はじめに 多くの東大生が頭を悩ませる意思決定である「進学選択」。 「〇〇に興味はあるけど、どの学科で学べるのかわからない」なんて思ったことはありませんか? この記事では、そんな皆さんのお悩みに応えるべく、法・政治分野について学ぶことができる学科を「横断的に」比較紹介しました。 皆さんの選択を少しでも支えることができれば幸いです。 ※本記事の内容は2022年度以前の情報に基づいています。現在記事を更新中ですのでしばらくお待ちください。 目次 法学部 概要 法学部には、第1類(法学総合コース)、第2類(法律プロフェッション・コース)、第3類(政治コース)の3つの類が置かれており、学生はその希望に応じて、いずれかの類に所属することになる。 授業内容は実定法、基礎法学、政治、経済に4分され、類ごとに必修や選択必修は異なる。しかし、履修の仕方によって、どの類にいても内容上かなり似た学習が可能となる。必修の差異はあるとはいえ、「類」はあくまで履修のモデルを示すにとどまる。 法学系科目では、条文の解釈や実務上の問題、学説の対立、判例研究等を行い、法学の基本的なものの見方、考え方を身に着ける。 同時に、伝統的に基礎法学・政治科目が充実している点で、他大学の法学部とは一線を画す。言うまでもなく、法と政治は相互に深い関係をもつ。司法・行政・立法という人間社会における最も基本的な作用を総体として捉えるには、政治学の理解も必須であろう。 さらに、現代日本の法を相対化し、深く理解するためには、基礎法学分野としての外国法や法制史、さらには法社会学や法哲学など、他領域と法の関わりまで視野に入れる必要がある。 このように、「法」学部とはいえど、その教育内容は、人間社会を法・政治面から捉えるための多様な科目を履修することができる。この意味で、法学・政治学を学びたいと考える人にとって、法学部は東大で唯一無二の選択肢だろう。 基本情報 定員 第1類、第2類、第3類 計420名(類ごとの定数はなし) 要求/要望科目 要求科目 なし 要望科目 なし 公式サイト https://www.j.u-tokyo.ac.jp/undergraduate/ カリキュラム紹介 全ての法・政治系の授業カリキュラムを紹介することができないため、必修の講義及び法学・政治学それぞれの分野で履修可能な主な科目を紹介する。なお2類以外は必修科目が少ないため、ある程度自由度の高いカリキュラムとなっている。 2Sセメスター 他学部に先駆けて、持ち出し科目の授業が始まる 持ち出し科目 憲法 日本国憲法の解釈論を中心に学ぶ 民法第1部 民法の基礎的な事柄を扱う 民法総則、物権総論を中心に学ぶ 刑法第1部 刑法総論のうち、犯罪成立のための諸条件について扱う 法社会学 法制度と法を巡る社会現象を検証する 法社会学の基礎理論と応用問題を交互に取り上げながら学ぶ 2Aセメスター 「憲法」「民法第1部」「刑法第1部」の授業が継続 全類共通必修科目 政治学 政治学の基本概念と論理的な思考を身につけることを目的とする 実定法 国際法第1部 具体的な諸問題に取り組む際の前提として必要な抽象度・一般性の高い内容を中心に学ぶ 政治 ヨーロッパ政治史 18世紀末から20世紀後半のヨーロッパ諸国における政治構造のダイナミズムを比較の観点から学ぶ 比較政治学的な思考の基礎を身につけることを目的とする 国際政治 国際政治の構造・性質の理解を目的とする 国際政治分析の理論枠組みを理解し、その来歴を学ぶ 基礎法学 日本近代法史 大陸ヨーロッパ法の継受過程を法規範・法思想・法曹などの側面から考察する 3Sセメスター 実定法 民法第2部 債権各論の基本的知識の習得を目的とする 刑法第2部 刑法各論を扱う 個別の犯罪類型の成立要件を検討する 政治 日本政治 現代日本政治を理解する上で必要な政治学的及び歴史的知識を習得する 日本政治外交史 幕末から戦後に至るまでの日本の歴史を、政党政治と対外関係の観点から総合的に把握する 日本の政治と外交を考える基礎を作ることを目的とする 基礎法学 西洋法制史 近代から現代の西洋世界の国制と法の歴史を、ドイツ刑事法史を中心に学ぶ この時期の国制と法の変遷、また各時代の特徴を説明できるようになることが目標 3Aセメスター 実定法 民法第3部 第1章総則、第7章留置権から第10章抵当権までを対象に扱う 法制度や法理論の基礎にある考え方を理解することを目的とする 民事訴訟法第1部 民事訴訟法の基本的な概念・条文を理解し、具体例に適用できるようになることを目標とする 刑事訴訟法 日本の掲示手続きの実情とアメリカ・イギリス・ドイツの比較法的知見を学ぶ これらを踏まえた上で捜査から第一審の裁判に至る手続きの間で生じる法的な問題点を分析・検討する 政治 行政学 日本の行政活動を説明するための基本的な考え方を学ぶ 国家権力に対する理解を深めることを目標とする アメリカ政治外交史 アメリカの政治体制の歴史的変遷と、それに伴いどのような国内政策・外交政策が取られてきたかを学ぶ 4Sセメスター 実定法、政治とも展開的な科目を履修することが推奨 基礎法学を多く履修できるようになる 主な研究室紹介 学部生向けの「研究室」は存在しないが、演習が毎セメスター開講されており、この授業で教授の専門分野に沿った学習を行うことができる。 年度により演習のテーマは変更する可能性があるため、シラバスの確認が必要 2022年度に開講されている演習は以下の通り 実定法 民法演習(沖野眞己) キーワード:日韓、比較法研究 概要 日本と韓国の民法を判例を用いて比較研究を行う 具体的には日韓で異なる判決が出ている背景・理由などを探る 行政法演習(城山英明) キーワード:科学技術、リスク規制 概要 科学技術と政治・行政における基本的論点につて講義及び文献購読を通して理解する 生命科学技術政策・宇宙政策など専門家や実務家のレクチャーを聞くこともある 政治 国際政治演習(佐藤亮) キーワード:米中関係、国際政治、国際秩序 概要 米中関係及び国際秩序を中心に学ぶ アメリカの伝統的な国際政治学の研究者の議論を読む 政治学演習(谷口将紀) キーワード:ジャーナリズム、デジタル化、メディア規制 概要 政治とジャーナリズムの関係を考える 政治家・ジャーナリスト・官僚などをゲストに招きながら、政治とメディアの関係がどう変化しつつあるかを探る 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 第3類の者なので、第3類に特化して述べたいと思います。まず、「法・政治」分野について。第3類では必修である憲法や民法第1部は勿論、選択必修として数ある実定法を学べます。これがおそらく駒場の後期教養との大きな違いと思われます。政治が法を定めて法が政治の在り方を決めるというように、法と政治は切り離せない関係にあります。例えば政治学は憲法と、行政学は行政法と、国際政治学は国際法と相性がよく、政治系科目を実定法の観点からも学ぶことで深く理解できると思います。 授業で提供される法学・政治学の内容の質は間違いなく日本国内で最高水準であると思います。実定法科目・基礎法科目・政治科目、いずれにおいても、先生方の精緻な分析と論理構築を実感することができ、授業を(しっかり先生方のおっしゃる内容が理解できればですが…)社会を客観的、多角的に観察する視座が身につけることができると思います。 日本の国内法、特に実定法について中心に扱う科目が多い印象。国内法の研究の最先端を担う教授陣が出揃っているので、法改正につながる学説・実定法の基礎もしっかりと学ぶことができる。 第二類は必修・他類は選択の「民法基礎演習」という科目があり、現役弁護士を講師に事例問題を用いて法の知識を得ることができる。 「法科大学院進学プログラム」があり、良い成績をおさめた人は優先的に筆記試験を免除して(あるいは成績を考慮に入れた判定で)法科大学院に進学できる。3年で学部を卒業し、法科大学院に進学する「早期卒業制度」も設けられている。 「法律相談所」があり、弁護士の先生と一緒に地域の人を対象にした法律相談の活動ができる。特に法曹志望の人や、法律が実社会でどのように用いられるのかに関心がある人には良い経験になる。 政治分野では、特に日本政治や政治思想史に強い印象がある。 