はじめに 多くの東大生が頭を悩ませる意思決定である「進学選択」。 「〇〇に興味はあるけど、どの学科で学べるのかわからない」なんて思ったことはありませんか? この記事では、そんな皆さんのお悩みに応えるべく、物理分野について学ぶことができる学科を「横断的に」比較紹介しました。 皆さんの選択を少しでも支えることができれば幸いです。 ※本記事の内容は2022年度以前の情報に基づいています。現在記事を更新中ですのでしばらくお待ちください。 目次 教養学部:統合自然科学科 物質基礎科学コース 概要 原子、分子、高分子、結晶、新材料、生体を扱っている。様々な階層の物質の物理学あるいは化学を、学生の志向に応じてミクロからマクロの様々なスケールで学ぶことができる。従来の物性物理学、原子核物理学、素粒子物理学、物理化学、有機化学、無機化学などの分野を全てカバーするだけではなく、境界領域、領域横断的なところに位置する新しい科目を加えている。物理学的な指向性、化学的な指向性も伸ばしつつ、他の諸学科では決して得ることのできない領域横断的な学びができる。 また、様々なスケールの物理・化学について幅広く学ぶことができ、関連する生物分野の講義も存在する。物理分野で似たような方向性を扱う学科と比べると圧倒的に必修が少ないため、授業を受ける際の自由度が高いのが特徴。興味が多岐にわたっている人に向いている上、実際そのような人が比較的多い。化学を「学ぼうと思えば学べる」ということになるが、裏を返せば自分から授業を探して履修しないと化学に限らず学びたいことを学べなくなってしまうことも意味する。 基本情報 定員 20名 要求/要望科目 要求科目 なし 要望科目 なし 公式サイト https://www.integrated.c.u-tokyo.ac.jp/admission/courses/course2/ カリキュラム紹介 必修授業より物理分野のものを抜粋して紹介する。 2Aセメスター 統合自然科学セミナー 数人の教員が担当し、それぞれの担当教員が指示する教科書・文献などを輪読する、2Aセメスター唯一の必修授業。 3Sセメスター 物質科学セミナーI 数人の教員が担当し、それぞれの担当教員が指示する教科書・文献などを輪読する。 物質科学セミナーII、物質科学セミナーIIIはそれぞれ3A、4Sセメスターに開講され、同様の形態で授業が行われる。 物質科学実験I 化学系、物理系の実験に分かれている。 3Aセメスター 物質科学セミナーII Iを参照。 物質科学実験II Iを参照。 4Sセメスター <必修授業> 物質科学セミナーIII 上記を参照。 物質科学実験III Iを参照。 <選択授業> 量子力学I/II/III Iでは、一次元井戸型ポテンシャル内の粒子の運動を例として、波動関数及びブラケット記法による量子状態の表現や、演算子による物理量の計算方法、不確定性関係を学ぶ。 IIでは、演算子形式をも用いた状態空間の取り扱いや対称性の理解、角運動量とスピン、さまざまな近似解法、散乱問題の基本的取り扱いなどを学ぶ。 IIIでは、量子多体系の取り扱いを中心に散乱問題、量子ダイナミクスを扱う。 量子力学特論 量子力学のいろいろな場面で出てくる対称性の概念を群論に基づいて学ぶ。 回転群、点群、空間群、ローレンツ群とスピン、時間反転、動的ヤンテラー問題、結晶電子版の構成、スピン・軌道結合、時間反転、相転移の理論、キラリティー問題などを扱う。 量子力学演習 量子力学Iの内容に対する演習を行う。 前期量子論、シュレーディンガー方程式、ブラケット記法、不確定性関係などを扱う。 電磁気学 電磁気学と特殊相対性理論の関係や、物質と電磁場の相互作用の考え方について学ぶ。 物質の電磁気学 電磁気学の講義の内容を受けて、それを元に物質中の電磁気学的現象について学ぶ。 連続体力学 線形代数、微分積分の知識を駆使して、流体の運動を表す巨視的モデルの導出及び流体乱流を学ぶ。 流体の運動を記述するためのナヴィエストークス方程式、粘性流体、非圧縮性流体、流体力学、ひずみテンソル、応力テンソル、理想流体、オイラー方程式などを扱う。 物性物理学 Iでは、特に電子物性にスポットを当てた物性物理学の入門編として、その考え方の根本を学ぶ。 IIでは、バンド・ボンドの概念と、電子のダイナミクスを学ぶ。 物性物理学演習 物性物理学の理解に必要な量子力学・統計力学・電磁気学などに関する演習問題や、物性物理学の基本的な演習問題を実際に解き、物性物理学の理解を深める。 凝縮系物理学 物性物理学I、IIの講義の内容を受けて、最先端の物性研究への橋渡しを意識した内容を学ぶ。 量子計測学 主に物理計測について、それに必須のエレクトロニクス、信号処理、データ処理、通信等について、物理学・数学的な基礎から実際までを学ぶ。 量子エレクトロニクス 光と物質の相互作用の基礎を学び、それが実験研究の現場でどのように生かされているのかについて学ぶ。 バイオ・ソフトマターの物理 ソフトマターが示す多様な相転移や物性を物理的に理解するための理論的枠組みや、その理論を適用可能な実例とその限界について学ぶ。 膜の物性、その変形や力の釣り合い、弾性的性質、座屈現象を扱う。また、液晶についても扱う。 情報と計算の物理 確率論の初歩から出発し、情報理論から計算理論の基本的な内容を学ぶ。 カオス カオスとは何か、それをどう記述するか、それと自然現象の関わりを学ぶ。 素粒子物理学 素粒子の分類やその性質、素粒子間の相互作用について学ぶ。 一般相対論 一般相対論の基礎事項を学び、その帰結であるブラックホール、重力波、一般相対論的宇宙論を学ぶ。 生物物理学I/II Iでは、タンパク質の構造・物性・機能を総合的に学ぶ。 IIでは、タンパク質をナノメートルサイズの生体分子機械ととらえ、人工機械とは根本的に異なる機能を理解するための手法や考え方を学ぶ。 物質基礎科学特論 Iでは、サイエンスの対象としての言語の特異的な性質を明らかにし、言語という難題について脳科学的な視点から学ぶ。 物質基礎科学特殊講義 (1〜11まで存在) 他の講義で学んだ内容からさらに発展的な内容について学ぶ。 主な研究室紹介 物質基礎科学コースに所属する教授の名前を列挙し、それらの専門を一言で紹介する。なお、詳細はこちら。 