ーーこの記事は、ソフトバンク株式会社による画像提供、並びにUT-BASEメンバーによる過年度参加者計7名への取材によって完成に至りました。ご協力下さった皆様、誠にありがとうございました。ーー
ただいま2021年度の参加者へのインタビュー記事を公開中!
以下の画像をクリックしてぜひお読みください。
■TURE-TECHとは
○プログラム概要
ソフトバンクが主催するインターンシッププログラム。
課題を抱える地方自治体に学生が足を運び、市の職員や地域にお住いの方、事業者の方々へのヒアリングを行い、最終日に市長に解決策を提案する地方創生プログラム。2016年度より、毎年夏に開催されており、各回学生参加者は30名。
2018年度には、カンボジアでの開催も行っていた。ただ、現在は国内プログラムのみとなっている。
○取り組む姿勢
TURE-TECHでは、「①課題を知る、②武器を知る、③解決しに行く」の3要素を大切にしている。
①課題を知る
・実際に自治体が抱える複数の課題とその背景を知る
・各課題が発生している背景と現状をリアルな声とデータから読み解く
②武器を知る
・ICTの現状とこれからを知る
・課題解決の立案、実行方法を社員から学ぶ
③解決しに行く
・各課題ごとに少数のチームに分かれ、リアルな現場に触れる
・同行するメンター社員の助言を求めつつ、課題解決の方法を「脳がちぎれるほど考える」
・各チーム提案を自治体に本気で提案しに行く
○取り組む課題
各回30名の学生は、計5チームに分かれて、それぞれ自治体から与えられた課題に取り組む。各チームには、メンター・サポーター役として、ソフトバンク社員が2名、地元自治体の職員が数名つき、一週間を共にする。
参考までに、2019年度夏に行われた宮城県東松島市のTURE-TECHで与えられたテーマを紹介したい。詳細はこちら。
A ふるさと納税のさらなる成長に向けた戦略施策
B 東松島市への移住定住促進戦略
C 奥松島の観光客増加のための分析・施策の検討
D 被災元地区の土地利活用戦略
E 小野地域の直売所(ふれあい交流館)の自立運営化
■参加学生の特徴
・割と関東の学生もいたものの、地方国公立大学の学生も、一般的なサマーインターンに比べると多め。
・男性・女性の比率は半々程度。
・学部3年生と修士1年生が計8割程度、学部1,2年生が2割程度。
・コンサル系の課題解決好きな人が半分程度、地方創生に関心ある人が半分程度。
・①ビジネス・コンサル系のワークが得意で、期限切ってタスク進めていく人、②地方創生や与えられた課題自体に強い意識がある人、③芸術・アート・映像製作など、①②とは違う方面での熱量や技術を持っている人と、大きく3種類に分けられると感じた人もいた様子。
・他のインターン・プログラムよりも、自分で何かをやっている人、自分でアクションを起こしている人(プロダクトや会社をやっている)が多め。
・1週間ともに活動するためか、協調性は最低限ある人が他のインターン・プログラムより多い印象。個人戦よりもチーム戦、特に、個人の強みを出し合いながらプロジェクトを進めていくのが好きな人が多そうだった。
■選考について
①6月中旬:エントリー・書類選考締切
2022年度は6/17(金)10時にエントリー、同日17時に提出物が締切となる。
(※非公式情報です)
○マイページ登録
学部1,2年生では慣れていないと思われるが、当プログラムの書類提出や選考関連の連絡は、全て「マイページ」と呼ばれるページ上、またメールにて行われる。就活でも使うものなので、この機会に慣れよう。
ソフトバンクからの連絡もマイページで確認することになるが、「マイページにメッセージをお送りしました」のように、マイページ登録で用いたメールアドレスにも同様の連絡が来るので、常にマイページをチェックする必要は無い。そうしたメールにはマイページURLとログイン用IDも併記されているので、マイページURLをブックマーク登録しておく必要は無い。
マイページにログインするためのIDとパスワードの管理には、細心の注意を払おう。
○書類選考
書類選考では、以下の2質問が問われることが一般的。
(1)あなたが行った(もしくは行っている)最も大きな課題解決について、 背景も交えて教えてください。(600文字以内)
(2)地方が抱える下記5つの課題から1つ、あなたが解決したいものを選択し、 その理由を教えてください。(600文字以内)(シニア人材の活用・過疎化対策・土地や施設の有効活用・地域経済の活性・地域コミュニティの活性)
