この記事は、6月16日開催、【UT-BASE主催】進振り相談会2022」経済分野のイベントレポートです。進学選択に悩む1,2年生に向けて、各学科に進学された先輩が学科の内容から将来の進路までお答えします!
「自分の興味のある分野の人に話を聞いてみたいけれど誰に相談すればいいのかわからない...」
「そもそも〇〇学科って何するところなの?」
「学科のパンフレットだけではわからない、雰囲気やホンネを知りたい!」
そんな疑問にできるだけお答えできるよう検討し、国際/社会/経済/人文/心理・認知/化学/情報の7分野の先輩をお招きして相談会を開催しました!
今回は経済分野の紹介です。UT-BASEの学科紹介記事や、昨年度のイベントレポートとも合わせてぜひご一読ください。
登壇者紹介
Kさん
・理科一類→工学部システム創生学科Cコース(PSI)、以下「シスC」
・興味分野:経済、経営工学、デザインコンサルティング
・迷った学科:社基A(工)、シス創B(工)(ただし、ほぼ迷わずシスC一択)
・将来の進路:院進
Mさん
・文科二類→経済学部金融学科、以下「経済」
・興味分野:金融工学、ブロックチェーン、機械学習
・迷った学科:計数(工)、シス創(工)
・将来の進路:院進
Fさん
・文科 二類→農学部農業資源経済学専修、以下「農経」
・興味分野:農業問題、貧困問題
・迷った学科:経済(経済)
・将来の進路:院進
Nさん
・理科一類→工学部システム創成学科Bコース(SDM)、以下「シスB」
・興味分野:ソフトウェア工学
・迷った学科:情報科学(理)、電気情報(工)
・将来の進路:就職
寄せられた質問&回答
Q1. 各学部学科の課題の重さやゼミの雰囲気について知りたいです
Mさん(経済):授業によるので、自分で調整可能なのかなと思います。課題がとても重い授業から出席するだけで単位がくるような軽い授業まで様々ですが、履修しないとそれがわからないということはなく、「あれは重いらしいよ」などの口コミは共有されている印象です。
また、経済学部のゼミの雰囲気は全体的にゆるいのかな、と思います。ゼミの部屋でボードゲームして楽しむような仲のいいゼミもあるらしいです。
Kさん(シスC):2Aは実験などが多いですが、課題自体はそこまで重くないように思います。単位はおそらく簡単にきますが、GPAなど成績にこだわる人であれば自分なりに負荷をかけ続けられると思います。
Fさん(農経):自分の専修は期末試験がある授業がほとんどなので、期末の時期になると試験とレポートで皆忙しくなります。逆に他の時期はほとんど課題はないですね、6月中旬頃までが最も忙しいですが、それをすぎてからは実質夏休みで、授業がほぼないような状態になります。
Q2.行動経済学を経済学部でガッツリ学ぶことはできますか?
Mさん(経済):僕はあまり詳しくないのですが、行動経済学をメインに扱う授業とゼミは一応あります。
Q3.文系からエンジニアになりたいのですが、工学部に行かなくて後悔したことはありますか?
Mさん(経済):正直なところ、少しはありますね。やはりプログラミングやコンピュータについて詳しく学ぶ授業は経済学部にはないので、必要な際には工学部の授業をわざわざ取らなければなりません。
じゃあ工学部に行きたかったのかと問われるとそういうわけでもなくて、例えば金融の知識は経済学部に行ったことで他のエンジニアよりも確実に身についているので、金融系のエンジニアの道に進めばこれは絶対活きると思います。また、工学部に友達がいればエンジニアリングに必要な知識は適宜聞いたりすることもできますし。大きく後悔しているってことはないですかね。
Nさん(シスB/司会):確かに文系からエンジニアになるケースは実際ありますよね、法学部からエンジニアになった方もいるようですし。ドメイン知識を獲得してから、エンジニアになるというのも一つの選択肢かもしれませんね!
(ドメイン知識とは:特定の専門分野や業界についての知識、知見のこと)
Q4.前期教養の準必修の経済を履修しており、このレベルの数学は問題ないですが、元々数学が得意ではありません。経済学部に入ってから苦労するでしょうか?良い成績をとりたいと思っているため不安が残ります...
