〈内容〉
実証ミクロ経済学。データ分析の手法を学び、実社会のデータに応用することで社会問題の理解と解決を目指す。主な応用分野は「教育」「子育て」「労働」等の政策評価や市場分析などであるが、特に限定はしない。
〈授業計画〉
Sセメスターでは例年学術論文の紹介とディスカッションを行っている。特定のテーマに沿ってトップジャーナルから英語論文を数本選び、その内容について紹介する。経済学研究が何をどこまで明らかにしたのか理解し、その知見を日本社会における問題解決に応用することを目指す。昨年度は、「アメリカにおける教育政策の効果」や「女性の社会進出と離婚率の関係」、「試験における男女のパフォーマンス差」などを扱った。
今年度は因果推論に関する教科書の輪読を行う予定。因果推論の手法や理論だけではなく、それが労働経済学や教育経済学でどのような研究に用いられているのかを学ぶことができる。
Aセメスターでは自分たちでテーマを設定し、実社会のデータを用いて記述的分析や政策評価などの実証分析を行う。昨年度は、「雇用形態が結婚行動に与える影響」「男性による家事育児を促進する施策」などのテーマに取り組んだ。
毎回のゼミでグループ発表を行う。発表に対しては、他のゼミ生や教員から質問・コメントを頂き、それに対して回答し議論を行うことで、問題への理解を深めることを目指す。グループは3-4人で構成され、3年生も4年生も交えたものとなるのが通常。準備などを通じて、学年を超えた交流が可能。
〈テキストについて(参考資料)〉
山口先生から指示された計量経済学に関連するもの。
昨年度は 西山・新谷・川口・奥井『計量経済学』(有斐閣)
〈サブゼミについて〉
昨年度は、計量経済学の道具として、統計ソフトRの基礎的な操作を学んだ。
※サブゼミ:ゼミの前後に行われる補習時間のこと。経済学部的にはプロアクティブラーニングセミナー(プロアク)とされる。サブゼミが、プロアクとゼミに認定された場合は単位が認められ、そうではなければ認められない。事前に特定のメンバーが監督者(4年生または院生)となり、受講者の名前・学生証番号も全て登録しておく。
〈山口慎太郎先生について〉
労働経済学、教育経済学、家族の経済学等にご関心をお持ちの先生。
東京大学経済学研究科教授。内閣府・男女共同参画会議議員、朝日新聞論壇委員、日本経済新聞コラムニストなども務める。1999年慶應義塾大学商学部卒業。2001年同大学大学院商学研究科修士課程修了。2006年アメリカ・ウィスコンシン大学経済学博士号(Ph.D.)取得。カナダ・マクマスター大学助教授、准教授、東京大学准教授を経て2019年より現職。専門は労働市場を分析する「労働経済学」と結婚・出産・子育てなどを経済学的手法で研究する「家族の経済学」。『「家族の幸せ」の経済学』(光文社新書)で第41回サントリー学芸賞を受賞し、ダイヤモンド社 ベスト経済書に選出。『子育て支援の経済学』(日本評論社)は第64回 日経・経済図書文化賞受賞。(公式ページから引用)
Twitterでも多彩な情報発信をなさっている。
〈他ゼミ比較〉
ダブゼミしているゼミ生は例年それほど多くはない。今年度は16名中5名。兼ゼミ先は松井(ミクロ理論)、渡辺努(マクロ)、林(財政)、山本(経済史)など様々で、一貫した傾向はない。