(1)は、いわゆる「ガクチカ」(=学生時代に力を入れたこと)と呼ばれる質問。経験をもとにして、それに裏打ちされた考え方や価値観を見出し、その上でそれがTURE-TECHが求める人物像とマッチしているか判断するためのものである。
(2)は、自身の社会課題への意識や、それを解決する思考力を問う質問であろう。選択肢の中で、自分自身の体験談や興味関心に沿って書きやすい内容で書くのがおすすめ。
・“ESで選んだテーマと、配属されたチームは、みんな結構ズレがあった印象です。(2020年度参加者)”
○エントリーシートの書き方
就活生は新卒採用選考やインターンシップ選考を受ける際に必ず書くことになるので慣れていると思われる。ただ、学部1,2年生は不慣れな学生も多いだろう。伝えたい内容が完璧でも、伝え方次第で大きく評価が変わってしまうので、「ガクチカ 書き方」等のようにお作法を調べたり、家族や先輩、友人に文面を見てもらったりするのがおすすめ。
○エントリー動画
また、エントリーシートに加えて、エントリー動画を提出することがここ数年の傾向である。例年問われている内容はこちら。
(必須)(1)ソフトバンクのTURE-TECHで挑戦したいことを1分でお話ください。
(必須)(2)自己PRを1分でお話ください。
(任意)(3)その他自己PRがあれば1分以内の動画で提出ください。
(1)(2)はもちろん、参加意欲を伝えるため、(3)にも回答するのが望ましい。身だしなみや姿勢、話し方(声の大きさ、速さ)、表情、身振り手振りなど、言語情報以外の伝え方、印象にも気を配ろう。
②7月上旬-中旬:面接(2,3回)
(※非公式情報です)
○面接概要
面接は、オンラインにて行われる。各回30分程度。日程調整はマイページ上の候補日から日程を選択する形で、候補日はどんどん埋まっていくので早めに予約するのがおすすめ。
面接で聞かれる内容は非公開。ただ一般的な傾向はあり、友人と模擬面接したり、質問内容を予想したりする人は多いだろう。予想せずとも選考通過する学生もいるだろうが、中にはOnecareerやunistyleなど大手人材企業が運営する選考体験記一覧などで、積極的に情報収集を図る学生もいる。
③7月下旬:参加決定
○参加決定後の流れ
マイページで合格通知を受ける。
参加承諾を経て、開催2週間ほど前に、自己紹介スライドやチーム番号が伝えられ、また(年度・自治体によるが多くの場合)事前課題を開催3,4日ほど前に提出するようお願いされる。
・“与えられる課題を聞いた時には、「図書館利用者を○%増やそう」という内容に、地方創生とは一見離れており違和感を覚えた。ただ、表層的な理解の背景に、本質的な課題は何か、ステークホルダーは何か、のように深く考えを掘り下げていくと、小手先のロジックで解消できるようなものでは全くもってなかった。(2020年度参加者)”
事前課題は特定のお題が与えられる場合から、自治体が送って下さる参考資料を見て感じる課題と解決策を自由に述べる場合まで多様。自治体の方が送ってくれる資料は、担当して下さる自治体の方によるが、中には80ページを越える超大作が送られてくる場合も。
・“歴代参加者が「発信したいこと」を自由に話す時間があったが、次々と刺激的なプロジェクトや偏愛が共有されていくのを見て、噂には聞いていた「TURE-TECH参加者の個性の強さ」を強く実感した。(2020年度参加者)”
■プログラムの流れ
○全体の流れ
一般に1,2日目は東京またはオンラインで事前研修、3,4,5,6日目は現地で調査・ワーク、市長プレゼンを行い、7日目は事後研修となる(※)。
※2018年度は事後研修が無く、また2020年度は事前研修が1日のみでワークが5日間に増えた。年度や形式によってマイナーチェンジはあると考えて頂きたい。
ここでは一例として、2018年度夏に長野県塩尻市で行われたTURE-TECHでのスケジュールを示したい。詳細はこちら。
1日目 事前研修
2日目 事前研修
3日目 現地合宿 塩尻市職員と顔合わせ、スケジュール立て、インタビュー
4日目 現地合宿 インタビュー、ワーク、中間発表(1)、ワーク
5日目 現地合宿 ワーク、中間発表(2)、ワーク
6日目 現地合宿 ワーク、市長プレゼン、懇親会
7日目 現地合宿 事後研修
○プログラムの詳細
