皆さんは「インターン」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?
インターンと聞くと、「就活の準備?」と思われがちですが、就活とは関係なくインターンをしている東大生は、結構たくさんいます。インターン先も、ベンチャー企業・国際機関・NPO・官公庁・就職先などさまざま。中には海外でインターンをする人もいます。また、インターンが転機となって自分のやりたいことを見つけたという人も。
「インターン」とは具体的にどんなものなのか、インターンをすることでどんな学びを得られるのか、この記事で少し覗いてみましょう!
そもそも、「インターン」とは?
インターンには大きく分けて2種類ある
インターンは大きく分けて長期と短期の2種類があります。
長期インターン
長期は(学生視点では)アルバイトと似た雇用形態で、実際にその会社・団体の実務にかかわるのが大きな特徴です。特別な条件がない限り、学部1年生から博士課程までと学年の幅は多様なことが多いです。
短期インターン
一方短期は(学生視点では)就活の選考に結びつくプログラムやその他体験活動(1週間程度)を指すことが多く、学生同士で行うグループワークや業務の疑似体験が活動として多いです。基本的に学部3年生や修士1年生が参加することが多いですが、学部1,2年生から参加する人もいます。筆者の知り合いでも、学部1年生ながら大手事業会社や飲食チェーン、広告代理店などのサマーインターンに参加した学生が複数名いました。
また、給与が出るものと出ないもの両方あります。
どこでインターンできる?
インターンが大学生の主要な活動の一となった現在は、国内外問わず、大企業、ベンチャー企業、NPO、NGO 、国際機関などさまざまな機関がインターンを募集しています。国際機関やNGOのインターンでは、海外で活動することもあります。また、かつてより、オンライン勤務など場所に囚われない働き方が用意されているケースも多いです。UT-BASEメンバーやその周りの人がこれまで経験したインターン先には以下のようなものがあります。(体験談は後述します!)
・人材系ベンチャー企業
・リスクマネジメントを行うコンサルタント企業
・農業系ベンチャー企業
・国際系NPO
・官民連携を推進するベンチャー企業
・国際機関
・市議会議員サポート
・小規模シンクタンク
・教育系NPO
インターンって具体的にどんなことをする?
ここでは、UT-BASEメンバーがインターンをした業種とその経験談をご紹介したいと思います。
よかったこと、どう成長できたか
・農作物の栽培に関する知識を身に着けることができた
・産地(JA)に関する理解を深めることができた
・作業時間を気にするクセが付いた
・基本的にオンラインでやり取りをし、作業時間の制約もないため、隙間時間に勤務できる
・ベンチャーなので社長や有能な社員さんとの距離が近い。社会人としての感覚やルールについて教えてもらえる
悪かったこと
・インターンを始めた当初は給与体系がしっかりしていなかった。成果報酬制と言いながら時間制の側面が強かった。
・現在は完全に成果報酬制だが、作業能力によって時給が変わるので作業の能率を上げる必要性が高い。
・業務を始めた当初は苦手な作業を割り振られることがあった。
よかったこと、どう成長できたか
・企業とのやりとりを通じて、実際のお金の回り方などを学ぶことができた
・金銭や営利に対する嫌悪が今まではあったものの、たとえ非営利法人であっても実際に組織を回していくいくうえで常に念頭に置かなければならないものであることや、「良いお金の回り方」を知ることができた
・コミュニケーションスキルやビジネスマナー、資料作成能力の向上
・NPOで働くことの厳しさという現実に気づくことができた
・テロ・紛争を安全保障の観点からではなく、心理的・社会構造的な側面から考えるという貴重な経験が得られた
悪かったこと
・正直、当初期待していた国際協力の知識・ノウハウ吸収という目的はほとんど達成されなかった
・2Aセメスターからの学科の勉強と両立できるか否かを考慮せずに参加してしまったため、最終的に手詰まりになり辞める形となってしまった
・組織変革・部門再編の時期にあったこともあり、新規部署を一から作っていかなければならずかなりの負担だった
よかったこと、どう成長できたか
・先輩インターンが非常に優秀で、ついていくのが大変だが学びが多い。業務量が多かったときは、何を優先し何を後回しにするか等、計画性を持って確実に終わらせるという能力が付いた。
悪かったこと
・繁忙期は非常に業務量が多かった、良くも悪くも予想以上にインターンに責任があり精神的に辛いときもあった。
そのほか
インターンは「やらなきゃ」と言って始めるのではなく「やりたい」と心から思えるものに応募してみるのが良いと思います!
