はじめに
新入生の皆さん、東大合格おめでとうございます!困難な状況下で合格を掴み取った皆さんは、これから始まる本学での学びに期待されていることと思います。
今回は、東大での学習に欠かせない「図書館」についてご紹介していきます。1Sセメスターに開講される必修授業の中には、「文献を各自で調べ、レポートを作成する」といった課題が課されるものもあります。課題が出されて初めて「図書館ってどう利用するんだっけ...」と途方に暮れることのないよう、今のうちに予習しておきましょう!
また、やむを得ず自宅から出られないときにどう文献を集めるのか...といった疑問に対してもお答えしていきます。2年生以上の方も、オンラインで質を落とさずに学習を続けるための参考にしてみてくださいね。
①東大生が利用可能な図書館は...いくつ!?
東大の図書館、と聞いて多くの方が連想するのが、オープンキャンパス等で見ることの多い総合図書館でしょう。大理石の階段に赤絨毯...という荘厳な雰囲気の図書館に憧れる人もいるかもしれませんね。実は、東大には他にも利用可能な図書館が多数存在し、全キャンパス合わせて30近くの図書館があるのです。本マガジンでは、皆さんが利用することの多い図書館を中心にご紹介していきます。
新型コロナウイルス感染症の影響により、通常の開館時間よりも開館を遅らせたり閉館を早めたりする図書館もありますので、開館時間については「短縮開館」の場合もチェックしておきましょう。なお、開館時間や休館日は2021年3月時点の情報となります。最新情報は各図書館のHPやSNSをご確認ください。
@駒場Ⅰキャンパス
駒場図書館
駒場キャンパスの拠点図書館。1FにECCS端末(学内専用パソコン)や印刷設備があり、B2F・B1F・2F〜4Fには学習スペースのほか、閲覧専用エリアなどがある。グループ学習やクラス/サークルでの話し合いに利用できるグループ学習室も備える(2021年3月現在、利用不可)。こぢんまりとしているように見えるが、実は約1,100席もの座席数があり、地下2Fまで図書が収蔵されている。
開館時間:平日・土日祝8:30-22:00(通常の授業期間)、短縮開館10:00-20:00(本学在籍者のみ)
休館日:年末年始、月に数回閉館日あり(詳細はHPを参照)
ECCS端末:あり(1Fに20台前後設置)
UTokyo WiFi:あり(各階で利用可能)
HP:https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/komaba
総合文化研究科自然科学図書室
総合文化研究科広域科学専攻の図書室。16号館2F205号室に位置する(下記MAP参照)。物理、化学、生物、宇宙地球科学などの自然科学系資料を幅広く収集・整備している。図書、雑誌に加え、専攻の学位論文も所蔵。
開館時間:平日9:15-17:15、短縮開館10:00-16:30
休館日:土日祝、年末年始(詳細はHPを参照)
ECCS端末:なし
UTokyo WiFi:あり
HP:http://scilib.c.u-tokyo.ac.jp/
総合文化研究科附属アメリカ太平洋地域研究センター(CPAS)図書室
駒場キャンパス14号館1F・2Fに位置する(下記MAP参照)。英語文献の豊富さは随一で、アメリカ太平洋地域研究に関する7万冊の文献のほか、マイクロフィルムやDVDといった資料も充実している。
開館時間:平日10:30-17:00、短縮開館10:00-17:00(月水金のみ)
休館日:土日祝、年末年始、年度末書架整備日(詳細はHPを参照)
ECCS端末:なし
UTokyo WiFi:なし
HP:http://www.cpas.c.u-tokyo.ac.jp/lib/
数理科学研究科図書室
数理科学研究科棟1F・2Fに位置する(下記MAP参照)。数理科学関係を中心に物理・情報科学なども含めた資料を網羅的に収集・提供している。比較的ゆったりと書架・閲覧席が設けられ、研究棟の向かいに位置する矢内原公園を望む席もあり、落ち着いて数学書と向き合える。
開館時間:平日9:15-19:45 (通常の授業期間)、火曜は書架整理のため12時から開室
休館日:土日祝、年末年始、夏季一斉休業日(詳細はHPを参照)
ECCS端末:なし
UTokyo WiFi:なし
HP:https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/library/index.html
【駒場キャンパスの各図書館MAP】
- 駒場図書館
- 総合文化研究科自然科学図書室
- 総合文化研究科附属アメリカ太平洋地域研究センター(CPAS)図書室
