「東大関連スタートアップでインターン!? 」#2・DataLabs

「東大関連スタートアップでインターン!?」は、東京大学の完全子会社のベンチャーキャピタルである東大IPCと、東大の学生メディアUT-BASEが連携して執筆する連載記事です。
東大関連スタートアップでインターンをする現役学生と、その企業の創業者やCEOの方などをゲストにお迎えし、どんな思いでどんなお仕事をされているのかを率直にお聞きして記事にしました。
この記事を読んでくださっている皆さんに「スタートアップで働くこと」の魅力が伝われば幸いです。どうしてこのような記事を執筆することになったかについてはこのシリーズの第0弾の記事をこちらからお読みください!

※広報等を含め、当企画において、UT-BASE及び東大IPCはあらゆる機関から一切の金銭その他の報酬を受け取っておりません。事実に基づき客観的に記事執筆を行っていますが、事実誤認等がありましたら早急にお知らせください。

はじめに

この記事を読む方の多くは学部生だと思います。皆さんにとっては少し先(もしくは想定していないかもしれません)の話になりますが、今回インタビューを行ったインターン生は「博士課程」2年の李さん。
今回のインタビューを通じて感じたのは、「研究を実装できる場」としても、エンジニアインターンは価値ある経験だということ。こうしたインターンなら、研究にもプラスになる経験を積むことができるかもしれません。
CTOの佐藤さんもアカデミアに長くいらっしゃった方なので、博士課程に行くかもしれない方にはぜひお読み頂けると幸いです。

目次

    ⓪基本情報

    CTO:佐藤さん


    広島県尾道市出身。酒とバッティングセンターとハイキングが趣味。 京都大学で物理の博士号を取得後、海外で5年間ポスドクとして研究に従事。 その後、東大数学発AIベンチャーで研究開発・受託開発(分野は画像認識・3Dデータ処理・機械学習・ロボティクス)を行い、2020年4月より同社のCTOに就任。採用・エンジニアリングのプロセス改善などの全社的な活動も行った。 2022年4月にCTOとしてDataLabs株式会社に参画。

     

    学生インターン:李さん


    中国生まれ。3歳から東京で生活。好きな食べ物は寿司と餃子。中高はバスケ部だったが、基本的にはインドア派。東京理科大学建築学科を卒業後、東京大学大学院に進学。現在博士課程2年。修士課程の時から日本最古の鉄筋コンクリートドーム等の三次元測量を経験。現在は、ドーム建築等の点群データの解析手法の開発を研究テーマとしている。2022年6月にインターン生としてDataLabs株式会社に参画。

     

    取材先:株式会社DataLabs


    建設業界のDX化に向け、三次元点群データの計測から、三次元モデリング及び、熱流体や気流、構造物の応力解析等の各種シュミレーションまでを一気通貫で提供している。特に、点群データの自動三次元モデリング(BIM/CIM等)及び、各種シミュレーション(CAE解析)機能はSaaSプラットフォームで展開予定。高額な初期投資なしで、誰でも簡単に利用できる仕様です。開発に当たっては、東京大学をはじめとする各種研究機関や三次元データの利活用に長けた企業と連携している。

     

    募集職種:エンジニア・ビジネス
    表記:CTOの佐藤さん -(S)・インターンの李さん -(R)

    ①どんなスタートアップ?

    ーーーはじめまして。佐藤さん、李さん、今日は宜しくお願いします。スタートアップで仕事をする経験がどのようなものかをじっくりお聞きできればと思います。早速なのですが、まずはDataLabsさんがどんな会社なのか簡単に教えてください!

    (S)DataLabsのミッションをお読み頂くとわかるように、私たちは、「土木建築業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進するテック系ベンチャー」です。具体的には、「3D点群」という生のデータを、実際の建築に利活用しやすい3Dモデルである「3D CADモデル」(※編集部注:Computer-Aided Designの略。設計などを行う際に用いる。現実世界をモデル化し、シミュレーション等を行う、仮想空間上のデータのこと)に落とし込むWEBサービスを開発しています。

    ーーーなるほど。3Dモデルを作成するサービスは他にもあるかと思いますが、DataLabsさんの特徴はどんなところにありますか?

