「東大関連スタートアップでインターン!?」 #1・Onedot

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「東大関連スタートアップでインターン!?」は、東京大学の完全子会社のベンチャーキャピタルである東大IPCと、東大の学生メディアUT-BASEが連携して執筆する連載記事です。
東大関連スタートアップでインターンをする現役学生と、その企業の創業者やCEOの方などをゲストにお迎えし、どんな思いでどんなお仕事をされているのかを率直にお聞きして記事にしました。
この記事を読んでくださっている皆さんに「スタートアップで働くこと」の魅力が伝われば幸いです。どうしてこのような記事を執筆することになったかについてはこのシリーズの第0弾の記事をこちらからお読みください!

※広報等を含め、当企画において、UT-BASE及び東大IPCはあらゆる機関から一切の金銭その他の報酬を受け取っておりません。事実に基づき客観的に記事執筆を行っていますが、事実誤認等がありましたら早急にお知らせください。

はじめに

経済学部4年の張さんは、Onedotで仕事をするやりがいについて、「日中の(中略)二国間関係に少しでも貢献できる」「マーケティングの基礎が学べる」ことがあると話します。
スタートアップでのインターンは楽なものではないはずです。しかしなぜ、張さんをはじめ多くの学生はスタートアップでのインターンを始めるのでしょうか、またスタートアップでのインターンに「向き不向き」はあるのでしょうか。
今現在インターンを行う張さんと、そうしたインターン生を間近で見つめると共にご自身もスタートアップでの就業経験と起業した経験をお持ちの鳥巣CEOに「ホンネ」を聞いてきました。

目次

    ⓪基本情報

    CEO:鳥巣さん


    2002年文科一類入学。法学部卒業後にはナップスタージャパンにて経営戦略部長として世界初のモバイル音楽聴き放題サービスを立ち上げ。BCG Digital Venturesおよびボストン・コンサルティンググループにて、Principalとしてインターネット領域の新規事業やグローバル戦略に携わる。その後起業し、ワンドット株式会社代表取締役CEO・上海万粒网络科技有限公司董事長CEOを務める。

     

    学生インターン:張さん


    2018年文科二類入学。 東京大学経済学部4年生。華僑で日英中3ヶ国語を話す。大学では英語ディベート部(UTDS)に所属、英語ディベート国際大会のEFL部門で優勝。京論壇2020代表。趣味はダンスで、東大五月祭や慶応三田祭などに出演。これまで&ARTやラクスルなどのベンチャーでインターンし、マーケティングを担当。京論壇の先輩に誘われ、Onedotでより中国向けマーケティングを経験するためにOnedotインターンに参加。

     

    取材先:Onedot株式会社


    中国市場を目指す日本発のスタートアップとして、主に東京及び上海の2拠点体制で業務に取り組む。「世界中の子どもと家族を笑顔に」をコーポレートミッションに、ファミリー/ヘルスケア領域を中心に、自社で開発・運営する中国デジタルプラットフォーム事業と、日本企業の中国事業を支援するマーケティングサービス事業を両輪で展開中。

     

    募集職種:ビジネス
    表記:CEOの鳥巣さん -(T)・インターンの張さん -(C)

    ①どんなスタートアップ?

    ーーーはじめまして。鳥巣さん、張さん、今日は宜しくお願いします。スタートアップで仕事をする経験の楽しさややりがいを沢山お聞きできればと思います。早速なのですが、まずはOnedotさんがどんな会社なのか簡単に教えてください!