Mさん(経済):数学については経済学部の中でもよく話します。
結論から言うと学科によりますね。経済や金融学科は特に数学よりの勉強が多いです、特に僕の所属する金融学科は下手したら理系より数学を勉強しているんじゃないかというくらい数学の勉強をしています。理系の友達にわからないことを質問しても、「え、それわからないよ」と返されたこともあります笑
成績については、正直経済学部は就活に力を入れる人が多いため、それなりに対策して試験をきちんと受ければ良い成績はくるんじゃないでしょうか。
Q5.シス創BとCの学習内容、雰囲気、院進と就職の割合の違いなどを知りたいです。
Kさん(シスC):雰囲気については、学年特有なのかもわからないですが、明るい人が多く、和気藹々と課題を教え合うような楽しい雰囲気です、またこのムード故に課題も進めやすいというメリットもあるかと思います。
Nさん(シスB/司会):Bも似ています。プロジェクトという授業ではグループワークが中心となるのでこちらもみんなでワイワイ楽しくやっているイメージです。
また、院進と就職の割合の違いについては、Bはおおよそ3:7、Cは1:1となっています。
参考:シスB、シスC
Q6.留学を検討しており、GPAにこだわっています。各学科のいい点の取りやすさを知りたいです。
Fさん(農経):うちの先週は取りやすいのかなと思います、就活する人が8割程度で、基本レポートの評価が多いので、とにかくレポートを頑張れは良い成績はもらいやすいのではないでしょうか。
Mさん(経済):2Aの間は基本とる授業が同じなのですが、そこで大体良をとっていた子が三年夏に留学したと言う話を聞いたので、GPAにこだわりすぎないでも可能なのかなと思うのが正直なところですね。
Kさん(シスC)あくまで個人的な印象にすぎませんが、シスCの先生が担当する授業は割と高得点をもらいやすい印象がありますね。逆にA、Bの先生の授業は結構頑張らないと優はこないなあというイメージです。単位自体はどの科目でもくると思いますが、シスCに進学する方はCの授業多めで履修を組むと得策かもしれません。また、経済学部の授業をとって高得点を狙う人もいるみたいです。
Q7.シスB、Cに「負の遺産」と呼ばれる授業が意外と多いという話を聞いたのですが、実際どうなのか知りたいです。
Nさん(シスB/司会):言葉のニュアンスはあまり理解できていないのですが、確かに噂を聞いたことがあります。具体的に言うと、システム創生Bは元々船舶に関することにルーツを持つ学科であり、今でこそシステムに関することを全体的に扱ってはいますが、材料系の授業やかなり物理系の授業など、船舶系学科だった頃の名残と思われる授業がいくつか残っています。とはいえ、それらで身につけた知識はシミュレーションなどに活かせますし、マイナスな面ばかりではありません。
Kさん(シスC):シスCに伝わる負の遺産...という言葉を初めて聞いたので、少しびっくりしているのですが(笑)先ほどNさんがおっしゃった通り、船舶や環境系の内容は今でも扱われています。特にシスAでしっかり学ぶようで、その影響を受けシスBやシスCの授業にもたまに登場します。そのため、もしかするとそういった内容に関心がない人が負の遺産と呼んでいるのではないかと思います。ただ、シスCは必修がほとんどなくて、取る科目を自分でかなり選べるため、「負の遺産だ」と思ったのなら切る判断をしてもいいかもしれません。
Q8.経済学部の学科ごとの違いを教えていただきたいです。
Mさん(経済):経済学部には、経済学科、経営学科、金融学科という三つの学科が存在しています。経済学科は、みなさんがイメージする「経済学部」そのものだと思ってもらってOKです。ミクロ経済学、マクロ経済学、経済史などなど、いわゆる経済学といった感じですね。統計もガッツリ扱っています。経営学科は会計系の授業が多く、会計士受験を考えている方などが多いです。就活する人の割合が経済学部の中で一番高いのかな。女子生徒の割合も高めです。金融学科は、実をいうと専門の科目があまりなく、ほとんどの授業は経済学科と経営学科と被っています。過ごし方に自由度が高いですが、その気になれば経済学科と経営学科の授業をたくさんとってほとんど金融に触れないまま卒業することも可能です。金融学科の専門科目はとにかく数学を使うものが多いため、金融をしっかり勉強しようとすると数学漬けの二年間を送ることになります。
司会:ありがとうございます。ちなみに農経はどのような感じでしょうか?
Fさん(農経):授業は大きく分けて、「国内の農業」「国際農業」「経済」の3つに大別できます。経済に関しては、マクロ経済学やゲーム理論、計量経済分析など、農業とほとんど何も関係ない純粋な経済の授業も多いです。国内の農業や国際農業に関しては、どちらも経済とところどころ絡めながら、農業生産だったり技術などを学んでいます。
Q9.システム創生学科Cについてお聞きしたいのですが、研振りは具体的にどう行われるのでしょうか?松尾研が非常に人気で倍率が高いと思うのですが...