「三類懇親会」という学部公認の会があり、特に三類で政治研究をしている人が集まっている。 教養学部:教養学科総合社会科学分科コース 概要 教養学部 教養学科 総合社会科学分科に設置されたコースである。総合社会科学分科は「相関社会科学コース」(相関)と「国際関係論コース」(国関)の2コースに分かれていて、コース選択は2年の10月に行う。 相関社会科学コースは社会学や政治学を専門にしながらも、政治・法・経済・社会・文化など各学問を分野横断的に学び、問題解決の手法として身につけることを目的としている。そのため、自らの興味関心に合わせて幅広い分野の科目を履修することができる。 国際関係論コースと聞くと国際政治をイメージする人が多いが、国際法や国際経済も必修で行われる。学部レベルで身につけるべきベースを1年半で網羅したうえで、並行して個々人で関心を持つ分野を膨らませておき、4年生の卒論に備える。 なお、各々のコースにおいて、もう一方のコースの授業が数多く開講されているため、履修上の垣根はあまりないとも言える。 基本情報 定員 計34名 第一段階 文Ⅰ・文Ⅱ(指定科類) 12人 文Ⅲ(指定科類) 11人 全科類 1人 第二段階 文Ⅰ・文Ⅱ(指定科類) 8人 文Ⅲ(指定科類) 1人 全科類 1人 要求/要望科目 要求科目はない。ただし、重率をかける科目として、基礎科目の「社会科学」の成績上位8単位分、総合科目のうち以下の大科目に属する科目の成績上位4単位分が定められており、いずれも重率は2である。なお、履修登録した科目のみを対象とし、規定の単位(8単位ないし4単位)に満たない場合は自分が履修登録した科目の単位のみに重率をかける。 A系列 【現代哲学】【思想史・科学史】 B系列 【国際関係論】【歴史世界史論】 C系列 【法と社会】【現代社会論】【相関社会科学】【経済と社会】 F系列 【統計学】 公式サイト https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/academics/fas/dhss/sir/ カリキュラム紹介 法や政治に関連したカリキュラムに絞って紹介する。 相関社会科学コース コースとしては社会学か政治学を中心に据える人が多いが、ここでは政治学を中心に学びを深めていく人を対象に紹介を行う 高度産業社会における政策過程、政策科学、公共哲学と市民社会論などを重点的なテーマとして公式ホームページに取り上げており、これらの分野に対応した公共政策、環境社会科学、公共性の哲学、社会思想研究などが開講されている 国際関係論コース 必修となる2Aセメスターの国際政治や3Sセメスターの国際法の他、国際取引や国際機構などの法学分野、国際体系や各地域の政治経済(アフリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、東アジア、ロシア・東欧等)などの政治分野など、興味関心に応じて幅広く学ぶことができる 2Aセメスター 相関社会科学コース 選択必修 相関社会科学基礎論Ⅰ 社会を哲学・思想の観点から見る際に必要な基礎概念方法・ものの見方を学ぶ 社会諸学におけるものの考え方の歴史的形成過程を捉え、今後の可能性を検討する 相関社会科学基礎論Ⅱ 社会学及び社会学と関連深い分野の論文を扱う 社会学の基本的な考え方と論文の読み方を身につけることを目的とする 必修以外にAセメスターで開講される講義の例 特殊講義「政治思想史の先端Ⅰ」 リベラリズムが内包する諸問題についての検討を行う 英語圏・日本語圏の文献を輪読する 国際関係論コース 必修 国際政治 国際政治の概説的な講義。国際政治システムの来歴や国際政治学の理論について学ぶ 必修以外にAセメスターで開講される講義の例 国際政治理論 国際政治分析におけるゲーム理論の応用について学ぶ 特殊講義「中国の外交」 近代中国の外交史について学び、同時代の東アジア国際関係史について理解を深める 特殊講義「ヨーロッパ国際政治経済」 比較政治学の手法を用いて、現代ヨーロッパ政治経済について学ぶ 3Sセメスター 相関社会科学コース 選択必修 現代社会論Ⅱ 文献の輪読が中心 現代日本政治への理解を深めることを目的とする 政治学的な思考法や分析手法の習得も目指す 必修以外にSセメスターで開講される講義の例 公共性の哲学 トマス・アクィナスの小作品をラテン語の原典で読解する 議論を通じて哲学と神学の双方を学ぶ 国際関係論コース 必修 国際法 国際法の基本構造と主要な概念について、週2コマの講義と週1回の演習を通して学ぶ。 