東大前期課程で開講されているTLP(トライリンガル・プログラム)、「ちょっと興味あるけど、TLPの情報が全くなくて決めかねている...」「TLPって具体的に何をするんだろう?」と思っている人は多いのではないでしょうか?
そこで、UT-BASEは知られざるTLPの全貌をまとめた記事を作成しました!記事に掲載されている情報は全てTLP履修生または修了生の経験談に基づいています。ぜひ、皆さんの後悔のない選択にお役立てください!
この記事は2020年度の情報に基づいて作成しています。年度によって制度が一部変更される可能性がありますのでご注意ください。
履修までの流れ(2020年度の場合)
3月第2週ごろ 合格手続き:TLP履修申請
3月第3週ごろ TLP履修許可通知:インターネット上で学生の個人アカウントであるUTokyo Accountが公開され、それと同時にTLP履修の可否が通知される。
4月第1週ごろ TLP担当教員から履修すべき科目などについてメールで通知が来る
4月第2週ごろ TLP科目開講
4月第4週ごろ 履修登録(TLP科目でも履修登録が必要)
クラスについて
2020年度の場合、1Sセメスター(1年生前期)時点でのTLP生は18-19人、1Aセメスター(1年生後期)時点では12人(男女比は半々くらい)だった。TLP生は各々、TLP生と非TLP生から成るクラスに所属する。基本的にはこのクラスで授業を受けるが、TLP生向けに開講される科目のみ、他クラスのTLP生と一緒に受講する。
TLP生の授業の受け方は以下のようになっている。
フランス語一列・二列【S:週2コマ, A:週1コマ】…自分のクラスで受講
フランス語初級(演習)【週1コマ】…TLP生と受講
フランス語初級(インテンシヴ)【週2コマ】…TLP生と受講
TLP生の雰囲気
2020年度はTLPの授業は全てオンラインで行われている。授業後に雑談できる時間を先生が設けてくれており、そこに一部の学生が参加している。オンラインという環境的要因もあり、今年度はTLP生の一部は仲良くなっている反面、その他の学生はあまり交流がない状態になっている。
コロナ禍の影響で、食事会をすることはあまりなかった。一方で、フランス語で話す機会を作ろうと、フランス語で雑談をする朝活を夏休み中に2週間毎日実施した。
理系でTLPを継続している人には、フランスに留学したい・フランスに行きたい・フランス語を話せるようになりたいという高い意欲を持った学生が多い。
海外在住経験のある学生は4割程度。フランス語TLP受講のために必要な入学試験の英語の点数が他の言語よりも高いことから、英語に強い人が多い。
授業・履修について
履修するコマ・時間割
TLP生が受講するフランス語の授業は以下の3種類存在する。
①(基礎科目・必修)フランス語一列・二列【1S:週2コマ,1 A:週1コマ,2S:なし】…自分のクラスで受講
②(総合科目L系列・必修)フランス語初級(演習)/フランス語中級(演習)【週1コマ】…TLP生と受講
③(総合科目L系列)フランス語初級(インテンシヴ)/フランス語中級(インテンシヴ)【週2コマ】…TLP生と受講
フランス語初級及び中級に関しては、1年生=初級、2年生=中級を受講するように定められている。いわゆる「TLP科目」と呼ばれる②③の授業に関しては、文系用と理系用のコマが別々に開講されており、1SセメスターではTLPの担当教員からメールで履修するコマを指定された。②③の科目については自分で履修登録を行う必要がある。
他の科目との兼ね合いから、文系が理系用のコマを履修したり、理系が文系用のコマを履修することも可能。
1年生のSセメスターは週5コマ、Aセメスターは週4コマ、2年生のSセメスターは週3コマ、フランス語の授業を受けることになる。なお、1コマは105分である。
TLP科目の内容・難易度
TLP科目の「フランス語初級(演習)」(以下、「演習」)は日本人の教員が、「フランス語初級(インテンシヴ)」(以下、「インテンシヴ」)はネイティブの教員が担当する。(年度によって変わる可能性あり)授業は原則フランス語で行われる。しかし、インテンシヴ担当の教員は日本語を話すことができるため、理解できなかった部分などは日本語で質問することもできる。
演習・インテンシヴ共に同じ教科書を使用し、両科目が1つの講義のようにそれぞれの続きを進めていく。授業では会話やリスニングを中心に扱い、TLP生同士でフランス語会話を行う。短いパッセージの読解も行うが、その後の質疑応答に重点が置かれる。また、課題でライティングを行うこともある。
成績・試験について