大川研究室 キーワード:素粒子論、超弦理論 主な研究内容 超弦理論の研究を通じて場の量子論で一般相対性理論を統合する試み 理論を拡張することによる理論同士の統合 弦理論を非摂動的定式化する試み 研究室HP:http://okawa.c.u-tokyo.ac.jp/ 加藤雄介研究室 キーワード:物性理論、統計物理 主な研究内容 ボース・アインシュタイン凝縮、超流動、超固体の理論 異方的超伝導体における量子渦の内部構造と素励起の理論 量子可積分系の相関関数の厳密解 研究室HP:http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/kato-yusuke-lab/ 前田京剛研究室 キーワード:量子凝縮現象、超伝導 主な研究内容 新しい超伝導体の開発 超伝導発現メカニズムの研究 超伝導における新規現象の探索 超伝導体の社会への応用研究 研究室HP:https://sites.google.com/g.ecc.u-tokyo.ac.jp/maedalab/ 松田研究室 キーワード:素粒子原子物理学、反粒子、低速ミュオン・ミュオニウム 主な研究内容 物質と反物質の間の対称性に関する実証的な研究 反水素原子の生成過程の研究 宇宙が CPT 対称か否かに関する研究 冷えた反水素原子に働く重力加速度の測定実験 反陽子と陽子の性質を精密に測定する実験 QED の精密検証の新物理探索 偏極低速ミュオンビームを生成する手法の効率改善 研究室HP:https://radphys4.c.u-tokyo.ac.jp/ 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 必修が非常に少なく、開講されている授業は非常に幅広いので、物理から化学にかけて特にやりたいことが決まってないなら、ちょっとずつ手を出して自分の適性を見極めることができる。 工学部:電気電子工学科 概要 電気電子工学科と電気情報工学科はまとめてEEICと呼ばれることが多い。これらの学科は現代技術の中枢を担う情報・電気・電子の技術を体形的に学び、最先端の応用へと展開していく力を養うことを目指している。講義の内容は、他の物理分野の学科に比べると製品開発などに直結するような電気工学系の内容が中心となっている。また、電子情報工学科と授業が共通であることから、情報系の授業も多くなっているのが特徴。 基本情報 定員 20名ほど。電情と合わせて130名ほど。 要求/要望科目 要求科目<文科各類> 「数学I」or「微分積分学①②」かつ、「数学II」or「線形代数学①②」 要望科目<文科各類> 「力学、電磁気学」 公式サイト https://www.ee.t.u-tokyo.ac.jp/ カリキュラム紹介 EEICの公式サイトにて時間割が公開されており、ここに紹介されていない科目はそちらを参照のこと。 2Aセメスター 電電・電情ともに概ね共通する必修科目を受講。そのうち以下のような開講科目では、物理分野について学習する。 ディジタル回路 コンピュータをはじめとする情報通信機器ハードウェアの基礎となるデジタル回路を学ぶ。 信号解析基礎 物理的な変動を信号としてとらえ、情報として扱うための基礎を学ぶ。 フーリエ変換、フーリエ級数、離散フーリエ変換、標本化定理、自己相関関数・相互相関関数、電力スペクトル密度を扱う。 電気磁気学(I,II) Iでは、電気磁気学の基礎を学ぶ。IIでは、Iで学んだ内容の演習を行う。 電気回路理論第一 電気回路理論の基礎を学ぶ。 電気機器学基礎 機械ー電気変換である各種回転機と変圧器並びにパワーエレクトロニクスについて、その構造、特性を学ぶ。 電気工学通論第一 電気工学の基礎である線形回路について基礎を学ぶとともに、アナログ・デジタル電子回路の基礎を学び、さらにパワーエレクトロニクス・電磁波工学についても学ぶ。 電子基礎物理 電子デバイス・光デバイスの動作原理を理解するために不可欠な物理学の基礎事項を学ぶ。 前半は量子力学を、後半は統計力学を扱う。 電子デバイス基礎 コンピュータの機能を作り出す主役である半導体トランジスタについて学ぶ。特に、トランジスタとは何か、どんな原理で動くのかを、半導体物性の基礎から理解するとともに、トランジスタによってコンピュータの機能はいかにして生み出されるのかについて、集積回路の基礎を学ぶ。 3Sセメスター 電電・電情ともに概ね共通する必修科目を受講。そのうち以下のような開講科目では、物理分野について学習する。 制御工学第一 制御工学の基礎を学ぶ。 システム動特性の表現、制御システムの安定性、フィードバック制御系の基本特性、線形フィードバック系の補償、などを扱う。 電力システム工学第一 発電所から各需要家まで、電気エネルギーを輸送する技術を体系化した送配電工学について学ぶ。 信号処理工学 信号解析基礎の内容を受けて、フーリエ変換を基本とした離散時間信号の処理手法について学ぶ。 電子物性基礎 さまざまな材料の電子物性について、電子をキーワードに、その特徴と物理原理の基本的な知識を得る。 半導体デバイス工学 半導体物理を基礎に半導体中の電子の振る舞いについて学び、いかにしてデバイスの機能が生み出されるかを学ぶ。 PIN接合やショットキー接合などのデバイスの基本構造と動作特性、MOSトランジスタの動作原理などを扱う。 電磁波工学 電磁波が従う法則を学び、電磁波の性質を理解し、これまでどのように利用されてきたかを学ぶ。 電離気体論 電離気体の発生・運動の基礎過程、集団としての進展、様相の変化を理解するとともに、工学的応用に関連する重要な物理現象、特性を学ぶ。 電気回路理論第二 電気回路理論第一に引き続いて、受動回路の性質について学ぶとともに、回路の設計を学ぶ。 電子回路I 電子回路を理解し設計できるようになるための手法の基礎を学ぶ。 電気電子情報実験・演習(必修、週6コマ)(第一が3Sセメスターに、第二が3Aセメスターに行われる) 専門性の高い実験・演習を通じ、情報電気工学及び電気電子工学の高度な基礎を実体験として学ぶ。 3Aセメスター 制御工学第二 制御工学第一で学んだ古典制御に加えて、状態空間表現に基づくダイナミクスの表現、状態フィードバック、状態推定、デジタル制御の基礎、非線形プラントの初歩的記述などを学ぶ。 エネルギー変換工学 エネルギーを生み出し、変換利用する物理原理や技術を学ぶ。 エネルギー変換の基本原理、電磁気学、熱力学、核物理学とエネルギー変換の関わりなどを扱う。 VLSI工学 Iでは、大規模集積回路の基本回路、動作原理を理解しその遅延時間、消費電力を見積もり、設計することを学ぶ。 IIでは、システムLSIに用いられる基本回路、その動作原理をアナログ・デジタル両面から学ぶ。 電磁界応用工学 電気磁気学で学んだ原理が、工学分野でどのように応用されているか学ぶ。 光電子工学 Iでは、光電子デバイスや光システムの原理を理解するため、「光の物理」の基礎的な概念を幅広く学ぶ。 フーリエ光学、屈折率、光の増幅・吸収、光の量子論を扱う。 IIでは、光ファイバー通信システムについて学ぶ。 