USTEP(University-wide Student Exchange Program)は東大と海外の大学との間で結ばれている協定によって学生を送り合う留学プログラムである。東大および協定校が定めている資格・条件を満たしていれば、東大生(学部・大学院)なら誰でも申請できる。期間は1学期あるいは1学年であり、その期間中の所属は東大のままで変わらず、授業料も東大の分だけ支払う。
申請する機会は毎年2回あり、それぞれ7〜11月頃の秋募集と、4月〜6月の春募集がある。実際に留学に出発する時期は選んだ留学先により異なるが、大体申請の一年後であるため、早めに考え始めるのが望ましい。
なお、学部課程もしくは大学院課程の在学中は全学交換留学に複数回申請することは可能であるが、その限度は合計1年前後である。つまり、学部在学中に合計一年間、大学院在学中に合計一年間が一年間この条件は所属する学部・研究科によっても異なるため、事前の確認が必要である。
申請の手続き
■申請の手続きに必要なもの
UTASで必要な個人情報を記入
申請期間が近づくと、UTASの「海外派遣」のページにある「全学交換留学」にアクセスできるようになる。申請にあたって、まずは以下のような情報をUTASで記入することが求められる。
個人情報:国籍、所属、連絡先、留学後の予定など
協定校に関する情報(第一から第三希望まで):希望する留学の期間、必要な語学条件など
その他:パスポートの顔写真ページ、他の留学プログラムとの併願状況など
また、以下の情報を日本語あるいは英語で提出する必要もある。分量が多いため、これらに関しては余裕を持って準備しておくことが望ましい。(2023年度の場合)
・学歴・職歴・海外滞在歴(1000文字以内)
・課外/社会活動、性格、特技など(1000文字以内)
・留学を希望する理由(2000文字以内)
・留学先での学習・研究計画(2000文字以内)
・留学後の計画・進路(2000文字以内)
■ 推薦書の入手
推薦書の正式名称は「全学交換留学派遣候補学生所見事項」となっており、事前に教員に作成をお願いをしなければいけない。作成者は指導教員に限らず、授業の担当
教員にお願いしても構わない。その際には、まず所属学部・研究科の担当部署が指定する提出方法を確認した上で、書式をダウンロードし教員に作成をお願いする。この書類は、教員によって提出されるので申請者からは提出できないことに気をつけたい。
■ 語学能力を証明するテスト
交換留学に必要な、語学能力を証明するテストは主に英語と現地の言語の二種類がある。最も多いのは英語のみに基準を設けているパターンだが、行き先の国、地域や大学によって両方とも要求する・しないところもある。
〈有効期限〉
英語能力を証明するTOEFLとIELTSは、どちらも有効期限が2年となっている。英語圏以外の国や地域には、英語以外の言語の試験を基準として設けている大学もあり、その言語の語学試験の有効期限も確認しておくことが望ましい。
■ 必要な点数
2024〜2025年期の場合、ほとんどの協定校はTOEFLもしくはIELTSの成績に基準を設け、それを要件としています。TOEFLの基準に関しては、80点以下は38校、90点以下は58校、100点以上は68校でした。また、IELTSに関しては、6.0以下は29校、6.5以下は60校、7以上は3校であった。同時に、英語能力の要件を設けていない協定校は15校である。ただし、大学によってTOEFL/IELTSに含まれる各項目にも点数の基準を設けているところもあるため、このページに載っている協定校情報一覧にて自分の志望校が設けている語学の要件を随時確認しよう。
■ 準備にかかる時間の目安
上述したように、推薦書(全学交換留学派遣候補学生所見事項)は、教員に作成をお願いして提出していただく必要があるため、連絡と作成は時間がかかる。また、志望理由などの資料の作成に必要な時間も考えると、遅くても応募の締切の三週間前から準備を始めた方が良いと言える。
2023−2024年の秋募集は締切が2022年9月~10月上旬頃、春募集は締切が2023年5月上旬–6月上旬であった。また、2024–2025年の秋募集は、2023年9月~10月上旬頃であった。
■留学先の学校を選ぶ基準