成績は出席・小テスト・期末試験で評価される。
小テストはセメスターで2回行われ、リスニングと作文の能力を問う内容になっている。
期末試験は筆記試験1回・口頭試験1回で構成されている。筆記試験では作文2つが課され、口頭試験ではTLP生同士でペアを組んで会話を行い、それを教員が見て評価を行う。
勉強面の負担について
TLPでは課題の負担はそれほど重くはなく、毎回の課題も10分くらいで終わるものになっている。また、授業が充実しているため、集中して授業を受けるだけでもそれなりの能力が身につく。ただし、理系は言語以外の必修科目が多く、それに加えてTLP科目も受講しなければならないので、人によっては授業の負担が重いと感じるかもしれない。
継続及び編入について
継続条件
理系フランス語TLPを継続するには、各セメスターで以下の条件を満たしている必要がある。
・フランス語の科目で「優」以上(もしくはフランス語検定で一定の成績を収める)
・英語一列の成績がG1(≒=上位1割)(もしくはiELTS7.0以上 TOEFLiBT100以上)
編入条件
定員に空きがあれば、1Aセメスター・2SセメスターでTLPに編入することができる。編入のためには以下の条件を満たしている必要がある。
・英語一列の成績がG1(≒上位1割)もしくはIELTS7.0以上・TOEFLiBT100以上
・フランス語一列・二列・(文系の場合は)フランス語初級(演習)の成績が全て「優」以上
上記の要件を満たした上で、編入のための口述試験に通ればTLP編入が認められる。
継続する人・編入する人の割合
理系フランス語TLPの場合、1Aセメスターからの編入は1人。1Sセメスターでフランス語一列・二列の授業しか受けていなかったTLP生にとっては、その後の授業についていくことが難しいことが予想される。もしTLP編入を考えているならば、よりフランス語の力が身につくインテンシヴを履修しておいた方がいい。
一方、1Sセメスター中にTLPを離脱した(=途中から授業に来なくなった)のは2人で、それを含めて1S終了時でTLPの受講をやめた人は7人いた。
メリット・デメリット
メリット
・フランス語の習得
必修では文法しか勉強しないので会話レベルにまで到達することは難しいが、TLPでは授業中で会話を頻繁に行い、1セメスター受講しただけでもyoutubeにある簡単なフランス語の動画なら理解できるようになる。
・双方向性の高い授業
授業の中で会話がたくさんできるので、オンラインという環境の中でも双方向性がかなり高い。
・フランス語研修
後述するフランス語研修に無料または費用補助を受けて参加することができる。
・週に1度、フランス語ネイティブの教員とTLP生+TLP修了生+インテンシヴ受講生でフランス語で話をしながらランチを食べる会がある。
デメリット
・進度の速さ
授業の進度が早く、かつ1週間に受講すべきコマ数が多いので、一度授業を休むとついていけなくなる。
・他の科目との両立の難しさ
特に理系の場合は他の必修が多く、その上でTLP科目を履修しなければいけないので、他の科目と両立することが難しいかもしれない。
・履修の自由度が下がる
総合科目がたくさん開講される曜限(ある授業が開講される特定の曜日と時限のこと)とTLP科目が開講される曜限が重なることが多いので、履修したい総合科目を取れないケースが発生する。
海外研修・その他
海外研修
TLPでは1年生の春休みまたは2年生の夏休みにフランスで研修を行う。2016年度はリヨンとパリ、2017年度はパリとブリュッセル、2018年度はアンジェで研修を行った。
海外研修
・2016年夏季研修@リヨン・パリ
・2017年夏季研修@パリ・ブリ/
・2018・2022年夏季研修 アンジェ
なお滞在期間は2-3週間程度であり、渡航費・参加費については補助を受けることができるため一般的な旅行よりも格安で参加することができる。
参加者は帰国後に旅行記のような形でレポートを作成する。これはフランス語・イタリア語部会のHPに掲載される。
2022年度TLPフランス語夏季研修(アンジェ)報告
その他
TLP受講者はフランス語検定試験の費用補助を受けることができる。
内部の本音
使えるフランス語を身につけたいならTLPを受けるべきだと思います。必修だけだとリーディングはできるようになりますが、その他の技能を身につけるのは難しいかもしれません。フランス語を話したい・聞きたい・フランスに行って使いたい、という人にはTLPをお勧めできます。
また、TLP残留要件の1つである英語一列の勉強をサボるとTLPの継続が難しくなるので、英語の勉強も怠らずにやることをお勧めします。