福井県から文科一類に合格し、これから教養学部教養学科総合社会科学分科相関社会科学コースに進むKTさん。彼女は1Sセメスターの時期にどんな活動をしていたのかインタビューをし、記事にしました。
インタビュアー:北村優佳(理科二類新2年)
—----入学当初、どのようなモチベーションだったかを教えてください。
うろ覚えではあるけど、元々東大を強く志望していたので、大学で何をしようかということはすごく考えていました。大学やオリエンテーション委員会のサイトで、どんなサークルがあるのかを調べていましたね。あとは、一人暮らしをしないとといけなかったのですが、私は生活力がなかったので笑、料理の勉強などもしていました。
私の年はすごく特殊で、3/25に上京したのですが、その日にオリエンテーションや授業が全面オンラインになると発表されたんです。そのせいでモチベーションが挫かれてしまいました。その後福井に戻ったのですが、「東大から得られるリソースは全部得よう」と気持ちの切り替えができて、UT-BASEの主催している合同新歓や、各サークルが単体でやっていた新歓などいろいろなイベントに参加するようになりました。Sセメスターの間の活動は対面で行うことができなかったので、私は9月に入るまで上京はせず、地元の福井県からオンラインでさまざまなイベントに参加していました。
—----どのように情報を集めて、どのような新歓イベントに参加しましたか?
まずは学外の活動についてお話しします。
当時の私は国際協力に興味がありました。そんな中で、東大の国際系サークルの新歓に参加したところ、「国連フォーラム(※1)」を紹介されたんです。すぐにメルマガ登録をして、日々届く情報の中で興味あるイベントを選んで2週間に1回くらいのペースで参加していました。
それと同時に、私は教育にも興味がありました。高校時代から、仲良くなった東大の先輩と月に一回程度zoomでディスカッションしたりして教育について考えていました。また、他の大学の先生がやってる教育ワークショップに参加したりもしましたね。この先生とは、当時所属していた東大ドリームネット(※2)で行われた東大の卒業生と在学生のミーティングで、元々文科省にいて今はOECDで働いている方に出会って、その方に繋げていただきました。
当時は全ての活動がオンラインだったので、「自分で掴みに行かないと」という気持ちが強く、いろんなオンラインイベントやワークショップに参加していました。
(※1)国連フォーラム:国連についてもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考える多くの人々に、情報共有や議論への参加、さらには具体的な行動を起こすきっかけとなる「場」を提供することを使命に活動するフォーラム。詳しくはこちら。
(※2)東大ドリームネット:東大生が、社会の第一線で活躍する東大卒業生と語り合うことを通して、自らの価値観や生き方について考えを深め視野を広げ視座を上げることをともに目指し活動していた団体。
—----1Sセメスターで行っていた活動について教えてください。
私がやっていた活動は先ほどもあったようにほとんどオンラインでした。課外活動はほとんど東大ドリームネットでの活動だったと思います。
そもそも、東大ドリームネットに入ろうと思ったきっかけは、合同新歓に参加したことでした。活動が全部オンラインになってしまい図書館などの東大の施設も使えないような状況の中で、東大ドリームネットでは卒業生とのコネクションを持つことができると知って、「私が東大から得られるリソースは人との繋がりしかない、それを最大化するために東大ドリームネットに入ろう」と思いました。ここで得た人脈が今後の活動につながったらいいなと。
東大ドリームネットでやっていた活動は大きく2つあります。
①オンライン特別講演会「東大生の知らない世界〜国際機関で働くとは〜」の運営
(国際機関に興味はあってもキャリアのイメージが思い描けない学生向けに、長年国際協力の現場で活躍されている卒業生の方々に「国際機関で働くとはどういうことか」語っていただく特別講演会。当時の企画情報はこちら)
ゴールデンウィークごろに三人の先輩方とオンラインイベントの運営をしました。この三人の先輩の中にはUT-BASEの生みの親や現在もUT-BASEで活動されている方がいらっしゃって、ここでの経験は今のUT-BASEの活動につながっています。また、企画の運営のノウハウをもらえましたね。この企画には最終的に150人くらいが参加してくれて、やりがいがありました。
②自分でイベントを統括し、教育企画を実施
(「教育問題について多面的視点から考える」ことを目標とした「2020年教育改革」についての卒業生講演と学生ディスカッションを行う企画。当時の企画情報はこちら)
6-8月にかけて、教育現場で働いている人や研究している人などを招いて教育改革などについてディスカッションする企画の運営を行いました。
