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JALが主催する、大学生が地方で生きる漁師のもとに飛び込むプログラム。昨年度はJALとポケットマルシェ(現・雨風太陽)が共催。
正式名称 |
青空留学 |
---|---|
公式リンク |
https://wpit-official.themedia.jp/posts/36448432?categoryIds=2840143 |
対象者 |
大学生・大学院生で、後述のオンライン説明会に参加できる者 |
実施期間 |
2022年度: 2022年8月(結果通知後)〜2023年3月頃に約1週間の滞在を3回程度行う。 |
設立日 |
2021年度より実施 |
実施場所 |
以下2か所から選択(山口県美祢市・宮城県東松島市) |
参加方法 |
8/7・8/8・8/9開催のオンライン説明会に参加、参加者に本選考のフォームを送信 |
審査有無 |
昨年度の場合:書類選考(エントリーシート)→面接(オンライン) |
参加費 |
昨年度の目安:現地滞在費5万円程度(航空券代・研修費は補助付) |
ーーこの記事は、青空留学発起人、岩永淳志さんの協力を得て作成したものである。ーー
都市に住う大学生が地方で生きる漁師さんのもとに飛び込み、現場で見聞きし、自らの体で感じたことを通じて商品・サービス開発を行うプログラム。大学と現場を行き来するような「新たな学生像」の創出を目指している。
8月から3月までの期間を用い、学生とJAL職員で農家・漁師の元に1週間程度滞在(これを3回ほど行う)して生活を共にすことで、地域の現状や農家・漁師の生活から生産現場のリアルを学ぶ。(農業・漁業を中心とした一次生産現場の体験。)またそれと同時に、地域での生活を通じて感じた、地域や生産現場の魅力を自分の言葉で世の中に発信し、地域や生産現場の未来を考える。こうして、生産地と消費地を行き来する「都市と地方をかきまぜる」大学生像の創出を目指す。
本プログラムの本分は「都市と地域、生産と消費をかき混ぜる関係性を作ること」だ。その手段として、現地活動や商品開発を採用している。
ただの「第一次産業の体験」で終わらせないために、関係性を創出するための仕組みが3つある。
①「チームの一員」としての滞在
現地活動の際に、地域の施設を見学したり、地域の人の講義を受けるなどの内容はない。お世話になる生産者の方には「酸いも甘いも全部含めて、大学生が弟子入りするものと思ってください」と説明している。「お客様」ではなく、「チームの一員」として1週間現地に滞在する。
②記録を残し、質の高い経験に
1週間現地にいても、「楽しかった」思い出として残り、その後に発展しない例は数多くある。本プログラムの参加者には、JALが提供する機会を最大限活用することを期待している。滞在中に現地で起こる一挙手一投足、感情や気付きを様々な媒体で残す。それらを読み直し、「こんなことができるかもしれない」というアイデアを社会に発信することで、思い出を超えた経験に繋がるだろう。
③一度きりで終わらない関係づくり
この類のプログラムでは「一度行ったきりでそれ以降現地との繋がりがない」という声をよく聞くが、本プログラムでは持続的な繋がりの構築を重視している。
山口県美祢市 村田 誠也さん(農家)
村田さんのインタビュー記事:https://sundemine.jp/shien/shiendantai02/
宮城県東松島市:相澤 太さん(海苔漁師)
相澤さんのYouTube:https://www.youtube.com/watch?v=3wSignENuJM
※参考までに、2021年度の開催地は以下の通り。
秋田県にかほ市 佐藤 栄治郎さん
ポケマル公式ページ
公式Twitter
人口減少ワーストの秋田県の最年少漁師。高校卒業後、大学の野球推薦を断り父親の船に乗るようになる。漁業といっても様々な「漁」があることを伝えるべく、体験漁業を実施している。23歳で父親から船長を引き継ぎ、漁師の仕事は「天職」だと語る。
香川県さぬき市 山本 幸典さん
ポケマル公式ページ
公式Twitter
