■理念/指針・沿革
概略
大和総研に勤める宇野健司先生を社会人講師に迎えて、1,2年生を対象に開かれるゼミ。今年で7年目。
理念・指針
ゼミの指針として、授業を通じて様々な教訓を得ること、コミュニティを作ることの2点に重きを置いている。
前者は、授業形態からその方針が見て取れる。Sセメスターではケース教材を読んでディスカッション、Aセメスターでは社会人ゲストを招聘したゲスト講義が中心(”活動内容”で詳述)。いずれの場合も、 組織の上から下まで様々な立場を疑似体験することによって 、社会に出た時にどのようなことに気をつければ良いのか学びつつ、ディスカッションのスキルを身につけていく。
後者は、(Sセメスターの場合)事前課題のディスカッション班が毎週ランダムに設定されることや、学生主導の勉強会やご飯会などの企画を、先生が最大限に推奨していることから見て取れる。毎週共通の基本動作や目的があるため、コミュニケーション能力が身につくだけでなく、自然と仲間意識が醸成されていく。
交換留学が奨励され、先生が強く背中を押してくれる。一人一人相談に乗り、希望者全員に推薦状を書いて頂ける。2022年度は80人強、2021年度は50人強が合格し、現在交換留学中。(東大全体の交換留学生は毎年200人ほどなので、最大人数を輩出)。「東大USTEP生2023」というLINEグループを運営し、270人強の交換留学経験者・留学中の学生・合格者・希望者が参加している(宇野ゼミ以外でも参加可)。
またゼミOBOGを交えたゼミ内での本音ベース「交換留学説明会」「進振り説明会」「就活説明会」や、地方の高校生向け交流イベント(年数回ほど)を開催している。(昨年度は駒場祭にも有志で参加し、「東大宇野ゼミ模擬授業」「キャンパス体験ツアー」「進路相談会」なども行った)
沿革
(開講初年度の)2016年度から2019年度までは、駒場キャンパスのコムシーイーストにて対面30名(選考有)で行われた単位付きゼミだった。年度によって、選考で落選した学生60名ほどを集めて、前後の曜限でも同一内容を扱う単位無し自主ゼミが行われていた。
2020年度からは授業が全面的にオンライン化された。コロナ禍のため、駒場での対面交流の機会が喪失した1年生は特例として、「選考なし」で単位付きゼミに受け入れた。(単位付きゼミの枠を30名から60名に拡張し、以前同様の30名枠も現存)
刺激的な学生が多い傾向とはいえ、各曜限のメンバーをつなぐLINEやSlackワークスペースができたことから、単位付きゼミ受講者と単位無し自主ゼミ受講者との垣根は、以前より低くなった。
■活動内容
SセメスターとAセメスターで、活動内容は大きく異なる。
開講形態
2種類の開講形態を取る。
・Sセメスター(ケース教材のディスカッション)
単位付きゼミ(主題科目「問題解決のための思考法」)と単位無し自主ゼミとで構成。単位付きゼミは選考有だが、単位無し自主ゼミは東大生ならば誰でも履修できる。1クラス30名程度で、単位付きは2クラス、単位無しは希望者に応じて毎年変動。単位付き、単位無しともに、扱う内容・進め方は全く同じ。
・Aセメスター(社会人ゲスト講義)
単位無し自主ゼミのみ。
《Sセメスター》
授業
(選考や希望を元に)指定されたいずれかの曜限で、毎授業ごとに与えられるケースをディスカッションする。ケーステーマは、様々な人生の局面に立った社会人となっている(例:1年目の平社員/中間管理職/自営業/大企業の経営者(楽天の三木谷社長)など)。
大学の講義としては珍しく就職後の人生までを扱い、社会人としてのスキル向上に直結するものとなっている。講義はディスカッションスキルと自発的な行動力の獲得を促す海外のMBA形式。
毎週の課題として、翌週に扱うケースを読み込み、同一曜限のメンバーとランダムにグループが組まれ、授業前にディスカッションすることが指定、推奨されている。
授業外
授業外でもLINEやSlackを用いて、やる気のある学生が数名でチームを組んで企画を推進していく。原則先生は、各企画に口を出さない。
具体的には勉強会(デザインや英語資格など)や読書会、ラジオ番組、進振り説明会、バーチャル飲み会、東京めぐり会など、個々のスキルを高めるものからメンバー間の親睦を深めるものまで様々。
《Aセメスター》
授業
毎週社会人ゲスト講義が行われ、ゼミ生は興味ある授業回に主体的に参加する。
Sセメスターに在籍した学生の一部が中心となって、「コンサル」「ワークライフバランス」「起業」など諸テーマで、ゲスト講義が企画される。(Aセメスターから所属する学生の企画も大歓迎)
※過去の講演者一例
・中湊晃様(商社):元三井物産株式会社執行役員
・秋田夏実様(女性のキャリア):アドビシステムズ株式会社副社長
・内田和成様(コンサル):元ボストンコンサルティンググループ日本代表
授業外
新型コロナウイルスの蔓延による外出自粛や、オンライン交流メインでコミュニティ形成がやや難しかったこともあり、Aセメスターから新たに生まれた企画は少なかった。
■参考資料
①2020年度初回講義映像
※先生の許諾済み。
※無断保存・配布など二次利用は固く禁止する。
②UmeeT様の取材記事
※先生ご自身のキャリアやゼミ運営で大切にされていること等、UT-BASE記事で触れていない内容も掲載されているので、興味のある方はぜひ参照されたい。
※先生の推薦、UmeeT様の許諾を得て、「理念/指針・沿革」「活動内容」に、UmeeT様で記載された一部分を引用した。
■OBOGの進路/活動
〈進路〉
経済産業省ら国家総合職、また外資系戦略コンサルティング会社に就職する学生が多い。次いで外資系投資銀行や弁護士なども。
〈諸活動例〉
・毎年、ゼミ生のうち数名がゼミ内外のメンバーとともに起業している。
・GLPに参加する学生、海外留学する学生も多い。
※先生が留学推薦状を書いて下さることも多い。