新入生の皆さん、Sセメスターの履修はもう組み始めましたか?
シラバスを眺めていると、あの授業もこの授業も面白そうに見えたのに、履修してみたら思っていたよりつまらなかった... 逆に、必修との兼ね合いで仕方なく取ったけど実はめちゃめちゃ面白かった!なんてこともよくあります。
そこでこの記事では、シラバスを読むだけでは分からない
・UT-BASEメンバーおすすめの授業
・その授業の推せるポイント
をご紹介していきます!
【凡例】
■科目名
①教員名
②曜限
③区分
④推せるポイント
目次
【総合科目A~C系列】
■記号論理学
①岡本賢吾
②月曜1限
③総合A系列
④理系が取りやすいA系列。高校の数学で習ったかもしれない「必要条件や十分条件」「∀や∃」という話の延長線上にある授業。x+y=y+xなど、普段当たり前に使っている式変形を公理から証明できたときには、えもいわれぬ思いになる。最後の数回は難易度が高くてついていけない人が多いと思われるが、試験範囲外としてくれるので心配することなかれ。
■社会思想史
①森政稔
②月曜5限
③総合科目A
④ボダン、ホッブズ、デカルト、パスカル、スピノザ、ロック…西洋の近代政治哲学の王道を、詳しい解説によって総ざらいする授業。ホッブズ『リヴァイアサン』の解説に3回半の授業が使われるなど、テクストに沿って一般的な理解より遥かに深い理解が得られ、古典を読み解くとはこういうことかと実感できる。学生の試験のスケジュールに配慮してレポートの締め切りを延長してくれるなど、先生がとても優しいのも魅力的。政治学に興味がある学生や文科一類の学生には是非ともおすすめしたい。
■現代経済理論
①オムニバス(各分野から1人ずつ)
②金曜2限
③総合科目C
④本郷の経済学部各分野でご活躍の教授陣が勢ぞろい。社会科学で「経済○」を担当している先生は駒場の教員で、分野も概論が多いので、より専門分化して実践的なお話が聞けるこうした機会は貴重。労働経済の山口先生や会計学の首藤先生らが人気。例年期末レポートは自身の関心ある講義回をまとめるだけ(これは要確認・今年は違うかも)という敷居の低さもあって、人気講義の一つ。「経済学? (゚Д゚)ハァ?」「経済学www」といった知的態度の学生の履修も強く歓迎している。
【総合科目D~F系列】
■社会システム工学基礎I
①オムニバス
②木曜5限、Sセメスター
③総合科目D
④工学部社会基盤学科の教員が、オムニバス形式で「東京のインフラストラクチャー」について語る。専門の方々が熱意を持って話されるのでとても面白く、理系分野に全く素養のない私でも毎回毎回理解して聞くことが出来た。知花先生の河川のお話が特におすすめ!全国津々浦々の河川を、豆知識とともに紹介してくださるので行ってみたくなる。
■社会システム工学基礎I
①オムニバス
②金曜5限、Sセメスター
③総合科目D
④木5に同名の授業が開講されているが、こちらは建築学科ver. 。オムニバス形式で「建築空間のデザイン&リサーチ」について語る。デザインから環境科学まで「建築」と名の付くものに幅広く触れられる。建築史は特に、文系の世界史選択者が大いに楽しめる。筆者は生粋の文系だがこの授業で建築に目覚め、建築巡りなどするようになってしまった。
■アドバンスト理科
①柳澤実穂
②金曜2限
③総合科目E
④かなり内容は高度ですが、細胞を物理的に観察する手法を数式や最新の論文の結果を用いて具体的に指導してくれる。
生物学以外の学問である統計学、熱力学などの融合分野の一端に触れられました。グループワークが多く、与えられた問いについて皆で議論して1つのグループ内で意見をまとめるという時間が創造的で楽しい。なお、この授業は1、2年生対象なので上の学年の物理又は生物の専門的知識を既に持った学生の方と交流できるのも刺激的。
■社会生態学
①梶田真
②木曜3限
③総合科目D
④日本の公共事業政策及びその実態について、地理的/歴史的分析を行いながら学ぶ授業。日本が世界でも極めて稀有な「土木公共事業」国家であるとされている背景がわかり興味深い業。梶田先生は実際に地方自治体に赴いてフィールドワークを行われており、その写真について感想を述べられる時間はゆるい雰囲気でこれまた一興。
■社会行動論
①北村英哉
②水曜2限
③総合科目D
④前期課程唯一の社会心理学の授業。「社会心理学は主観的な人間の行動を科学的に分析する、70%〜80%の科学」をモットーに、印象形成や対人認知、感情から遺伝や日本文化論に至るまで、多岐にわたるテーマを扱う。勉強になる雑談を関西弁で大量に挟みながら授業が展開し、たまに心理実験も体験できるので、とても楽しめる。課題は多いが、その分身に付く教養も多くためになる。受講すれば心理学という学問の印象が変わるかも?
