履修の入り口 第2章 〜授業区分〜

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第1章に続き、第2章では、履修選択に必須の授業分類に関してお話しします。
東大前期教養の履修制度は一見するととても複雑です。
しかし、できるだけうまく理解できるよう、順を追って説明しますので、少しお付き合いください!
この章で大事なことは、第1節の「科目の分類」と第2節の「その科目が必修かどうか」は全く別のお話だということです。両者は必ずしも1対1に結びつくものではないので、混同しないように注意しましょう。

目次

    第1節 授業科目の種類

    東大の前期教養で開講される科目は、全て以下の4つのいずれかに分類されます。
    (1)基礎科目
    (2)総合科目
    (3)主題科目
    (4)展開科目

    では、それぞれの科目区分の意義や特徴、含まれる科目について見ていきましょう。

    (1)基礎科目

    その名の通り、どの分野に進む場合でも特に重要で、学生みんなに学んでほしいと東大が考える科目群です。入学した科類により予め履修することが決められている科目も多く、自由に選べる科目も選択肢が制限されています。
    ここに含まれる科目は、以下に挙げる特性のいずれかを持ちます。

    ①大学での学修・研究の基礎となるスキルを磨き、ツールを得るための科目
    該当科目:「外国語(英語、二外)」「情報」「身体運動・健康科学実習(以下、スポ身)」「初年次ゼミナール(以下、初ゼミ)」
    ここで学ぶ科目は、いずれも今後の学生生活のツールとなります。

    ②既存の科学の分類に対応した、各分野の基礎中の基礎を学ぶ科目
    該当科目:
    (文系)社会科学、人文科学
    (理系)自然科学
    ここからが大学で学んでいく、専門知識になります。
    科学は、伝統的に社会科学 / 人文科学 / 自然科学 の3つに分類されてきました。
    これに対応した同名の科目区分が設けられ、基礎科目として設定されています。
    文系は社会科学と人文科学を、理系は自然科学の分野を専門に学んでいくことになるため、それに応じて履修する科目が予め決められています。

    各科目群の下位分類は以下の通りです。
    社会科学:法、政治、経済、社会、数学
    人文科学:哲学、倫理、歴史、ことばと文学、心理
    自然科学:基礎実験、数理科学、物質科学、生命科学

    (2)総合科目

    既存の学問分野の枠組みを維持しつつ、様々な方向に向かって発展してきた各分野について学ぶための科目区分です。
    選択の幅が最も広く、興味に応じた履修が可能なため、リベラルアーツの中心となる科目群です。
    ここに属する科目は、以下のいずれかの分類に属しています。各区分は「系列」と呼ばれます。一般に、Aに近いほど文系寄り、Fに近いほど理系寄りと言われています。

    L系列:言語・コミュニケーション
    A系列:思想・芸術
    B系列:国際・地域
    C系列:社会・制度
    D系列:人間・環境
    E系列:物質・生命
    F系列:数理・情報

    (3)主題科目

    該当科目:学術フロンティア講義、全学自由研究ゼミナール、全学体験ゼミナール、国際研修
    基礎科目・総合科目の前提となってきた学問分野の壁を超えた内容の授業が、ここに集められます。学際的な内容や、最先端の研究について学ぶことができます。自ら実地に赴き、体験し学びを獲得するという授業も、ここに分類されます。

    (4)展開科目

    該当科目:社会科学ゼミナール、人文科学ゼミナール、自然科学ゼミナール、文理融合ゼミナール
    基礎科目で学んだ内容を前提として、基礎的な事項について掘り下げていく少人数・ゼミ形式の授業です。主題科目とは異なり、学問分野の枠組みを原則として維持し、その範囲内で内容が設定されるのが特徴です。

    (5)持ち出し専門科目

    これは教職科目など、前期教養学部以外が開講する科目です。
    1年生の間に履修することは教職以外では稀なので、まだ考える必要はありません。

    第2節 選択の必須度

    科目分類とは次元の異なる内容として、ある科目・科目群に対して、選択の自由度がどの程度認められているかの類型を考えてみます。

    (1)必修科目

    必ず単位を取らなければならない科目です。科目名にて指定されるので、当該名称の科目の単位を取らなければなりません。つまり、他科目で代えることはできません。
    必修科目の単位を全て取らなければ、前期課程を修了することはできません。
    例えば、和食では白米のごはんは必ず含まれなければいけませんよね(よね?(圧))。この「ごはん」に相当するものと考えてください。

    (2)選択必修科目

    一定の幅が指定され、その中に属する科目の中から一定以上の単位を取得することが求められます。
    例えば、和食の主菜を考えるとき、肉料理(例えば「豚の生姜焼き」)と、魚料理(例えば「アジの塩焼き」)を同時に食べる人はいませんが、どちらかは欲しいですよね(よね?(圧))。このイメージです。

    (3)選択科目

    必修、選択必修を全て満たしていても、履修可能な授業を履修し、それ以上に単位を取ることは自由です。このように自由に単位を取れる授業を、便宜上「選択科目」と呼んでおきます。

    (補)いわゆる「準必修」

    文系では社会科学/人文科学、理系で授業ごとに履修できる人のクラスが指定されている一部総合科目は、「準必修」と呼ばれることがあります。
    しかし、この用語は大学が公式に使っておらず、履修の手引きにも載っていない概念です。
    また、この考え方を使わなくても、履修制度を理解することが可能です。
    したがって、「準必修」という考え方は使う必要がなく、また使うべきでもないと考えます。
    本シリーズでも、「準必修」という考え方は使わずに解説を進めていきます。

    第3節 科目区分と選択の必須度を重ねる

    ここまで、科目区分と選択について議論をしてきました。最後に、これらを重ねて考えてみます。どの科目群の中に、どの程度必修科目 / 選択必修科目が設定されているか見ていきましょう。

    (1)基礎科目

    基礎科目は、その性質上、ほぼ全てが必修科目です。
    必修科目は自動的に履修登録されます。

    [全員共通]
    英語:英語一列①、英語一列②、英語二列W(ALESA / ALESS)、英語二列S(FLOW)
    二外:〇語一列①、〇語一列②、〇語二列
    その他:情報、初年次ゼミナール文科/初年次ゼミナール理科、身体運動・健康科学実習Ⅰ、身体運動・健康科学実習Ⅱ

    [理系]
    自然科学の中のほとんどの科目
    ただし文系の社会科学 / 人文科学は選択必修科目で、自分で履修登録をする必要があります。

    (2)総合科目

    総合科目はいくつかの系列がグループ分けされており、その範囲内での選択必修です。7系列がどのようにグループ分けされるかは、以下のように科類によって異なります。

    文一・二:L, A-C, D-F
    文三:L-C. D-F
    理:L, A-D, E-F

    ただし、L系列の中には、「英語中級」という科目が多数開講されています。
    この中から3単位が、全員共通の(実質の)必修となっています。
    さらに文系は、L系列に含まれる、二外で選択した言語の「〇語初級(演習)①②」4単位が必修科目となっています。

    (3)主題科目

    全員共通で、主題科目の中から2単位の選択必修です。

    (4)展開科目

    必修・選択必修の設定はなされていません。

    最後に、科目区分と必修・準必修の関係を図で確認してみましょう。

    ————————

    次回は、
    ①前期課程から脱出するための2つのチェックポイント
    ②進学選択で用いる点数の計算方法
    の2点を解説します。

    最後まで記事を読んでくださりありがとうございました!
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