    (T)はい、こちらこそ宜しくお願いします。Onedot(中国法人:万粒)は、主に中国で事業を営む、日本のスタートアップ企業です。どんな事業を行っているかというと主に2つあります。日本企業が中国向けに行うデジタルマーケティングを支援することと、中国でデジタルプラットフォームを開発・運営することです。

    ーーーデジタルマーケティング、デジタルプラットフォーム、どちらもあまり耳馴染みがない言葉ですが、具体的にはどんなことをされているんでしょうか。

    (T)中国に進出している日本の消費財メーカーさんに対し、中国のSNSやEC上でのマーケティングについてサポートしたり、消費者や競合分析をはじめとした市場環境の調査とコンサルティングをしたりしています。これがデジタルマーケティングの支援に当たります。後者のデジタルプラットフォームとは、主にアプリやWEBメディアのことですね。私たちは、育児に関するメディア・ペットの健康管理に関するアプリ・日中の越境医療に関するメディアの3つを主に運営しています。

    ーーーありがとうございます。会社内でのお二人のお仕事はどのようなものですか?

    (T)難しいですね(笑)。普段は上海に住みながら、代表として事業全体の方向性の設計や組織のマネジメントを行っていますが、個別のプロダクトの改善やクライアントとの折衝に参加することもあります。まだ社員の数が100人に満たない会社なので、代表のやることがこれといって決まっているわけではないんですよね(笑)。

    ーーースタートアップ企業の代表は結構「何でもやる!」というイメージがあります(笑)。張さんはいかがでしょうか。

    (C)Onedotの事業は複数の分野にまたがっていますが、私はマーケティングについてコンサルティングする事業を担当しています。中国における市場や事業環境のリサーチが私の担当業務です。
    具体的には、SNS上での消費者の動向や競合企業・競合製品について綿密に調査を行い、マーケティングについてアドバイスをしたり、競合との差別化に向けた強みや弱みを分析したりします。そしてその内容に基づいて、チームで具体的な提案内容を作成し、クライアントにお伝えするんです。

    ーーーそうなんですか。ちなみに、張さんご自身の意見や提案も結構そこに反映されるものなんですか?

    (C)人数が少ないスタートアップだからこそだとは思いますが、反映されることもありますよ。例えばこの前は、とある日本の大企業のNFT事業での中国進出についてOnedotで支援をしていたのですが、そのクライアントに対しての提案内容には私の意見が結構反映されていましたね。

    ーーー学生インターンも活躍できる環境はスタートアップならではですね!

    ②CEOと学生インターン、それぞれのやりがいとは…?

    ーーーさて、ここまでは基本的なことをお伺いしてきましたが、次にお二人がどんなやりがいを感じてお仕事をされているかをお聞きできたらと思います。まずは鳥巣さん、いかがでしょうか。

    (T)私自身は、中国へのバックグラウンドはありません。また、Onedotは日本の企業の資本で設立された会社ですが、先ほどお話したことからもわかるように、「日本と中国をつなぐ」ビジネスをしています。実際、社員の方は日本人よりも中国人の方が多いです。
    中国はこれだけ大きい国で、隣国ということで日本との関係性も強いですよね。さらに言えば、市場自体もどんどん拡大しています。しかし俯瞰的に見てみると、私たちのような中国向けの事業に特化した企業はまだ結構珍しいのかなと思います。中国市場の動向や、中国でのビジネスへの理解は日本ではまだまだ広がっていないんですよね。まさにこの部分に私は2つのやりがいを感じています。

    ーーー2つのやりがいですか?

    (T)一つ目に、ビジネスチャンスとして、「中国市場」がとても大きい点です。チャンスが大きいからこそ、ワクワクしますし、大きなやりがいを感じるわけです。
    二つ目に、単なるビジネスチャンスにとどまらないという点です。日中の歴史的・距離的関係は密接です。ただ、これは人間関係も同じだと思いますが、関係性が濃ければ濃いほど「複雑」になりますよね。今の日中関係も大変複雑だと思います。しかし、日中の二国間関係の安定は世界に大きなインパクトがあります。日中の経済関係の結びつきと相互理解を深めることに少しでも貢献できればいいなという気持ちがあります。この時代にこの場所に生まれた者だからこそ取り組むことができる、取り組む価値のある課題なんだなと思いますね。