光の電磁気学的性質と量子論的性質とを元に、光導波路・ファイバ、レーザ、受光器などを扱う。 電力システム工学第二 電力の安定供給のために必要な電力システムの需給運用技術・解析技術を学ぶ。 プラズマ理工学 粒子、流体としての二面性を持つプラズマの振る舞いを記述する方法を学ぶ。 核融合プラズマ、プラズマ基礎理論、基礎方程式、核融合閉じ込め配位、天体プラズマ、磁気リコネクションなどを扱う。 量子力学 Iでは、一粒子系の量子力学に焦点を当て、演算子、行列表示、変分法、摂動論、光の吸収放出などの概念を基本から学ぶ。 電子量子力学IIと連続している。 高電圧工学 高電圧特有の現象を理解するとともに、高電圧の発生、測定に関連した技術を、実験講義を含めて学ぶ。 光電子デバイス 光エレクトロニクスの根幹をなす半導体に依拠した光電子デバイスについて、その動作原理と構造、特性、応用を学ぶ。 LED、半導体レーザー、フォトダイオード、太陽電池、光制御デバイス、光集積回路を扱う。 パワーエレクトロニクス パワーエレクトロニクスの基礎を学ぶ。 スイッチ、他励式変換回路、自励式変換回路、チョッパ、共振系変換器などを扱う。 電子回路II 前半ではおもに線形化による回路解析手法を学び、後半では非線形成分を含むより高度な電子回路、独特な方式の電子回路を学ぶ。 電子物性第一 半導体の物性、エネルギー帯構造、電子輸送現象について学ぶ。 無線通信応用工学 5Gなどで利用されるような物理層からトランスポート層までの無線通信技術や、GPSなどに代表される電波航法システム、レーダーシステム、電子レンジなどの電波応用システムを学ぶ。 4Sセメスター 電子量子力学II 量子力学Iに引き続いて、1粒子系量子力学からやや高度な多粒子系量子力学の基礎までを体系的に学ぶ。 電気材料基礎論 電気系のエンジニアとして必要な材料全般について学ぶ。 環境電気工学 エネルギー源としての電気に関連した広義の環境問題やその対策を学ぶ。 電気機器設計法演習 電気磁気学、高電圧工学、電気機器学などの応用として、講義及び設計演習などを通じて電気機器の設計方法を学ぶ。 電子物性第二 半導体以外の重要な物質や現象とその応用について学ぶ。 誘電応答、光物性、強誘電性、相転移、さまざまな磁性とスピン、超伝導などを扱う。 宇宙電気電子システム工学 実際の宇宙分野での電気電子工学の応用例を学ぶ。 VLSIアーキテクチャ 大規模集積回路の基本回路、動作原理をアーキテクチャ・プロセッサ、アルゴリズム面から理解し、その実現方法と遅延時間、消費電力など動作特性の見積もりを学ぶ。 応用電気工学 電熱、照明、電動力応用など、電気工学の様々な講義で直接扱わないが伝統的に大切な電気エネルギーの応用技術の概要を学ぶ。 半導体物性工学 MOSトランジスタなど実用化されている半導体デバイスの性能・機能を理解するために必要な半導体物性に関わる知識を学ぶ。 ワイヤレスエレクトロニクス 無線・移動体通信、交通システム、商品管理など、現代社会のさまざまな場面で欠かせないワイヤレス技術について、その電子工学的な基礎を学ぶ。 電気自動車工学 電気自動車の技術動向、将来の課題などを、自ら調査し発表をすることによって学ぶ。 主な研究室紹介 田浦研究室 キーワード:並列処理、分散処理、システムソフトウェア、プログラミング言語、コンピューティング 主な研究内容 並列処理を高水準に行うためのソフトウェア マルチコア計算機やスーパーコンピューターのための基盤ソフトウェア ビッグデータ処理のための高速なデータ処理システム 機械学習フレームワークの最適化 研究室HP:https://www.eidos.ic.i.u-tokyo.ac.jp/#_1 山﨑研究室 キーワード:知能インターフェース、マルチメディア・データベース、知覚情報処理、知能情報学、感性情報学 主な研究内容 魅力工学 機械学習・パターン認識の基礎研究 メディア技術の社会実装 研究室HP:https://www.cvm.t.u-tokyo.ac.jp/ 杉山研究室 キーワード:ナノ物理・デバイス、サスティナビリティ、ナノ材料工学、グリーン、電子・電気材料工学 主な研究内容 高効率太陽光電池の開発 半導体電気化学による太陽光エネルギーの化学的貯蔵 研究室HP:http://www.enesys.rcast.u-tokyo.ac.jp/index.html 藤本・清水・藤田研究室 キーワード:システム制御・宇宙、機械力学・制御、知能機械学・機械システム、電力工学・電力変換・電気機器、制御・システム工学、航空宇宙工学 主な研究内容 ナノスケールサーボ制御 電気自動車の制御と走行中ワイヤレス給電 電動モビリティの運動制御と無線給電 研究室HP:https://hflab.edu.k.u-tokyo.ac.jp/ 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 電気電子工学科と電子情報工学科両方の研究室が選べるため、研究室の幅が広く、専門を学ぶ過程で興味が変わっても希望の研究室に行きやすい(合計で理学部情報科学科の4倍近く人がいる)ことに加え、電気電子工学科と電子情報工学科両方の授業を受けられるため、幅広い内容を履修可能。 電子情報工学科は未踏やSFPといった技術プロジェクトに採択されている学生が多く、刺激を受けやすい。 ハード、ソフトをバランスよく学ぶことができる。 情報や電気を中心に、その他さまざまな学問分野の講義を履修することが標準的となっていて、さまざまな切り口から自分の興味を探し、深めることができます。また、座学での理論的な学びから、演習実験を通した「ものを作る」学びまで、縦にも横にも幅広く学ぶ機会に溢れた学科です。 Coming Soon 工学部:物理工学科 概要 工学部物理工学科は、物理学の様々な分野の理論を扱う理学部物理学科や教養学部統合自然学科とは異なり、主に量子・物性といった内容を扱う。特に近年流行している量子コンピュータ分野に関しては、東大の中で最も発展しており、量子コンピュータの二大巨頭と呼ばれるような有名な教員が所属している。 カリキュラムとしては、2Aから3Aにかけて物理学の基本法則や数学などの手法について幅広く学ぶことができる。また、計数工学科と同じ応物系に所属しているため、計数工学科開講の科目も履修しやすく、数学・情報分野といった計数工学科に近い内容を学ぶことも他学科よりしやすいといえるだろう。 基本情報 定員 50名程度 要求/要望科目 要求科目 (1)基礎科目(数理科学) 「微分積分学①、微分積分学②、線形代数学①、線形代数学②」(計6単位) (2)基礎科目(物質科学) 「力学、電磁気学」(計4単位) 要望科目 総合科目E「振動・波動論」 総合科目F「微分積分学続論、常微分方程式」 公式サイト http://www.ap.t.u-tokyo.ac.jp/ カリキュラム紹介 2Aセメスター 解析力学 物理学の基礎である解析力学を体系的に学ぶ。 