1年生の初めに統括をしたので、その後に自分が何かを企画したり運営したりすることが怖くなくなりました。私は川人ゼミ(※3)にも所属していたのですが、その後川人のパートリーダー(※4)になった時の企画立案にもこの経験が生かされましたね。
(※3)川人ゼミ:現場主義をモットーに、現職弁護士の講師の下、講義やフィールドワークを通して社会の諸問題を考え学ぶゼミ。ゼミ情報はこちら。
(※4)パートリーダー:川人ゼミでは、4〜5個のテーマ(労働・教育・地方創生など)に応じたパートが設置され、メンバーはそのいずれかに所属する。パートの運営メンバー「パートリーダー」がフィールドワークや勉強会、学生発表を企画する。
そのほかにも、川人ゼミに所属していました。私は元々高校時代に模擬裁判をしていて、「東大でも模擬裁判をできるところがあるらしい」ということで加入を決めました。もう一つの理由として、川人ゼミでは「現場主義」をキーワードとして、フィールドワークを通じ現場最前線の人に話を伺ったり講演をしていただいたりできたというのもありました。私は高校時代英語ディベートなどもしていましたが、どれだけ頑張っても机上の空論だなという感覚があったんですね。だから、大学入ってからは調べた情報だけじゃなく、そこに実際に関わっている人のお話を聞きたかった。そんな時に、川人ゼミの掲げる「現場主義」という言葉に出会い、共感したんです。川人ゼミのオンラインフィールドワークには週に1回くらい参加していました。
—----当時の日々の過ごし方やそれに対してどう感じていたかを教えてください。
授業がメインで、暇な時間には高校時代に読みたかった本を読んでいました。週に何回かは、放課後(主に5限後)に東大ドリームネットのオンラインミーティングや卒業生訪問に参加していました。Sセメスターはずっと実家で暮らしていたので、生活面に困ることなく勉強に集中できたのはよかったですね。一方で、ずっとパソコンの画面を見続ける毎日に辟易してしまうこともありました。友人にもそう感じている人は多かったようで、時々zoomや電話で愚痴を言い合ったりもしました笑。
—----これはやっていて特によかったなと思うことを教えてください。
2つあります。
まずは、たくさん本を読んでいてよかったということです。受験期は勉強ばかりでなかなか本を読めていなかったので、興味のあった広井良典先生(京都大学こころの未来研究センター教授)や見田宗介先生(東京大学名誉教授)の本などを読むことで、その後の学習を分厚くすることができました。その時期にインプットができたのはすごくよかったと思います。
また、いろんな人と繋がっていてよかったなとも思います。卒業生の方と連絡をとる中で、大人の方とコンタクトを取ることへの抵抗が少なくなりました。UT-BASEに所属していた先輩などとのコネクションができていたので、Aセメスターから上京した時もスムーズに学生生活をスタートすることができましたね。
—----逆にこれはやったほうがよかったなと思うことがあった場合教えてください。
夏休みに、可能だったら福井と東京以外でもいろいろ活動すればよかったなと今では思います。地方のインターンやワーキングホリデー(※5)なども探せばいろいろあって、当時使えたGo To トラベルなどを利用して見聞を広げておけばよかったと感じています。インターネットと東京・福井以外の視野も欲しかったですね。
(※5)ふるさとワーキングホリデー:都市に暮らす若い人たちが、一定の期間、地域に滞在し、働いて収入を得ながら、地域の人たちとの交流の場や学びの場などを通して、通常の旅行では味わえない、地域を丸ごと体感してもらい、地域とのかかわりを深めてもらおうというもの。詳しくはこちら。
—----最後に新入生に一言お願いします。
最初に伝えたいのは、特に文系の人は前期課程は後期課程に比べ時間的余裕があるということです。この時間を利用していろんなことにチャレンジしてほしいですね。学部を選ぶヒントにもなると思います。夏休みを含めて、授業だけでなくいろんな地域に行ったり、サークル活動をしたりなど積極的に行動してほしいです。
あとは、意外と進振りまで時間がないということ。やっぱり、自分の興味は早め早めに調べておくのがいいですね。前期課程で履修することのできる主題科目(※6)はすごく面白いのでよく調べてほしいです。柏の研究室に滞在させてもらえたりとか、いろんなワークショップを体験できたりします。
スケジュール面や忙しさの調整は意外となんとかなるので、とにかく興味のあることに挑戦してみてください!
(※6)主題科目:東大で開講されている一連の講義。学術フロンティア講義、全学自由研究ゼミナール、全学体験ゼミナール、国際研修の4種類が用意されている。科類に関わらず、最低2単位を取得することが求められている。