ー事前研修ー
1週間のプログラム期間のうち、最初の2日間は東京のソフトバンク本社、またはオンラインで事前研修を行う。事前研修では、初日は学生の顔合わせ、次いで地域の現状について調査・仮説構築を行う。各チームは自分たちなりの仮説を持って現地に向かう。
オンライン開催時の様子(ソフトバンク提供)
・“1日目の最初にソフトバンクの事業紹介が簡単に行われるが、課題解決策としてのICTという、あくまで一手段に目線を置いたもので、ソフトバンクの魅力を全面に伝えるような雰囲気は感じなかった。(2019年度参加者)”
・“事前課題や自治体のデータをもとに、良い仮説を建てるためには重要な期間だと思う。論理だてて仮説構築するのが苦手な人は、少しハードに感じるかもしれない。(2019年度参加者)”
・“一度東京で、事前ヒアリングができた。課題に取り組む上でヒントになった。(2019年度参加者)”
・“根拠ある良質な成果物を創り上げるにはデータが必要。オンライン開催の場合、5日目の発表に間に合わせるには、事前研修段階でアンケート項目作って調査をお願いする必要があった。ここで仮説や考察が甘いと、示唆に富まないアンケート結果になってしまうので、1,2日目の仮説構築はかなり大切だと思う。(2020年度参加者)”
現地に向かう様子(ソフトバンク提供)
ー現地合宿(3-5日目)ー
3日目、現地では、地元の住民や企業、自治体の方々にインタビュー・ヒアリングを行っていき、4日目には一度目の中間発表、5日目には二度目の中間発表を迎える。中間発表は壁打ちのような感じで、ソフトバンク社員や自治体職員から、プレゼンテーション内容にフィードバックやアドバイスが送られる。「良いんじゃない?」と曖昧に返ってくることはほぼ無く、例え練られている良い案でも、もっと良くなるようにきっちりフィードバックを受ける。プランの質だけでなく、自治体の方に届く伝え方を工夫することも意識する必要がある。
ヒアリング・ワークの様子(ともにソフトバンク提供)
・”八幡浜に行く時は朝4時起きで羽田空港に向かったが、絶対寝坊しないために空港の床で寝る人も結構おり、TURE-TECH参加者のガッツを感じる機会になった笑。(2019年度参加者)”
・“オフライン開催の場合、3日目は5,6時間、4日目は3時間ほど寝られた。(2019年度参加者)”
・“オフライン開催の場合、3日目は5,6時間、4日目は3時間ほど寝られた。(2019年度参加者)”
・“オンライン開催の場合、メイン作業が9時~18時で、せめて20時には終わらせようというお達しがあった。ただ日が経つにつれ、1,2日目は個人ワークを課していたのが3,4日目は22時くらいまでディスカッションしたり、24時に集まり直したりする日も。(2020年度参加者)”
・“オンライン開催の場合、現地にいるソフトバンク社員とzoomを繋ぎ、「スーパーマーケットの前で○○について質問して下さい」のように、まちの方に間接的にインタビューできる機会も設けられていた。ただ、できる回数が少なく十分なデータが取りづらくはあった。(2020年度参加者)”
・“目的は同じでも、手段などで意見の衝突が生まれ、喧嘩みたいになってしまったが、チームにいる社員さんの方が裏で電話してアドバイスをして下さった。組織としてどん底の状態からどうプロジェクトを前に進めるのか、考える良い機会になった。(2020年度参加者)”
・“与えられた課題それ自体に難しさを感じるが、3,4日目くらいからは「現実的にはこうすればいい」と、自治体の職員さんが1年間でできることを特定しつつ、考察・発表していくことが大事。(2020年度参加者)”
・“ワーク中に差し入れが届くこともある。東京で買うと結構高級なみかんジュースやゼリーが沢山届いて嬉しかった。蛇足なので、期待はし過ぎないで下さい。(2018年度参加者)”
・”最初は遠慮がちだったメンターの社員さんが、5日目(=プレゼン前日)くらいから内容に結構口出してくるようになった。スライド一つひとつの改善ポイントに班メンバーが対応し続ける感じで、そこは大変と言えば大変だった。(2020年度参加者)”
・”自由時間が長くて、みんなで議論を重ねてアイデア構築すると考えていた。しかし現実では、ヒアリングやアンケート作成、中間発表などの締切がどんどん迫ってきて、そこから逆算してタスクに追われる感じだった。昼のワークの時間に、チームの人と一生懸命ディスカッションしていく時間はあまり取れなかった印象です。(2020年度参加者)”
