帰国生枠で文科一類に入学したY.M.さん。この春2年生となり、さらなる飛躍を目指す彼女は、1Sセメスターの時期にどんな活動をしていたのでしょうか。インタビューをし、記事にしました。
インタビュアー:北村優佳(理科二類新2年)
—----入学当初、どのようなモチベーションだったかを教えてください。
合格がわかった時は、自分が合格したということが信じられなくて、ただただ嬉しかったです。でも、その数分後に突然「自分はこの次どうすればいいんだろう?」という不安に襲われました。オンライン化が進む中で、もたもたしてたら置いていかれるんじゃないか、何がこれから起こるのか、授業にはついていけるのか、進学校以外の人は孤立してしまうのではないか...と不安は募るばかりでした。それまで周りに東大生はおらず、東大に行っていない人に相談してもどうしても不安は払拭されなかったので、できることはやろうと思いました。このように、私は不安と恐怖から出てくる原動力で動いて、自分で情報収集を始めましたね。「みんなTwitterで情報を集めているのかな」と思ってTwitterを始めたり、「第二外国語は何を取ればいいのだろう」と思ってインターネットで調べたりしていました。
入学してからは、自分がすでに大きなグループができている中に入っていって友達を作ることのできるタイプではないことをわかっていたので、早めにコミュニティを見つけたいといけないと思い、自分にあう学生団体やサークルを探しました。初めは運動会の新歓や女子オリエンテーション、C学の交流会に参加し、その中で「意外と東大生も普通なんだ!」と安心することもできました。
—----どのように情報を集めて、どのような新歓イベントに参加しましたか?
新歓情報はTwitterからしか得られなかったので、Twitterのアカウントを大学生になって作成しました。「東大」というワードで検索し、興味ある団体のアカウントををフォロー、関連してあがってくるアカウントをフォロー、ということを繰り返して新歓情報を得ました。また、UT-BASEの掲載団体記事も読んでいましたね。特に「所属している女子の割合」ということはよく確認し、打ち解けられそうか、団体の雰囲気はどうか、ということも確認していました。
参加したイベントとしては、女子オリエンテーション、UT-BASEの合同新歓、気になったサークルの独自の新歓があったと思います。
—----1Sセメスターで行っていた活動について教えてください。
私は5つの団体に所属していました。順に紹介します。
①高山ゼミ(メディアからの情報取得・分析方法を学ぶゼミ。2022年度からは馬路ゼミとなった。詳しくはこちら。)
新歓に参加したきっかけは、先輩に勧められたことです。そして参加した新歓で、トルコについて目を輝かせて語る先輩の姿を目にし、「こんなに熱中できることがあるのが羨ましい」と思い加入を決めました。また、私は1人で勉強するのが苦手なので、国際情勢などに関心がありかつ勉強する意欲に溢れる人に刺激されて自分も勉強したい、とも思いました。高山ゼミの魅力は、海外大形式でディスカッションを少人数でできるところです。私は、ゼミの中でイスラエルとパレスチナに関するレポートの作成に時間を割きました。
②茶道部
私は高校を海外で過ごしたのですが、海外にいると日本の文化を話せないと恥ずかしい場面が多くありました。でも、私はいわゆる「日本文化」を体験したことがなく、感覚でしか話すことができなかったため悔しい思いをしていたんです。だから、大学では日本文化に触れたかった。そんな時に、茶道部を見つけました。先輩が優しくていいコミュニティだなと思ったことと、駒場にお茶室があったことから加入することにしました。初心者だったので、1からお作法を学び、1人でお茶を淹れられるようになりました。
③UTDS(普段の練習や大会参加を通じて英語即興ディベートに取り組む団体。詳しくはこちら。)
興味を持った理由は、アカデミックな英語を使う機会を確保したかったからです。新歓に行ったときに、先輩の話し方がわかりやすくて、こんな話し方ができるようになりたいと思ったので入りました。本入部が1Aセメスターの始まりとなるサークルなので、それまでは自由に先輩と組んで初心者用の大会にでたり、オンラインで友達と練習したりしていました。
④HCAP(討論・文化交流によるカンファレンスへの参加と企画・運営を通じてハーバード大学生と交流する学生団体。詳しくはこちら。)
