はじめに 多くの東大生が頭を悩ませる意思決定である「進学選択」。 「〇〇に興味はあるけど、どの学科で学べるのかわからない」なんて思ったことはありませんか? この記事では、そんな皆さんのお悩みに応えるべく、化学分野について学ぶことができる学科を「横断的に」比較紹介しました。 皆さんの選択を少しでも支えることができれば幸いです。 ※本記事の内容は2022年度以前の情報に基づいています。現在記事を更新中ですのでしばらくお待ちください。 目次 工学部:マテリアル工学科 概要 マテリアル工学科は、「材料」を中心に化学、そしてそれに付随する生命科学を扱う学科である。 学科の名称の由来は金属、金属材料系であるが、それがセラミック材料やガラス材料に拡張され、現在ではバイオマテリアル、ナノマテリアルに至るまで「マテリアル」を手広く扱っている。工学部の他学科に比べ「材料」を押し出している一方で、化学を「モノ」に拡張する姿勢が特徴的と言えるだろう。 学科内はバイオマテリアルコース、環境・基盤マテリアルコース、ナノ・機能マテリアルコースの3コースに分かれており、3年生で選択することができる。 各コースの特徴はその名の通りであるが、コース選択後も、他のコースの授業を履修することができる。 基本情報 定員 計78名 要求/要望科目 要求科目 なし 要望科目 なし 公式サイト https://www.material.t.u-tokyo.ac.jp カリキュラム紹介 マテリアル工学科のカリキュラムから化学分野と考えられる講義やプロジェクトを抜粋して紹介する。 2Aセメスター 有機/無機材料化学 有機 有機化学の基礎的な項目として、構造、結合と反応性、官能基の性質などに関する知識や、化学結合論を基とした物質・材料の成り立ちを学ぶ。 無機 無機材料の構成を原子−化学結合−結晶構造の流れに沿って、マテリアルの性質との相関を学ぶ。 3Sセメスター 組織形成論 気相、液相、固相からの、ミクロ・ナノレベルのマテリアル組織の形成過程およびその支配因子を、平衡論、速度論の立場から理解することを目的とする。 材料電気化学 溶液と固体界面で起こる化学現象を理解する上で基礎となるイオン及び電子の移動について学ぶ。 表面・界面化学 表面・界面の持つ様々な性質を取り上げながら、固体と生体との界面現象について学ぶ。 3Aセメスター 高分子化学(バイオ) 高分子の持つ普遍的な性質と機能に関する基礎知識を学ぶ。セラミック材料学(環境・基盤)。 薄膜プロセス工学(ナノ・機能) 半導体デバイス作製や各種コーティングに必須とされるPVD、CVD、ALDなどの薄膜作製プロセスと、薄膜の機能・応用・薄膜評価技術の基礎を学ぶ。 主な研究室紹介 長汐研(ナノカーボンデバイス研究室) キーワード:グラフェン・2次元層状電子デバイス・電子輸送特性・結晶成長 主な研究 導電性デバイスの物性など 研究室HP:http://webpark1753.sakura.ne.jp/nagashio_lab/ 宮田研(ナノカーボンデバイス研究室) キーワード:生体機能材料、高分子集合体、ドラッグデリバリーシステム、核酸医薬 主な研究 ナノ医薬品など 研究室HP:http://www.bmm.t.u-tokyo.ac.jp/index.html 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 Coming Soon 工学部:応用化学科 概要 応用化学科は、化学を中心に扱う学科である。 化学については幅広く扱っており、工学部の中でもその手広さはトップクラスだろう。それでいて工学部特有の「化学の工学への応用」というコンセプトも持つ学科である。しかし、そのコンセプトは既存化学の社会応用というよりも、化学に軸足を置いた異分野融合をはじめとする「新しいScience」の創生を目指している。例えば、分子自己集合、分子組織化学、1分子生物物理学、触媒化学、ナノ材料化学、有機金属化学、機能性錯体化学、高分子材料工学、機能性有機デバイス、光電子機能薄膜、ナノフォトニック化学、理論化学などがこれにあたる。 