業務内容詳細
1.街頭での活動(駅立ち、演説)
2.市議会の傍聴
3.市政に関する政策研究発表
4.選挙活動の見学(一応、ニュートラルな立場で見学と書いていますが、ウグイス嬢やチラシのシール貼り、チラシ配りという形でガッツリ関わることもできます)
※エキストラで各自の興味に沿った活動もできる
インターンから派生して
①市の大元となる計画を決める総合計画審議会の公募委員(任期は2020年10月〜2021年10月)として2ヶ月に1回程度の頻度で開催される委員会で意見
②タウンニュース「政治の村students」でブログ執筆
③市の大元の計画に対する若者からのパブリップコメント提出キャンペーンの企画・運営
をしています
よかったこと、どう成長できたか
政治家や政治に対するイメージがより身近で具体的になった。さまざまな市民や横須賀の志ある若者と関われるのも魅力。個人的には議員さんとその周りでキャリアや進路について相談できる大人が増えた。
悪かったこと
特になし(笑)
よかったこと、どう成長できたか
・ソフトウェアエンジニアという職業へのイメージを具体化できた。また、会社内で、どのような部署がどういう仕事を管轄しているのかを知ることができた。
悪かったこと
・自分のコーディング能力が社会人に比べて低すぎて、英語でオンボーディング資料を作成する場面でしか貢献できなかった。
※オンボーディング:企業が新たに採用した人材を職場に配置し、組織の一員として定着させ、戦力化させるまでの一連の受け入れプロセス
よかったこと、どう成長できたか
・人事制度関連(1on1制度やオンボーディング等)や社長・経営陣のコミュニケーションスタイルは学ぶことが大きかった。自分のマネジメントにも大いに生かしている。
・企画や予算を通す流れを実際に経験し、1,2段階上の視座に立って目的から逆算する訓練になった。
※1on1:上司と部下が1対1で定期的に対話を行うこと。
悪かったこと
・サービス自体に魅力を感じていない状態で参加してしまったこと。
・身内に魅力的ではないサービスを宣伝するのを強いられ、その割には対価が安すぎたこと。(その気持ちを殺して滅私奉公するほどの気持ちにはなれなかった)
・幹部・社長以外のメンバーが、優秀かつ多忙か、非優秀のどちらかで、タスクを一人で抱え込む構造になってしまったこと。
具体的な入社方法・内容・待遇は?
ここからは、「インターンやってみたい!」と思った人向けに、具体的な入社方法や待遇について説明していきます。ここからは少し細かい話になってくるので、興味のある人は読み進めてみてください。
長期インターン
探し方は後述しますが、リファラル採用(その会社の社員が知り合いに声をかけて採用する方式)にせよ応募形式にせよ、入社の意思を企業に伝えたのちに選考を受けることが多いです。履歴書を提出したのち社員さんと面接して、入社後にどのような活動をしていくのか、どの程度活動に専念できるのかを確認されることが一般的でしょう。その時点で合否が決まることもあれば、メール等で後日連絡のこともあります。
募集段階で「週〇回」「週〇時間」のような条件を課す企業も多い一方、シフト形式(アルバイトと類似)を取る会社もあります。また、完全リモート制のインターンも増えてきました。(筆者が経験した国際系NPOでのインターンはフルリモートでした)
勤務内容は千差万別ですが、最も一般的なのは社員さんのサポート業務です。会議の議事録取りやクライアント先への提案資料の作成などにあたります。インターンに時間をかけて取り組めそうと評価された場合は、実際に自分が営業のためクライアント先を訪問したり一事業を任されたりと、裁量(自由度)の広い業務を任されることもあります。社員さんの1、2年目と比べても遜色ないこともしばしば。筆者の知り合いでは、業務内容の効率化を自ら上司に進言し、予算を取って社内の利益を10%向上させた方もいました。
インターン先によって待遇は異なりますが、有給の場合は時給1300円前後が一つの目安で、契約件数など成果報酬制のインターン先もあります。無給インターンの場合はもちろん、有給の場合も東大生の一般的なアルバイトに比べると時給が安いことが多いので、自分が何を求めてインターンするかを定義できるようになるのが望ましいでしょう。
短期インターン
こちらは短期間・少人数で行われます。さらに、企業の採用活動に直結するため選考が厳しくなることが多いです。能力試験やエントリーシート、面接などで倍率10倍以上の仁義なき戦いが行われます。
業務内容は、先述したように製品開発や戦略立案などを学生グループで行うことが多いですが、1日開催などの場合は企業の説明会や工場見学のみとなることもあります。
インターン先によって待遇は異なりますが、新卒で自分の会社に入社してもらうための「優秀な学生の囲い込み」は企業にとって大事な任務なので、「参加のみで10万円、立案コンテスト優勝チームはさらに10万円」などの好待遇を約束する企業は多いです。
インターンはどうやって探す?