    ーーー日中関係に少しでも貢献したい…そんな気持ちがあったんですね。

    (T)私たちの会社は様々な事業を行っていますが、事業で扱う内容は育児やペット、ファミリー・女性向けの消費財など、「家族の健康や幸せ」に関係するものです。会社のミッションとしても「世界中の子どもたちと家族を笑顔に」を掲げており、こうした部分を糸口に、二国間の関係がより強くなっていくのが良いなと思っています。

    ーーー心温まるミッションですね、ステキです。張さんはいかがでしょうか。

    (C)名前からもお分かりかもしれませんが、僕は華僑です。家では中国語を話します。でも、今まで中国語を使って何か活動するという機会はありませんでした。そんな中で、Onedotの仕事を通じて、人々のニーズや流行に触れつつ中国と関わることができるのはとても楽しいです。
    また、経済・ビジネスを通じて日中の交流を促進するのは現実的なアプローチだと感じています。そういった二国間関係に少しでも貢献できるのも良いですよね。

    ーーーやはり鳥巣さんと同じく、日中関係はやりがいの根底にあるんですね。

    (C)はい。それだけではなく、大きなやりがいの一つとして、マーケティングの基礎が学べるというのもあります。例えば、マーケティングには2つの主要な調査があります。1つは「需要性調査」で、「ある商品を売る際、どんなニーズがあるのか?」という問いについて調査します。もう1つは「競合調査」で、「他にどのような会社があるか?」や「競合製品と比較した際に差別化できそうなポイントはどこか?」などを調査します。もちろんさらに詳しいことも、日々教わっています。

    ーーースタートアップはあまり面倒見がよくないイメージもありました(笑)。丁寧に教えてもらえる感じなのでしょうか?

    (C)先輩の社員さんをはじめ会社の人と距離感が近いので色々教えてもらうことができます。スタートアップでの人間関係は「上司ー部下」というよりも、より身近な「先輩ー後輩」に近いかもしれません。なので、凄く勉強になるフィードバックを貰うこともしょっちゅうです。

    ③インターン生の「ホンネ」

    ーーー続いて、張さんから鳥巣さんにお伺いしたいこと、鳥巣さんから張さんにお伺いしたいことをお聞きしたいと思います。普段なかなか言えないような「ホンネ」をお話頂けたら嬉しいです。

    (C)分かりました。何を聞いても大丈夫なんですよね(笑)。ではまず就活についてお聞きしたいのですが、「新卒でベンチャーへ」というキャリアについて鳥巣さんはどう思われますか?

    (T)私自身は、大学4年生の時から入社していたベンチャー企業(ナップスタージャパン)でファーストキャリアを歩みました。実はその時から私の意見は変わっていないのですが、やはり重要なのは「何がしたいか」なのかなと思います。
    ただし、最初に入る会社(ファーストキャリア)はその人の「マインドセット」に大きな影響を与えると思います。初めて本格的に会社に入って仕事をする人間が、「どういう意識で仕事をするのか」は、最初に入った会社の文化や仲間によって形成されると思います。まさに「三つ子の魂百まで」という感じです。
    逆を返せば、「どういうマインドセットを持ちたいか」という視点をキャリア選択の上で大事にした方が良いのではないでしょうか。最初に得る「マインドセット」は、後のキャリア観にも影響しますし。

    (C)なるほど、マインドセットですか。ちなみに、スタートアップにはどんな人が向いていると思いますか。

    (T)自分で考えるのが好き、自分の力で何かをするのが好きだという人は向いていると思いますね。

    (C)ちなみに鳥巣さんはファーストキャリアを過ごしたスタートアップでどんなことを学ばれたんですか?

    (T)ゼロから何かを始める経験を何回も積みましたね。それが今の自分の血肉になっているという実感がすごくあります。また、「スタートアップ精神」みたいなものもその時期に身についたのかなと思います。新しい事をしたい、意味のある事をしたいというマインドセットですね。

    ーーーなるほど。鳥巣さんはファーストキャリアでスタートアップ精神を身につけたからこそ、今があるのですね。

    (T)私から張さんに聞きたいことも1つあります。

    ーーーありがとうございます。ぜひお聞かせください!

