単に教えてください!
(O)はい、私が株式会社YoiiをCEOの宇野と共同創業してから、およそ1年半が経ちました。YoiiはSaaS企業、D2Cやスタートアップ企業を対象に、「第三の資金調達手段」を提供する「Yoii Fuel」というプラットフォームを開発しています。
ーーー(Y)プラットフォームということは、あくまで仲介者というお立場なんでしょうか。
(O)いいえ。RBF(※編集部注:Revenue Based Finance)という資金調達手段を提供するためのシステムを提供しているという意味でプラットフォームと呼んでいます。このシステムの特徴は、私たちが、資金調達が必要なスタートアップの「未来の売り上げ」を予測して、その予測に基づいてスタートアップが弊社から迅速に資金調達をすることができるという点です。
ーーー(Y)少し難しいですが、あるスタートアップに投資した際に獲得できるのものは、株式投資の場合では会社の所有権の一部ですが、そうではなく、あくまで「成長によって拡大した分の売上の一部」だということなんですね。ということは「未来の売り上げ」の予測の正確性が重要になってきますね。
(O)そうですね。今後の売上を推測するにあたって現在は、会計・財務のデータや現時点での売り上げを参考としています。
ーーー(Y)ありがとうございます。スタートアップの資金調達の手段としては、VC(※編集部注:ベンチャーキャピタル)や投資家による株式への投資や、銀行からの融資などもあるかと思います。Yoiiさんの「第三の」資金調達手段は、それらとどのような違いがあるのでしょうか?
(O)まず、資金提供側が株式を受け取らないという特徴があります。これにより、創業者をはじめとする既存株主の保有株が希薄化しませんし、経営について投資家とトラブルになることもありません。
また、銀行の融資との違いでは、書類のやり取りが少なかったり、審査がペーパーレスで迅速だったりする点があると思います。初期のスタートアップ企業は赤字の場合が多いので、個人保証や担保がないと銀行融資が行われない場合も多いのですが、Yoii Fuelではそうしたものが必要ありません。
私自身もスタートアップで働いていた時期があり、スタートアップの資金調達が難しいということに課題感を抱いていました。Yoiiのサービスは、スタートアップの資金調達をより手軽なものにしたいという私たちの思いから生まれました。
ーーー(Y)ということは、基本的に多くのクライアントはスタートアップ企業ということになりますよね?
(O)そうですね。
(A)確かに、スタートアップの経営者や財務責任者の方と関わる機会が多いと思います。インターン生の私からすれば、「スタートアップの世界がどんな感じか」を覗くことができるのはありがたいです。
②CEOと学生インターン、それぞれのやりがいとは…?
ーーー(Y)さて次に、お二人がどんなお仕事をされていて、そしてそこにどんなやりがいを感じていらっしゃるのかをお聞きできたらと思います。浅井さんからお願いします。
(A)私はビジネスサイドとエンジニアサイドの橋渡しのような役目を担っています。例えば、ビジネスサイドが必要とするデータを整理したり、そのプロセスを自動化したり、あるいは新しく必要になった開発をエンジニアサイドに依頼したりすることもあります。ただ、それは入社してから1年ほど経ったからこそできる仕事です。インターンに参加してからの半年はプログラミング能力の向上も兼ねて、WEBプロダクトのフロントエンドの修正をしたり、GAS(Google App Script)を使ってデータの整理をしたりしていました。
ーーー(Y)浅井さんにとってある種の「下積み」だったその半年はどういう位置づけですか?
(A)その時期は早く会社に役立ちたいという気持ちが強かったですね(笑)。プログラミング言語に慣れてコードの書き方を覚えること、チームで開発を行う上での勝手を身に付けることの2つが大変勉強になったと記憶しています。
(O)「下積み」とは言いますが、浅井くんは最初からすごく貢献していくれていた気もします(笑)。特にYoiiが特徴的なのは、会計についてや、Saas企業のビジネスモデルについて勉強してもらったことだと思います。
(A)そうですね。Yoiiはフィンテック(※編集部注:金融について扱うテクノロジー企業のこと)企業なので、金融や会計について実践的に学ぶことができ勉強になりました。
ーーー(Y)浅井さんはすごく幅広く業務に関わっていたんですね!
