〈 内容 〉
計量経済学の手法を用いて、GDPやインフレ率、株価などのマクロ経済変数の時系列予測を行う。予測には、機械学習・深層学習の手法も用いる。プログラミング言語はPythonを使用する。
ゼミの内容としては、時系列分析(過去のデータを用いて将来の予測を行う)理論の学習、Pythonの実装方法の学習、予測の実践の大きく3つに分けられる。
理論の学習においては新谷・前橋『Pythonによるマクロ経済予測入門』(2022年, 朝倉書店) を教科書として使用する。(補助教材として、西山・新谷・川口・奥井『計量経済学』(2019年, 有斐閣) も適宜活用。)
〈 授業計画 〉
Sセメでは、新谷・前橋『Pythonによるマクロ経済予測入門』の輪読、先生による計量経済学の講義を中心に、時系列予測の基礎を学ぶ。
Aセメでは、予測対象とする経済変数(失業率、株価、インフレ率、為替レートなど)ごとに班に分かれ、ゼミ論の執筆を行う。ゼミ論と並行して、毎年異なるテキストを輪読し、そこで学んだ手法をゼミ論の中に取り入れていく。2023年度は 岡谷貴之『深層学習 改訂第2版』(2022年, 講談社) を輪読した。また、新谷先生や新谷研究室所属の社会人博士の方にも計量経済学の講義・研究紹介をしていただく。さらに、2022年度より慶應義塾大学経済学部のゼミとのインゼミを12月に開催しており、お互いのゼミでの分析の報告会、交流のご飯会などを行なっている。
2023年度はサブゼミ(※)が火曜日5限(ゼミ後)に行われ、Pythonの学習を行なった。初学者向けの基礎的なテキストからスタートし、最終的には機械学習を実装できるレベルまで到達する。2023年度の使用教材は以下の通りである。
Sセメは、馬場『Pythonで学ぶあたらしい統計学の教科書 第2版』(2022年, 翔泳社)、新谷・前橋『Pythonによるマクロ経済予測入門』を使用。
Aセメは、下山・三木・伊藤『Python実践機械学習システム100本ノック』(2020年, 秀和システム)、斎藤『ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装』(2016年, オライリージャパン)を使用。
※サブゼミ:ゼミの前後に行われる補習時間のこと。経済学部的にはプロアクティブラーニングセミナー(プロアク)とされる。サブゼミが、プロアクとゼミに認定された場合は単位が認められ、そうではなければ認められない。事前に特定のメンバーが監督者(4年生または院生)となり、受講者の名前・学生証番号も全て登録しておく。
〈 新谷元嗣先生について 〉
イェール大学にて経済学Ph.Dを取得後、平成26年から東大先端研教授、平成31年から東大大学院経済学研究科教授を務める。
2012年には、国際的に認知される業績を挙げた45歳未満の若手経済学者に対して与えられる中原賞を受賞。
平成 5年 3月 大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了
平成 5年 4月 大阪大学社会経済研究所助手
平成 12年 5月 イェール大学Ph.D.(経済学)
平成 13年 4月 慶応義塾大学商学部専任講師
平成 19年 6月 日本銀行金融研究所エコノミスト
平成 20年 8月 ヴァンダービルト大学経済学部准教授
平成 21年 5月 大阪大学金融・保険教育研究センター特任准教授(常勤)
平成 26年 1月 東京大学先端科学技術研究センター教授
平成 31年 4月 東京大学大学院経済学研究科教授
(詳細:http://www.e.u-tokyo.ac.jp/fservice/faculty/shintani/shintani.j/shintani01.j.html)
〈 他ゼミ比較 〉
時系列予測に特化した数少ないゼミ。
計量・マクロ・金融系のゼミと兼ゼミする人も多く、親和性は高そう。
Pythonを扱うゼミは他にもあるが、新谷ゼミでは初学者を想定している点、Python自体を学ぶというよりむしろ予測の実装のために手段として学ぶという点において、Pythonを勉強してみたいが興味を維持できるか心配という学生にはオススメ。