基本情報 定員 53名 要求/要望科目 要求科目(文科生のみ) 基礎実験(基礎実験Ⅰ〜Ⅲまたは基礎化学/物理学/生命化学実験)から3単位 物質化学(力学、電磁気学、熱力学/化学熱力学、構造化学、物性化学)から8単位 数学Ⅰもしくは微分積分学①・② 数学Ⅱもしくは線型代数学①・② 要望科目 総合科目E 基礎化学 公式サイト https://www.appchem.t.u-tokyo.ac.jp カリキュラム紹介 2Aセメスター 物理化学 エネルギー、エンタルピー、エントロピー、ギブスエネルギー、化学ポテンシャルといった基本概念を学ぶ。 無機化学 無機化学の全般を学ぶ。原子・結晶の構造、 性質の周期性,、酸化還元等の物性を扱う。 有機化学 有機化学反応を学ぶ上での基礎を学ぶ。共鳴、酸塩基、立体化学分光法を扱う。 量子化学 量子化学の基礎となる量子力学を学び、量子化学の基礎も扱う。 生命化学 生命分子の構造と機能を学ぶ。 分析化学 溶液化学、クロマトグラフィー、生化学分析、電気泳動、電位差分析などの分析法について学ぶ。 化学工学 物質・熱・運動量の輸送といった内容に関する考え方・方法論を学ぶ。 3Sセメスター 高分子化学 高分子に関する構造と物性、機能の基本について学ぶ。 化学反応論 化学反応速度論について学ぶ。 分子集合体化学 分子の自己集合体(を例に、分子構造と集合体の構造・機能との関わりを学ぶ。 エネルギー化学 エネルギー化学全般に関する基礎知識を学ぶ。 3Aセメスター 該当科目なし 4Sセメスター フロンティア化学 学界、産業界において第一線で活躍している外部の研究者・技術者を講師としてお迎えし、それぞれの専門分野における最先端の科学・技術を直接教授する。 主な研究室紹介 藤田研(分子自己集合研究室) キーワード:多面体構造の自己組織化、球状構造の自己組織化、インターロック化合物、孤立空間の化学、配位結合性高分子 主な研究 自己組織化分子システム 孤立ナノ空間における現象 など 研究室HP:http://fujitalab.t.u-tokyo.ac.jp 野地研(1分子生物物理学研究室) キーワード:分子生物物理学、デジタル生物検定、人工細胞反応器 主な研究 ATP合成酵素の分子メカニズムなど 研究室HP:http://www.nojilab.t.u-tokyo.ac.jp/eng/ ※工学部応用化学科には他にも化学関連の研究室が数多く存在する。詳細は公式HPを参照のこと。 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 化学のほぼ全ての範囲をカバーする授業があり、そこから自分の興味のある授業を履修することができる。また、2Aで応用化学基礎論という授業があり、各研究室の教授や准教授が研究紹介をオムニバス形式で行なっている。また、長期休みや土日などに研究室見学も実施されているため、研究紹介の場は豊富である。 工学部:化学システム工学科 概要 化学システム工学科は、化学・物理を扱う学科である。「化学工学」を扱う工学部の学科には、「応用化学科」「化学生命工学科」「化学システム工学科」の3つがあり、当学科はこの3つの中で最も応用寄りといえる。ただ、カリキュラムの観点から見ると、物理化学、量子化学、化学反応論、有機化学、無機化学などの「基礎化学」を学びつつ、化学工学、反応工学、プロセスシステム工学、環境システム工学などの「化学システム工学基礎」を学ぶため、基礎から応用まで化学を幅広く扱うという点では応用化学科に似ていると言える。なお、「システム」という名の通り、環境などに関わる分野を扱うのがこの学科の特徴であり、環境・エネルギー分野の分野学部学科紹介についても参照されたい。 基本情報 定員 46名 要求/要望科目 要求科目 なし 要望科目 総合科目E 基礎化学 公式サイト http://www.chemsys.t.u-tokyo.ac.jp/?lang=ja カリキュラム紹介 化学システム工学科のカリキュラムから化学分野と考えられる講義やプロジェクトを抜粋して紹介する。 2Aセメスター 物理化学 化学に関する熱力学を学ぶ。エネルギー、エンタルピー、エントロピー、ギブスエネルギー、化学ポテンシャルといった基本概念を扱う。 無機化学 無機化学について全般的に学ぶ。