〈内容〉
マクロ経済学の基礎を学ぶことを中心に据えつつ、ゼミ生各人が興味のある分野の論文を発表するスタイルを取っている。本年度は、一回のゼミにつき教科書の発表を一名に、論文の発表を二名に行ってもらうという形式をとっていた。本年度は教科書はKrugman, Obstfeld, Melitz共著による『International Economics Theory and Policy』を選び、国際経済学の基本的理論を習得した。論文の発表は、キャッシュ・フローや法人税に関するものを選定した者もいれば、環境経済学や文化経済学・政治経済学を扱った論文を選定した者もおり非常に多様である。このように経済学の知識を幅広く習得したいと思う者や、それを生かし現実の分析を行いたいというような熱意のある者に強く勧めたいゼミである。
〈授業計画〉
両セメスター・両学年ともに教科書の輪読を行う。加えて自身が興味のある経済分野から、論文を自身で選定し、その内容についての発表を行う。
輪読については、教科書を先生の方で候補となるものをいくつか用意していただき、その中からゼミ生で話し合って実際に読むものを決定する。論文については、 American Economic Review, Journal of Economic Perspectivesなどから論文を選び、発表を行う。これに関しては、マクロ経済学に限定されず、経済学分野であれば基本的にはいかなる分野でも認められ、非常に自由度が高いと言える。
〈楡井誠先生について〉
1994年、東京大学経済学部卒業。
1996年に東京大学大学院経済学研究科において博士前期課程を修了。
2002年にはシカゴ大学において博士号(経済学)を取得。
その後シカゴ大学経済学部助教授・ユタ州立大学経済学部助教授・一橋大学イノベーション研究センター・大学院商学研究科准教授になる。
2015年には財務省財務総合政策研究所総括主任研究官になる。
2017年に東京大学経済学研究科准教授となり、2019年からは現職である同大学教授となる。
〈他ゼミ比較〉
東京大学にはマクロ経済学系のゼミが多く存在する。
それらを比較して本ゼミの特徴を述べると、比較的新しいゼミである点と自由度が高いゼミであるという二点が挙げられる。特に自由度という点では、先述の通り論文の選定は個々人の自由意志に完全に任せられるため、自分の興味のある経済分野を突き詰めることができる。加えて、他のゼミ生の発表を聞くことで、自身が触れたことのない幅広い分野の経済学の知識を身につけることも可能である。