    (S)既存の3Dモデル化のソフトウェアは300万円程度もお金がかかりますし、一度買ったものをそのまま使い続けるという「買い切り」型になっているんです。土木建築に従事する企業は基本的に中小企業なのですが、初期投資の高さがハードルとなり、こうしたソフトウェアを活用するのは難しい状況です。
    また、これに加え、業務用のソフトということもあり、UI/UX(※編集部注:ユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンスの略)があまり良くないのも問題点といえるかもしれません。
    そこで、私たちはこうしたソフトウェアを「SaaS(Software as a Service)型」・「サブスクリプション制」で販売することを目指しています。そうすれば、顧客の皆さんの初期費用は安く済みますし、使ってみて「違うな」と思ったら解約することもできます。
    また、「サブスクリプション制」だからこそ、顧客を維持するインセンティブが働き、私たち開発側としてもUI/UXの改善に重きを置くこととなると思います。これらがDataLabsの独自性かなと思います。

    ーーー李さんからは何か補足等はありますか?

    (R)そうですね、日本の建築分野はデジタルという観点からみるとまだまだ発展途上だなと感じます。少子高齢化が進んでいる現実も踏まえると、DataLabsのようなビジネスモデルは今後伸びていくんじゃないなと思います。

    ②CEOと学生インターン、それぞれのやりがいとは…?

    ーーーありがとうございます。続いて、お二人のお仕事の内容ややりがいについてお聞きしていきたいと思います。まずは佐藤さんにお伺いします。普段、佐藤さんはどんなお仕事をされているのでしょうか。

    (S)大きく分けて組織管理・マネジメントに関わるものと、研究開発に関わるものに分かれています。研究開発を行うチームの組織構成を考えたり、会社全体のスケジュール調整や採用活動を行ったりというのが前者の組織管理・マネジメントにあたります。後者の研究開発はまさに「手を動かす」という感じで、3D点群から建築物などの形状を抽出してモデル化する研究に携わっています。

    ーーーありがとうございます。李さんはいかがでしょうか。

    (R)はい、私は「点群解析に関する研究開発」を行っています。

    ーーーそれは具体的にはどのようなお仕事なのでしょうか。

    (R)主に、「数学」と「プログラミング」の二つに分けられるかと思います。例えば、点群は単なる三次元座標の集まりですので、実際に活用するためには点群から建設現場で必要な土量などの数値を自動的に計算する必要があります。その方法を自分たちで考えるのが「数学」で、そこから実際のコードに落とし込むのが、「プログラミング」だと思います。特にプログラミングは、建築学科では習わなかったので大変勉強になっています。

    ーーーご丁寧にありがとうございました。さて、ここまでは基本的なことをお伺いしてきましたが、次にお二人がどんなやりがいを感じてお仕事をされているかをお聞きできたらと思います。

    (S)建築業界の会社さんはさまざまな課題を抱えていて、このままだと苦しいことは皆さん分かってらっしゃるんですよね。そこで、弊社のビジネスサイドの人間が、現場の人から課題を聞いてニーズを持ち帰ってきます。そして、私たちエンジニアが、そうした課題の解決に向けて、インターン生や共同研究を行っている精密工学科の先生とも相談しながら、知恵を絞ります。技術的にとても難しいことなので日々試行錯誤していますが(笑)。こうしたことからもわかるように、プロダクトを世に出すまでの全ての工程を見ることができるというのは大きな魅力ですし、楽しいと思う部分です。

    (R)私は建築学科に在籍しているのですが、私の研究で扱う「点群データ」については、なかなか研究している人が周りにいません。もしかしたら精密工学科などには多いのかもしれませんが、インターンを通じてそうした勉強ができるのはとてもありがたいですね。そして研究テーマと近いことを、社会実装として行っているのもやりがいの一つです。自分の研究を、技術や開発に活かすことができる喜びは、論文を書いて知識を社会に還元することで得られる喜びとはまた違うものがあります。

    ーーー具体的にはどういう時に一番やりがいを感じますか?