無機化学全般の基礎となる原子・結晶の構造、 性質の周期性、 酸化還元等の物性を扱う。 量子化学 量子化学の基礎となる量子力学を学び、量子化学の基礎も扱う。 化学工学 物質・熱・運動量の輸送といった内容に関する考え方・方法論を学ぶ。 分析化学 溶液化学、クロマトグラフィー、生化学分析、電気泳動、電位差分析などの高度な分析法について学ぶ。 3Sセメスター プロセスシステム工学 プロセスシステム工学(Process Systems Engineering, PSE)を化学工学の一分野として導入する。 化学反応論 化学反応速度論について学ぶ。 3Aセメスター 伝熱工学 伝熱工学の基礎や応用を学ぶ。伝熱現象に関するモデル化を目標とする。 反応工学 化学反応に伴う現象を解析する、反応工学の基礎を学ぶ。 化学流体力学 流体力学・流体中での輸送現象の基礎について学び、化学反応場を解析するための基礎知識を学習する。 化学システム工学輪講 化学システム工学について、英語テキストを輪読し、実習を行う。 化学工業実地演習 Coming Soon 4Sセメスター エネルギー物質化学 エネルギー物質及びその特性について学ぶ。 主な研究室紹介 大久保研(ナノ材料化学工学研究室) キーワード:ナノ空間材料、自己組織化、バイオミメティック材料 主な研究 ゼオライト、メソポーラスシリカの新規合成プロセスの開拓 ナノ空間配向制御技術の開発など 研究室HP:http://webpark1728.sakura.ne.jp 高鍋研(触媒化学研究室) キーワード:固体熱触媒、電極触媒、光触媒 主な研究 原子・分子レベルの不均一触媒研究など 研究室HP:https://www.catec.t.u-tokyo.ac.jp 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 化学システム工学科の前身は化学工学科で、今もその流れで反応や反応器の設計を学びつつ、「システム」成分としてプログラミングなども行っています。化学に関連する実用的な学問はほぼ網羅でき、環境や安全に関する講義や研究も幅広いです。その守備範囲の広さが大きな魅力になっています。 工学部:化学生命工学科 概要 化学生命工学科は、化学と生命科学を中心に扱う学科である。 有機化学と生命科学を融合させ、新しい物質を創生することに着眼点を据えており、工学部他学科に比べて、有機化学と生命科学の色が濃いことが特徴である。また、学科名には表れていないがマテリアル工学的な要素も持ち合わせている。 基本情報 定員 49名 要求/要望科目 要求科目 なし 要望科目 総合科目E 基礎化学 公式サイト https://www.chembio.t.u-tokyo.ac.jp カリキュラム紹介 2Aセメスター 物理化学 化学に関する熱力学を学ぶ。エネルギー、エンタルピー、エントロピー、ギブスエネルギー、化学ポテンシャルといった基本概念を扱う。 無機化学 無機化学について全般的に学ぶ。無機化学全般の基礎となる原子・結晶の構造、 性質の周期性、 酸化還元等の物性を扱う。 有機化学 有機化学について全般的に学ぶ。 量子化学 量子化学の基礎となる量子力学を理解する。量子化学の基礎を理解する。 生命化学 化学の視点から生命分子の構造と機能を学ぶ。 分析化学 溶液化学、クロマトグラフィー、生化学分析、電気泳動、電位差分析などの高度な分析法について学ぶ。 化学工学 物質・熱・運動量の輸送といった内容に関する考え方・方法論を学ぶ。 3Sセメスター 分子集合体化学 分子の自己集合体を例に、分子構造と集合体の構造・機能との関わりを理解する。 化学生命工学最前線 化学生命工学科各研究室の研究内容をオムニバス形式で紹介する。 化学・生命研究倫理 化学・生命系の実験における倫理を学ぶ。 4Sセメスター 構造解析法 機器分析法について学ぶ。 