ー現地合宿(6日目)ー
6日目には、自治体首長(市長、町長、村長など)に直接プレゼンテーションを行う。提案内容によっては実際に行政施策に採択されることもあり、逆にどの案も採択されないことも。2018年度夏時点では「これまでに実施された「TURE-TECH」で採択された案件は、課題15個のうち、5個」とあり、自治体の方々も学生の発表に真剣に向き合って下さるようだ。
形式としては、各班が発表し、自治体からのフィードバックを受ける、を6班分繰り返す形。フィードバック中に「よろしくお願いします」と握手される首長さんがいる自治体から、1,2か月後に採択可否のメールをなさる自治体まで様々。
オフライン開催の場合、6日目の夜には打上げのバーベキューがあった。深夜まで参加者どうしで語り合う。
市長プレゼンの様子(ともにソフトバンク提供)
・“採択を一つの目標にしている班も多いようで、「採択された暁には~」のように具体的に導入する際の段取りや学生の関わり方にも言及している様子をよく目にした。(2020年度参加者)”
・“首長さんに迎合して、採択されることだけを目標にすべきではないと感じた。TURE-TECHでやるべきなのは、現場の課題に真摯に向き合って、それを深掘り、解決策を現実的な視点をもって提案することだと思う。(2019年度参加者)”
・“5日目夜までもプレゼン準備で殆ど寝られていないが、6日目夜も参加者どうしで語り合うので、結局3時~4時まで起きている人が多かった。(2019年度参加者)”
・“打上げではお酒も振る舞われるが、未成年の方への配慮もしっかりしていた。(2018年度参加者)”
・“自分の班は採択してもらえたが、市長さんの反応が良いのは見ていて感じた。導入するに当たってのフローが質問される等、前のめりな質問が多いと感じた。(2020年度参加者)”
・”自分の班以外の人と話す機会は、どうしてもオンライン開催だったので取りづらかった。ご飯やお風呂、打上げで話せたんだよな、と。ただ、それは社員さんも理解して下さったのか、8時半~9時に朝活と称して交流タイムを作って下さるなど、少ないなりに機会を作って下さった。(2020年度参加者)”
ー現地合宿(7日目)ー
最終日は事後研修として、7日間で何を学んだか、何を感じたかをしっかり振り返る時間になっている。全日程のモチベーション変化のグラフを作ったり、最初の時に建てた目標をどの程度達成できたか書いたり、班メンバーにフィードバックや寄せ書きを書いたり、と言ったところ。オフライン開催の場合は、事後研修ののち帰路につく。オンライン開催の場合は、全員の前で各自学んだことを共有する時間が最後に設けられた。
・“ソフトバンクの社員さんや参加学生で、泣いたり感情が爆発していたりする人が結構いて驚いた。当の私もその一人でしたが笑。私はチームメイトへの寄せ書きで思いがしっかり伝わっていたことを知って感動した涙だったが、社員さんは延期や形式変更に悩まされた中で、うまくやりきれた感謝と感動の気持ちがあったんだと思う。(2020年度参加者)”
○プログラム終了後
採択された提案については、学生と自治体が一体となり、施策の実現に向けた取り組みが始まる。採択例としては、2016年度はワインのブランド化と宿場町へのロボット導入などがある。
・“行政の事情もあり、採択されたとしても最後まで実行されきるとは限らない。メールで採択通知は来たが、その後音沙汰が無くなってしまった。(2018年度参加者)”
・“採択はされなかったが、自治体さんが私たちのアイデアの一部をうまく取り組みに反映して下さっているようで、その様子を社員さんが定期的に教えてくれている。(2020年度参加者)”
採択されなかった場合でも、不定期に自治体を再訪し旧交を温めるなど、学生と地域の繋がりが一週間に留まらないことも、このプログラムの特徴である。
また、年一回程度で参加者の同窓会が企画される。出席率も50%程度とかなり高く、非公式にも遊びに行ったり飲みに行ったりしている班も少なくない。
・“自分は1年生で参加した。今は多くの参加メンバーは社会人になり、ソフトバンクに就職した人が結果的に多いわけでもなかった。それでもこうして集まる機会を用意して下さることには感謝しかない。プログラム終了後にここまで色々用意して下さるのは凄い。(2018年度参加者)”