■どんな学部?
比較教育社会学コース(以下、「比教社(ひきょうしゃ)」)とは、教育学部に設置された5コースのうちの1つである。区分としては教育社会学専修となるので、教育実践・政策学コースとの親和性が高い。
複雑化・多様化・グローバル化する現代教育の諸相を、社会科学的に解明しようとする学際的なコースである。様々な講義・演習科目にて基礎知識や方法論が修得でき、同時に「調査実習」という必修科目を通じて、社会調査の全過程を実際に体験することができるようになっている。それらの学習活動を通じて4年次に執筆する卒論では、ユニークでバラエティに富んだ力作が多い。
■卒業要件単位
卒業までに必要な単位は70単位以上であり、卒論8単位、必修科目30単位、選択科目32単位以上という内訳になっている。なお、詳細は以下の表を参照。必修科目のうち10単位は教育学部内の他専修の授業科目であるため、必然的にコースや専修の垣根を超えて履修することになる。
・必修科目の内訳
科目名 |
単位数 |
比較教育社会学概論 |
4(※1) |
比較教育社会学基礎演習 |
4(※2) |
教育社会科学演習及び教育社会科学特殊講義 |
10(※3) |
教育学部他専修の授業科目 |
10(※4) |
比較教育社会学研究指導 |
2 |
(※1):「教育社会学概論」(2単位)は必修とし、さらに、「比較教育学概論」(2単位)または「高等教育概論」(2単位)のいずれかから2単位を選択必修とする。
(※2):「教育社会学調査実習Ⅰ」(2単位)と「教育社会学調査実習Ⅱ」(2単位)は必修。
(※3): 「及び」とあるものは、「演習」と「特殊講義」にまたがって単位を取得しなければならない。なお、教育実践・政策学コースと合わせた教育社会学専修の中で開講されている授業を履修することになる。詳細はUTASの「学科・コース別検索(シラバス参照)」で確認できる。
(※4): 概論2単位以上を含む。
■進学定数は?
・進振り時点からコースごとに希望を出す。
・コースの定員数は17名で、受け入れ枠としては指定科類枠(文Ⅲ)、全科類枠の区分が存在する。
・教育学部の中では身体教育学コースに次いで定員が少ないコースである。
・定員数と各科類からの受け入れ数
受け入れ枠 |
第一段階 |
第二段階 |
文Ⅲ(指定科類) |
9 |
3 |
全科類 |
3 |
2 |
■卒論は?
〈卒論関係のフロー〉
時期 |
内容 |
6月 |
第1回卒論全体指導会(※1) |
夏休み |
調査実施(※2) |
10月 |
第2回卒論全体指導会 |
12月初旬 |
卒論題目提出(※3) |
1月 |
卒論提出(※4) |
1月末 |
卒論発表会(※5) |
2月初旬 |
卒論審査・判定 |
3月 |
卒業者発表 |
(※1):自分のゼミ以外の先生からコメントを貰う、初の公式な機会。これ以前に、非公式で行う人はそれほどいない。
(※2):夏休みくらいからフィールドワーク系(一次分析)・計量系(二次分析)の場合は調査を行う。10月の全体指導会では、ちょっと調査と分析を若干やったくらいの状態。ペースメーカーとして10月には調査をしておく。11月くらいには分析を終わらせておきたいところだが、実際には12月になっても続けている人が多い。
計量系の場合は、社会学研究所に行き、ゼミの指導教員経由で許可をもらって利用する。SSJDA(今までの就業データなどが寄託されているもの)を通じてデータを検索するが、許可を貰わないと具体的な分析が行えない状態である。フィールドワークでは、大きい問題関心から仮説生成を、計量系の場合は仮説検証を行うことが多い。理論系の論文を書く人はほぼおらず、毎年1~2名程度。
(※3):最終的な提出は1月頭であり、12月頭に題目を提出するため、それまでにテーマはまとめておく必要がある。順調な人は12月中旬くらいに初稿を書いて、コメントを貰い、書き直して1月頭に提出するパターンが一般的。
(※4):卒論構想を発表するゼミもある。
(※5):卒論発表会には、出席必須ではないがB3や院生も参加OK。
■卒業後の進路は?
・民間企業・公務員・教育現場(やや少なめ)・大学院に大別される。
・比教社会というOBOG会で登壇している社会人の方を見ても、実際のデータを見ても、多種多様な業界に分散していると思われる。
・「社会学」の文脈で社会問題に関心がある学生が多いからか、厚生労働省やLITALICO等の福祉系も少数ながらいる。
・大学院に行くと、シンクタンクなどに所属する人も増える。
・大学院は、ほとんどが「教育学研究科」の「比較教育社会学コース」へ進学。大学院は内部進学者が多い年もあればほぼいない年もある。