主な研究室紹介 岡本研(生物有機化学研究室) キーワード:核酸合成、タンパク質化学合成、細胞工学、ケミカルエピジェネティクス、生細胞イメージング、生物有機化学、光生物化学 主な研究 クロマチンの化学など 研究室HP:http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/okamoto/ 野崎研(有機金属化学研究室) キーワード:有機合成化学、高分子合成化学、触媒化学、錯体化学、グリーンケミストリー 主な研究 機能性ポリマー合成 不均一系触媒開発など 研究室HP:http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/nozakilab/ 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 化学系と生命系で迷っている人は、詳しい勉強をしてから選択することができる 理学部:化学科 概要 化学科は、物理化学、有機化学、無機・分析化学の基幹3講座、13研究室から成り立っている。広い分野の礎となる理学としての基礎化学研究・教育をカバーする多様な専門を有する教官を擁し、理学部の広範な自然科学研究教育の一翼を担っている。 授業では実験を第一に重視する。3年(第5および第6学期)の毎日3,4限をこれにあて、無機および分析化学、有機化学、物理化学の各分野での実験を必修科目として行う。 前期の3実験科目と卒業研究(第7および第8学期)以外の科目にはできるだけ選択の自由が確保されており、物理学科、生物化学科などの相補的講義を聴講できるようになっている。4年になって、化学特別研究、いわゆる卒業研究が1年間行われる。これは化学教室のいずれかの研究室に各自の希望により配属され、化学の最先端の独創性を目指した研究を行うことになる。 授業は基本的に全て英語で行われる。しかし、化学英語を身につける授業が用意されていたり、適宜日本語も織り交ぜながら授業が進められたり、日本語も併記されるテストもあるなど、フォローアップはしっかりしている。英語が苦手な人であってもついていけている。 基本情報 定員 40~45名 公式HP http://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/?doing_wp_cron=1656926696.1202630996704101562500 要求科目(文科各類) 基礎実験:「基礎実験I、基礎実験II、基礎実験III」(計3単位)または 「基礎物理学実験・基礎化学実験、基礎生命科学実験」(計3単位) 数理科学:「数理科学基礎、微分積分学、線型代数学、微分積分学演習、線型代数学演習」(計10単位) 物質科学:「力学、電磁気学、熱力学または化学熱力学、構造化学、物性化学」(計10単位) 生命科学:「生命科学、生命科学Ⅰ、生命科学Ⅱ」から1科目(2単位または1単位) 要望科目 基礎科目(数理科学)「数理科学基礎演習、数学基礎理論演習」 総合科目D「環境物質科学」 総合科目E「振動・波動論、有機反応化学、化学平衡と反応速度、動物科学、植物科学、分子生命科学」 総合科目F「微分積分学俗論、常微分方程式、ベクトル解析、解析学基礎」 カリキュラム紹介 2Aセメスター 化学熱力学1 ボルツマン分布や化学平衡について扱う.。 量子化学1 分子の振動スペクトルから調和振動子を学ぶ。また分子の回転スペクトルから角運動量について、そして水素原子についても扱う。 無機化学1 元素・原子の起源といった概要から分子の物理的性質や無機化合物の熱力学まで幅広く扱う。 分析化学1(総論) 分析化学の原理について基本的な理解をはかり、重量分析、酸塩基平衡、などについて扱う。 有機化学1 反応機構や命名法、有機反応について扱う。 EAEC 英語を専門とする欧米人講師(大学教員等)による実践的科学英語の少人数授業。 3Sセメスター 有機化学実験 有機化合物の基本的な合成反応、精製法、定性分析の実習を行う。 研究倫理 科学的研究の在り方や現在の問題について議論し、再現性のための工夫や不正の定義、政府と研究機関の関係及び法律及び諸規則などについて扱う。 有機化学2(構造論) MO(分子軌道)、有機金属、spectroscopy、ケモインフォマティクスを扱う。 量子化学2 原子・元素の電気学的構造への基本的理解を元に、特に電子系の記述方法と化学結合の概念について扱う。 固体化学 固体の性質を正しく理解することを目指し、特に、電子の振る舞いの基本的な記述法と、導電性や磁性、光学特性、イオン伝導特性などとの関連について扱う。 