インターンは長期・短期関係なく様々な形態で行われます。そのため、各インターンに自分が向いているかどうか、そこでの活動が自分にとって有意義なものになりそうかを見極めるのが非常に重要です(もっとも、多くの学生にとってつまらないと思われるインターン先がなくはないのも事実)。
あくまで一般的な傾向として、インターンの探し方を説明します。大きく分けると、「企業から個人的に誘われる型」、「自分から仲介サイトを見て応募する型」、「業界から調べて直接志望企業に連絡する型」の3つがあります。
リファラル
リファラル採用とは、社員に人材を紹介・推薦してもらう採用手法のことです。たまたま知り合いから「うちに来ない?」などと声をかけられて面接を受ける、などがこれに当てはまります。リファラルで入る人が長期では相当数いる一方、短期では少ないと思われます(これはあくまで筆者の経験則)。
採用される学生側のメリットは、実際にその会社で勤務経験がある知り合いから内情を伺えることがあります。また、採用する企業側も、採用したのに音信不通になる、想定外のミスが多い、などの採用リスクを下げられるので、ある意味win-winな手法です。長期インターンも(新卒採用の1/10ほどだが)人材系サイトへの仲介料が数万単位で発生するので、人材獲得費用を抑えたい企業も、この方式を好むことが多いです。
ただ気を付けるべき点は、仲介するリクルーターに採用報酬が企業から支払われている場合が往々にしてあるので、その人を完全に信頼しきるのは危険だということです。筆者の知り合いも、仲介役となった経験が何度かあったそうです。
仲介サイト
長期・短期関係なく、これが最も一般的なインターン先の探し方でしょう。前述のように人材仲介料が高いこともあり、人材系のビジネスは現在多数存在します。
インターンの仲介サイトは以下の通りです。
(参照:HR Note https://hrnote.jp/contents/news/internship-khaosmap-20200210/ )
また、東大の学生団体にもインターンを扱っているところがあるので、そちらを介してインターンをしている人もいます。たとえば、学生団体AIESECは海外インターンを企画運営しています。筆者の先輩はそれを通じて参加したインターンで、アフリカの病院での医療支援活動を行なっていました。
業種や形式によって、このように多様な選択肢があります。
学生側のメリットとしては、このようなプラットフォームは各社のインターン案件の違いをしっかり確認でき、そのため相対的にブラック⇔ホワイトなインターン先の見極めがしやすいことです。そして仲介サイトによっては選考手続きや入社後のサポートが充実している会社も多いです。
一方で、業績を上げることに躍起になり、適当なインターン先を推薦してくる仲介サイトもあるので、リファラル同様に自分自身での判断も大事になってきます。
その他
「自分で」探しに行く方法です。主に2パターンが考えられますが、1つは、特定の企業で働きたいという希望が前からある場合。もう1つは、目ぼしい企業が仲介サイトでは見つからない場合です。
前者は、NPO法人でインターンしたい学生に多いでしょう。(筆者もこの方法で国際系NPOのインターンを始めました)話に聞く中で、「カタリバでインターンしたい」と考え、直接カタリバのホームページに行って申し込む、などが典型です。後者は、自身が働いてみたい業界・勤務内容などで良い候補が受動的に得られない場合に多く、業界研究を経て知り合いに社員さんを繋げてもらう、または企業のホームページから直接問い合わせるなどのケースが多いです。
筆者の身近な例としては、以下のような例があります。
・(前者)リディラバ代表の講演会を聞き、その後ソーシャルビジネスに強い関心を持ち、リディラバインターンに応募、1年間活動。
・(後者)ベンチャーキャピタルでのインターン先を探しており、優良そうな候補を3つ程度絞ったのちに各社ホームページから直接連絡を取って現在もインターン中。(2021年5月現在で約10カ月目)
・(後者)リーガルテック方面のインターン先を探しており、仲介サイト先で推薦され応募した弁護士事務所から連絡が来ないので、業務内容が似ている事務所に直接連絡して採用され、半年程度活動。
※リーガルテック:法務業務において発生するさまざまな課題をクリアするため, テクノロジーを用いて事務作業などを効率化すること
いかがでしたか?インターンでは、大学という枠に縛られず、社会の一員として働くという経験ができます。もし少しでも興味を持った皆さんはぜひ、一度インターンを経験してみてください。