留学先の学校を選ぶ上での主な基準として、言語、学習分野、課外活動などを重視する学生が多い。それは国ごとにも異なるが、同じ国であっても大学などによって特色が異なるため、大学ごとに特色を調べることが望ましい。また、Go Global Websiteの協定校一覧のページから各大学を確認すると、「留学体験記」から各留学生が留学先を決めた経緯などが見られるため、参考にするのも一つの手だろう。
選考の流れ
■学内選考の実態
USTEPの申請プロセスは大まかに言うと、東大による学内選考とその後の受け入れ大学の選考がある。東大による学内選考は、上記のようにUTASでの情報入力と教員による推薦状の提出によって申請が完了するが、それを通過した者は受け入れ大学からの合格がもらえることがほとんどである。
■申請後-学内選考結果発表までにできること
UTASでの申請後、選考を通過した者には「受け入れ大学への申請を許可する」という通知がメールで来て、UTASで確認できる。その後の受け入れ先への申請の詳細までは少し時期が空き、おおよそ3,4カ月後に本部国際教育推進課から準備を進めるように連絡が来る。その間には合格した後に何をすべきか(ビザの取得、奨学金など)について情報収集をしておくとよい。
■学内選考突破-受け入れ大学合格まですること
学内選考を突破すれば、よほどのことがない限り、受け入れ大学による選考で不合格になることはないと言われている。よって、学内選考突破後は、交換留学ができることが決まった前提で準備を始めることが重要。ビザや保険に関しては、「受け入れ証明書」のような受け入れ大学からの合格証等が必要になるため、実際に手続きを進めることが難しい場合が多い。滞在先探し(寮がない場合)や奨学金に関しては、着実に進めることが求められるため、情報収集を抜かりなく行うことが受け入れ大学合格から渡航までの手続きをスムーズにする。また、受け入れ先大学が提供する交換留学生や留学生への支援、支援を担当する部署の連絡先等をメモして質問があればすぐにメールでする積極性も重要。
■受け入れ大学合格から渡航まですること
受け入れ先大学合格から渡航までにすることは、渡航先によっても大きく異なるため同じ地域ないし国に交換留学に行った経験のある先輩等を見つけ体験談を直接聞くことができるとスムーズに行く。しかし、直接知っている先輩がいない場合でも、「全学交換留学 留学体験記」のウェブサイトに過去の留学体験記がまとまっている。この留学体験記には、ビザ、保険、奨学金、宿泊先等の渡航前に知っておく必要のある情報がまとまっているため、過去の体験談を熟読し、先輩の渡航準備の様子に基づいて準備を始めることがおすすめ。中でも、ビザや宿泊先の確保は油断していると渡航直前まで安心して過ごすことができなくなるため、「まだ数ヶ月ある」と油断せずに積極的に進めることが必要になる。
奨学金について
奨学金については、様々なタイプのものがある。中でも、交換留学や長期留学をする大学生ないし東大生を対象とする給付型の奨学金が人気があり、応募者が多い。海外留学等奨学金については、こちらのウェブサイトにまとまっているため熟読されたい。また、個別応募型と対比される大学公募型と呼ばれる東京大学による推薦や取りまとめが必要なものは「大学公募の締め切り」が大学側からグローバル駒場のウェブサイトで随時アップデートされるため交換留学をすることを決めたらすぐにチェックし始めることがおすすめ。奨学金を応募するにあたって必要な情報は、おおむねUSTEP申請をする際に記入することで足りるが、奨学金の一部が推薦状の提出を求めてくるため余裕を持って教員に推薦状をお願いできるように情報を整理する必要がある。
■一部奨学金について
ここでは、経験者の声をもとに、多数存在する奨学金の中の一部の概要についてまとめる。詳細は例年変更する可能性が高いため、ウェブサイトで適宜確認することをおすすめする。
●前提
学部生。
全学交換留学。短期は後述。
東大への留学生は例外。
●<結論>
奨学金周辺は情報が雑然としているうえに締切が存在するため、厄介。早め早めにきちんと情報収集を行う必要がある。
自ら多くの奨学金を調べ、申し込もう。
●<奨学金の類型・その例について>
校内
JASSO
Fung Scholarship
●校外(大学経由)
制限あり
所得:多種
成績:業務スーパー
制限なし:トビタテ!留学JAPAN
校外(個人申し込み)
BCJA
IELTS
●<校内奨学金について>
原則全員もらえる。ただし、校外の「併給不可」の奨学金を受給予定の場合はもらえない。