有機化学3(反応論) 金属錯体の合成、立体・電子構造、物性について扱う。また、目的に合った分子機能を持たせるためにはどのような分子設計が必要かに焦点をあてた解説を行う。 3Aセメスター 物理化学実験 物理化学の基礎的事項に関する実験を行い、各種測定法、実験データ解析法を学ぶ。また計算機プログラムも実習で扱う。 化学反応学 気相、液相および表面上の化学反応について、巨視的な反応速度論から分子の衝突に基づく微視的な反応ダイナミクスへ至る基本的な概念について扱う。 分析化学2(各論) 分析化学の原理を物理学的・化学的視点で見た姿、またこれらの原理が実際の分析および関連分野、特に生命科学と環境科学でどのように適用されているかを扱う。 地球化学 元素の合成から、太陽系の形成、地球の進化を化学の視点から解説し、現在の地球で起こる諸現象、環境変化などについても取り扱う。 有機化学4(合成) 有機反応化学、有機合成化学、有機金属化学、立体化学の基礎について扱う。 量子化学3 原子の物理学的性質、時間依存現象、分子の対称性について扱う。 4Sセメスター 化学特別実験 物理化学・有機化学・無機分析化学の卒業研究実験を行う。 無機分析化学演習 無機化学、分析化学、固体化学、地球化学に関する演習を行い、例えば金属錯体を用いた分子認識DNAシーケンシング法の発明と原理、遷移金属錯体を用いた触媒反応などを扱う。 有機化学特論1 有機反応化学、有機合成化学、有機金属化学の分野の最新のトピックスについて扱う。 無機分析化学特論 無機化学、分析化学、固体化学、地球化学の最近の進歩とその基礎理論について、10名の講師がオムニバス形式で、毎回異なるテーマを扱う。 物理化学特論2 通常の学部の講義では扱われにくい現在の物理化学のトピックスについて、物理化学系教員がそれぞれの各分野の先端研究を扱う。 先端X線分光による原子層の化学と物理の研究、波動関数理論と密度行列汎関数理論などがキーワード。 主な研究室紹介 中村研 キーワード:物理有機化学・合成化学 主な研究内容: 原子分解能電子顕微鏡を用いた有機化学の新研究領域の開拓 有機合成 有機太陽電池の開発を通した「健やかな生活」や「資源問題やエネルギー問題」への貢献 研究室HP:https://moltech.jp/ja/ 合田研 キーワード:光量子科学、レーザー分光学、バイオイメージング、物理化学、生体医工学 主な研究内容: 光量子科学を基盤とする分子イメージング法や分子分光法にマイクロ流体化学と計算科学を融合する取り組み バイオ医薬品、再生医療への応用 研究室HP:http://www.goda.chem.s.u-tokyo.ac.jp/index_jp.html 大越研 キーワード:物理化学、物性化学 主な研究内容: 金属錯体磁性体の理論的設計および合成 磁気電気効果の観察、表面磁性の観察 研究室HP:http://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/users/ssphys/index.html 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 授業や学生実験でほぼ全ての分野に触れるため、自分がどの分野を好きなのかが見つけやすい。理学的な基礎研究から社会への応用を考えた研究まで幅広く行われているため、自分の興味にあった内容の研究室を選ぶことができる。 理学部:生物化学科 概要 理学部には「生物学科」「生物化学科」「生物情報科学科」と、生物系の学科が3つあるが、生物化学科は特に「代謝・神経・遺伝」等について、分子レベルから解析するような授業が多い。分子生物学を中心に学びながらも進化学・細胞物理学・医学・生理学など幅広い分野を専門とする先生方から授業を受けられる。授業中に研究紹介を兼ねた話を聞くこともしばしばある。生化に所属しながら生物学科や生物情報科学科の授業を取る人も多く、特に生物情報科学科とは合同で必修の実験を行うこともあるなど学科間の垣根が比較的低いのが理学部生物系の特徴の一つ。 卒業したあとはほぼ全員が院に進学し、就職する人は数年に1名ほど。