■計算機システム概論
①森畑明昌
②火曜2限・金曜2限(S1タームのみ)
③総合科目F
④計算機アーキテクチャ、OS、分散処理、並列処理、データベース、セキュリティ、プログラミング言語、AIなどのトピックについて幅広く学べる。「情報系」にどのような分野が内包されるのかを学べるので情報系を志す人におすすめ。オムニバス形式であり、前提知識無しで講義を受けられるのも魅力の一つ。ただ「概論」とあるようにそれぞれのトピックにそれほど深入りはしないため、上述の分野にすでに精通している人には物足りない可能性もあり。
■数理科学概論Ⅰ
①小林俊行
②木曜1限
③総合科目F
④文系のための大学数学入門。担当の小林先生はフンボルト賞を受賞された著名な数学者だが、文科生に数学を教えることに哲学と矜持を持ってこの講義を長年担当されている。二項定理について2〜3回掛けて扱うなど最初はゆっくりスタートし、イメージの理解を徹底して作ってから一気にペースを上げて偏微分・重積分くらいまでを扱うので、ついていけば無理なく理解することができる。そのため文科一類・文科三類の学生にも安心で、「数学ができない文系にはなりたくない」という人にはおすすめ。
【総合科目L系列】
■フランス語インテンシブ(TLPではないほう)
①アガエス・ジュリアン
②月曜5限と木曜1限
③総合科目L
④インテンシブの授業ではあるがTLPとほぼ変わらないレベル。オーラル、読解、リスニングなど基礎からバランスよく学ぶことができる。毎回宿題が出て、授業には積極的な参加が求められるが,先生がとても熱心に教えてくださり、学生も意欲が高い。外交官やフランス企業に勤めている方を招いての講演や、クリスマスパーティーもあり、学生同士の交流も盛んである。長期休みでも、先生が自主的にオーラルの練習会を開いてくださり、歴代のTLPの先輩や過去にジュリアンの授業をとった人とも繋がれる。例年は授業で学生同士がとても仲良くなり、セメスターが終わると打ち上げを先生を含めて行うらしい。
※TLPについてはTLP紹介の記事をご覧ください!
【主題科目】
■30年後の世界へ
①石井剛
②金曜5限
③学術フロンティア講義
④東大本部肝煎りで設立された機関・東アジア藝文書院で副院長を務められている中国哲学・中国思想史の石井剛先生が主催するオムニバス講義。30年後の未来を構想することをテーマに、哲学・生物学・文学・歴史学など様々な分野のスペシャリストが各回に講義する。2021年度の副題は「学問とその“悪”について」、そして今年2022年度の副題は「『共生』を問う」。初年度であった2020年度の授業は書籍化して出版されている。入学して本物のリベラルアーツに触れたい人には是非おすすめの授業。
■医学に接する
①石川俊平
②水曜18:00~19:30または金曜18:00~19:30または夏休みの集中講座から選択
③全学体験ゼミナール
④4〜6人のグループに分かれて医学部の研究室や病院の医局を回ることができる。グループにもよるが、一日中手術室に入れてもらい、解説を受けながら間近で見学できるグループも。教養学部前期課程に在籍している間に病院に入ることができる珍しい授業。4/7のガイダンスに出ないと受講できなことに注意!
【最後に】
履修を組む際には、以下の記事も合わせてご覧ください!
・履修の入り口 第1章 〜基本用語〜
・履修の入り口 第2章 〜授業区分〜
・履修の入り口 第3章 〜授業の探し方〜
・履修の入り口 第4章-1 〜文科一類の履修〜
・履修の入り口 第4章-2 〜文科二類の履修〜
・履修の入り口 第4章-3 〜文科三類の履修〜
・履修の入り口 第4章-4 〜理科一類の履修〜
・履修の入り口 第4章-5 〜理科二・三類の履修〜
・履修の入り口 第5章 〜進学選択編〜
※この記事は、2021年度の情報に基づいて作成しています。年度によって曜日・担当教員が一部変更される可能性がありますのでご注意ください。校閲などを経て間違いがないように努めておりますが、もし間違いを発見した場合はそっとUT-BASEまで教えてください。