学生向け
東大内部
地域の社会課題を解決すべく、特定の自治体と交流しながらフィールドワークを行うプログラム。
正式名称 |
フィールドスタディ型政策協働プログラム |
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公式リンク |
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/students/special-activities/h002.html |
カテゴリー |
社会的課題への取組 |
対象者 |
対象:大学生と大学院生(前期課程〜博士課程)・参加者数:2017〜19年度は50名前後、2021年度はおよそ90名 |
実施期間 |
原則4月〜3月の1年間 |
設立日 |
2017年 |
実施場所 |
2021年度は各地域でのフィールドワークとオンライン上での交流を併用 |
参加方法 |
4月に説明会が開催。4月下旬~5月上旬にUTASの「アンケート」内の「〇〇年度フィールドスタディ型政策協働プログラム応募」から参加を申請。5月に配属地域が確定し3月まで実行。 |
審査有無 |
書類審査あり |
参加費 |
交通費・宿泊費・活動費の一部を支給 ※一部自己負担も発生 |
2012年度から体験活動プログラム(FLYプログラム・UGIP)が始まった一方、地域での課外プログラムはなかったため、2017年度にフィールドスタディ型政策協働プログラムが設立された。各都道府県の協力を得て、学生がアクティブに活動する場所を提供し、リーダー人材を育成することを目指している。以下は当プログラムの概要である。(公式サイトから引用)
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社会が大きな転換期にある今、多様な関係者と協働しながら、政策を立案・実行できる人材の育成は、日本社会の喫緊の課題です。本プログラムを通じ、東京大学は、社会的課題に果敢にチャレンジするリーダー人材を育成します。
本プログラムは、FSにご協力いただける県から学生の皆さんへ、地域における課題を提示していただくことから始まります。チームを組み、投げかけられた課題に対して事前調査や活動計画の立案等を行った後、地域の現場に入ります。現状について身をもって体験・把握して大学へ戻り、課題解決に向け、自ら考え、または知見を有する学内の教職員等の協力を得て、その糸口を探ります。これらの事前調査、現地活動、事後調査を通じて、一年をかけて課題解決への道筋提案を行います。
ーーーーー
学内での勉強だけでは、「社会にどのような変化があって、社会がこれからどこに進んでいくのか」を勉強しにくい。地域という社会に飛び込むことで、在学時にそうした学びを体験・経験することができる。
①課題解決能力
当プログラムの概要には、「現状について身をもって体験・把握して大学へ戻り、課題解決に向け、自ら考え、または知見を有する学内の教職員等の協力を得て、その糸口を探ります。」とある。こうした経験を通じた課題解決力の獲得が得られる学びとして大きい。
②将来のキャリア観の変化(課題への実感)
過去の参加者からは、将来のキャリア形成への考え方が変わったという声もある。例えば、文科二類に在籍していた学生が、当プログラムを経験してキャリア観が変わり、観光や過疎化に関心を持ち都市工学科に進学した例もある。また、このプログラムを通じた関心から、都道府県庁へ就職した学生も。
③地方創生の現場を体験する経験
このプログラムの基本的なテーマは地方創生である。地方創生は今日、授業や読書によって学問として学ぶこともできる。しかし、東大の方針としては「座学の内容に、現地での体験をプラスして初めて理解としてほしい」というメッセージを伝えたい。「現場視点」を持つ良い機会になることも学びの一つと言える。
④多様な学生との関わり
学部生から博士課程生までが参加しているので、様々な学生と関わることで自分を新たな視点から見つめ直す機会になる。なお、このプログラムで同じグループになった人同士でプログラム終了後も地域の訪問などを行う場合もある。
民間の地方創生プログラムとの相違点
図書館が所蔵する文献や学術資料などの学内のリソース、各地域の担当教員・学内の専門家の学問的知見(当プログラムではこれを「学内奔走」と呼んでいる)を使えることが、民間企業主催のプログラムとの大きな相違点である。
UGIP(グローバルインターンシッププログラム)との相違点
UGIP:「企業」が受け入れ先なので、一定の枠組みやリソースの範疇において深い学びを得ることができる。ビジネス的な視座を身につけ、「(データサイエンスなどの)特定分野」の課題解決スキルを得ることを目指している。
FS:「地域」が受け入れ先なので、幅広い学びを得ることができる。地域についてマクロな視点から飛び込むことが特徴であり、「現場」における課題解決スキルを得ることを目指している。
参加者:Fさん(2018年度参加者・当時は理科2類2年)
Q:このプログラムでどんな活動をしていましたか?