興味を持ったきっかけは、私自身海外大受験を考えていた時期があったため、海外大学生との交流を持ちたかったからです。国際交流系の団体をいろいろ調べる中で、少人数で交流できるHCAPに魅力を感じました。また、高校時代にHCAPの先輩がやっていたイベントへ参加し、その運営の大学生に憧れを抱いたことも理由の一つです。1Sセメスターの活動としては、10人のメンバーとの交流が主でした。そのほかに、ハーバード生とのミニ交流会や引き継ぎに向けて先輩の話を聞く、ということをしていました。
⑤弁論部(100年以上の歴史を有しており、弁論とディベート、読書会を中心に活動する法学部公認サークル。詳しくはこちら。)
UTDSと同様に、論理的に話すことができるようになりたくて、日本語でもディベートをやりたかったという理由で入りました。新歓の勉強会などに顔を出していました。
—----当時の日々の過ごし方やそれに対してどう感じていたかを教えてください。
私はTLP生だったので、多くのコマが埋まっていて、授業を1-5限まで受けて空きコマは課題に取り組むことが多かったです。一人暮らしをしているので、授業の後は買い物や料理などの家事をしていました。それが終わったら課外活動のzoomやクラスzoomに参加していましたね。
今考えれば当時は忙しくなかったですが、当時は充実感に溢れていました。それは、自分で何かを選んでできることに充実感を感じていたからだと思います。自分でサークル選んで、予定を埋めて、新しい人と話すことができて....という新しい体験が非常に楽しかったです。違うバックグラウンドの人と出会ったり、大学でいろいろなこと学んだり、とにかく刺激的でした。ただ、1Sセメスターの後半は、オンラインだということもあってモチベーションを保つのが少し難しかったです。「燃え尽き症候群」というやつですね...。
—----これはやっていて特によかったなと思うことを教えてください。
多くの人は、この時期に同じクラスや学年の人と話したり不安を共有することが多いと思います。これは大事なことですが、先輩の話を聞いて遠慮なく質問することもとても大事だと思います。私は入学が決まった後、いろんな先輩に「話聞かせてください」とzoomを繋げてもらいました。これは、高校時代に参加したイベントで、当時東大の経済学部に所属していた先輩(私の入学当時は社会人3年目)とLINEを交換していたので、合格がわかってすぐにLINEをして、「いろいろお話を伺いたいです」と相談したらzoom繋げて下さったことから始まります。その先輩が、「自分は卒業して時間も経っているので、今は状況が変わっているかもしれない」ということで高山ゼミの当時4年生に繋げてくださったんです。その方は経済に興味のある方で、私が政治に興味があるというお話をすると、私と興味分野が同じ別の先輩に繋げてくださいました。その先輩が次に司法試験を受けたことのある別の先輩に繋げてくださって...というふうに、さまざまな方に繋げていただき、そこでお話しした法学部や国際関係に興味のある先輩方に、「大学生活でやっててよかったことは何ですか?」と伺って、それをサークル選びに生かしていました。元々東大生の知り合いが少なかったのでとにかく不安で、いろんな人に話を聞いたのですが、みなさん親切に答えてくださいました。私はたまたま東大出身の方の連絡先を持っていたのでラッキーでしたが、そういう繋がりがなくても、新歓のサークルで出会った先輩でも、親切に相談に乗ってくれると思うのでぜひ相談してみてください。いろんな歳の人の話を聞けたことは本当によかったです。
—----逆にこれはやったほうがよかったなと思うことがあった場合教えてください。
東大の外を見る、視野を広く持つということです。東大の外のインターンやバイト、ボランティア活動など、東大にこだわらずにいろいろな人と出会う機会が持てたらよかったと思います。東大を軸に持たない人に会うのもとても面白いことだと今では思います。
また、自分を他の人と比べるのをやめた方がよかったとも思います。「自分は自分」という自信を持つことが大事だと気づきました。大学に入る前までは、「東大」や「勉強」という価値観だけで物事を見ていない人がたくさんいました。でも、東大では成績や学力的にどれだけ優秀か、という物差ししか持てなくなることがあって息苦しくなることがあります。そういう人たちだけでないことをもっと知ることができたらいいなと思います。
—----最後に新入生に一言お願いします。
自分が楽しいと思うことを続けてほしいです。長い間楽しいと感じなかったら、それは自分が本当にやりたいことか問い直してください。そのような時は、東大ではいろんなことができるので、いろいろ他のことにも挑戦してみてほしいです。
また、恐れずどんどん質問をしてほしいです。基本的に質問されて嫌がる人はあまりいません。「東大」というリソースを十分生かして、自分の楽しめることを突き詰めていってほしいと思います。