    (T)張さんが「キャリア」としてOnedotで「得たいもの」・「得られそうなもの」はありますか?

    (C)先ほど申し上げた、マーケティングの基礎を学ぶということは「得たいもの」ですよね。あと、私は最終的には自分で事業を作ったり経営をしたりしたいという思いがあるので、事業を作っていらっしゃる方を間近で見ることができるというのは本当にありがたい「得られそうなもの」だなと思いますね。
    大企業だと組織の全体像や意思決定の筋道が見えないことが多い気がしますが、Onedotのようなスタートアップだと最終的なアウトプットをしている人の直下で働くことができるので、「事業の作り方」が見えやすく役に立つなという実感はあります。

    (T)そうかもしれないですね。経営者の息子は経営者が多いと一般的に言われるように、「経営」や「起業」にはマインドセットや働き方なども含めた暗黙知や、「形式化されていない大事なこと」が多いと感じます。
    なのでやはり、経営者や起業家を近くで見ることが大事だとは思いますね。

    ④それぞれの将来の展望を教えてください!

    ーーーありがとうございました。それではお二方の今後のご展望、どんなことにチャレンジしたいかやどんなことを達成したいかについて教えてください!

    (T)そうですね。Onedotは会社として立ち上げてから5年経ち、ようやく「歩き始めた」という感じです。
    5年間やってみてわかったのは、日中間のビジネスはやはり規模が大きいし伸びる余地はあるということ、そして、健康・医療・観光・知的財産など高次のサービスにおいて、日本には世界に向けて役に立つものが意外と多いということです。
    だからこそ、もっともっと日本の強みを事業にしていきたいですし、そしてそれが自社の事業を大きくすること、日本のものが中国の消費者に届くようになることにつながったら嬉しいです。事業と関係ない個人的な面で言えば、自分の子供の成長がすごく楽しみです(笑)。

    (C)私は(※編集部注:張さんは学部4年生で戦略コンサルファームに内定。)まずはコンサルファームで3〜5年働いて、しっかりとビジネスの基礎を鍛えたいと思っています。経験を積む中でも「面白い人・面白いものをグロースハックする」をライフワークにしたいです。最先端であったりユニークなものの開発、普及を手伝って一緒に発展していきたいということですね。そして、その3~5年の経験の後は自らで事業を作りたいなと思っています。

    ーーーお2人ともカッコいいです。ぜひそんな日が来たら良いなとお聞きしていて思いました。それでは最後に、現役の学生に一言メッセージを頂けますか。

    ⑤学生へのメッセージ

    (T)今の学生の皆さんは、選択肢が多くて自由になりましたよね。やろうと思えば何でもできる時代。ただ、だからこそ、何かを始めるのは簡単だけど「続ける」のが難しいんだと思います。
    「続ける」ことができるのは自分が熱意を感じたり、やりがいを感じたりすること。ちょっとした見栄えの良さや収入の差は、中長期では「続ける」かどうかの意思決定にはあまり繋がらないかと思います。
    だからこそ、それが何であっても良いので、「自分が熱意を感じられるものに没頭する」経験を大事にしてください。

    (C)スタートアップでインターンすると面白い大人と出会えますし、今まで見えなかった自分の側面が見えてくるのでオススメです!

    ーーーありがとうございました!!

    ⑥おわりに

    ここまで記事を読んで頂き、ありがとうございました。Onedotさん、またはこうした東大関連スタートアップでインターンをしてみたいと思ったそこのあなた!
    こちらのフォームから、東大IPCさんを経由して、Onedotさんでのインターンへの応募について相談することができます。(募集が終了した際は、相談内容に応じて別のスタートアップでのインターンをご紹介することも可能です。)ぜひ奮ってフォームを出してみてくださいね。

    最後まで記事を読んでくださりありがとうございました!
    最後に1点、この記事を作成したUT-BASEからお伝えしたいことがあります。

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