志度湾で夫婦で漁業を営む。子供の頃から漁師である祖父や父の背中を見て育ち、祖父の死をきっかけに大学を中退して漁師になる。漁師の日常や魚の捌き方を伝えるYoutube「さぬき漁師こうすけ」を開設・運営。
熊本県阿蘇郡高森町 打越 友香さん
ポケマル公式ページ
公式Twitter
奥阿蘇の山奥に位置するかわべ養魚場。そこを切り盛りしている鴛鴦夫婦。10人弱の社員とともに、ヤマメとニジマスを養殖している。コロナ禍で主な出荷先の黒川温泉の需要が減少、熊本水害で養魚場に甚大な被害を受けなたことをきっかけに産直アプリに進出。
○オンライン説明会(参加必須)
2021年度は8/7(日)・8/8(月)・8/9(火)に実施する。
申込フォームはこちら。
①8月7日(日)11:00~12:00
②8月8日(月)20:00~21:00
③8月9日(火)20:00~21:00
参加希望者はオンライン説明会に参加する必要がある。オンライン説明会出席
者に対し、本選考の応募フォームが送付される。
○本エントリー
本エントリーを応募フォームにて申し込む。
※非公式情報
昨年度は本エントリー後に面接選考があった。なお、面接では自分を雄弁に語る必要はないとの声も。応募者がどんな人なのか、どんな理由で応募してくれたのかについて素直に答えてくれることを求めているそう。
2021年 | 7月8日〜10日 | オンライン説明会【どれか参加必須】 |
7月18日(日) | 応募締切 | |
7月19日(月)〜 | 書類選考・必要に応じてオンライン面談 | |
22日(木) | ||
7月23日(金)頃 | 結果通知 | |
8月 | 事前研修(計3回) | |
・参加手続、参加心得 | ||
・生産者との顔合わせ | ||
・フィールドワーク心構えに関する研修 | ||
講師:白佐立先生(東京大学) | ||
8月下旬〜9月中旬 | 現地活動① | |
JAL社員と共に地域に5泊6日以上滞在。 | ||
9月 | デブリーフィング(オンライン予定) | |
現地活動後の振り返り。 | ||
10月〜11月 | 現地活動②・③ | |
学業の間で1泊2日〜2泊3日×2回で、 | ||
地域に滞在(※2)。 | ||
10月中旬 11月中旬 |
中間プレゼン(計2回) | |
アイデアを固め、フィードバックを受け洗練 | ||
ゲスト講師プレゼン(※3) | ||
12月 | 最終プレゼン | |
最終プレゼンにて採用されたアイデアは実際に商品開発へ。 | ||
12月〜3月 | 商品開発→販売 | |
2022年 | 商品開発をチームで行い、完成した商品を実際にポケマル&JALプラットフォーム上で販売する。 |
ここからは、当プログラムの発起人の一員である岩永さんが、実際に熊本県高森町に下見に伺った際の様子を記す。
(あくまでイメージであり、実際の内容や宿泊先とは異なる)
1日目
熊本空港到着後、レンタカーで奥阿蘇を目指す。
高森町は阿蘇山の南東側に位置しているため、行きしなに阿蘇山を横目に眺めることができる。熊本県と大分県を挟んだ山間の道に入る。細い道を進み突き当たりの山の谷間にかわべ養魚場はある。
出迎えてくれたのは、専務を務める村上寛直さんとその奥さんの打越友香さん(勤務中は旧姓で働いている)。お二人はもともと福岡市内で出会い、打越さんはまさか自分が山奥でヤマメやニジマスを育てるとは思わなかったと語っている。
かわべ養魚場は複数拠点がある。本拠には10個以上の水槽があり、ヤマメとニジマスが所狭しと泳いでいる。昨年の熊本豪雨の際に大きくダメージを受けながらも、自分たちで修繕しながら川魚を養殖している。
かわべ養魚場を始めた先代社長の話や、なぜ村上さんが険しい自然環境の中で川魚の養殖業を引き継いだのかを聞きながら、山間に点在する養魚場の施設を回った。
2日目
高橋さんが帰京して、残った岩永さんは実際に大学生が来たことを想定して養魚場のお手伝いをした。
村上さんは、作業を大きく分けると、養魚、発送、加工の3つに分かれると語っていたが、一つひとつ順番にやっていくわけではなく、実態はたくさんの種類の仕事を同時にこなしていく必要がある。
池の様子を確認して、
その日の作業を確認。
池の魚を網で集めて、必要な数の魚を大きさに注意しながら選別する。
