〈 内容 〉
ゲーム理論周辺の特定分野をセメスター毎に学んでいる。各セメスターで何を扱うかはゼミ生全員で決めていく。例えば2023年度のAセメで扱ったテーマは「統計的差別」であり、どうして差別が行われてしまうのか、どのような状況だと差別は発生するのか、といったことを学習した。このように、松井ゼミでは社会問題をゲーム理論の枠組みでモデル化し分析することを行っている。ノーベル賞を受賞した論文を読むことも。
またテーマとは別に、3年生が企画する「経済実験(※1)」がゼミ合宿で行われる。ゼミ生と先生が被験者となり、ミクロ経済学などにおける理論が実際に成り立つか実証するものが多く、過去の例では「公共財」というテーマなどが扱われた。笑いが起こる場面も多々あり、毎度盛り上がる人気のイベントとなっている。
※1:例えば景観保全を考えたとき、風景は誰かが独占できるものではないので、景観維持に貢献していない人でも風景を楽しめる。すると景観維持に関して寄付金を募っても、皆「他のだれかが寄付してくれるだろう。そうすれば風景をただで楽しめる」という意識から寄付をしなくなり、結果として景観維持ができなくなってしまう。このときの景観は「公共財」に当たり、実験ではこのメカニズムを応用した。
〈 授業計画 〉
輪読が中心で、学年混合の5班に分かれて担当範囲をプレゼン形式で発表していく。ゼミ中に班別での議論が頻繁にあり、大抵はゼミ生から出た質問や発表内容に対する先生のツッコミによって議論が始まる。
輪読の内容はセメスター前にゼミ生が話し合って決め、先生がテキストや論文を選ぶ。セメスターを通して1冊の教科書を読む場合もあれば、班毎に複数の論文を読んでいく場合も。
3年生によるゼミ論発表や4年生による卒論発表も行われている。
サブゼミ(※2)はAセメスターの水曜2限に行われる。先生はいないため、内容はゼミ生が主体となって決めることができ、本ゼミよりは易しめの教科書を輪読したり、経済実験が行われたりする。
※2 サブゼミ:経済学部の制度である「プロアクティブラーニングセミナー」の通称。形式上は学生の自主学習会ですが、実際はゼミの延長として関連テーマを扱う場合がほとんどで、参加者を集めた上で学部に届け出ると単位が付く授業として認められます。
〈 松井彰彦先生について 〉
1985年、東京大学経済学部卒業。(理科一類出身)
ノースウエスタン大学J.L.ケロッグビジネススクールにてM.E.D.S博士課程を修了後、東京大学大学院経済学研究科助教授を経て、2002年より東京大学大学院経済学研究科教授。
ゲーム理論と社会的障害に関する研究がご専門。
〈 他ゼミ比較 〉
ミクロ系のゼミで迷う人が割といますが、「雰囲気に惹かれて入った」というゼミ生が多い。メカニズムデザインではないミクロ理論も扱っているところが魅力