必修以外でSセメスターで開講される講義の例 特殊講義「アフリカ国際関係」 独立後のアフリカ諸国が抱える政治・経済的問題について学ぶ。 特殊講義「国際体系」 英語論文の読解を通して、主権国家の体系の諸アクターの相互作用について学ぶ。 特殊研究演習「ロシア・東欧政治社会演習」 旧ソ連地域や東欧に関するエスニシティやナショナリズム、宗教や紛争に関する諸問題について学びを深める。 3Aセメスター 相関社会科学コース 卒論の方向性を最終的に決めていく Aセメスターで開講される講義の例 法学研究 具体的紛争事例を通じて法の意義と役割、法を学ぶことの意味を考察する 授業後半では民法総則を中心に規律の内容を具体的事案とともに検討する 国際関係論コース 必修 国際経済 全ての講義が英語で行われる。国際金融、ミクロ経済学の基礎、国際貿易論について学ぶ。 必修以外でAセメスターで開講される講義の例 特殊講義「空間秩序と国際法」 海洋法、宇宙法など、国際的な空間秩序に関する国際法について学ぶ。 国際機構 3Sセメスターで扱いきれなかった国際法の諸概念について学ぶ。 国家責任法、紛争処理法、武力紛争法、国際経済法などが主なテーマ。 主な研究室紹介 現代政治学演習(鹿毛 利枝子先生) キーワード:政治社会学、市民社会論、利益団体論、参加論 日本政治に関する最新の論文について扱い、議論を深める。 国際政治理論演習(石田淳先生) キーワード:国際秩序、武力行使、強制外交、ゲーム理論 戦争論の古典であるケネス・ウォルツやトーマス・シェリングの論文の読解を通して、戦争原因論の構造について学ぶ。 国際関係史演習(酒井哲哉先生) キーワード:国際秩序論、外交史、ナショナリズム 思想史・外交史に関する主要な論文の輪読を行いながら、近代日本の国際秩序論について学ぶ。 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 国際分野に関して幅広く学べることはもちろん、法や政治の授業も一定数あります。特に国際法は有名な先生が複数人います。政治については比較政治の専門家がいます。 一口に法といっても、何が法を法たらしめているのかという問いであれば社会思想から考えることができますし、社会において法がどのように機能しているのかという問いであれば社会学者が論じてきたようなことでもあります。法を規範として理論付けていくのであれば法哲学や政治哲学かもしれませんし、表現規制を考えるのであれば現代思想やフェミニズム理論を参照することもあるでしょう。多角的なアプローチができるという利点に加えて、相関社会科学コースが得意としている分野もあります。政治哲学(現代政治理論)や社会思想史、比較政治はその代表例でしょう。統計分野の先生も所属されているので、計量の手法を学んで自分の研究に生かす人もいます。様々な分野の教員・学生が集う駒場の開放性は、居心地のよさであり、日々の刺激でもあります。相関社会科学コースの授業のみならず、駒場の他コース(現代思想コースや地域分科、東アジア藝文書院(EAA)、理学部数学科など)の授業にも気軽に出入りしながら、少人数の教室でいろいろな人と接するなかで、自らの学びというものを深めることができます。外国語の授業も本郷と比べると多いでしょう。法分野の先生を挙げるとすれば福岡安都子先生(憲法・国法学)や小粥太郎先生(民法)が直接的に関わると思いますが、必ずしも法学の内容で授業を開講されているとも限りません。逆に橋本摂子先生(社会階層論)は「メディア規制と表現の自由」という題目で開講されていますし(2022年度)、法の根源的なところに関わるものとして、トマス・アクィナスのラテン語講読を開講されている山本芳久先生(西洋中世哲学)も挙げられるでしょう。