■どんな学部?
・概要とカリキュラム
教育実践・政策学コース(以下、当コース)は、教育を「現場」「制度・政策」の関係を通じて捉えようとする、教育学部 教育社会科学科(※1) 教育社会学専修(※2)のコース。「制度・政策」は理解しやすいだろう。一方、一見何を意味するかわかりづらい「教育実践」とは、小中高や公民館、図書館など現場の教育活動を観察するものである。主な例として授業研究、つまり小中高での先生の問いかけや生徒の発言といった「先生と生徒の関係の観察」があり、現場に寄り添う当コースの1側面である。
※1:教育学部は、全コースともこの学科に所属する。以下、当学科。
※2:比較教育社会学コースと2コースで1専修を形成する。以下、当専修。
カリキュラムの流れは、概論で体系的な知識を身につけ、基礎演習で現場を体験し、4年次の卒論に収斂させていくようになっている。
・在籍する教員の専攻
教員は生涯学習論、教職開発、図書館情報学、教育行政学、学校教育学から成る。特定の学問上の区分や手法にとらわれず、実践的な教育に対して総合的なアプローチを行なっていく。なお、教員は大学院の「生涯学習基盤経営コース」「学校教育高度化専攻(※)」に属し、大学院進学者もそのいずれかに進むことが多い。
※:当専攻は、教職開発コース、学校開発政策コース、教育内容開発コースの3つに分かれる。
・学部卒業後の進路
就職・進学先は、公務員、民間企業、教育現場、大学院に大別される。詳細数は不明。
Cf.教育学部ホームページ コースの特色・内容
■当コースの諸制度
・必要単位数
卒業までに必要な単位は70単位。教育学部は全コースともに卒業論文8単位、必修科目30単位及び選択科目32単位の修得が必要。必修科目の30単位については、当コースの「概論」4単位と「基礎演習」6単位、更に当専修(=当コース+比較教育社会学コース)の「教育社会学演習」及び「教育社会科学特殊講義」10単位、他専修の授業科目8単位(概論2単位以上を含む)、当コース「研究指導」2単位で構成される。
・必修科目の内訳
科目名 |
単位数 |
教育実践・政策学概論 |
4 |
教育実践・政策学基礎演習 |
6 |
教育社会科学演習及び教育社会科学特殊講義 |
10※1 |
教育学部他専修の授業科目 |
8※2 |
教育実践・政策学研究指導 |
2 |
※1 「及び」とあるものは、「演習」と「特殊講義」にまたがって単位を取得しなければならない。なお、比較教育社会学コースと合わせた教育社会学専修の中で開講されている授業を履修することになる。詳細はUTASの「学科・コース別検索(シラバス参照)」で確認できる。
※2 概論2単位以上を含む。
・注意点
なお、当コースは前期教養で言う「情報」「ALESA」のような「特定の必修の授業」は卒論以外に無く、講義題目と授業科目が異なる点に注意が必要。例えば「概論」は、「学校教育学概論」「教育行財政学」「社会教育論Ⅰ」(以上駒場開講)、「社会教育論Ⅱ」「教職論」「情報資料論」「教育方法論」「教育課程論」「比較教育学概論」(以上本郷開講)で構成される。この時、いずれか2種類の講義を取れば4単位の要件に到達できる。
■進学定数は?
・進振り時点からコースごとに希望を出す。
・コースの定員数は26名で、受け入れ枠としては指定科類枠(文Ⅲ)、全科類枠の区分が存在する。
・定員数と各科類からの受け入れ数
受け入れ枠 |
第一段階 |
第二段階 |
文Ⅲ(指定科類) |
12 |
6 |
全科類 |
5 |
4 |
■卒論は?
・教員10名程度、学生25名程度のコースなので、卒論は基本的に3名程度の少人数個別指導。
・ゼミに所属するわけではなく、卒論を指導してもらいたい教員に希望届を出して指導してもらうスタイル。同じ教員が4-5名指導する場合は、ゼミ形式になることも(教育行政など人気分野にて)。
・基本的には上手く希望が分かれることが多いが、教員のキャパシティを超える数の学生が集まった場合は、学生の興味分野と教員の研究分野とを照合・マッチングして学生を分散させる。
・動き出し~卒論提出までは、隔週で面談を行ったり、ある程度進捗が生まれたらその都度教員に確認を仰いだりする。教員によって内実は異なることが多い。
・卒論の質は学生による。単位を揃えて卒論を出しさえすれば、基本的に卒業は可能。「本気を出すのは大学院から」という空気があり、教員自身も学部生の卒論の質にそれほど拘る・期待することは無いよう。
〈全体的なスケジュール〉
○4S
・(現場でのフィールドワークや、教育委員会への取材を行っていく学生は)申請書・依頼書の書き方を学んだり、アポ取りを始めたりする。
・一方、文献研究中心の学生は、それほど卒論に向けた準備を行わない。
○夏休み前
・卒業論文指導会(卒論のテーマやアウトラインを発表する会)が行われる。
・教員と学生が複数グループに分かれる座談会方式。「学生が発表→教員がそれにアドバイス」という流れ。
○夏休み終わり
・文献研究メインの学生も、卒論に向けて本格的に動き出す。
○11月
・中間発表の場にて、進捗報告を行う。
○2月:最終発表(口頭質問)
・スライドを作って10分間プレゼンテーション。25名程度が1日で発表する。
・1-2名の教員から、発表内容について質疑応答を受ける。
・卒論や発表の質が低いと、教員によっては厳しく指導されることもある。
■卒業後の進路は?
・民間企業・公務員・教育現場・大学院で大別される。
・民間は、リクルートを始めとした教育系の事業会社やコンサル、また教育と無関係の企業も多い。
・プログラミング教育など、ベンチャー系の学習塾・予備校を立ち上げる学生も。
・官僚は、文科省(毎年5名程度志望者がいる)など。
・(正確に言えば公務員では無いが)大学の事務職員や図書館司書・学芸員も1-2名程度いる。
・教育現場は、高校教員や中高一貫教教員が多い。有名私立の場合、母校で採用されることが多い。※東大の教育学部では、小学校免許を取ることができない。
・大学院は、殆どが「教育学研究科」の「教育実践・政策学コース」(学校教育高度化専攻・内容開発・学校政策)へ進学。
※教育学研究科の教育実践・政策学コースは内部進学者が少なく、他大学や他学部から進学する者が多い。現場に近い内容を扱うので、教育現場経験者が来ることも。