Lagrangian、系の運動法則や相互作用、保存量と対称性の関係、拘束条件、ラグランジュ形式やハミルトン形式、場の理論を扱う。 統計熱力学 熱力学の復習から始め、統計力学の基礎概念までを学ぶ。 熱力学、古典統計力学、小正準集団、正準集団、分配関数と熱力学関数、量子統計、大正準集団を扱う。 電磁気学第一 Maxwell方程式の理解を深めながら、電磁気の基礎を学ぶ。 電磁場、静電場、静磁場、時間的に変化する場、電磁波を扱う。 量子力学第一 微視的な物理現象の基礎である量子力学の原理を学ぶ。 量子力学の誕生、量子力学の基礎、1粒子の波動関数、量子力学のさまざまな描像、摂動論を扱う。 物理数学 統計熱力学、電磁気学第一、量子力学第一に登場する典型的なモデルを使って物理数学の基礎を学ぶ。 熱平衡状態、分配関数と自由エネルギー、微視状態数とエントロピー、ベクトル演算、ベクトル場、デルタ関数、ポアソン方程式の解、量子力学誕生の背景、量子力学の原理を扱う。 3Sセメスター 統計力学第一 古典力学や量子力学による微視的な運動の記述から出発して、対象となる系の熱力学的性質を導く考え方を学ぶ。 統計力学の原理、カノニカル集団とグランドカノニカル集団、フェルミ統計とポーズ統計を扱う。 電磁気学第二 「電磁気学第一」の知識を元にMaxwell方程式を出発点として、電磁気学を学ぶ。 静電磁場に関する法則、電磁ポテンシャル、電磁波の放射、運動する電荷がつくる電磁場、電磁場(電磁波)と物質の相互作用を扱う。 量子力学第二 量子力学における対称性の議論や近似理論などを学ぶ。 線形代数と量子力学、対称性と保存則、角運動量とスピン、磁場中の荷電粒子、摂動論、量子力学と古典力学の関係、多粒子系の量子力学を扱う。 固体物理第一 結晶格子と電子の状態を知るための基礎となる、回折現象や格子振動、自由電子モデルや初等的バンド理論を学ぶ。 逆格子空間、結晶中の回折、フォノン、ドルーデモデル、フェルミ分布関数、ゾンマーフェルト展開、ブロッホの定理、強束縛近似を扱う。 3Aセメスター 統計力学第二 相転移現象と線形応答理論の考え方を学ぶ。 相転移、線形応答理論、非平衡統計力学を扱う。 量子力学第三 量子力学IIで取り扱った内容を基礎に、散乱理論、第二量子化、電磁場の量子化、相対論的量子力学などについて学ぶ。 散乱理論、第二量子化、電磁場の量子化、相対論的量子力学を扱う。 光学 第一部では幾何光学と波動光学の基本的な考え方を学び、光学系の解析法を学ぶ。第二部では光学現象のもととなる光と物質の相互作用の原理について学ぶ。 光線追跡と結像および収差、回折および回折限界、干渉計、光と物質の相互作用、固体の光学応答、各種光学効果を扱う。 固体物理第二 固体中を運動する電子がもたらす様々な物性の微視的な基礎理論を学ぶ。 電子の運動と輸送現象、半導体、光物性、磁性を扱う。 物理実験の基礎 物理学の実験・研究において必要となる種々の事柄を学ぶ。 単位、次元、次元解析、スケーリング、誤差論、統計、データの信頼性、実験計画、測定法、物理と対称性、アナロジー、論文作成を扱う。 ナノ科学 長さのスケールのクロスオーバーに伴い様々な物理量のクロスオーバーが引き起こす新たな物理現象について学ぶ。 ナノ物理を特徴づける次元・長さスケール・エネルギースケール、ナノ科学の実験的手法、ナノエレクトロニクスの基礎概念、量子情報デバイスの基礎概念を扱う。 量子物理工学 電子の巨視的量子秩序(磁性相、超伝導相)がもたらす物理を統一的な視点から議論し、スピントロニクス、量子情報工学、量子デバイス工学への応用を学ぶ。 超伝導や磁性などの巨視的量子秩序の統一的な理解、応用量子物性の基礎概念を扱う。 量子エレクトロニクス 原子と光のコヒーレントな相互作用を理解し、レーザー、量子センシング、量子情報技術への応用を学ぶ。 誘導放出・吸収、自然放出、原子と光のコヒーレント相互作用、ラビ振動、レーザー発振、光共振器、原子のレーザー冷却、トラップ、原子干渉計を扱う。 分子エレクトロニクス 基礎的物理学から先端的な物質科学・物性物理学へと結ぶような内容を学ぶ。 分子系の量子力学、各種分光学・単分子計測・結晶構造解析、凝縮系物性・エレクトロニクスを扱う。 4Sセメスター 統計力学第三 統計力学の思考方法を広範な問題に応用する力を学ぶ。 密度行列、情報と統計力学、量子系と古典系の関係、臨界現象、非平衡系の扱いを扱う。 固体物理第三 対称性の破れがもたらす物質機能と、超伝導に関して学ぶ。 磁性の基礎理論、極性ベクトルと軸性ベクトル、テンソル 、量子多体系の基礎、第二量子化、電子格子結合が及ぼす効果、超伝導の基礎理論を扱う。 連続体の力学 変形する物体の運動を、巨視的な立場で学ぶ。 連続体の概念、応力の概念、テンソル形式による表現、Cauchyの微小歪みテンソルとラグランジュの歪みテンソル、歪みの適合条件、構造相転移のランダウ理論、構造相転移とドメイン壁の配向、等方弾性体、境界条件、ヤング率とポアソン比、座屈現象、剛性率、非発散波と非回転波、散逸と応答関数、調和関数論を扱う。 現代物質構造論 固体化学や物理化学、電子材料工学のエッセンスを横断的に扱う。 原子構造、化学結合、結晶、半導体基礎、キャリアの輸送、太陽電池、pn接合・発光デバイス、電界効果トランジスタ、相図、化学平衡、電気化学を扱う。 量子情報 量子情報・量子計算の入門を学ぶ。 量子情報理論、量子計算を扱う。 ソフトマター物理 ソフトな材料をあつかう上で基本となる重要な概念や代表的な物性測定法を学ぶ。 ソフトマターの特徴的な性質、ソフトマターの静的・動的物性を理解するための基本的アプローチを扱う。 主な研究室紹介 古澤・遠藤研究室 キーワード:量子テレポーテーション 主な研究内容 大規模化に向けた「時間領域多重一方向量子計算の研究」 万能量子計算に不可欠な「3次位相ゲートの開発」 任意の量子状態を生成する「オンデマンド量子状態生成器の開発」 実用化に向けて複雑な実験系を集積化する「導波路光量子回路」 「誤り耐性量子コンピューターの実現に向けた理論研究」 研究室HP:http://www.alice.t.u-tokyo.ac.jp/index.php 十倉・金澤研究室 キーワード:強相関電子の多自由度を操るー新電子相の開拓 主な研究内容 モット転移系における電子物性の開拓 フラストレートした磁性体の電気磁気応答 ナノスケールスピン渦構造の物理 表面ディラック電子状態の解明 高効率熱電変換 スピン軌道相互作用が拓く新しい物性 研究室HP:http://www.cmr.t.u-tokyo.ac.jp/ 中村研究室 キーワード:量子ビット、量子コンピュータ 主な研究内容 超伝導量子ビットの量子状態制御 ハイブリッド量子系 研究室HP:http://www.qc.rcast.u-tokyo.ac.jp 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 物理の中でも物性物理に興味がある人向けな学科。