(A)実は、大学1年生〜2年生にかけてはソーシャルゲームのストーリー作りをするインターンをしていました。余談ですが、僕はストーリーを作るのが好きなんです。将来SF作品を書きたいなと思い、その参考にと大学1~2年生の頃は電子や量子についても勉強していました(笑)。
ただ、そのインターンでは、作業をする中でエンジニアとクリエイターとの橋渡しができず、とても苦労しました。1つの業務を行う上でも、他の業務についてある程度は知っておかなければ「橋渡し」はできないのだとその時思いました。そこでYoiiでは、業務を一通りやってみて、「相談・提案しつつ調整をする」という、僕がやりたかったことをやらせてもらったんです。
ーーー(Y)なるほど、ありがとうございます。「この仕事をしていて良かった」と思う瞬間はどのような時でしょうか?
(A)そのゲーム会社でのインターンの際は、チームとしてのバラバラ感がありました。しかし今は、「橋渡し」を自分が行うことで「チームの一員」という気持ちを持ちつつ働くことができています。特にスタートアップ企業だとそういう一体感がある中で成長していくことができるので、ここで働いていて良かったと思いますね。
ーーー(Y)スタートアップならではですね!大森さんはいかがでしょうか。
(O)私の主な仕事は、UI/UXの統括です。例えば、API連携を使って、ワンクリックで与信が完了し、簡単に審査ができるようなシステムを開発しました。
昔、司法試験予備試験の勉強をしていたことがあったので最初の頃はYoiiの法的な建て付けを考えたりもしていましたし、一時期は与信モデルをAI・統計分析を使って開発していたりもしました。ですから、私も仕事に関しては「色々やっている/色々やっていた」ということになるかと思います(笑)。
ーーー(Y)大森さんのYoiiさんでのお仕事に対するやりがいはどのようなものなのでしょうか。
(O)やはり、決められたことについて開発実装するのではなく、「私たちは何をやるのか」というところから考えられるのがとても楽しいですし、自分の成長にも繋がるなと感じます。もちろん、技術力や知識を付けるのも大事ですが、「チームの頑張り」が結果に如実に表れるんですよね。こういった部分にプレッシャーと同時に一体感のような楽しさを感じていますね。
③「VS CTO」〜インターンのホンネ!~
ーーー(Y)さて、ここからはお二人が普段思っていらっしゃることを、是非とも率直にお伺いできればと思います。まずは浅井さんにお聞きしたいのですが、Yoiiさんで働かれている方にどんな印象をお持ちですか?
(A)まず、Yoiiは社内の交流が多いという特徴があるので「みんなと仲が良い」という感覚はあります。ただ特に、Yoiiのメンバーについて面白いと感じる点は、エンジニアに外国出身の方が多いところですね。
「海外だとそういう技術がトレンドなのか」とか、「あの国だとそういう文化があるんだな」といったような発見が日々あり、楽しいです。また、そのおかげもあり、英語に慣れてきたという感覚もありますね。
(O)今はエンジニアやプロダクト開発を行う6人のメンバーのうち5人が外国出身です。国としては、フランス、インド、ポーランド、ロシアの方です。みんなバラバラのバックグラウンドを持っている点は難しくもありますが、それはそれで面白さではありますね。
(A)やはり社内の交流が多いのはありがたいです。以前のインターンでは、エンジニアとデザイナーの2人の方としか関わる機会がなかったんです。でもやはり、色んな人と話す中で新しく見つかるものも多いですし、だからこそYoiiのような環境では「新しく何かをできる」という風土があるように感じます。
ーーー(Y)続いて、大森さんにお聞きします。Yoiiさんにいるインターン学生「全員」に浅井さんのように幅広い業務を担当してもらうことを求めていらっしゃるんでしょうか?
(O)幅広い業務をやってみたいというやる気があるインターン生はもちろん大歓迎です!一方で、最近は仕事やチームが分化してきています。例えばエンジニアであれば、プログラミングやチーム開発の経験など、専門性があるインターン生が来てくれると嬉しいです。
ただし、どのような職種であっても、自分の仕事がどのように会社の成長や社会に貢献するのかがわかることは大きなモチベーションになると思っています。そのため、オンボーディングに際してYoiiのビジネスモデルを理解してもらうようにしています。
ーーー(Y)なるほど、ありがとうございます。それでは、浅井さんから大森さんに「今だからこそ」聞いておきたいことはありますか?
