【進振り体験記】#28 物理学への思いと医学部という選択

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「あなたはどのようにして進学先を決めましたか?」

多くの東大生が1度は頭を悩ませる、進学選択(通称「進振り」)。

——何を基準に学部・学科を決めれば良い?どんな手段で情報を集めれば良い?自分の興味・関心にどう向き合えば良い?

そんな疑問を抱く東大生に寄り添うべく、悩み抜き、考え抜いて進学先を決めた先輩たちの経験を発信する連載「進振り体験記」!

今回は、理科三類 から 医学部医学科 に進学した学生の体験談です。

1. 基本情報

今回、体験をシェアしてくださった方の基本情報は以下の通りです。

◯名前:Y.I.さん
◯出身科類:理科三類
◯進学先:医学部医学科(詳細:こちら

2. 大学進学前

ーなぜ理科三類を選んだのか教えてください!

僕は元々興味分野が漠然としているタイプだったんです。大学に行ってやりたいことが決まっていなかったし、高校生の自分の狭い知見で下手に決めても納得のいく選択ができる気がせず、大学に行ってから決めたいと思っていました。
一方で、科類によって生きやすい学部があることは知っていました。例えば、理一と理二だと理学部、工学部への行きやすさがかなり違います。そして、その門戸が一番広かったのが理三でした。進振りの難易度など詳しい情報がわからず、高校生の段階で何か一つの興味を持ったとしても自分がその勉強を本当に楽しいのか断定できない状況で、可能性を最大限広げておきたかったことが自分の科類選択の理由です。

ー科類を選ぶ際に、高校生に伝えたいことはありますか?

そんなに迷う必要はないのではないかと思います。
確かに、実際に大学に入ってみたら科類によって必修が少し違いました。例えば、理二・理三と比べて、理一の方が生物が少ないけれど物理学実験は理一の方が多いです。ただ、圧倒的に違うわけではなく、総合科目で調節可能な程度だと思います。なので、個人的には医学部に行く気がなくても理三に入るという選択肢は十分あり得ると思います。
理三には選考過程で面接がありますが、専門知識や自分が興味のある研究内容などを詳しく聞かれるようなものではなかったので、何も「熱烈な医者志望者」だけが理三に入る必要はないと思っています。

3. 大学入学後

ー大学に入学して、興味分野は絞れたのですか?どのようにして絞ったのでしょうか。

高校の時までは、世の中に面白いものがありすぎて興味分野も学部も絞れないと思っていましたが、大学に入ってみると絞れてきました。高校生の時は「この後どうやって絞っていけばいいんだろう、、?」と思っていたので、これが大学に入って一番驚いたことです。

大学に入ってから色々な授業をとっていくと、時間を忘れるくらい没頭できる科目と、そうでもない科目があることが自ずとわかってきます。元々、強いていうなら一番関心があったのは物理だったので、大学に入ってからも物理の授業はやはり面白かったです。東大は物理をやるには好条件の環境であったということも関係しているかもしれません。

ー物理に関心があったのに、なぜ医学部にいくことを決めたのですか?

僕は研究者になりたかったので、「研究をする」という目線で進振りを捉えていたからです。
物理には漠然とした憧れがありやっていて楽しかったので、一生付き合っていけるものとして見ていました。さらに、医学部にも理物と兼任の教授がおられ、2年生の初め頃にどちらの視点も持った研究者になりたいとも思い始めました。そうなると、基礎を積み上げる段階である学部時代は何を勉強してもいいのではないかという結論に至ったんです。

そこで、自分が大事にしていた軸として、①自分の勉強に対する熱量が続くところ、②将来の研究の準備ができるような学習ができるところを選ぶ、という2軸が出てきました。

勉強に対する熱量については、その学科の勉強に時間を忘れて没頭できることが大事だと考えていました。例えば、医学部と理物の授業を比較したとき、前者は論文を読みゼミに参加して議論ができますが、理物では普段やる勉強は座学がメインになってくるので、自分のモチベーションが続かないだろうと思いました。
研究の準備としては、論文を読むことが一番重要だと思っています。論文を読んで色々考えたいと思いましたが、まず物理の論文を読むのはかなり難しいんです。医学はある程度の抽象度と具体例があり、比較的読みやすいと感じました。さらに、医学部ではゼミで論文を読む機会があるので、基礎知識をつけながら最先端の勉強ができる点に魅力を感じました。

ー研究職を目指そうと思ったきっかけや進振り先の決定そのものに影響を与えた授業はありましたか?

駒場の先進科学3という授業です。
駒2キャンパスの先生が来て比較的新しい分野を扱っていました。
履修のためにはレポート提出を通した選抜があり、なんとなく最初のハードルが高い方がやる気が出るかと思い応募しました。
少人数で2年生が比較的多い授業でしたが、先生から問いを与えられてそれについて自分で考えてこいという授業形態だったので、周りには論文を引用しているレベルの高い学生がいたりして入学したばかりの自分にとってはかなりの刺激になりました。
内容の面では生物物理学という分野に出会うことができたのが印象的でした。
起こっていることを観測するということに焦点を当てる生物の領域と観測した現象を説明し再現する物理学を合体させた分野で、物理学なしには生物を研究できないという見方をとっています。
調べてみると、このような横断領域的な学問は意外と多くあり、それが医学部にも理物の先生がいるのだという発見につながったりしました。

研究という面では、初年次ゼミナールも印象的でした。勉強会もやるようなゼミで、駒場の先進科学3と合わせて、自分に論文を読んだり、一人で教科書を読んだりする習慣をつけてくれた授業でした。

4. さまざまな選択肢

―進振り先を選ぶときに迷った学部・学科はありましたか?