電磁気学、統計力学、量子力学を中心に学ぶが、それらは全て固体物理に関連付けられて授業が進む。量子コンピュータに興味があって進学する人は辛い可能性あり。 工学部:計数工学科 概要 計数工学科は数学・情報・物理の3分野を中心に幅広い範囲を扱う学科である。 歴史的に計測数理を扱っていたこともあり、工学部の中でも特に基礎教育に力を入れており、学部3年までで学んだ基礎をもとに、様々な応用分野につなげることができる。また、他の物理分野の理学部物理学科や工学部物理工学科と比べて、物理・情報分野の占める比重が大きいという特徴を持つ。 一方で、物理工学科と同じ応物系に所属するため、物理工学科の講義を履修する機会が多く、物理分野を深く学ぶことも可能である。 学科内は数理情報工学コースとシステム情報工学コースに分かれており、2Aセメスターの12月に出すコース希望と進振り時の成績をもとにコースが振り分けられる。特にシステム情報工学コースは計測・制御といった基礎工学を通じて物理世界と情報世界をつなぐといった理念を掲げ、計数工学科では多岐に渡る研究がされている。 基本情報 定員 数理情報コース、システム情報コース各30名、計60名 要求/要望科目 要求科目 なし 要望科目 総合科目D【現代工学】の科目 総合科目F【数理科学】【情報学】の科目 (※【 】は大科目名で、その中に包含される科目は『履修の手引き』の76~77ページ(現代工学)と84ページ(数理科学)、85ページ(情報学)を参照。) 公式サイト https://www.keisu.t.u-tokyo.ac.jp/ カリキュラム紹介 2Aセメスター 解析力学 物理学の基礎である解析力学を体系的に学ぶ。 Lagrangian、系の運動法則や相互作用、保存量と対称性の関係、拘束条件、ラグランジュ形式やハミルトン形式、場の理論を扱う。 統計熱力学 熱力学の復習から始め、統計力学の基礎概念までを学ぶ。 熱力学、古典統計力学、小正準集団、正準集団、分配関数と熱力学関数、量子統計、大正準集団を扱う。 電磁気学第一 Maxwell方程式の理解を深めながら、電磁気の基礎を学ぶ。 電磁場、静電場、静磁場、時間的に変化する場、電磁波を扱う。 量子力学第一 微視的な物理現象の基礎である量子力学の原理を学ぶ。 量子力学の誕生、量子力学の基礎、1粒子の波動関数、量子力学のさまざまな描像、摂動論を扱う。 計測通論C 計測の実例を紹介しながら、計測に共通する概念や手法を学ぶ。 計測の概念、計測の基本原理と数理手法、計測に利用される物理現象と基礎技術、計測のテクニックを扱う。 物理数学 統計熱力学、電磁気学第一、量子力学第一に登場する典型的なモデルを使って物理数学の基礎を学ぶ。 熱平衡状態、分配関数と自由エネルギー、微視状態数とエントロピー、ベクトル演算、ベクトル場、デルタ関数、ポアソン方程式の解、量子力学誕生の背景、量子力学の原理を扱う。 3Sセメスター 統計力学第一 古典力学や量子力学による微視的な運動の記述から出発して、対象となる系の熱力学的性質を導く考え方を学ぶ。 統計力学の原理、カノニカル集団とグランドカノニカル集団、フェルミ統計とポーズ統計を扱う。 電磁気学第二 「電磁気学第一」の知識を元にMaxwell方程式を出発点として、電磁気学を学ぶ。 静電磁場に関する法則、電磁ポテンシャル、電磁波の放射、運動する電荷がつくる電磁場、電磁場(電磁波)と物質の相互作用を扱う。 量子力学第二 量子力学における対称性の議論や近似理論などを学ぶ。 線形代数と量子力学、対称性と保存則、角運動量とスピン、磁場中の荷電粒子、摂動論、量子力学と古典力学の関係、多粒子系の量子力学を扱う。 回路学第一 電気回路の理解を確実なものにするとともに、オペアンプ、スイッチング回路など、幅広く適用可能なアナログ電子回路の基本要素の理解とその活用スキル習得までを目標として学ぶ。 電気回路と物理システムの関係、回路図によるシステム記述、等価電源、インピーダンス整合、回路基本要素、フィードバック回路を扱う。 信号処理論第一 確定的信号処理の基礎を学ぶ。 信号処理のための数学の復習、最小2乗近似と直交性、フーリエ級数、各種フーリエ変換、離散時間線形時不変システム、フィルタの設計を扱う。 制御論第一 「制御」に関する体系的な学問である制御理論の基礎について、最も重要な概念である「フィードバック」の本質的理解に重点を置きながら学ぶ。 フィードバック、システムの伝達関数表現、制御系のロバスト性解析を扱う。 3Aセメスター 統計力学第二 相転移現象と線形応答理論の考え方を学ぶ。 相転移、線形応答理論、非平衡統計力学を扱う。 回路学第二 分布定数系回路をきっかけに、回路の中でも波動として取り扱わなければならないものについて学ぶ。 分布定数系、インピーダンスマッチング、導波管:TEMモード、TEモード、TMモード、光ファイバ、回折、光学系とフーリエ変換、ホログラフィを扱う。 光学 第一部では幾何光学と波動光学の基本的な考え方を学び、光学系の解析法を学ぶ。第二部では光学現象のもととなる光と物質の相互作用の原理について学ぶ。 光線追跡と結像および収差、回折および回折限界、干渉計、光と物質の相互作用、固体の光学応答、各種光学効果を扱う。 信号処理論第二 フーリエ変換に基づく信号解析、及びその確率的信号の解析へと拡張を学ぶ デルタ関数再考、デルタ関数を含む関数のフーリエ変換、相関関数とスペクトル、線形システム、特性関数、正規不規則信号、線形自乗平均推定、ウィーナーフィルタ、ヒルベルト変換、カルマンフィルタを扱う。 制御論第二 状態空間表現に基づく現代制御理論の基礎について学ぶ。 動的システムと状態空間法、動的システムの構造、フィードバック制御系設計、最適設計を扱う。 4Sセメスター 連続体の力学 変形する物体の運動について学ぶ。 連続体の概念、応力の概念、テンソル形式による表現、Cauchyの微小歪みテンソルとラグランジュの歪みテンソル、歪みの適合条件、構造相転移のランダウ理論、構造相転移とドメイン壁の配向、等方弾性体、境界条件、ヤング率とポアソン比、座屈現象、剛性率、非発散波と非回転波、散逸と応答関数、調和関数論を扱う。 