農学部
フィールド科学専修

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【環境資源科学課程】通称「フィ科(ふぃか)」

目次

    基本情報

    人数

    9名

    ジェンダーバランス

    少人数学科のため、年によって変動しやすい

    要求/要望科目

    なし

    就活or院進

    大多数が院進/就職は学年に1~2名程度/海外の大学院に進学する人も。
    (参考)卒業生の進路

    • 東京大学農学部 フィールド科学専修ホームページ
    公式サイト

    http://www.es.a.u-tokyo.ac.jp/

    学科概要


    ■どんな学部?

    フィールド科学専修は、自然生態系の破壊や環境問題等の地球規模で進む諸問題の本質を理解し、問題の解決に向けた提案とその実践ができる人材の育成を目指している。

    その実現に向けて、①生物多様性や自然環境の保全に関する最先端の知見を学ぶとともに、②生態系の破壊や環境問題が発生している現場をフィールドとして科学的視点や技術を向上させる機会が設けられている。森から海、原生自然から都市などの人工的な場所に至るまで、扱うフィールドは非常に多岐にわたる。

    通称「フィ科(ふぃか)」と呼ばれている。


    ■必要単位

    卒業に必要な単位は76単位。卒論を含めて必修授業が19項目ある。
    「農学部内では必修が多い方だが、体感的にはそれほど多いという感じはしない」(理二→フィ科)

    農学部では複数の科目区分が設定されており、農学総合科目、農学基礎科目、専修専門科目等の各科目区分から必要単位以上を取得しなければ卒業できないため、きちんと計算して履修を組む必要がある。

    ※農学部の科目区分についてはこちらの記事をご参照ください。


    卒業までの流れ

    2年生Aセメスター

    科目名 区分 曜限(参考)
    遺伝学(※1) 必修 月曜3限
    動物生態学(※2) 必修 金曜3限
    植物生態学(※3) 必修 金曜4限
    生物統計学(※4) 必修 金曜5限
    環境倫理(※5) 選択必修 月曜5限
    農学リテラシー(※6) 必修 Wターム集中

    (※1)遺伝学
    前期課程の生命科学の内容とほぼ同じ。先生が最新の研究を紹介してくれることも。
    (※2)動物生態学
    成長曲線や食物網関係など動物の生態を勉強する。久保田教授(2019年度)は主に虫関係だった。板書をきちんと写さないと記述のテストはきつい。
    (※3)植物生態学
    森林、緑地、そして草原の植物生態を学ぶ。現場での調査について話を聞ける。
    (※4)生物統計学
    統計学、微分積分、線形代数の知識が必要。統計ソフトRを使う。Rは3年以降の実習で多用するため、基礎知識を押さえることが大切!担当の先生は3名(2019年度)で、質問したら丁寧に教えてくれる(はず)。
    (※5)環境倫理
    農学展開科目のひとつ(卒業までに必ず1単位を取る必要がある)。環境に対する考え方の歴史を勉強する。
    「授業で紹介された考え方を一つ選んでレポートを書くことになるが、風土論を書きたい人は慎重に(それで不可とった人がいる、、)」(理二→フィ科)
    (※6)農学部の学生は全員必修。Wタームに集中講義形式で開催される。例年1/23~28前後の4日間。A1での履修登録を忘れずに行うこと!(もし忘れていたことに気づいた場合には、A2で必ず登録する!)


    ・週10~11コマ前後が一般的。座学が中心。
    ・2Aは大教室での選択必修が多い。
    ・上記の科目に加え、準必修「生態系の中の人類」「環境と景観の生物学」「生物多様性と進化」「環境と生物の情報科学」の4つの中で少なくとも2つ履修する必要がある。1単位のものが多い。卒業単位として総合科目は4単位必要となるため、履修の時に注意が必要。
    ・『「環境と景観の生物学」「生態系の中の人類」は3Aの実習と被るので、取りたい人は2Aで取るのがおすすめ』(理二→フィ科)
    ・この時期、授業以外では法律と経済の知識を0から勉強してみたり、国際団体や環境省などのHPを眺めて制度や研究を整理してみたりした。生物だけでなく政治や経済、物理や化学の知識があると後々役に立つ。(理二→フィ科)
    ・文科からの進学者が「生物統計学」に、数学の知識のビハインドによって苦しめられやすい。フィ科では3年次の実習はもちろん、人によっては卒論まで統計が付きまとうので、2Aのこの科目で基本を身に付けておくと良い。(文一→フィ科)



    3年生Sセメスター

    科目名 区分 曜限(参考)
    森圏管理学(※1) 必修 月曜1・3限
    沿岸環境動態論(※2) 必修 月曜4限・水曜2限
    生物多様性科学(※3) 必修 金曜3・4限
    ランドスケープエコロジー(※4) 必修 月曜2限・金曜5限
    保全生態学実習(※5) 選択必修 火曜3~5限
    沿岸生態学実習(※6) 必修 水曜3~5限
    自然共生社会論 必修 SP集中
    森林科学総合実習(※7) 選択必修 SP~Aセメ集中