- 数理科学研究科図書室
@本郷キャンパス
総合図書館
本郷キャンパスの中心的な図書館であり、東大を代表する図書館でもある。蔵書数は約120万冊。東大開学以来140年余りの歴史を有しており、幾多の変遷を経て現在に至る。平成29年には図書館前広場の地下に総合図書館別館が開館し、現在も本館は改修工事中。HP上では有名文学作品の写本や芸術作品のデジタルデータを閲覧できる。ちなみに本館4Fにはアジア研究図書館の開架書庫があり、アジア諸地域に関する研究に最適。
開館時間:平日8:30-22:30(通常の授業期間)、土日祝9:00-19:00(通常の授業期間)、短縮開館平日9:00-17:00(本学在籍者のみ)
休館日:年末年始、月に数回閉館日あり(詳細はHPを参照)
ECCS端末:あり
UTokyo WiFi:あり
HP:https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/general
各学部附属図書館
各学部の研究室附属の図書館。前期課程生は利用する機会が少ないかもしれないが、その図書館にしか収蔵されていない文献がある場合はお世話になることもある。基本的に他学部所属者でも利用は可能だが、学生証や入館手続きが必要な場合があるので、事前に各図書館のHPをチェックしたり、資料取り寄せサービスを利用したりするのが望ましい。
★法学部:
・法学政治学研究科・法学部研究室図書室(法3号館4F)
HP:https://www.lib.j.u-tokyo.ac.jp/
・法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター(史料編纂所の右隣地下)
HP:http://www.meiji.j.u-tokyo.ac.jp/
★医学部:
・医学図書館(医学総合中央館1F)
HP:https://www.lib.m.u-tokyo.ac.jp/
★工学部:
・工学・情報理工学図書館(工学系研究科:工1A、工1B、工2、工3、工4、工5、工6、工7、工14号館 / 情報理工学系研究科:工2、工6、理7号館)
HP:https://library.t.u-tokyo.ac.jp/
★文学部:
・人文社会系研究科・文学部図書室(3号館図書室:文学部3号館1F / 2号館図書室:法文2号館4F)
HP:http://www.l.u-tokyo.ac.jp/lib/index.html
★理学部:
・理学図書館(理学図書館:理学部1号館東棟3F / 化学図書室:化学本館4F)
HP:https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/science
★経済学部:
・経済学図書館(赤門総合研究棟3F)
・経済学部資料室(経済学研究科学術交流棟・小島ホール3F)
HP:http://www.lib.e.u-tokyo.ac.jp/
★教育学部:
・教育学研究科・教育学部図書室(教育学部棟4F、医学部1号館1F)
HP:http://ikuto.p.u-tokyo.ac.jp/
★薬学部:
・薬学図書館(薬学部資料館2F)
HP:https://www.lib.f.u-tokyo.ac.jp/
情報学環附属図書室
言論統制やジャーナリズム研究に関する蔵書、マスメディア研究やマスコミュニケーション研究の資料を有する図書館。文理問わず情報に関わる社会現象や文化現象全般に収書範囲を拡大している。情報学環には、各種メディア情報資料を研究のために収集・整理する情報学環附属社会情報研究資料センターも併設されている。
開館時間:平日9:30-17:00 (通常の授業期間)、短縮開館平日10:30-12:00, 13:00-16:00(本学在籍者のみ)
休館日:土日祝、年末年始(詳細はHPを参照)
ECCS端末:なし
UTokyo WiFi:あり
HP:http://www.lib.iii.u-tokyo.ac.jp/index.html
東洋文化研究所図書室
東洋文化研究所2Fに位置する(下記MAP参照)。所蔵資料はアジア諸地域の政治・経済・歴史・文学・芸術・宗教など多分野にわたる。言語についても日本語や欧米諸国語はもちろん、中国語・朝鮮語・アラビア語・タイ語・ペルシャ語・トルコ語・サンスクリット語・インドネシア語など多様な文献を有する。
開館時間:平日9:20-16:50 (通常の授業期間)、短縮開館平日10:00-16:50(本学在籍者のみ)
休館日:第2水曜日、土日祝、年末年始、蔵書点検日、本研究所行事日等(詳細はHPを参照)
ECCS端末:なし