主な研究室紹介 システム情報工学コース 物理情報計測・逆問題研究室 キーワード:逆問題・非侵襲計測 主な研究内容 逆問題の直接解法・計測法の体系化と応用 波動場を用いた情報環境構築とヒトへの感覚情報提示 アクティブマターの制御・構造設計理論の構築 研究室HP:http://www.inv.ipc.i.u-tokyo.ac.jp/ システム医工学研究室 キーワード:手術支援ロボット・身体運動支援システム・流体システムの計測制御・空気圧 主な研究内容 手術支援ロボットの制御に関する研究 形態学的計算によるソフトロボットの状態推定 空気圧ゴム人工筋を用いた動作支援システム 医療画像情報からの状態や病態の推定 ソフトアクチュエータを用いた医療用デバイスの開発 研究室HP:http://www.bmc.ipc.i.u-tokyo.ac.jp/ 音メディア情報学研究室 キーワード:音メディア・信号処理・音場・音声合成変換・機械学習 主な研究内容 教師無し最適化理論に基づく音コミュニケーション拡張システム 非線形信号処理系の数理解析と感性定量化 ユーザオリエンテッドな音楽情報処理 音バーチャルリアリティ・音拡張現実感 音声合成変換による音声コミュニケーション拡張 研究室HP:http://www.sp.ipc.i.u-tokyo.ac.jp/ 数理情報工学コース 非線形物理学研究室 キーワード:非線形現象・力学系・振動・カオス・同期 主な研究内容 複雑なネットワークで相互作用する集団の応答 振動子集団ダイナミクスの制御と化学反応実験による実証 同期領域の伝播の理論研究と、てんかんへの応用 複雑なネットワークにおけるノードの重要度を表す指標の計算方法と実データによる例示 分離培養した心筋細胞の拍動における、ゆらぎの解析 ニューラルネットワークモデルにおけるネットワーク構造の発展 研究室HP:http://www.hk.k.u-tokyo.ac.jp/ 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 応用物理系の括りに入るため、物理工学科の物理科目が時間割に並んでいます。 いわゆる「物理学と情報学」を結びつける物理を扱う。例えばロボットを動かす制御理論や回路、現象のモデル化など物理の知識をベースとして情報系の工学の知識を得るといったことをする。 物工開講の授業をかなり取れる。進学当初は知らなかったが、2A ではほとんどの学生が物理(電磁気学、統計熱力学、量子力学)を主に単位の都合で取る。3S 以降もそれなりに開講しているので、望めば物理をかなりできる。趣味で物理もやりたい人におすすめできる。 物工の科目を割と受けられます。計数システムの研究では物理世界と情報世界をつなぐことをモットーにしてるので力学とか電磁気学とかは特に重要なのかもしれません 理学部:物理学科 概要 理学部物理学科は名前の通り、物理学を専門に扱う学科であり、特に一般物理/宇宙物理/物性物理/素粒子物理/原子核物理などの先端的な研究を、基礎から一歩一歩学んでいける教育プログラムが提供されている。 カリキュラムは大きく、様々な物理学の分野を扱う「講義」と、物理現象を実験的に理解しながら実験の手法を学ぶ「実験」、講義内容の理解と定着に関する「演習」に分けられ、これらを組み合わせたカリキュラムにより、物理学への理解を深めることが可能である。 理物の研究室では、多くの最先端の研究が行われており、研究室配属や大学院共通講義を通じて、そうした最先端の研究内容に触れることができる。 基本情報 定員 70名程度 要求/要望科目 要求科目 基礎実験:「基礎実験I、基礎実験II、基礎実験III」(計3単位)または 「基礎物理学実験・基礎化学実験、基礎生命科学実験」(計3単位) 数理科学:「数理科学基礎、微分積分学、線形代数学、微分積分学演習、線形代数学演習」(計10単位) 物質科学:「力学、電磁気学、熱力学または化学熱力学、構造化学、物性化学」(計10単位) 生命科学:「生命科学、生命科学Ⅰ、生命科学Ⅱ」から1科目(2単位または1単位) 要望科目 「振動・波動論」(総合E)、「アルゴリズム入門」(総合F) 公式サイト https://www.phys.s.u-tokyo.ac.jp/ カリキュラム紹介 理学部物理学科の授業は基本的に物理に関わる。 また、「電磁気学Ⅰ」「電磁気学Ⅱ」のような形でセメスターをまたぐ単元が多いため、そういった単元については始めに単元としてまとめ、その後でセメスターごとに特徴的な授業に限定して紹介する。 セメスターをまたぐ単元 電磁気学(2A/3S/3A) 電磁気学に関わる内容について3つのセメスターを通じて学ぶ。 Ⅰでは特殊相対論、電磁場内の電荷の運動を扱う。 ⅡではMaxwell方程式から始まり物質中の静電気現象を扱う Ⅲでは電磁波の問題を扱う。 量子力学(2A/3S/3A) 量子力学に関わる内容について3つのセメスターを通じて学ぶ。 Ⅰではシュレディンガー方程式、波動関数、正準量子化、ヒルベルト空間といったキーワードで、量子力学の基礎を扱う。 Ⅱでは量子力学の基礎に関する根本的な考え方と実践的な計算技術を扱う。 ⅢではⅠ・Ⅱで学んだ内容をもとに、量子力学の産卵問題、量子多体系の取り扱いの初歩を扱う。 統計力学(3S/3A) 統計力学に関わる内容について2つのセメスターを通じて学ぶ。 Ⅰでは熱平衡状態の統計力学を扱う。 Ⅱでは量子統計学の基本を扱う。 固体物理学(3A/4S/4A) 固体物理学に関わる内容について3つのセメスターを通じて学ぶ。 Ⅰでは物性に関する基礎的な概念について、量子力学および統計力学に基づいて微視的に扱う。 Ⅱでは物性を量子力学や統計力学の知識をもとに微視的に扱う。 Ⅲでは物性に関して量子力学や統計力学の知識のもとに研究に応用できる考え方の習得を目標に扱う。 場の量子論(4S/4A) 場の量子論に関する内容について2つのセメスターを通じて学ぶ。 物理学演習(2A/3S/3A) 以下の内容について演習を行う Ⅰでは電磁気学Ⅰ、物理数学Ⅰ・Ⅱの内容を扱う。 Ⅱでは解析力学、量子力学Ⅰの内容を扱う。 Ⅲでは量子力学Ⅱ、電磁気学Ⅱの内容を扱う。 Ⅳでは統計力学Ⅰ・Ⅱの内容を扱う。 Ⅴでは量子力学Ⅲ、統計力学Ⅱ、電磁気学Ⅲの内容を扱う。 物理学実験(3S/3A) 物理現象の実験的把握と、実験の基礎技術の習得を目標として実験を行う。 現代実験物理学(3S/3A) Ⅰでは物性物理学、一般物理学に関連する分野を扱う。 Ⅱでは素粒子、原子核、宇宙物理学実験の測定法の基礎を扱う。 特別実験/理論演習(4S/4A) 卒業研究に該当する。 