    (※1)森圏管理学
    森林の生態系について、遺伝学と森林構造を中心に学ぶ。成績評価は記述のテスト形式。SP~Aセメに開講される「森圏管理学実習」とセット。
    (※2)沿岸環境動態論
    海洋の構造や動き、沿岸の生物について学ぶ。必修の「沿岸生態学実習」とセット。
    (※3)生物多様性科学
    統計学の基礎知識、並びに研究事例を中心に生物多様性を勉強する。SP~Aセメに開講される「生物多様性科学実習」とセット。
    (※4)ランドスケープエコロジー
    地理、植物学と都市設計を中心に理論知識を勉強する。植物学の部分は2A必修の「植物生態学」と重なる部分もある。GISなどの測定技術と応用についても詳しく勉強する。SPタームに開講される「自然共生社会論」とセット。Aセメに実習もある。
    (※5)保全生態学実習
    都市緑地生態と農地生態の保全についてグループワークで学ぶ。調べたいテーマを決め、解析と発表をおこなう。最後、各々考察してレポートにまとめて提出する。
    例 除草剤、耕起、肥料、落ち葉の分解速度などの条件を変えたら生態系にどのような影響があるかを分析(2020年度)。
    (※6)沿岸生態学実習
    水圏生物の生態系について。
    例 トビハゼの体長と体重のコホート分析
    (※7)森林科学総合実習
    北海道演習林(癒しの森)に3~4日間滞在し、実習を行う。SPタームに開講。


    ・卒業単位として、必修以外に選択必修3科目を含めた12単位を「専門科目」の中から履修する必要がある3Sは実習などの必修のコマ数が多いため、必修が相対的に少ない3Aで選択必修を履修することも可能
    ・「生命倫理」は2Aで履修できる「環境倫理」と同じく農学共通科目の選択必修。少なくともどちらか一方は単位を取る必要がある。
    ・「3Sと3Aの授業で連続性がある授業もあるため、自分の興味ある授業のシラバスを読んで自分で選択するのがおすすめです!」(理二→フィ科)
    ・選択必修は「森林植物学」(「森圏管理学」と類似)や「森林動物学」(「動物生態学」と一部類似)など。
    ・「2020年度はコロナの影響で実験室でのデータの解析が中心だったが、例年は水元公園や田無の圃場、千葉の演習林、東京湾などに行って実習をする」(理二→フィ科)
    ・授業以外では「2020年度は新型コロナウイルスの影響で交通移動時間がなくなったため、授業以外のことにも参加できた。伊豆ゼミの準備やサークルの練習など」(理二→フィ科)
    ・卒業単位を揃えるため、実際には選択必修科目のうちのほとんどを履修する必要がある。他の必修と曜限が被らない科目は基本的に履修しておくと安心。(文一→フィ科)



    3年生Aセメスター

    科目名 区分 曜限(参考)
    森圏管理学実習(※1) 必修 水曜3~5限
    生物多様性科学実習(※2) 必修 木曜3~5限
    ランドスケープエコロジー実習(※3) 必修 金曜3~5限
    保全生態学(※4) 必修 水曜2限

    (※1)現場から生態系の保全を学ぶ。
    例 木の葉を収集して分類する/小石川植物園で樹木の種類を学ぶ/樹木のDNA測定をする/育種園で実験をする/千葉の演習林に行く etc.
    (※2)統計ソフトを用いたデータの解析がメイン。
    (※3)「QGIS」という地図情報を用いた情報解析ツールの使い方を学ぶ。
    例 横須賀市の都市計画の方向性や現状(地形・水圏・動植物の状況)を調査し、保全のために何ができるのかを検討(2020年度)。3グループに分かれ、3~6名で実施。
    (※2)3S必修の実習「保全生態学実習」とセット。都市や農地を中心に、生態を保全する・管理するために必要な知識を学ぶ。


    ・週10コマ以内が一般的。
    必修はほぼ実習のみ。グループに分かれてデータ分析をし、結果を発表する形でおこなわれるものが多い。ここで各研究室の雰囲気が掴める
    Aセメの座学はほぼ選択必修。
    ・選択必修は以下の通り。
    「生物海洋学」「水産資源学」(水圏に近い)、
    「バイオメトリックス」(統計学や実学寄り)、
    「都市農村計画学」「緑地計画学」(緑地の専門)、
    「持続的植物生産学」「雑草学」(農業技術関係)、
    「昆虫生態学」(昆虫を例に生態学を学ぶ)など。
    ・「選択必修は選びたい研究分野によって計画的に選択してもよいと思いますし、幅広く全部勉強してみるのもよいと思います」(理二→フィ科)
    10月に研究室の紹介メールが届く。11月中に研究室の見学ができる。研究室の志望届けを11月中に提出する。

