学生向けの教育活動
以上の一般向けの講演会などに加え、東京カレッジでは学生に向けた教育活動も展開している。概ねゼミナール・授業とイベントの二種類に分かれる。
授業・ゼミナール
2022年度からは、毎年のAセメスターに教養学部の前期課程において「私ってだれ?アイデンティティ研究入門 // Who am I? An introduction to identity studies」というテーマの全学自由研究ゼミナールを開講している。このゼミナールでは東京カレッジに所属する研究員の方々が登壇する。そのため、異なる専門分野の視点からアイデンティティという難問にアプローチする多様な視点に触れることができる。例えば、2023年度の場合は、「中国と日本におけるナショナル・アイデンティティ」、「行政問題としてのジェンダー・性別」「アイデンティティと文学」「博物館とアイデンティティ Museum and identities」といったテーマを扱っている。同時に、講義や授業内のディスカッションが英語で行われることが多く、英語でこれら分野の専門知識を学べる好機でもある。さらに、最終成果物のレポートは東京カレッジのブログに掲載してもらえる。2022年度の場合は以下の学生によるレポートが掲載された。
・中国残留孤児―植民地主義と自己アイデンティティをめぐる考察
また、毎年開講される「アイデンティティ」というテーマゼミナール以外にも、東京カレッジに所属している研究者による他のゼミナールが開講されている。毎年担当される教員が変わるため、テーマも異なる。例えば、2022年Sセメスターでは「人類とデジタル //
Humanity and the Digital)」「インクルーシブな社会に向けて – 障害学への入門」、2023年度Aセメスターでは「Reimagining Gender and Sexuality in East Asia(東アジアにおけるジェンダーとセクシュアリティの再構想、筆者訳)」「Different dimensions of bilingualism(バイリンガリズムの異なる側面、筆者訳)」などが開講された。これらの授業に関しても、学生の最終成果物が東京カレッジのブログに掲載されることがある。以下がその例である。
・メタバースとは何か? どのように活用できるのか?
・ギフテッド教育から見る特別支援教育の問題点とその解決策
これらのゼミナールの共通点として、どれも少人数であること、英語を使った学びや充実した議論ができること、さらには多分野の最先端の知見に触れられることなどがあげられる。学問に真剣に取り組みたい学生にとっては、知的刺激を得る最良の機会と言える。
学生向けイベント
2023年度には卓越教授連続講演会という学生・教職員限定のイベントを対面で開催した。このイベントでは、ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章教授をはじめとする、卓越教授の称号を与えられているたった5人の教授が登壇した。学生にとっては各分野の第一人者から直に話を伺える貴重な機会となり、参加した学生からも高い評価を得ている。
また、学部生向けのプログラムであるGLP-GEfILとも連携している。具体的には、プログラム生のメンターの一部を東京カレッジ所属の研究者が担当したり、プログラム生限定の特別セミナーを開催したりしている。例えば、2023年度は、客員教授であるジャック・マーによる特別セミナーが行われた。
さらに、東京カレッジに所属しているMichael FACIUS准教授は、情報学環・学際情報学府にてChatGPTをテーマとした授業を開講したこともある。 そのほかにも、UGIP(東京大学グローバル・インターンシップ・プログラム)にてワークショップを展開している。
これら学生向けの教育活動のほかにも、高校生を対象としたオープンキャンパスにおいて模擬授業を行っている。例えば、2023年の場合は
「ジェンダーの平等って、可能ですか?“Is gender equality possible?” 」
「デジタル・アイデンティティ”Digital identities” (副題:SNSでの君は誰?オンラインと現実、キャラ違う?)」
などといったテーマであった。
本施設に向いている人
・英語で学ぶ意欲のある人
・社会問題に対して複数の分野でアプローチする姿勢を身につけたい人
・最先端の学術研究の様子およびその内容を知りたい人
・教養学部、特にその後期課程に所属し、分野横断的な研究に興味のある学生