2Aセメスター 解析力学 解析力学について広範囲に学ぶ。 物理実験学 物理実験に必要な知識を学ぶ。 単位、誤差法、計測法、実験の基礎技術、解析法を扱う。 物理数学Ⅰ/Ⅱ 物理学に必要な数学を学ぶ。 Ⅰでは複素関数と常微分方程式を扱う。 Ⅱでは微分方程式を解くための様々な数学的ツールを扱う。 3Sセメスター 流体力学 流体力学の理論を学ぶ。 完全流体、数値シミュレーション、プラズマ、乱流理論、圧縮性流体を扱う。 3Aセメスター 光学 光に関する基本的な内容を学ぶ。 光の基本的な性質、光と物質との相互作用、光を扱うための基礎知識、光を使った先端研究を扱う。 生物物理学 生物物理学の基礎的な概念・手法を学ぶ。 4Sセメスター 一般相対論 一般相対論の基礎を直感的かつ入門的に学ぶ。 4次元時空とシュワルツシルド計量、一般相対性原理、測地線の方程式、重力場の方程式、シュワルツシルド時空とブラックホール、重力波を扱う。 量子光学 量子光学に関する基礎を学ぶ。 原子と放射の相互作用、電磁場の量子化、量子化した場と原子との相互作用、レーザーの基礎を扱う。 主な研究室紹介 横山研究室(横山順一教授) キーワード:宇宙論・重力波 主な研究内容 初期宇宙論と重力波物理学 場の量子論、素粒子物理、一般相対論等の基礎理論を用いて初期宇宙の進化を再現する研究 宇宙背景放射等の観測データから出発して初期宇宙の物理に還元する研究 研究室HP:http://www.resceu.s.u-tokyo.ac.jp/~yokoyama/ 藤堂研究室(藤堂眞治教授) キーワード:計算物理・物性理論 主な研究内容 シミュレーションで探る量子多体現象 モンテカルロ法などの確率的手法 経路積分に基づく量子ゆらぎの表現 特異値分解やテンソルネットワークによる情報圧縮 統計的機械学習 研究室HP:https://exa.phys.s.u-tokyo.ac.jp/ja 岡田研究室(岡田康志教授) キーワード:生物物理学 主な研究内容 細胞内物質輸送およびその制御の分子機構解明 1分子計測および超解像イメージングのための顕微鏡・プローブ開発 1分子計測および超解像イメージングによる生命現象の可視化 研究室HP:http://www.okada-lab.phys.s.u-tokyo.ac.jp/ 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 量子力学や統計力学などの基礎を固めながら、幅広い物理学の分野に触れたい人にはとてもオススメの学科です。宇宙物理学や生物物理学、素粒子物理学まで幅広いトピックをカバーしているのは一つの魅力です。これらの授業の開講対象は基本的に4年生で、3年生までは基礎となる物理学をしっかりと学びます。授業の評価が大きく分かれるのが演習と実験です。 演習は、各回でそれぞれの問題に対して発表者が決められ、発表者は1週間から2週間後に資料を作って発表するというスタイルです。基本的に一人一回は発表することが必須になっています。実験は、3Sでは必修の実験を4種類行い、実験技法と解析の基礎を学びます。ここで身につけた実験技法はどれも物理実験の中で随所に必要となるものです(真空や信号処理)。3Aでは一部の実験を選択することができ、私は名物実験の、和光市の加速器を使った原子核実験に参加しました。 理学部:地球惑星物理学科 概要 地球惑星科学が対象とする領域は、地殻・マントル・コアから成る固体圏、大気・海洋から成る流体圏、固体圏と流体圏の境界領域に広がる生命圏及びその総体としての地球システム、さらに、太陽系を構成する惑星・衛星から宇宙空間にまで及んでいる。地球惑星物理学科のカリキュラムは、まず2Aセメスターで理物と共同で物理の基本的な素養を学んだのちに、対象領域に関わる内容を扱っていくものとなっている。天文学科と比べると、初期は共通する授業が多いものの、天文学科の方がスケールが大きく、宇宙全体を扱うものが多い。そのため、素粒子や重力波などを扱う授業などもある。航空宇宙工学科と比べると、航空宇宙工学科は実際に「ものづくり」を扱う学科であること、「航空」もカバー範囲に含まれていることから、授業の内容は大きく異なる。また、地球惑星環境学科と比較すると、地球惑星物理学科の方が物理色が濃い一方で、地球惑星環境学科は結晶学や古生物など、いわゆる「高校地学」らしいのは地球惑星環境学科。また、地球惑星環境学科の方がフィールドワークなどが多い。 基本情報 人数は30人程度。 要求科目<文科各類> 基礎科目(数理科学)「数理科学基礎、微分積分学①②、線形代数学①②」(計8単位) 基礎科目(物質科学)「力学、電磁気学、熱力学または化学熱力学」(計6単位) 要望科目 総合科目E「振動・波動論、統計物理学、惑星地球科学I(理科生)、惑星地球科学II(理科生)、地球惑星物理学入門、宇宙科学I(理科生)、宇宙科学II(理科生)、惑星地球科学I(文科生)、惑星地球科学II(文科生)、宇宙科学I(文科生)」 カリキュラム紹介 2Aセメスター <必修授業>(理物と共通の授業が多い) 物理数学 Iでは、複素関数、コーシーの積分公式、フーリエ級数、積分変換などを学ぶ。 IIでは、量子力学や電磁気学など物理学一般に広く用いられる数学的道具・手法を学ぶ。 物理実験学 物理実験に必要な基礎知識(基礎物理定数、計測法、誤差論など)について学ぶ。 電磁気学I 電磁気学の基礎を特殊相対性理論との関係を軸として学ぶ。 解析力学 解析力学の体系を学ぶ。 量子力学I 量子力学の初歩を学ぶ。 地球惑星物理学基礎演習 Iでは、解析力学、量子力学Iに関する演習を扱う。 IIでは、物理数学I、電磁気学Iに関する演習を扱う。 3Sセメスター <選択必修A> 地球流体力学I さまざまな自然現象や身の回りの日常現象を支配する流体力学の基礎原理を学ぶ。 弾性体力学 連続体力学の基本概念と基礎方程式の導出・解法について解説する。 電磁気学II 電磁場の基本法則、静磁場、静磁場と定常電流、電磁波について学ぶ。 量子力学II 中心場中の定常状態のシュレーディンガー方程式の解、角運動量の諸性質について学ぶ。 統計力学I 熱統計現象を微視的観点から記述しようとする統計力学の成立基盤と基本概念を学ぶ。 <選択必修B> 地球惑星物理学演習 地球惑星物理学の諸問題を解決する際に必要となる数値計算、情報処理の基礎技術を学ぶ。 地球惑星物理学観測実習 さまざまなデータを自分自身で取得する実験を通じて、地球惑星物理学における観測の意義を学ぶ。 <選択科目> 固体地球科学 地球内部構造、レオロジーとダイナミクス、及びそれらと地表現象の関連を学ぶ。 宇宙空間物理学I プラズマ諸現象をプラズマ物理の基礎概念及び電磁流体力学の基礎過程とともに学ぶ。 