    (R)開発をする中で見つけた問題点を、直接CTOに提案し、それが成果としてプロダクトに反映される時ですかね。自分が書いたコードが、実際にリリースされる製品に使われるのは本当に嬉しいです。学生インターンも「即戦力」として仕事を任せてもらうスタートアップだからこそのやりがいだと思います。以前、大手企業でインターンをしていた経験もありますが、「自分で考えたものがアウトプットになる」ということはあまりなかったように思います。

    ーーー確かに、スタートアップならではという感じがしますね!ありがとうございます。

    ③インターン生の「ホンネ」

    ーーーここからは李さんがインターンを経験される中で感じられたことを主にお聞きしていきます。まずお聞きしたいのは労働環境についてです。スタートアップは少し「厳しい」「育ててもらえない」イメージもありますが、DataLabsで働く環境についてはどう思われますか?

    (R)自分が任された仕事をきちんとこなすのが基本ではありますが、わからないことについて質問したり相談したりすることは簡単にできます。書いたコードへのフィードバックをもらえたり、相談に乗って頂けたりと、エンジニアとしても大変優秀な佐藤さんの直下で働けることのありがたさをすごく感じますね。大学の研究室では、教授や准教授と頻繁に話すことはできないので、DataLabsはとても恵まれた環境だなと思います。

    (S)先ほどの話ともつながりますが、李さんが書いたコードも、実際に製品になるのでかなり厳しく見ているんです。もちろん、怒鳴ることなどはないですが(笑)。
    研究開発の要素が強い会社では、雑談ベースでもいいのでまずは「意見を交換する」ことが大事なんです。Slackのハドルミーティング(※編集部注:有料版のSlackで使うことができる音声でのミーティングの機能)などを使って「話しませんか?」などとラフにやり取りしていますよ。

    ーーー佐藤さんも別の職場でのご経験が豊富ですよね。DataLabsが他の職場と異なるユニークな点はどういったところですか?

    (S)前職ではAIを扱うスタートアップに務めていましたが、そこでは受託開発がメインでした。つまり、実際に困っているお客さんが既におり、そのクライアントの依頼や希望に合わせてアウトプットを提供するわけです。ただその場合だと、1つの技術領域や1つの業界を突き詰めることにはならず、幅広いクライアントに対して、幅広いアウトプットを提供することになります。
    その一方で、DataLabsは、ミッションが明確に固まっていますし、実際に自社製品を開発していくことでミッションの達成を目指しています。毎日の一つ一つの業務でさえも、そうしたストーリーへとつながっているため、1つの領域・業界に関わる技術を日々「積み上げ」ていくことができます。

    (R)私が感じるのは、スタートアップならではの風通しの良さですね。社員の平均年齢も低いですし、代表の方とも顔を合わせる機会が多いんです。良い意味で「ちゃんとしなくていい」環境、アットホームな雰囲気があり、とても働きやすいです。僕から佐藤さんに1つお聞きしたいことがあるので聞いてもいいですか(笑)。

    ーーーもちろんです!

    (R)私は博士課程に在籍しており研究も忙しいのですが、インターンもしていますし、卓越大学院プログラム(※)の授業も受けないといけません。でもそんな私よりも佐藤さんの方が忙しそうに思えます(笑)。普段どんな生活をしてらっしゃるんですか?