多くの学生は研究室内で持ち上がり、2割程度は他学部他学科の研究室へ、そして若干名が海外大学院に進学する。 基本情報 定員 20名 要求科目<文科各類> 「基礎実験Ⅰ~Ⅲ」(計3単位)または「基礎物理学実験、基礎化学実験、基礎生命科学実験」(計3単位) 「数理科学基礎、微分積分学①・②、線形代数学①・②」(計8単位) 「力学、電磁気学、熱力学または化学熱力学、構造化学、物性化学」から4科目(8単位) 「生命科学、生命科学Ⅰ、生命科学Ⅱ」から1科目(2単位または1単位) 要望科目 総合Eの【物質科学】や【生命科学】(特に「分子生命科学、現代生物学、生物情報科学」)、また総合Fの【統計学】に該当する科目 カリキュラム紹介 2Aセメスター 生物化学概論Ⅰ 分子生物学の基礎を、研究紹介も交えながら扱う。 生物化学概論Ⅱ 同上 3Sセメスター 生物化学実験法 生命科学実験を行うにあたっての注意点や、各研究室の実験方法の概論を扱う。 生物化学実験Ⅰ タンパク質精製やDNA抽出、酵素反応の速度測定など、生化学・分子生物学などの基本的な実験技術の修得を目指した実習を扱う。 3Aセメスター 生物化学実験II 大腸菌、ショウジョウバエ、線虫、ゼブラフィッシュ、マウスなど様々なモデル生物を用いて、分子レベルから個体レベルにわたる最先端の研究手法を扱う。 4Sセメスター 生物化学特別実験I 各研究室に配属され、各自が最先端の研究テーマについて研究を行う。 主な研究室紹介 塩見研 キーワード:miRNA・遺伝学・生殖科学 主な研究内容 恒常的小分子RNAによる遺伝子発現制御機構 生殖組織小分子RNAの生合成機構 生殖組織小分子RNAによるトランスポゾン抑制機構 研究室HP:http://www-siomilab.biochem.s.u-tokyo.ac.jp/ 濡木研 キーワード:構造生物学・構造解析・タンパク質科学 主な研究内容 RNAに制御される遺伝情報の発現 \ (RNAサイレンシング,Genome editing) 膜タンパク質による膜を越えた物質およびタンパク質の輸送や感覚受容 新規抗がん剤設計に向けたがん化やがん転移の機構解明 研究室HP:http://www.nurekilab.net/ 飯野研 キーワード:神経科学・線虫・行動制御 主な研究内容 神経系の情報処理と行動制御の機構の研究 フェロモンによる個体間相互作用と種内・種間多様性 研究室HP:http://molecular-ethology.bs.s.u-tokyo.ac.jp/labHP/J/JTop.html 上村研 キーワード:一分子解析・イメージング 主な研究内容 分子可視化技術によるRNA機能の解明 1分子計測技術による1細胞内RNA網羅解析 1細胞イメージング技術による細胞機能の解明 研究室HP:http://www.biochem.s.u-tokyo.ac.jp/uemura-lab/ 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 化学というより、純粋な分子生物学を扱う授業がほとんどです。DNA、神経、代謝といった言葉に惹かれる人であれば楽しんで学べる場所だと思います。基本先生は自分の専門分野をもとに授業を展開するので、研究紹介と授業内容が結びついているケースがほとんどです。 薬学部 概要 薬学部は、薬学を中心に、医学・生命科学・化学・物理学について幅広く扱う学部である。 もともと医学部の一学科であったが、近年独立したため医学部とも歴史上は距離が近い。しかし研究内容としては医学系のものだけでなく上記分野についての基礎研究も幅広く行なっており、人体や健康とも関わりつつ、より理工学的な研究ができるのが特徴である。 一般に、「薬学部=薬剤師を養成する6年制の学部」というイメージが強いと思われるが、それは薬学部の内の薬学科である。(学部内は6年制の薬学科と4年制の薬科学科に分かれており、薬科学科は、薬科学研究者を養成するため、大学院への進学を前提としたカリキュラムが組まれている4年制の学科で、2006年入学者より設置されたコースである。)募集要項は8人程度とされていて、多い時は12人程まで増える。