東大での生活の中で、最も自由に使える時間が多いと言われる2Sの時期。
この時期をどう使うか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
2Sをどう使うかということは、その後の選択に大きな影響を与えるかもしれません。
そこで、皆さんが満足のいく2Sをおくる一助となるよう、先輩たちの2Sの過ごし方をご紹介するのが、こちらの連載「2Sの過ごし方」!
今回の記事は、様々な活動をし、様々な人の話を聞くなかで自分が本当にやりたいことを見つけていった学生の体験談です。
1. 基本情報
今回経験を共有してくださった方の情報は以下の通りです。
◯名前:T.T.さん
◯科類:理科三類から医学部医学科
◯2Sのコマ数:S1→11コマ、S2→9コマ
◯2Sのサークル・部活など:TEDxUTokyo実行委員会、iGEM UTokyo、UT-BASE
◯2Sのバイト・インターン:教育支援のボランティア
2. 2Sの過ごし方
ーTさんは2Sをどのように過ごされていましたか?
2Sの時期、特に力を入れて取り組んでいたのは学生団体TEDxUTokyoの活動です。僕はメンバーの採用やケア、組織改善といったメンバーマネジメントを主にやっていました。
4月に新歓があるのですが、これは2Sの中でも2,3本の指に入るほど力を入れたことです。どのような人と一緒に活動したいのか、どのような採用のプロセスを取るべきかなどを考えながら新歓を行うのですが、団体内で考えがそれぞれ異なり、共通の認識を得るのが難しかったです。大変なことが多かったですが、その過程でメンバー同士で価値観を衝突させ、自分の価値観を俯瞰することができるようになったりメンバー同士で大切にしたいことが違っていることに気づくことができたりして、楽しいと感じることも多かったです。
TEDxでは、5月になると新メンバーが入ってきます。みんな最高のイベントを作りたいという思いが強いだけに激しい議論も多く、そこで自分のモチベーションがわからなくなってしまうメンバーもいました。僕はいろんなメンバーの声を聞くことが多かったので、どうすれば全員が楽しみながら、組織をうまく運営できるのかを考えました。メンバーのケアにあたってそれぞれから話を聞くのですが、感情移入しながら聞くため自分自身も精神的に疲れることもありました。
6月にはTEDxUTokyoのメインイベントがありました。そこでは受付の統括などをしたのですが、本当に楽しくて、アドレナリンがドバドバ出ているような感覚でした!「来年もやりたい!」と思ったのですが、同時にそれは自分にとって逃げの選択肢かもしれないと思うようになりました。その理由としては、一回やって楽しかったことをもう一度やるのは、次の一歩から逃げているというように感じたことと、TEDxUTokyoの忙しさを理由に自分の将来に向き合う時間をしっかり取れていなかったということです。そのため、6月のイベントの後TEDxは引退し、試験勉強も頑張りながらiGEM UTokyoとUT-BASEに力を入れるようにしました。
iGEMは合成生物学の世界大会で、そこに東大チームとして出るために活動していました。iGEM UTokyoでは、光を使って細胞の挙動を制御するというプロジェクトをしていました。一緒に活動をしている他のメンバーと同じ土俵に立って議論できたかは最後まで分かりませんでしたが、大学2年生で、サイエンスの分野尊敬する同期や後輩と一緒に一つのプロジェクトを追求できた経験は一生ものだと思っています。
授業に関しては、毎週論文や街に関する記事を読み、浅草でフィールドワークをし、最終的にペアで発表をするUnderstanding Citiesという授業をとっていました。もともとまちづくりなどに興味があり、この授業をとったのですが、学生団体の活動に加えてこの授業も、自分の興味を知る一助になりました。
3. 今とのつながり
ー2Sでの経験や選択は、Tさんの今にどのように繋がっていますか?また、その選択について、どのようにお考えですか?