    ーーー確かにスタートアップのエンジニアは忙しそうですね。

    (S)博士課程の時の方が一番忙しかった気がしますね(笑)。研究で結果を出さないといけないですし、毎日頭を使わないといけなくて大変でした。それに対して、前職(※編集部注:AIを扱うスタートアップでのCTO)はマネジメント業務で忙しかったですね。
    リモートワークのおかげもありますが、今はそうした時から比べるとあまり忙しくはないですね。朝8時くらいから仕事を始めて、夕方になると家族が買ったSwitchのリングフィットアドベンチャーで遊んだり、バッティングセンターに通ったりしてますよ(笑)。ベンチャーのCTOだからといって「超働いている」ということもないんです。

    ーーーそれは失礼しました(笑)。

    (S)研究開発の要素が強い業務だと、最終的な質が一番重要です。働き方はその質に影響を与えますから、悪い働き方は避けたいですね。

    ーーーなるほど、ありがとうございます。さて、佐藤さんの方からは李さんに何か質問などありますでしょうか。

    (S)そうですね。DataLabsでインターンをすることで、ご自身の研究にシナジーは生まれましたか?

    (R)すごくシナジーがありました。実は建築学科はあんまりプログラミングを教えてくれないんですよね。基礎的な部分は独学で勉強したんですが、DataLabsのインターンで作業効率を徹底的に鍛えられ、研究する際にもとても役立ちましたよ。

    ーーーちなみに李さんはどんな研究をされているんですか?

    (R)老朽化した大規模な建築物のうち、図面が残されていないものをデジタルアーカイブ(※編集部注:出版物や建築物の図面などをはじめとした文化財をデジタルデータ化したもの)として保存する研究をしています。

    ーーーそうなんですね!歴史的にも価値がありそうな研究ですね。お二人ともありがとうございました。

    ④それぞれの将来の展望を教えてください!

    ーーーそれではお二方の今後のご展望、つまりどんなことにチャレンジしたいかや、どんなことを達成したいかについて教えてください。

    (R)もともとはアカデミアに進むこともかなり考えていましたが、博士課程に在籍しつつインターンを経験するうちに、実務で社会に直接貢献できるのは楽しいと思うようになりました。これから先は日本の建設業界のDXなどに貢献する会社などで働けたらいいなと思っています。

    ーーーちなみに建設業界に関心を持たれたキッカケとかはあるんでしょうか。

    (R)中学生の時に3.11(東日本大震災)があり、建物の安全に関心を持つようになったんですよね。最近の建物は地震には強くなっているなとは思うのですが、今後は老朽化した建物をどのように維持管理していくのかも重要になってくると思います。

    ーーー3.11の影響もあったのですね。ありがとうございます、佐藤さんはいかがですか。

    (S)会社の展望としては、今まさに研究開発しているプロダクトを来年にはリリースして、どんどんその機能を良くしていきたいと思っています。長期的な話では、やはりプロダクトを成功させて会社を上場させることが最大の目標です。

    ⑤学生へのメッセージ

    ーーーお二人ともありがとうございました。最後に、今東大で勉強している学生に向けてメッセージをお願いします。

    (S)自分は学生時代、基礎科学の理論物理を学んでいました。なので、スタートアップについてあまり知る機会がありませんでした。しかし、実際に研究開発型のスタートアップに入ってみると、大学での研究と大きな違いはないことに気づきました。失うものはあまりないと思います。せっかくこれだけ優秀なスタートアップが多い東大だからこそ、インターンに積極的にチャレンジしてみるのが良いのではないでしょうか。東大生の皆さん、お待ちしています!

    (R)まずは飛び込んでみましょう!行動しないと見える景色は変わらないですし、自分のやってみたいことが何かもわかりません。僕もインターンを通じて将来像が変わったので、ぜひ挑戦してみてください。

    ーーーお二人とも本日は貴重なお話をありがとうございました。

    ⑥おわりに

    ここまで記事を読んで頂き、ありがとうございました。DataLabsさん、またはこうした東大関連スタートアップでインターンをしてみたいと思ったそこのあなた!
    こちらのフォームから、東大IPCさんを経由して、DataLabsさんでのインターンへの応募について相談することができます。(募集が終了した際は、相談内容に応じて別のスタートアップでのインターンをご紹介することも可能です。)ぜひ奮ってフォームを出してみてくださいね。

    最後まで記事を読んでくださりありがとうございました!
    最後に2点、この記事を作成したUT-BASEからお伝えしたいことがあります。

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