魚を掴むのはとても難しく、掴もうとすると逃げてしまう。一緒に作業をした従業員の方に「優しく載せるように」とアドバイスをいただき、2日間かけて少しづつ上達した。
打越さんには「ヤマメの扱いは女の子と一緒です。彼女さんだと思ってデリケートに扱ってください」と言われてしまった苦笑。
体験中の様子(養魚場公式インスタグラム)
選別が終わったら、軽トラックに乗せて発送する。
そして、残った魚たちに餌をやる。
餌をやる様子(動画)
餌をやるのもただ放り投げるだけではなく、難しい。餌が満遍なく散らないとヤマメが食べてくれないので、スナップを聞かせて投げる必要がある。社員さんは丸を描くように広々と広がっていくが、岩永さんご自身は、何度やっても横一直線が精一杯だった。
注文の数は曜日に寄って違うが、突如注文が来てもいいように運送方法なども常に気を使っている。
同時に、産直SNS向けの甘露煮、塩漬け、薫製などの加工品製造もやっている。
岩永さんはニジマスの薫製の真空パックとシール貼りを手伝った。見栄えがいいように切り身を載せるのは打越さんの手仕事だ。
打越さん達の丁寧な仕事っぷらは徹底している。
段ボールに包装材(古新聞紙)を入れ、商品を入れたあとに様々な工夫を凝らす。段ボールに入れる手紙もその一つだ。
今回、包装させていただいたユーザーの方に僕から手紙を書かせていただいた。一人一人に感謝の気持ちを込める打越さん達の姿勢に心を打たれた。
そして、当然広い敷地のため、掃除も一苦労だ。
蜘蛛の巣を叩いたり、池を掃除する。
池の掃除を念入りにするのも養魚場ならではの理由があるが、それは実際に行ってみたときの秘密としたい笑。
高森町の近くに飛び込んでいた大学生も滞在中にやってきた。タンクトップのベンチャー社長と大学生が養殖の池の辺りでフラットに会話。素敵な時間だった。
このように、単純労働と切り捨てるには程遠い漁が行われており、それを間近で体験することができた。
読者の中には、「阿蘇の山奥で生きていく覚悟は自分には無理だな。」とか、「なぜ機械化せずに人の手でやっているのだろう。」などの感想を抱く人がいるかもしれない。
私は、そのような感想を持っている人たちにこそ、あえて行って欲しいと思っている。
この方たちの「生きる姿」は現地でしかわからないのだから。
キャンパスの中では得られない様々な経験を得ることができる。
・生産者との出会い
・都市と地域、生産と消費の隔たり
・「生きている」という実感
・「合理的」「スマート」の逆側にある概念
ただ経験するに止まらず、JAL職員ともチームになり、地域で学んだことをどのように社会に発信するかを検討することができる。
こちらに過年度の参加者の声が掲載されている。
・素直に目の前の人のことを考えられる人(※)。
・コロナ禍で大学生活を満喫できていない人。
・大学では得られない「野の学び」に興味がある人。
・野菜もしくはお魚が大好きな人。
※本プログラムで重要なのは「現地での気づき、学び」である。「地域課題」や「魅力発掘」といった価値観に囚われず、素直な視線で生産者さんの生活や仕事を見つめることができる人を求めている。
・ロジカルに課題解決だけを求める人。
・非合理なことが特に嫌いな人。
第一次産業と向き合う暮らしは非合理の塊であり、言語化できない複雑な感情と向き合う必要がある。
・0から物事を進めることが苦手な人。
試行錯誤の環境下でも果敢にプログラムを進めてくれるバイタリティの高い学生を求めている。
○青空留学が目指すイメージについて
・地方に住み始めた東大生〜600人弱の村で暮らす(UmeeT)
・「間に生きる」〜社長と全国行脚して挫折しまくった東大生が見出した希望〜(note)
○水曜日と日曜日の朝に、発起人であるポケマル代表高橋博之と岩永淳志が「学生向け車座」を行っている。様々なバックグラウンドや興味関心の大学生が朝一にふらっと寄ってくれる「オンラインえんがわ」だ。発起人の生の声が聞けるのでぜひきてみて欲しい
公式Instagram
岩永さんのTwitter
最後まで記事を読んでくださりありがとうございました!
最後に2点、この記事を作成したUT-BASEからお伝えしたいことがあります。
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