(A)2点お聞きしたいことがあります。まず1点目は、自分は今後ゲーム業界に行きたいと思っているのですが、自分や他のインターン生の進路について大森さんはどのように考えていらっしゃるのかということです。そして2点目は、大森さんから見て、自分はどのような業務が向いていると思うかということについてお聞きしたいです。
(O)なるほど、ありがとうございます。1点目について、本音としては、かなり長く働いてくれている浅井さんがYoiiに入社してくれたらめちゃくちゃありがたいとは思っています。でもそれ以上に、うちでインターンをしていた学生が、他の業界・会社で活躍していくことを誇りに思います。
2点目については、プロダクトマネージャーやプロジェクトマネージャーなどが向いている気がします。というのも、私自身はタイムマネジメントなどが苦手な方なのですが(笑)、浅井さんは責任感が強いですし、俯瞰的にやるべきことを把握して、管理するのが得意だからです。
ーーー(Y)大森さんはインターン生一人ひとりのことをよく見ていらっしゃるんですね!こうした浅井さんのマネジメント力もきっと、Yoiiさんでの経験から培われたのでしょうね。
④それぞれの将来の展望を教えてください!
ーーー(Y)ありがとうございました。それではお二方の今後のご展望、どんなことにチャレンジしたいかやどんなことを達成したいかについて教えてください!
(O)創業してから1年半となりましたが、ビジネス・技術共に手探りの部分が多いのが現状です。しかし、今は手探りながらも「伸ばしていく」時期なのだと思っています。
ビジネスの領域をSaaSエリアに広げ、売上などの金額も大きくしていきたいです。ただ、そうした場合、会社の規模が拡大しても、それに耐えることができるように会社のシステムを整えないといけないとも思います。できる限り業務を自動化し、技術の制約から会社を解放する、テックドリブンの企業を目指します。
また、メンバーも増える中、他の人から学ぶことも多いと感じています。今後も、お互いがお互いを高め合えるような組織にしていきたいとも思います。
ーーー(Y)ありがとうございます。では、浅井さんお願いします。
(A)私は大学院に進学する予定なのであと2年半は自由に使える時間があることになるのですが、研究分野である自然言語処理を深く学びたいと思っています。研究のモチベーションには2つの軸があります。1つは自分自身がゲームやストーリーを作る中で欲しいと感じていた「クリエイターなどの非エンジニアを支援する」ツールを作成すること、もう1つはSF好きとしての「喋るAIについてのSF的な興味」です。この2つの軸について、何か落としどころを見つけられればと思っています。
Yoiiでの話で言えば、会社の手作業をなるべく自動化したいという気持ちが強いです。どうやって手作業を減らしたり、問題点を解決して効率化できたりするのかについて、地力を付けて自分なりの「流れ」を確立したいです。
ーーー(Y)お2人とも本当にカッコいいです。ぜひそんな日が来たら良いですね。それでは最後に、現役の学生に一言メッセージを頂けますか。
⑤学生へのメッセージ
(O)大学生のうちに色々なことに興味を向けて、今しかできないことに取り組んで欲しいです。Yoiiは、好奇心旺盛で積極的な仲間が集まった最高の環境だと思っております!一緒に楽しく働ける仲間を募集中です!
(A)会計や法律の知識をはじめとして、FinTechで得られる知識の多くは腐ることなく後の人生に活かせるものだと思います。もともと金融に興味がある人だけでなく、「自分の持つやる気や能力をどこに向けたらいいかわからない」という人にもお薦めしたい環境です。また、Yoiiはインターン生であろうと魅力的な提案ならば採用していただける柔軟さを持った会社です。実際に自分の提案や実装が反映された時は大きな達成感があります。そのような喜びを味わいつつ、自分の価値も高めていく、そんな仲間と出会えるのを楽しみにしています!
ーーー(Y)お2人ともどうもありがとうございました!!
ここまで記事を読んで頂き、ありがとうございました。Yoiiさんまたはこうした東大発スタートアップでインターンをしてみたいと思ったそこのあなた!
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