「あなたはどのようにして進学先を決めましたか?」
多くの東大生が1度は頭を悩ませる、進学選択(通称「進振り」)。
——何を基準に学部・学科を決めれば良い?どんな手段で情報を集めれば良い?自分の興味・関心にどう向き合えば良い?
そんな疑問を抱く東大生に寄り添うべく、悩み抜き、考え抜いて進学先を決めた先輩たちの経験を発信する連載「進振り体験記」!
今回は、理科2類 から医学部健康総合科学科(健総)に進学した学生の体験談です。
1. 基本情報
今回、体験をシェアして下さった方の基本情報は以下の通りです。
◯名前:S.K.さん
◯出身科類:理科Ⅱ類
◯進学先:医学部健康総合科学科(詳細:こちら)
2. 大学に入る前
ーまずは高校時代の頃について伺いたいです。Kさんは理科2類に入学しましたが、東大を目指し始めたきっかけと、理2を選んだ理由について教えてください。
大学選びについてですが、親戚に医療関係者が多かったこともあり、医学部に行くのかなと思っていました。ただ、上野千鶴子先生の祝辞を聞いて、東大に行きたいと思うようになりました。
科類については高校時代から生物に関心があり、同時に「自分が進むのは物理系ではまずないだろうな。」と思っていたので理科2類を選びました。とは言え、案外進振りを使えばどこにでも行けるなとも感じているので、物理系だから理1、生物系だから理2、というように、すごく厳密に決める必要はないのかなと思います。
3. 入学時から現在までを振り返って
ー高校時代思い描いていた東大と、入学してからの実際の東大とで、イメージの違いはありましたか?
入学する前までは東大の学生は後光が差しているというか(笑)。そういうキラキラしたイメージでした。でも、そのような憧れの場所が、入学後は日常になってしまった感覚がありました。後光が差していない、キラキラしていない自分が入学することのギャップは大きかったですね。
コロナ禍に入学したためオンライン授業が続き、ホームシックになった時期もありました。ただ、その中でも能動的に学内外問わず様々な場所で活躍している東大生を見て、私自身も積極的に動かないといけないなとは感じていました。
ー入学時を振り返って、学問的な興味範囲はどれくらい変わりましたか?
割と一貫していたと思います。元々医療系志望だったこともあり、早い段階から医学部健康総合科学科(以下「健総」)には関心がありました。ただ、心理学や文学にも関心があり、総合科目もこれらのジャンルを多く履修していました。
ーどのように学部・学科を絞り込んでいきましたか?
進振りの際に迷った学問分野は、心理学、文学、生物・医学の3つでした。
まず心理学についてですが、もともと心理学は科学的な側面から「理系的」に脳を扱うというイメージがあったものの、心理学の授業を履修してみると、一般的な人間を分析対象として話をしていることが多かったんですよね。脳をもっと生物学的視点から分析してみたいなと、その点を踏まえると心理学は少し違うのかなと思いました。
文学については、2Sセメスターに履修した外国文学が印象に残っています。フランスの詩の分析をする授業だったのですが、レポートが楽しく、文学部もいいなあと素直に思いました。ただ、周りを見ると私より何倍も濃密な読書経験を重ねてきた学生が多く、また、文学という感性が重要な分野に居続けられる自信もなかったので、文学系という選択肢も最終的には切りました。
このような絞り込みを経て、生物・医学系に進みたいと考えるようになりました。
4. 進学先の決定
ー先ほど生物・医学系に進みたいと考えるようになったとお話してくださいました。生物・医学系の学部・学科も多くある中で、健総に進学したいと考えるようになった決め手はありますか?
何よりアプローチの広さですね。健総の特徴として、「健康」という大きなテーマについて、自然科学的なアプローチから社会科学的なアプローチまで、どのようなアプローチで研究するかを進学後に決めることができるというのが大きいと思います。一応いきなり絞るのはよくないと、理学部・農学部・文学部も見てみましたが、やはりアプローチの選択肢の幅広さから健総に決めました。
ー健総の特徴であるアプローチの幅広さについて、詳しく教えてください!
健総の学生は、2年生の2月の段階で、①環境科学専修、②公共健康科学専修、③看護専修、のいずれかの専修を選択します。私は公共健康科学専修を選択することとなりましたが、進学後半年間をかけて、自分の真にやりたいアプローチは何かを考えられるのは大きな魅力ですね。
ー健総は理系のイメージが強かったのですが、社会科学的なアプローチで研究を進める研究室も多いんですね。
そうですね。特に公共健康科学専修は社会科学的アプローチの側面も強いと思います。医療分野について、統計分析を行ったり、政策立案・実践を行ったりと、医療と社会の関わりについて学んでいく印象があります。
5. 健康総合科学科での日々
ー進学後の生活についてお話を聞かせてください。学部・学科の授業や雰囲気はどうですか?
2Aセメスターは健康科学の概論を学んだり、生命科学の基礎を学ぶことが中心です。一つ驚いたこととして、学科自体の人数が20人弱なのに対して、教員の数も同じくらいいるんですよね。その分、学生と教員の距離が近いのはありがたいことだと思っています。また、ディスカッション系の授業も思ったより多くて楽しいですね。
ただ、健康に関することならなんでも学ぶことができるので、一つ「軸」を見つけておく必要はあるのかなと思います。
ー今のところ、「軸」の方向性は見えていたりしますか?
精神疾患の分野に科学的にアプローチをしたいと思っており、また、昔から一つのことを突き詰めることが好きだったので、学部卒業後は院進して研究の道に進みたいと思っています。実は受験生のころ、ある精神疾患を抱えていたのですが、良くも悪くも隠すのが上手だったため、家族にバレないまま一人で抱えることになりました。精神疾患は患者数が多い割には治療法が確立されていないことが多いんです。当事者しかわからないことを知っているからこそ、研究に活かせるものもあると思っています。
6. メッセージ
ー最後に、これから進振りを迎える方々へ、アドバイスをお願いします!
興味の幅を自分から広げに行くことをオススメします。具体的には、少しでも自分のアンテナに引っかかった科目は、現状あまり興味がなくても、積極的に受講してみるのがいいんじゃないかと。そうすれば、「あっちの方がよかったのでは?」と、後々後悔するようなこともなくなると思います。
また、友達の進振りに関する話を聞いてみるのもオススメです。私は地方出身で頼れる先輩も特にいなかったのですが、その分、同級生からの進振りについての話は参考になりました。
本当に色々なことができる東大という利点を、最大限に活用してほしいなと思います。ただ、時にはしっかり休んで自分を大切にし、頑張りつつ楽しむことを忘れないでほしいです!
# UT-BASEメンバーより
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