理学部物理学科、工学部の物理工学科、医学部医学科に進むかはかなり迷いました。実は、ここまで絞り込むのにも1年かかりましたが、先ほどもお話しした通り自分が受けてきた授業に対してそれぞれどのような感想を持ったかを振り返ってみると絞ることができました。

―その三つの学部・学科から、さらにどのように絞って行ったのでしょうか?

大学は他人と勉強をする場所だと思っています。なので、学部・学科の違いを見るときに自分が一番重要視していたのが、教授とその学部・学科にいる人の違いです。これについては、実際にその学部・学科に所属して勉強をしている先輩に聞くしかないと思いました。
自分の場合はたまたま課外活動(TEDx)をやったりしていましたし、ラボカフェにも頻繁に通っていたのでかなり細かいことを聞く機会がありました。

―具体的にはどのようなことを聞いていたのですか?

その学部・学科に所属している人や教授はどういう雰囲気か、学科全体の雰囲気はどのような感じか、テストはどのような感じか、院進率はどれくらいかについて聞きました。
あと、学部・学科の雰囲気以外で気にしていたのは研究室です。
理系の場合、進振り先を選ぶ際には研究室を選ぶことがかなり大事になってくると思います。「この人の研究室に入りたい」と思うような研究室がどの学部・学科にあるか、ということですね。授業は自分で頑張れば勉強することができるからです。

そのときに大事なのが、自分が本当に興味のある研究室に行くことです。研究室がどのようなジャンルに含まれているかを鵜呑みにしないほうがいいと思います。例えば、理物も物工も量子コンピュータについて扱う研究室は存在していますが、それぞれ活用内容は全くと言っていいほど異なるのでどのような教授がいるのかしっかり確認する必要があると思います。

あとは、自分が行きたい研究室があっても研究室の種類が限られている場合がある点には注意をした方が良いと思います。学部・学科によっては研究室の研究内容にかなり偏りがあるところがあるからです参考
このような感じでその学部・学科を選ぶことによってどのような結果になるのかをかなり細かく想像していました。

基本的に自分が勉強したいと思う内容は変わらないので、その学科で自分が勉強しなければならないことや行くことができる研究室など、進学先の選択をした後に固定されてしまう要因を考慮して進振り先を考えていましたね。

5. 決断の時

ー最終的に医学部にしようと決断したのはいつ頃でしたか?

かなりギリギリ(6月にある第一段階の志望・不志望の登録から8月の第一段階進学志望登録変更の直前)まで理物と医学部で迷っていました。その間は、先輩にお話を聞いたり研究室訪問に積極的に行っていました。自分が興味のある研究室をそれぞれの学部学科で訪問していました。そのときには「この人にはこれを聞こう」と事前に考えてから話を聞いていました。具体的には自分が医学部に行ったとしても物理と医学の両方を研究したいです、という感じで相談していました。理学部物理学科と医学部をさまざまな軸で比較して、その軸の優先順位を決めながら相談していましたね。ということまで想定していましたね。

ー最後の決め手のようなものはあったのでしょうか。

まずは、PhD・MD(博士号を先に取る人)の話を聞いたことです。
一刻も早く研究をやりたかった自分にとって医学部に行く最大のデメリットは学部で4年間過ごして医師免許をとってからでないと博士になれないということでした。しかし、PhD・MDコースであれば先に博士になって学部に再編入することができます。
人数は少ないのですが、このようなことを実際にやっている人の話を聞けたのは大きな決め手になったと思います。

あとは、横断領域にいる先生に話を聞いたことです。工学部にいるけど生物の研究をしている先生など、異例の経歴を持っている人に自分が迷っていることや、「複数の分野両方の視点を持っていると面白いと思うのですが、こちらに行くとどのようなことができますか?」ということを聞いたりしました。
結局、理物でも医学部でもどちらでもいいと言われたので、進振りに対する緊張感がなくなり、最終的にはしっかりと勉強ができそうな医学部に進学を決めました。

6. 現在の学部・学科での生活/満足感

ー現在の学部での満足感は?

かなり満足しています。学問の内容として、元々具体的なところから抽象化させていく方が向いていると思っていたので、医学部は具体度・抽象度ともにちょうどよかったです。
また、ゼミを通して議論をできるのはやはり医学部を選んでよかったところだと思っています。

ただし、暗記は多いです。記述形式のテストなので、表面的な理解だけでは回答することができないので、毎年100人中40人くらいは単位を落とすとか落とさないとか…。コツコツと、かなり時間を使って勉強した分「勉強した」という充実感を感じることができています。

7. アドバイスとメッセージ

ーこれから進振りを迎える皆さんにアドバイスやメッセージをお願いします!

今やりたいことをやりましょう。次の学期から自分が打ち込める勉強ができる学部を選ぶことをお勧めします。
自分の場合、最終的に研究をしたいというのは決まっていたので、目的のために進振りをしているわけではありませんでした。最終的に研究をしていきたいという人とそうでない人の進振りは違うかもしれません。しかし、その時点であまりやりたくないことを選んだとしても結局は将来のためにならないとも思います。

自分の進振り選択の過程でよかったこととしては、進振りをすることによって固定されてしまうことについて考えたこと、そして学部学科の選択肢を固定せず、色々な選択肢を残して迷ったことです。このように迷うことによって進振りを通して選択のアルゴリズムができたと思います。進振りも一つのイニシエーションなので、真面目に取り組むといいことがあると思いますよ!

UT-BASEメンバーより

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