TEDxUTokyoでメンバーマネジメントの活動をしている中で、精神的に追い込まれる人に出会うことがありました。僕も過去に一度メンタルの不調を経験したことがあり、それらの経験が重なって「人は思ったよりもメンタルを崩しやすい」ということに気づき、人の精神状態は大切なものであると同時にとても脆いものであることが分かりました。また、組織改善をするにあたっては、メンバーのいろんな意見に寄り添ってその人の立場で考えるのが得意な人と、全体をみて全体にとって何が良いか考える人がいると思います。僕は前者でした。
それまでは、教育学など大局的に物事を見ることにも興味がありました。しかし、TEDxでの活動を通して、自分は大局的に物事を捉えるよりも、個人に寄り添ってその人個人が幸せになれるアプローチを考える方が好きだということに気づきました。
このことは、進振りにも影響を与えました。TEDxUTokyoの活動を通して、一人一人の人間を対象にし、考えることができる学問がしたいと考えるようになりました。そのことが、医学部進学に繋がりました。医者は、一人の人を相手にする際、数値も大切にしますが、その人から感じ取れることやその人の背景といったその人個人の定性的な情報も大切にします。これらのことから、個人について考え続けることができる医学部に進もうと決めました。
また、iGEMの活動も自分の進路を決めるきっかけになりました。純粋な好奇心に沿って活動できることはとても楽しかったのですが、自分が職業として選ぶものとしては向いていないかもしれないと思うようになりました。僕が携わっていたプロジェクトでは、社会的な意義も大切にしていましたが一番大切にしていたのはメンバーのワクワクでした。僕も他のメンバー同様にワクワクを感じる一方、自分はやはり人の幸福に直接的につながるようなことをしていきたいと考えるようになりました。研究職は好奇心を持ち続けることが大事だと思います。しかし、今回の活動で自分は職業と好奇心を両立させるのは難しいかもしれないとに気づいたため、研究職は職業として選ばないと思うようになりました。ただ、仕事にしないだろうと決めたからこそ、大学にいる間にしっかりした研究活動に取り組みたいと思うようになりました。研究活動を経験した上で、その選択肢を切る決断をする方が良いと考えたためです。(2Aの半年で再び研究職に魅力も感じ始めていますが笑)
Understanding Citiesの授業も進路に影響を与えました。もともとまちづくりに興味があり、工学部の社会基盤学科や都市工学科、建築学科なども進学先の選択肢に入れていました。しかし、授業で本格的にまちについて考えたりフィールドワークをしたりする中で、自分はまちに興味はあるが、学問としてよりも趣味として関わる方が好きだと感じるようになりました。まちの人をまち全体の構成員として見るよりも、その人個人として見たいと思ったためです。工学部のガイダンスを見に行った際もこのことを強く感じ、自分が進みたいのは工学部ではないと思いました。そのため、僕は医学部を進学先に選びました。
4. メッセージ
2Sは時間がある時期だからこそ、少しでも興味があることに挑戦することをオススメします!面白そうな授業はとっておいて損はなく、たとえ自分に合わないものでも、この道は違うなと気づくこともできます。このことは、のちの自分の決断を強化してくれると思います。
また、とにかく色々な人の話を聞くのもいいと思います!2Sは時間があるので、自分に向き合う時間も取れるはずです。ただし、その分悩みも多くなるでしょう。そのような時期だからこそ、友達、家族、先輩後輩の話だけでなく、学部のガイダンスなども聞くことによってより自分に向き合うことができるはずです。じっくり考える時間がある時期だからこそ、いろいろな人から話を聞くことでより多くのものを得られると思います。
UT-BASEメンバーより
様々なことを経験し、様々な人の話を聞いて自分の進路を決めていったTさんにインタビューをするうちに、私自身も自分にもっと向き合おうと思うようになりました。今後、私たちは進学選択や職業選択など、様々な決断に直面すると思います。Tさんのお話は、今後そのような決断に向き合うための大きなヒントになると思います!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
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