政治分野であれば、内山融先生(比較政治)や伊藤武先生(比較政治)、鹿毛利枝子先生(政治過程論)などが実証に近い分野ですし、一方で森政稔先生(社会思想史)や井上彰先生(政治哲学)、馬路智仁先生(政治思想史)などがそれぞれ授業を担当されています。 教育学部:教育社会科学専修 教育実践・政策学コース 概要 教育学部:教育社会科学専修 教育実践・政策学コースは、教育を「現場」と「制度・政策」の関係を通して捉えて研究していく。このコースは、対象に即し「現実的なアプローチ」により、対象に迫ることを目指している点で、人文・社会・自然科学の個別の方法を重視する他のコースと異なる。なお、ここでいう現場は学校教育にとどまらず、民間の生涯学習や教育委員会や文部科学省の行財政政策など、多様なフィールドを含む。 カリキュラムで用意されている法学・政治学分野の科目には「教育・実践・政策学入門」「教育行財政学」などがある。こうした科目に加えて見学、実習、観察、調査を日常的に行うことで「現場」「制度・政策」の関係を実践的に捉えることができる。 教育実践の色が濃いと思われそうであるが、就職・進学先には教育現場だけではなく、政策的知見を生かそうとする公務員、中央省庁あるいは都道府県政令指定都市の公務員志望者が多い。 基本情報 定員 25名程度 要求/要望科目 要求科目 なし 要望科目 総合科目C「教育実践・政策学入門」 公式サイト https://www.p.u-tokyo.ac.jp/de/c3 カリキュラム紹介 教育学部教育社会科学専修 教育実践・政策学コースのカリキュラムから、法・政治分野と考えられる講義やプロジェクトを抜粋して紹介する。 3Sセメスター 教育行政・学校演習演習 I 教育行政・学校経営の現代的課題に関する理解を深め、それに関わる政策や実践の学術的分析や評価が行えるよう、そのために必要となる理論や方法を学ぶ。 3Aセメスター 教育行財政学 教育行政在学並びに教育経営学の基本事項について、現代の改革や国際比較の視点を交えながら学び理解を深める。 主な研究室紹介 学部生向けの「研究室」は存在しない。 勝野 正章 教授(教育行政学、所属は「大学院学校開発政策コース」) 教育機関としての学校の経営論理について、教職員をはじめとする学校当事者とともに実践的・開発的・共同的研究を進めていくことを目指している。現在の研究テーマは、「民主主義と協働の原理に基づく学校づくり」「学校における成果主義の受容と変容」「教職員の同僚性と教育専門職としての成長」。 橋野 晶寛 准教授(教育行政学、所属は「大学院学校開発政策コース」) 教育行財政および教育政策の政治的・経済的側面を研究対象としている。教育に投下する資源は有限的である。それ故に必要となる、政策の決定・実施プロセスにおける民主性・効率性は、どのような仕組みの下で達成されうるのか、そもそもそれらをどのように捉え、そしてどのように測るのかといった問題意識の下で研究を行う。 北村 友人 教授(人文社会教育、所属は「大学院教育内容開発コース」) グローバル化時代における教育のあり方について、政治・経済・社会などとの関わりのなかから理論的および実証的に明らかにすることを目指している。発展途上国に直接赴いて研究を行うことも多く、フィールド・現場を重視している。 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 履修はかなり自由なので学びたい内容をできます。また現場の方のお話を伺う機会も多いです。ちなみにただただ楽単だけ拾うことも余裕でできます。 経済学部 概要 経済学部は経済学科・経営学科・金融学科の3つの学科からなる。学科間の垣根は低く、選択必修が異なる他には、学科ごとの大きな違いはない。 法学・政治学に関する講義は、主に専門科目の学びを深め、補完するための選択科目として設けられている。例えば商法や労働法など、経営の際に必要な法的知識を身につけることができる。その他には演習の一環として、経済学の観点から財政・社会保障制度などを学ぶことができる。 