■理念/指針・沿革
爛熟期を迎えた19世紀末フランスのサロン、とりわけ詩人マラルメの「火曜会」を範とするこのゼミは、文部科学副大臣も務めた東京大学公共政策大学院教授の鈴木寛(すずかん)主催のもと、『学藝饗宴』と題して学術と藝術を綜合する教養教育を目指すものである。「すずかんゼミ」として四半世紀に亘り開講されてきた歴史を持ち、2017年度より新たに『学藝饗宴』の名の下で開講されている。学術を俯瞰しながら、藝術というものを考えてみようというところから『学藝饗宴』と題されたため、一般的に東大生が得意であるとされる論理的思考能力や言語化能力では太刀打ちできない問いと出逢い、新たな視点から学問を再考することができる。
■活動内容
ゼミの活動は、ゲスト回、学生回、中間報告発表からなる火曜の夜の「火曜会」と、読書会、最終制作を行う合宿を主軸とする。
セメスター毎に3回ほど設けられるゲスト回では、講義・質疑応答・制作体験など、特定分野のプロフェッショナルによる講義が展開される。2023Aセメスターでは詩人の高橋睦郎氏を、2024Sセメスターでは、詩人・小説家の松浦寿輝氏をお招きして創作における考えをお聞きし、ゼミ生各々が持つ問いを深める貴重な機会となった。その他、過去にお招きしたゲストの一部についてはTwitter、およびFacebookに掲載するので確認してほしい。受講生によりプロデュースされる学生回では、学生各々の関心ある分野や、その期のテーマにについての勉強会やワークショップが開かれる。専門・興味の異なる学生間の等身大の議論からは、新たな展望が拓かれることだろう。
セメスターの中間に行われる中間報告では、各々が思考の現在地をA4一枚にて報告する。
また、他大学の学生との交流会が設けられることもある。2019年度は、慶應大学の学生とコラボレーション授業を行った。
火曜の夜以外に行われる読書会では、各期のテーマに沿って設定された課題図書を読む。一人で読むのには晦渋な文章にゼミ生全員で向き合うことで学びを深める。
セメスター末に行うゼミ合宿では、普段火曜会を行ってきた場から離れた合宿地にて、各ゼミ生が学習の成果を「最終制作」として結実させる。
求める学生象
『学藝饗宴』の講義は、特定の問題についての答えを与えるものではない。むしろ、関心のある領域をそれぞれが見出し、頭から離れなくなるような問いを得ることを目的とする。問いに際して、論理や経験から答えを導こうとするだけではなく、個々人が自らの真善美を追求し、感性を磨きあげることに重きをおく。分からないものの分からなさに好奇心を抱き、それを自らの血肉としてゆっくりと結実させようと試みるような学生を歓迎する。また、単に知識を深めるだけではなく、学んだ知識をいかにして実際の「活動」へと集約させていくのかということに興味のある学生に参加してほしい。