地球惑星物理学基礎演習 連続体力学、熱・統計力学に関する演習問題を扱う。 統計力学I 熱統計現象を微視的観点から記述しようとする統計力学の成立基盤と基本概念を学ぶ。 大気海洋循環学 大気と海洋の熱構造や循環構造を概観し、その仕組みの理解に必要な基礎知識を学ぶ。 3Aセメスター <選択必修A> 地球流体力学II 密度成層や地球回転の影響を受ける地球流体の運動の基礎的概念と解析手法を学ぶ。 地球力学 地球の形状・重力場・内部構造などの測地学的基礎論とグローバルな地球変形について学ぶ。 統計力学II 相互作用がある系での統計力学の手法を説明し、相転移の基礎的な概念、機構を学ぶ。 <選択必修B> 地球惑星物理学実験 地球惑星物理学の研究を行うのに必要な基礎的実験・観測技術を学ぶ。 <選択科目> 地球電磁気学 地球の電磁気的な性質と地球の現在の活動、誕生後の進化過程の関係について学ぶ。 弾性波動論 弾性波の伝播の基礎を学ぶ。解析解を導くとともに数値シミュレーションの基礎を学ぶ。 量子力学III 散乱の量子論、多粒子系の量子論、経路積分による量子論について学ぶ。 宇宙空間物理学II プラズマ諸現象を磁気流体力学、プラズマ運動論の基礎過程とともに学ぶ。 気候システム学 現在の気候系の形成機構とそれに関わる物理過程、及び過去・将来の気候変化の仕組みを学ぶ。 電磁気学III 電磁波が荷電粒子の運動からどのように放射されるかを導き、光学法則について学ぶ。 4Sセメスター <選択必修A> 惑星大気学 地球大気圏・電離圏・磁気圏から太陽地球系空間までの普遍的物理・化学過程を学ぶ。 <選択科目> 海洋物理学 平衡状態にある海洋に外力が加わり、その平衡状態が乱された時の力学的応答を学ぶ。 気象学 地球大気の特徴を学んだのち、水の相変化、大流、波動などの各物理過程の理論を学ぶ。 位置天文学・天文力学 太陽系天体の運動に代表される質点系力学の定量的かつ定性的な性質を学ぶ。 地球惑星内部物質科学 地球惑星内部の高温高圧極限条件下における物質の構造・物性・相転移などを学ぶ。 地震物理学 地震の発生過程を理解するために地震の震源の表現、及び地震破壊過程の扱いを学ぶ。 星間物理学I/II Iでは、銀河系の恒星間に広がる星間ガス、星間ダストなど星間物理学の基本的な概念や考え方を学ぶ。 IIでは、爆発的星形成銀河、活動銀河核、宇宙初期の銀河など、銀河系以外の銀河の多様な星間現象を扱う。 4Aセメスター <選択科目> 大気海洋系物理学 大気海洋間の力学・熱力学的相互作用のさまざまな時空間規模の過程を学ぶ。 地球内部ダイナミクス 固体地球ダイナミクスの基礎的概念と関連する諸現象、及び概念の歴史的発展を学ぶ。 主な研究室紹介 佐藤研究室 キーワード:大気力学・中層大気科学 主な研究内容 対流圏から下部熱圏までの中性大気全体の力学に関する研究 研究室URL:https://www-aos.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~sato-lab/ 今田研究室 キーワード:宇宙空間物理学・大洋物理学・磁気圏物理学 主な研究内容 次期太陽周期活動予測 35億年前の太陽地球環境 太陽コロナにおける熱的非平衡プラズマ 研究室URL:https://www-space.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~imada/ 田近研究室 キーワード:地球惑星システム進化学、地球史学、比較惑星環境進化学、アストロバイオロジー 主な研究内容 炭素循環と地球環境の進化 大気中酸素濃度の上昇史とそのメカニズムの解明 太陽系外における地球類似惑星の気候進化 研究室URL:http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/tajika/?lang=ja 井出研究室 キーワード:地震学・地震発生論 主な研究内容 複雑な地震破壊すべりの高精度分析 地震現象の階層性のモデリング 高速&低速の地震現象の統一的理解 研究室URL:http://www-solid.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~ide/ 小暮研究室 キーワード:鉱物学・物質科学・電子顕微鏡・結晶学 主な研究内容 福島放射能汚染の鉱物学的研究 生体鉱物の生成機構 粘土鉱物の微細構造 電顕による新手法 研究室URL:http://www-gbs.eps.s.u-tokyo.ac.jp/kogure/index.html 学科インタビュー Coming Soon 学生の声 地学と物理の理論体系や観測手法などについて深く学んだり、それらについてのデータを分析するためのプログラミングについて1からしっかりと学ぶことができます。2Aや3Sは物理学科と似たカリキュラムになることが多く、以降は地球惑星環境学科と同じ講義が増えていきます。また最近の試みですが、長期休暇の間に数日間インターンを行い、2、3年生のうちから大学以降の研究を体験してみたり、研究者の方と直接話をする機会があります。 地球惑星物理学科では、物理的な手法を用いて地球科学を学びます。扱う内容は、固体地球分野(地球内部構造、地震、火山など)、大気海洋分野(大気構造、海洋構造、相互作用など)、宇宙惑星分野(地球磁気圏、系内惑星、系外惑星など)に分かれていて、内容は書ききれないくらい多岐にわたります。複雑な自然現象を方程式系へモデル化し、理論的に考察したり、シミュレーションをおこなって分析したりします。弾性体力学、流体力学、電磁気学、統計力学など物理をゴリゴリ使います。数学も使います。(一方で環境学科のように実際にフィールドワークを行なうことは少ないです。) 自然現象を数学や物理学で解釈していくことはとても魅力的だと思います。同志はぜひ地物へ。また、物理や数学を勉強してもいまいち抽象的で頭に入ってこない……という人にも、地物では具体的な現象を扱うので楽しいかもしれません。地物はいいぞ〜。 2Aでは物理数学を学びます。3年では午前には座学を、午後にはプログラミング演習と実験を行います。4年で専門分野に分かれて演習と研究を行います。幅広い内容の授業が開講されているので(さらに理学部他学科の授業を受けることもできます)、今まで全く知らなかった分野で面白いことに出会えます。また、いろいろなところがリンクしていて、地球科学の奥深さに触れられます。個人的には磁場を観測して火山の運動を推定したのが楽しかったです。簡単にですが太平洋の波の伝播もシミュレーションできたのも楽しかったです。