UTokyo WiFi:あり
HP:https://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~library/
社会科学研究所図書室
社会科学研究所3Fに位置する(下記MAP参照)。法律・政治・経済・労働・社会等、社会科学に関する図書や雑誌、マイクロ資料を所蔵。
開館時間:平日9:00-17:00 (通常の授業期間)、短縮開館平日10:00-16:00(本学在籍者のみ)
休館日:土日祝、年末年始(詳細はHPを参照)
ECCS端末:なし
UTokyo WiFi:あり
HP:https://library.iss.u-tokyo.ac.jp/
史料編纂所図書室
史料編纂所3Fに位置する(下記MAP参照)。100年以上にわたり影写・模写・写真撮影などの方法で作成・蒐集されてきた膨大な数の複製史料や貴重な原本史料を、一般の図書・雑誌とともに所蔵・管理。閲覧室に設置されたコンピュータ端末では、所蔵史料等のデジタル画像を閲覧することができる。
開館時間:短縮開館平日13:30-16:00(本学在籍者のみ、完全予約制)
休館日:土日祝、年末年始、蔵書点検期間、整理日、夏季休業日、本学入学試験日等
(詳細はHPを参照)
ECCS端末:なし
UTokyo WiFi:あり
HP:https://www.hi.u-tokyo.ac.jp/tosho/tosho.html
【本郷の各図書館MAP】
1.総合図書館
2.法学政治学研究科・法学部研究室図書室
3.法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター
4.医学図書館
5.人文社会系研究科・文学部図書室
6.理学図書館
7.経済学図書館
8.経済学部資料室
9.教育学研究科・教育学部図書室
10.薬学図書館
11.情報学環附属図書室
12.東洋文化研究所図書室
13.社会科学研究所図書室
14.史料編纂所図書室
※工学・情報理工学図書館は工学部と理学部に点在するため割愛。詳細はHPを確認。
この他、弥生・柏・白金台キャンパスにも図書館が存在します。気になる方は以下のページから確認してみてください↓
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/contents/guide
②図書館の利用にあたって
図書館の利用方法に関しては、いくつか注意するべき点やアドバイスをお伝えします。また、2021年度3月時点では図書館の利用にあたり各種申請が必要ですので、これもチェックしておきましょう。
注意点・アドバイス
延滞罰則について
基本的に延滞すると何かしらの罰則があります。駒場図書館の場合、延滞した期間だけ貸出不可となります。延滞すればするほど不利になりますし、次の利用者に迷惑がかかりますので注意しましょう。
(例)3/20返却予定だったものを3/23に遅れて返却した場合→3/24-26までの3日間新たな図書の貸出不可
My OPAC活用のすゝめ
My OPACは、現在借りている図書の貸出期限をチェックしたり、どの図書館に目的の文献があるかを確認したりすることができるツールです。資料検索はもちろん、以下のようなサービスが利用可能です。UTokyo Accountでログインして使用できるので、授業開始前にユーザー登録しておくことをおすすめします!
(1)貸出期間の延長 ※その図書の予約者がいない場合に限る
(2)貸出中の本の予約
(3)他キャンパスからの図書の取寄せ
(4)論文コピーの取寄せ(学内・学外)※有料
(5)他大学からの図書の取寄せ ※有料
(6)本の購入リクエスト
(7)返却期限お知らせメールの設定
(8)貸出状況・貸出履歴の確認
東京大学OPACへのアクセス及びMy OPACへのログインはこちら↓
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_search/
③図書館行かずに文献入手する方法?...あるんです。
ここまで、図書館に直接赴いて文献を探すために必要な情報をお伝えしてきました。ですが、どうしても外出できない状況であったり、図書館にお目当ての文献がなかったりする場合どうしたら...?という方もいらっしゃいますよね。そんな貴方に朗報です!実は、家にいながら世界中の論文や電子ブックにアクセスできるサービスを「無償で」東大は提供しているんです。アクセスできるデータベースはもちろん無限大という訳ではありませんが、得られる情報の幅は大きく広がりますので、利用して損はありませんよ。
EZproxy(イージープロキシ)とは?