逆に言えば、薬剤師になる人間として学部内で医療に触れたいのであれば、85名の定員のうち、8人に入る必要がある。 3年の11月に面接があり、3年の1月から学科別に分かれるため、進振りの段階でこの8人は決定しない。つまり、進振りで「医療に触れる道に進める」という保証はされないということになる。 しかし、4年制の薬科学科に進んでも、病院との共同研究をおこなっている研究室も存在するため、薬学部は化学の視点から医学の分野にアプローチしたい人に向いていると考えられる。 基本情報 定員 計85名 要求/要望科目 要求科目 文科各類 基礎科目(基礎実験)「物性化学、熱力学または化学熱力学、生命科学または生命科学Ⅰ」から2科目 要望科目 総合E「化学薬学概論、生物薬学概論、有機反応化学」 公式HP https://www.f.u-tokyo.ac.jp カリキュラム紹介 4年制の薬科学科と6年制の薬学科では卒業要件が異なる。 そのため、ここでは学部のシラバスに則り以下のような表記をする。 ④:薬科学科の必修 4:薬科学科の選択 ⑥:薬学科の必修 6:薬学科の選択 *:指定なし(履修できるが修得単位は卒業要件の単位とはならない) 2A1ターム 有機化学Ⅰ・有機化学Ⅱ ④⑥ Ⅰでは有機化合物の構造と反応の基礎について学ぶ。官能基、アルカン、アルケン、アルキン、酸化・還元、有機化合物の構造に対する命名法を扱う。また、Ⅱでは、構造と結合、酸と塩基、有機反応の理解、ハロゲン化アルキルと求核置換反応・脱離反応、アルコール、エーテル、エポキシドを扱う。 物理化学Ⅰ・物理化学Ⅱ④⑥ Ⅰでは量子力学の基本概念とその応用および電磁波と原子・分子の相互作用に関して、実例を交えた説明を受けて、原子構造、分子構造および化学結合を学ぶ。 放射化学 ④⑥ 伝子操作・解析をはじめとする先端研究における放射性同位元素利用、核医学診断やインビトロ検査のための放射性医薬品、最新の放射線治療、放射線の種々な利用など、薬学・医学・生物学分野等で広範囲に使用される放射性同位元素と放射線について、その基礎と応用、放射線の生物影響等を学ぶ。 分析化学Ⅰ ④⑥ 化学物質の分析に用いる器具の使用法と得られる測定値の取り扱い、溶液中の化学平衡、化学物質の定性分析および定量分析、機器を用いる分析法について学ぶ。 2A2ターム 有機化学Ⅲ・有機化学Ⅳ ④⑥ Ⅰでは化学物質の代表的な反応、分離法、構造決定法などを扱い、有機合成法を学ぶ。Ⅳでは、 カルボニルやアミンの反応、合成法について学ぶ。 分析化学Ⅱ ④⑥ 試料中に存在する物質の種類および濃度を正確に知るべく、各種の分析法について学ぶ。 薬理学Ⅰ④⑥ 薬の作用の基本的な概念と、自律神経系(運動神経など)・循環系(高血圧など)に作用する薬について学ぶ。。 これらの講義から、キーワードは、用量作用関係、アゴニストとアンタゴニスト、、薬物受容体、細胞内情報伝達系、薬効、薬物の主作用と副作用など。心臓や血管系における疾患についても説明を受ける。 3S1ターム 薬理学Ⅱ ④⑥ 中枢神経系疾患(パーキンソン病・認知症など)の病因や病態、代表的な治療薬と薬理作用、さらにはその副作用などを学ぶ。 薬学実習Ⅰ ④⑥ 有機化合物の合成法や精製法、分析法などを学ぶ。有機化学実験の基本操作や基本的知識についても実際に手を動かしつつ説明を受ける。 3S2ターム 有機化学Ⅴ・有機化学Ⅵ ④⑥ Ⅴでは様々な天然物(糖類やビタミン、アルカロイドなど)の構造、分類、生体機能、生合成などを学び、Ⅵでは薬物代謝と高分子化学を扱う。 薬学実習Ⅱ ④⑥ 生物有機化学基礎実験として以下のものを行う。 天然有機化合物の抽出、単離、同定および生合成解析 吸光法と蛍光法、高速液体クロマトグラフィー、蛍光顕微鏡の理解 酵素反応速度論、蛍光プローブ、薬物代謝反応と酵素誘導の理解 薬用植物園見学 薬学実習Ⅲ ④⑥ ①物理化学的手法を用いて、タンパク質の分子量やコンフォメーションを解析する。二次元NMRスペクトルに基づいて、タンパク質―タンパク質間の相互作用様式を解析する。分子動力学計算により、ペプチドの立体構造と生理活性との相関(構造活性相関)についての考察を行う。 ②生体高分子であるタンパク質の結晶を調製し、その三次元構造解析をX線回折法により行う。 ③ラットを用いて、トランスポーターを介した薬物の肝胆系輸送における薬物間相互作用を解析する。薬物間相互作用試験データに基づく評価、体内動態パラメーターの変動が医薬品体内動態に与える影響の定量的予測とともに、シミュレーションにより確認を行う。 これらの実習から、物理化学的手法、薬物動態解析法に関する基本的知識と技能を修得する。更にタンパク質や核酸の立体構造の成り立ち、タンパク質とリガンドとの分子間相互作用、動態パラメータと体内動態との関係について理解を深める。 3A1ターム 医薬化学Ⅰ・医薬化学Ⅱ ④6 Ⅰで逆合成解析を中心として有機合成戦略の方法論を学び、生体関連反応及びその解析法・設計法について講義を受け、Ⅱで医薬品として使われる天然物や合成医薬品について、その生体分子との相互作用や生合成反応について学ぶことで、生体と薬品の作用について理解を深める。 ※3A1の薬学実習Ⅳは両学科ともに必修だが、生命科学よりの実習が行われる。 3A2ターム 天然物化学 4⑥ 自然界に存在する物質を医薬品として利用するために、天然由来の化合物の起源や成分、構造および生合成的分類について学ぶ。植物バイオテクノロジーも扱う。 医薬化学Ⅲ ④* ケミカルバイオロジーを扱う授業である。キーワードは、有機反応化学、生体関連反応、生理活性物質、高機能性分子など。ケミカルバイオロジー研究を基礎から学習する。 ※3A2の薬学実習Ⅴは生命科学よりの実習が行われる。 4Sセメスター以降 特になし ※4年制の場合卒業実習、6年制の場合国家試験の勉強がメインとなる。 主な研究室紹介 薬学部で学ぶイメージのあるような有機化学を扱う研究室が「有機化学系教室」である。ここでは6つある内の3つを紹介する。それ以降については、他にも薬学部には幅広く化学を扱う研究室があるので、そのうち2つ「物理薬科学教室」と「創薬学教室」を紹介する。 有機薬科学系教室 薬化学教室 キーワード:分子構造、有機構造論、構造化学 主な研究内容 膜タンパク質の機能をコントロールするモデル分子のデザインと合成 生物活性物質の理論的な構造設計と機能予測 水中で安定な螺旋分子の合成 研究室HP:https://yakka.f.u-tokyo.ac.jp/ 天然物合成化学教室 キーワード:高機能天然物、有機合成化学 主な研究内容 巨大ペプチド系天然物の合成 極性官能基密集型天然物の合成 抗菌分子の合成・機能研究 研究室HP:https://inoue.f.u-tokyo.ac.jp/ 天然物化学教室 キーワード:天然物生合成、二次代謝酵素、低分子化合物 主な研究内容 生物活性物質の探索と単離構造決定 天然物の生合成(ゲノムマイニング・生合成工学・合成生物学) 研究室HP:https://tennen.f.u-tokyo.ac.jp/head.htm 物理薬科学 生体分析化学教室 キーワード:生体分子、細胞、分析化学 主な研究内容 生体分子機械の動作原理の解明 1分子検出顕微鏡による細胞機能解析 マイクロ・ナノデバイスによる分析科学技術の開発 研究室HP:https://bunseki.f.u-tokyo.ac.jp/ 創薬学 薬品代謝化学教室 キーワード:ケミカルツール、分子設計、医薬連携研究 主な研究内容 微小がんの術中迅速可視化・治療を実現する光機能性プローブの開発 動物体内での病態可視化・動的制御を実現する光機能性プローブ・MRIプローブの開発 蛍光プローブを活用した創薬及び創薬標的の探索に関する研究 研究室HP:https://taisha.f.u-tokyo.ac.jp/ 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 生物と有機化学の両方を学べる。元々有機化学に興味があったが生物系の研究室を選択する、あるいはその逆の学生も見られる。また、医療や製薬のスペシャリストの方々の話が聞ける講義も1ターム1コマ程度ある。 3年次は年間を通して実習が行われ、有機化学・生物ともに基本的な実験の手法が学べる。研究室や授業のコマ数としては生物系の方が有機化学系より少し多い。 ※教養学部 統合自然科学科 物質基礎科学コースでも化学を学ぶことができる。詳しくは、物理のジャンルを参照のこと。