なお、経済学部はゼミで学ぶことが多く、コミュニティとしての機能も強い。なお経済学部ゼミの情報はこちらにまとめているので参照されたい。 基本情報 定員 経済学科170名、経営学科100名、金融学科70名、計340名 要求/要望科目 要求科目 なし 要望科目 なし 公式サイト http://www.e.u-tokyo.ac.jp/ カリキュラム紹介 経済学部のカリキュラムから法・政治分野と考えられる講義やプロジェクトを抜粋して紹介する。経済学部の法・政治分野の科目は選択科目の一環として設けられており、学生はそれぞれの関心に応じて任意に選択できる。 3Sセメスター 選択科目 民法1 民法第1編「総則」及び第2編「物権」第1章〜第3章を扱う 取引を支える法制度がどのような考え方に基づいて作られているかを理解する 民法2 債権各論の基本的知識を習得することを目的とする 債権の発生を不法行為を中心に扱いながら学ぶ 行政法 行政法の基礎事項、行政組織法及び行政作用法を扱う 行政法を具体的な事例に即して使いこなせるようになることが目標 商法1 商取引法の理解を深めることを目的とする 実際の約款等を用いて現代の商取引の実態を取り上げる 商法2 会社法総論、株式、機関、資金調達及び計算を扱う 会社法の4分の3程度扱うため、商法3と合わせて履修することが推奨される 日本政治史 日本の政治と外交を考えるための基礎を提供することを目的とする 幕末から戦後に至る日本の歴史を、政党政治の発展と対外関係の連携に連携の観点から学ぶ 日本政治 現代日本政治を理解するための政治学的及び歴史的知識を身につける Japan’s modernization experience and its ODA policy 日本の近代化と諸外国への支援をJICAの協力のもと学ぶ 3Aセメスター 選択科目 商法3 商法2で扱わなかった会社法を学ぶ その他には商法総則・会社法総則・支払・決済法を学ぶ 労働法 雇用・労働を巡る事象の日本の雇用システムの中での位置付け及び法的な把握のされ方を検討する 諸外国との比較を交えた労働法の体系的理解を目的とする 経済法 競争法の基礎を理解することを目的とする EU、日本、米国における競争法を比較・検討する 主な研究室紹介 学部生向けの「研究室」は存在しないが、演習が毎セメスター開講されており、この授業で教授の専門分野に沿った学習を行うことができる 年度により演習のテーマは変更する可能性があるため、シラバスの確認が必要。法・政治分野における2022年度の演習は以下の通り 起業に関する「ビジネスエコノミクス」と「金融」(柳川範之教授) キーワード:起業、法制度、金融取引 概要 起業がテーマ 現実の企業活動や金融取引を扱う 同時にそれらを取り巻く法律等の制度的環境も学ぶ 福祉国家と福祉社会(石原俊時教授) キーワード:社会保障システム、家族、ジェンダー 概要 社会保障システムの国際比較・歴史研究を行う 社会の福祉ニーズに応えるために今後何を行うべきかを検討する 特に家族やジェンダーに問題の焦点を当てる 財政制度の経済分析:理論と実際(林正義教授) キーワード:財政、政府、実証分析 概要 日本の財政制度や政府間関係への理解を深める 財政の経済理論や実証分析について学習する 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 単位は取りやすい授業が多いため、卒業に不安を抱くことは少なく、その分自分のやりたい勉強に集中できる。 財政とか制度的なものの講義は比較的多い。確か金融政策は官僚を呼んでのオムニバス講義もあったはず。研究紹介そのものはあまりないから知りたければ教授に聞くのが早い 世界的に権威がある教授から経済学を学ぶことができる。他学部履修も14コマまで可能であるため、法学・政治学に関しても知見を深めることができる。経営学は行政学と重なる分野もある。 RAとして研究に携わりながら成績気にせず学べて謝金ももらえる機会がかなり豊富にある(学部生では珍しい気がする) 【経済学部】⇛全国トップクラスの教授がいるのがそもそもの魅力。