本学の学生が、学外から東大の契約している電子ジャーナル・データベースにアクセスできるシステム。UTokyo Accountさえあれば簡単に登録できますので、以下の手順で利用してみましょう。(詳しい利用方法はEZproxyについての詳細ページ(後述)を参照)
①学術情報の入り口となるWEBサイト、Literacyにアクセス。東京大学附属図書館の公式HPからもアクセス可能
(https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy)
②画面左側のメニュー一覧から「データベース一覧」をクリック
③データベース一覧画面が表示されたら、利用したいデータベースに「利用する(EZproxy)」という緑のアイコンが表示されていることを確認し、クリック
※利用したい文献の情報が分かっている場合、画面上部の検索窓にてキーワードや資料タイプからデータベースを絞り込める
④UTokyo Account(数字10桁)とパスワードでログイン(UTASのログイン画面と同様の手順)
※既に別サービスでUTokyo Accountにサインインしている、または別のデータベースを利用後に、附属図書館データベース一覧で、利用したいデータベースを検索し、「利用する(EZproxy)」をクリックした場合には、サインイン画面は表示されない。また、共用端末を利用している場合は、UTokyo Account認証で、「サインインの状態を維持しますか?」と表示された際に「いいえ」をクリック
⑤データベースのトップページが表示される
※利用できないデータベースの場合には、エラーメッセージが表示される
⑥データベースの利用を終了する際は、ブラウザを完全に閉じてEZproxyからサインアウトをする
※データベースの中には同時アクセス数が決まっている場合があるため、ブラウザを閉じる前に必ずログアウトボタンやサインアウトボタンなどををクリック。共同端末を利用している場合、利用後にブラウザのキャッシュとCookieを削除する(参考)
また、利用にあたっては以下の点に注意しましょう。
(1)大量ダウンロード厳禁。出版社から接続を切断されて大学全体でしばらく使えなくなることがあるため、読める分だけダウンロードすること。
(2)出版社との契約上、学外からは見られないものもある。リンクの横に「via Off-Campus access service」という緑のマークがあれば学外から閲覧可能。
(3)学内と全く同じ機能が使えるとは限らない。余分なアクセスはできない設定になっているため、データベースの見た目も異なることがある。
(4)同時アクセス数の制限があるデータベースも存在する。利用できない場合はしばらく待ってから再度接続してみる。
EZproxyについての詳細はこちら↓
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus/ezproxy#share
各種サービス
電子ブック・電子ジャーナル:E-journal&E-book Portal
学外から電子ジャーナル・電子ブックを閲覧・ダウンロードできるシステム。「via Off-Campus access service」または「Free」の表示があるものは学外から入手可能です。「via Off-Campus access service」が表示されているものはE-journal & E-book Portalからは直接アクセスできません。「SSL-VPN Gatewayサービス」経由でアクセスしてください。和書、和雑誌の検索はタイトルで検索できます。
E-journal&E-book Portalへのアクセスはこちら↓
http://vs2ga4mq9g.search.serialssolutions.com/
論文検索
無料公開されている検索ツールをご紹介します。
★CiNii Articles(無料公開):
国内の大学紀要や学会誌掲載の論文を網羅している。本文を閲覧・ダウンロードできるかは論文によって異なる。
CiNi Articlesへのアクセスはこちら↓
https://ci.nii.ac.jp/
★Google Scholar(無料公開):
学術資料検索専用のWeb検索エンジン。国内外の論文を探すことができる。本文を閲覧・ダウンロードできるかは論文によって異なるが、東大と契約している電子ジャーナル・データベースにはアクセスできるものもある。
おすすめの利用方法は、まずGoogle Scholarで論文が収められている雑誌等の情報を確認し、SSL-VPN Gatewayサービスでその情報をもとに検索するというもの。これでお目当ての論文が比較的容易に入手できる。
Google Scholarへのアクセスはこちら↓
https://scholar.google.com/schhp?hl=ja&as_sdt=0,5
この他にも、文献探しに利用できるツールは無数にあります。気になる方は以下のページからチェックしてみてください↓
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/contents/studyathome
おわりに
いかがでしたか?せっかく東大にいる(&安くはない学費を払っている)にも関わらず、こんなに豊富な図書館やデータベースを活用しないのはもったいないですよね。あるものは全て使い倒すくらいの気持ちで、積極的に利用していきましょう!もちろん学習以外の目的で利用する場合でも、東大には魅力的な蔵書が多数ありますので、ぜひお手に取ってみてください。
“The reading of all good books is like a conversation with the finest minds of past centuries.” デカルト(フランスの哲学者、数学者 / 1596~1650)