ー 私がプログラムでやってきたのは、人口減少に苦慮する市で「大学生の関係人口を増やす」にはどうすればいいかという施策を考えることです。
時系列で振り返ると、4月にプログラムに応募して5月に合格通知が来ました。そして6月に活動地域が島根県雲南市に決まり、学内でのワークショップがあったり、他地域担当者との交流機会があったりと様々な準備が始まりました。夏と秋で合わせて3週間ほど、実際に雲南市役所に足を運び、他の時期はZoomなどのオンラインツールを用いて東京から市役所の方との協議を続けましたね。
市役所だけでなく、現地のNPO法人などとも連携して施策を考え、3月の最終報告会で現状の問題点を指摘し、「大学生の関係人口を増やす」ことに向けた改善策を提示しました。
Q:このプログラムで楽しかったことは?
ー 島根県との接点がなかったので突然地域に入り込めるかが不安でした。しかし、学内のワークショップで、「どのように地域の人と接するのが良いか」などのインプットがあったので、恐れることなく地域に飛び込むことはできました。
実際に、飛び込んだ先(島根県雲南市)では他の大学から地域に飛び込んだ学生もいたので、第三者でも地域のコミュニティに入れるんだということを実感しました。都市部出身の私には新鮮な体験でした。
Q:このプログラムで大変だったことは何ですか?
ー やはり1年や2年といった長い期間に渡って地域に参画するわけではないので、地域の意思決定を行ったり、意思決定に影響を与えたりしている人が誰なのかは釈然としませんでした。それに加えて、地域独特のしがらみもあり、話を聞きたい人に聞きに行けないことや地域の人の足並みが揃わないこともありましたね。
学生というフラットかつ外部の立場だからこそ、「街を活性化したい」という志がある人とは繋がる機会が多いものの、実際街の多くの人たちは「街の活性化」に対してどのように感じているのかをハッキリと理解することはかないませんでした。つまり、地域に入る期間が短く、あくまで外側の立場として関わることが理由で、地域の全体像が掴みづらかったのです。
Q:プログラムで得られた学びはどんなものですか?
ー 地域の活性化と一口に言っても、そこには様々な立場上の都合ありました。例えば、市役所は財政の観点から判断を行わなければならなかったり、頻繁に部署が変わったりします。「やりたいこと」よりも「やるべきこと」を優先しなければなりませんし、引き継ぎも入念に行わなければなりません。一方でNPO法人は、これから先も意欲ある人材に現地で働きたいと感じてもらえるように、活動の魅力を最大限に引き出し、アピールしなければなりません。時には必要以上に「見せ方」を考えなければならない時もあります。
このように、地域では色々な立場の人が、それぞれの視点で活動しており、利害調整が大変難しいことを知りました。また、政策はビジネスと異なり、地域で活動している人や暮らしている人たちの声を具に拾って行かねばならず、それぞれの価値観や正義の対立を乗り越えることに難しさを感じました。こうした経験から、私は「地域を見る目」が変わりましたね。様々な問題に対し、「自分の地域ではどうなのかな」と思うようになったり、旅行先などで「いいな」だけではなく、「この地域はどんな人が暮らしているのか、将来どう変わっていくか」など巨視的な目線で地域を見るようになったりしました。東京出身の学生にこそ、大きな学びがあるような気がしています。
Q:このプログラムを考えている人へのメッセージをお願いします!
ー 初めて訪れる地域に深く入っていく際、きっと戸惑いもあるかもしれません。しかし、一度やってみると「飛び込む」ことが好きになります。このプログラムを通じて、こうした積極性を備えたマインドセット(自分から行かないとダメだという気持ち)が身につきました。
・地方創生や地域活性化に興味を持っている人
・何か新しいことを始めたい人
・1年間かけて行う活動であり、地方自治体の協力も得ながら進めているので、やるべきことを最後まで責任を持ってやり遂げられる人
・色々な課題があっても前向きに取り組んでいける人
・自治体の人やグループ同士の話し合いに積極的に関わることができる人
※学部学科・専門性は問わない。
・グループワークが苦手で、個人でタスクを進めていくのが好きな人
・プログラムへのコミットを最後まで続けられない人、途中で投げ出してしまう可能性のある人(当プログラムは1年という長い期間にわたって続くため)
・地域の人との関わりが多いため、初対面の人とのコミュニケーションに抵抗を感じる人
・地域においての自分のやりたいことが明確な人(派遣地域や挑む課題は与えられるものであるため)
最後まで記事を読んでくださりありがとうございました!
最後に2点、この記事を作成したUT-BASEからお伝えしたいことがあります。
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