    ※参考:研究室内定の内訳(2020年度)
     …生物多様性科学:2名、保全生態学:1名、緑地創成学:3名、水域保全学:1名、森圏管理学:2名



    4年生Sセメスター

    ・必修は卒論のみ。
    ・卒業単位を取り切っていない学生は、卒業チャレンジに挑む。
    ・研究室に配属される。
    ・院試の勉強をする。



    4年生Aセメスター

    ・必修は卒論のみ。
    ・卒業単位を取り切っていない学生は、卒業チャレンジに挑む。
    ・研究室の先生が持っている授業でTAをする人もいる。

    入る前の想像と実際

    ・「本来は実習が多く、現場メインの専修だと思うが、COVID-19の影響で2020年度はデータ解析が中心になってしまったのは残念だった。」
    ・「生物だけの理論知識が中心だと思っていたが、物理や化学の知識や、政治や経済などの内容も関わりがあることがわかった。これらについての基礎的なことを知らないと、一部分の授業の意味が理解できない。」(理二→フィ科)
    ・「進学選択時は野外実習が多くて楽しそうという印象が強かったが、実際は野外で収集したデータを用いた分析やその結果の解釈なども重要となる。真面目に取り組めば基本的な統計の考え方や分析手法を身に付けることができる。」(文一→フィ科)

    選んだ理由/迷った学科

    ・「生態学の保全に興味があるが、特定の生態系に特に強い関心があるというわけではないため、幅広く勉強できるフィールド科学を選択した。」
    ・「実習がたくさんあるのが魅力」(理二→フィ科)

    コミュニティとしての機能

    項目 内容
    ズバリ、学生間のつながりは: 10(強いと感じる)↔0(全くない) 4(※1)
    LINE 有(※2)
    Slack
    オフラインでのつながり 有(※3)
    上下のつながり あまりない(※4)

    (※1)2020年度は対面での実習が少なかったため、4くらい。
    (※2)あまり活発ではない。授業のURLや実習の開始時間など、事務的事項に関することが中心。
    (※3)実習の発表をするために、日程の打ち合わせや情報共有をLINEでおこなう。
    (※4)3年生・4年生の合同LINEグループがあるが、使用頻度は高くない。


    ・交換留学をする人はいる。海南大学の人が10月から授業に参加している。
    ・10名という小規模な専修のため、特に3年次以降の実習を通して仲良くなりやすい。
    ・9月のガイダンスで3・4年生の合同LINEができるため、先輩に研究室について聞くことができる。

    授業スタイル

    項目 内容
    1クラス当たりの人数 10~16名前後(※1)
    成績評価 出席+レポート/期末テスト(※2)
    レポートの頻度 学期の前半後半で1本ずつor期末のみ。科目によっては毎週小レポートが課されることもある。
    レポートの内容 授業の内容に関連する論文を読み、意見に説得力を持たせる。 (※3)

    (※1)緑地環境学専修と合同の授業も複数ある。
    (※2)必修科目すべてで出席が取られる。授業に出席していれば、単位はそれほど心配する必要はない。
    (※3)レポートのテーマが広いため、色々なことを書ける。


    ・座学が多い。
    ・ほぼ全ての授業で出席を取る。
    ・必修は基本的に同じ学科の人のみ、または緑地環境学専修との合同。
    ・必修を担当する先生がほぼ変わらないため、複数の授業で内容が重複していることもある。
    ・ブレイクアウトルームに分かれて行う実習が多いため、TAさんとのやりとりが密。
    ・「沿岸生態学実習の青木先生は学生とのやりとりを重視している。松尾先生(昆虫生態学)はダジャレが好きで、授業中、学生を一人一人指して質問していくスタイル」(理二→フィ科)
    ・担当教授の論文を読むと、大体の雰囲気がつかめるかもしれない。

    研究室・資料

    農学部公式の「教員カタログ」はこちら
    (各教員の研究内容が平易に書かれているだけでなく、目指す教育内容や研究室の人材輩出実績など進学選択の意思決定に役立つ情報が盛りだくさん。)
     
     
    ・生物多様性科学研究室
    ・保全生態学研究室
    ・緑地創生学研究室
    ・森圏管理学研究室
    ・水域保全学研究室
    フィールド科学専修研究室紹介

    特別な制度・その他

    One Earth Guardians 育成プログラム(略称OEGs):農学部の学部生・院生向けプログラム。「100年後の地球に貢献する科学者」を育てることを目指している。OEGs候補生は、企画立案から実行まで行う「実学研修」と「認定科目」とをそれぞれ履修。学部3年生から博士課程まで、様々な学年・専修の学生が参加している。

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