また、ゼミの存在により同期とのヨコの繋がりがあるのも非常に良い。 【経営学科】⇛理論を扱うものから企業の実例を紹介するもの、雇用からITに関する授業まで幅広いジャンルが存在している。 工学部:社会基盤学科Bコース 概要 社会基盤学科では基盤技術を中心に、公共という立場から人、自然、社会を扱う。Bコースの他にはAとCコースがあり、それぞれ限定選択科目の違いによって特徴づけられている。 社会基盤学科Bコースは政策と計画を中心に学ぶ。具体的には国土・都市の整備に関わる合意形成を含めたプランニング、都市や地域のサステイナブルマネジメントなど、多様な価値や手法を総合的にコーディネートしながら問題解決を目指す。法学・政治学系の科目を学ぶことで、技術開発、技術移転や国際的なプロジェクト等を行う際に必要とされる法的な基礎知識を身につけることができる。 基本情報 定員 20名 要求/要望科目 要求科目 なし 要望科目 総合科目D:「社会システム工学基礎I〜東京のインフラストラクチャー〜」 総合科目D:「社会システム工学基礎II〜人間社会と交通システム〜」 総合科目D:「社会システム工学基礎III〜社会イノベーションと国際プロジェクト〜」 公式サイト http://www.civil.t.u-tokyo.ac.jp/ カリキュラム紹介 社会基盤学科Bコースのカリキュラムから法学・政治分野と考えられる講義やプロジェクトを抜粋して紹介する。 2Aセメスター 国際プロジェクト序論 国際プロジェクトの社会的意義と具体的な内容について学ぶことを狙いとする 国際プロジェクトを取り巻く現状と今後の方向性などの基礎的解説を行い、社会との関係性についてレクチャーする 開発援助に関わる実務者の講義も混ぜながら、課題や論点に関する理解を深める 3Sセメスター 技術移転と政策 適切かつ有効な技術移転を実現するための政策的な条件・要素・手法などを検討する また海外への技術移転による国際協力や国際援助活動に関する政策の課題を検討する 3Aセメスター 法学基礎 社会基盤整備を担う技術者が最低限理解しておく必要のある法律を扱う 法学の基本的な知識及び思考力の獲得を目的とする 主な研究室紹介 工学部社会基盤学科は卒業論文作成のための研究グループがある 学部生は6つの内いずれかのグループに分かれて研究を行う 各グループ内で法学・政治学に関連する内容を研究を行っている教授を3名取り上げて紹介する 小澤一雅教授 グループ マネジメント 研究内容 建設プロジェクト・国際開発・社会制度のマネジメント 公式HP https://ken-mgt.t.u-tokyo.ac.jp/members/kazumasa-ozawa/ マエムラ・ユウ・オリバー講師 グループ マネジメント 研究内容 貧困、気候変動や多様性などを巡る紛争解決 開発援助による紛争処理 公式HP https://ken-mgt.t.u-tokyo.ac.jp/members/yu-maemura/ 小松崎俊作准教授 グループ 国際プロジェクト 研究内容 イノベーションに繋がる官民関係を規定する公共政策に関する研究 社会イノベーション・国際プロジェクトに関する事例研究 公式HP http://intl.civil.t.u-tokyo.ac.jp/author/komatsuzaki/?lang=ja 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 Coming Soon その他、法・政治を学ぶことができる学科 農学部:農業・資源経済学専修 学科インタビュー 農業政策を学ぶ機会が多い農業・資源経済学専修の方からいただいた紹介メッセージを掲載いたします。 農業・資源経済学専修では食料・農業・農村政策の学習も必須となる。価格所得補償政策、農地政策、農村計画だけでなく、食品安全性、農産物認証、さらにWTO等の国際貿易ルールまで多岐にわたる。実際の制度の運用状況まで踏み込んで理解を深めるという点が本専修の強みである。卒業生の一定数は国家公務員になるが、農村での現地調査を通じて霞が関と異なる視座から社会を複眼的に捉える力を養ってもらえればと思う。