Kさん(シスC):研振りは進振りと異なり、点数の高い順に決まっていくということはありません。それよりも、学生同士の話し合いというか、ある種の根比べのようなもので決まります。前期過程でいうところのオリ長のような感じで、研振り長として誰か一人が先頭に立って「あなたはこれに興味があるの?ここはどうかな」と促していくのですが、学科に配属されてからしばらく経つと、オリ長でなくとも「あの人はあそこに行くのかな...」と目星がつくようになります。松尾研に関してはおっしゃる通りで、すごく人気が高いです。松尾研を目指す人は、自分でプログラミング力を高めたり、松尾先生が主催されているGCIで良い成績を収めるなどして、公私共にアピールしているイメージがあります。まとめるなら、根比べのようなもので決まるけど、根比べに至るまでで各々が努力している、という感じですね。
Q10.現在理科一類のものですが、経済学部に行きたいなと考えています。頑張った方がいい科目や、2Aでとった方がいい教科があれば伺いたいです。
Mさん(経済):正直な話、2Aの科目はどれも頑張った方がいいです。というのも、いずれも3Sから始まる授業の土台になっている内容なので、しっかりしておかないと後々苦しむことになります。とった方がいい授業ということで、これはおそらく他学部の授業のことだと思うのですが、そこまで気にしなくてもいいかなと思います。僕自身は理学部開講科目の「Pythonプログラミング入門」をとっていましたが、それよりも経済学部の持出科目をしっかり理解しておくことのほうが重要かなと思います。
Q11.シスBとシスCで勉強する分野の違いや、身につけられるスキルの違いについて教えていただきたいです。
Nさん(シスB/司会):システム創生Bコースが打ち出しているものとして、シミュレーションとレジリエンス工学の2つが挙げられます。まずシミュレーションと聞くと、物理シミュレーションなんかを思い浮かべられる方が多いかと思いますが、そうしたものに限らず、それこそ身の回りのあらゆるものを対象としています。最近の例ですと新型コロナウイルスの感染モデルなどが挙げられます。システム創生、と名前についている通り、様々なものに対してシステムを考え、モデル化することでシミュレーションを行います。もう一つ、レジリエンス工学ですが、これは例えば橋の耐久度などをマテリアル工学の観点から考える分野です。分子や原子レベルではなく、身の回りにあるものをそのままのスケールで対象にしています。身につけられるスキルに関してですが、シミュレーションなどを実行する際に自分でコードを書き実装する必要があります。そのためプログラミングスキルは確実に身につくのではないでしょうか。実際、プログラミングに関する授業もいくつかあります。もう一つ言うとするなら、様々なものに対し、モデルを考え変数を減らして考察するというアプローチが身につくことも挙げられるかと思います。
Kさん(シスC):BコースとCコースで取ることのできる科目にそこまで大きな差はないと思うのですが、印象としてはCコースの方がより実践的というか、社会に役立つものを取り扱っているイメージがあります。公式サイトに「俯瞰的視座から社会課題を認識して、科学的根拠に基づいた問題解決を考案し、責任をもって社会実装をする」ことが理念としてあげられている通り、社会貢献をかなり大事にしているように思います。身につくスキルとしては、Bコースと同じくこちらでもプログラミングをかなりしっかり勉強しますし、それに加えて経済的な内容や、材料力学なんかも扱います。身につくスキルや知識としてはかなり幅広いのではないでしょうか。
Q12.農経では、農業や資源に関係ない分野の経済学についても学ぶことができますか?
Fさん(農経):うちの専修では、農学部以外の学部開講科目を履修するときは専門の用紙を提出する必要があるのですが、経済学部開講科目のみ届出なしで履修することができるため、経済学部の授業を取っている人はかなり多いです。うちのクラスではインベストメントという科目がかなり人気なのですが、経済の要素は相当強めです。
Q13.それぞれの学科の他学部履修について教えていただきたいです
Mさん(経済):経済学部は10単位まで他学部履修による科目を卒業単位に含められるため、結構寛容な方だと思います。また、そもそも卒業に必要な単位がそこまで多くないため、卒業単位を取り切った後で好きなだけ他学部の授業を聞くこともできます。
Kさん(シスC):シスCも同じく10単位まで他学部履修の単位を卒業単位としてカウントすることができます。他学部履修の際は、Fさんがおっしゃってくださったのと同様で、届出をした上で許可をもらわないといけないのですが、幅広い科目が認められているように思います。
Fさん(農経):うちは20単位まで他学部履修が卒業単位としてカウントされます。届出が必要なことと、経済学部開講科目の場合は届出が必要ないことは先ほどのお話と同様です。
Q14.現在2年生です。3年の秋から1年間留学して留年する場合、サマーインターンや選抜コミュニティへの参加は一個下の学年と同じタイミングで行うのが普通なのですか。その辺りの事情についてご存じであれば教えていただきたいです。
Nさん(シスB/司会):僕はこの秋から1年間シンガポールへ留学するのですが、おっしゃる通りで1年留年する予定です。全体的な話をすると、学部卒での就職を希望している方は、就活がやはりネックになってしまうため留年してしっかり就活に挑む方が多く、一方で院進を予定している方は留年せずにそのまま進学することもあるように思います。気をつけるべきこととして、留学先の学校によって制度がかなり違ってくるため、しっかり調べておくことをお勧めします。
Q15.シスCが掲げる国際、経営、情報の三本柱にはどれも興味があるのですが、幅広く学ぶぶんどれも中途半端になってしまうのではないかが心配なのですが、その点についてお話を聞かせていただきたいです。
Kさん(シスC):難しいポイントなのですが、何かを極めたいという気持ちがあるのであれば、2Aや3Sから自分の興味分野に絞った履修を組むことも十分に可能です、ただ、これらの分野の授業をどれも取ることができるというのを売りにしている節もあるので、中途半端になってしまう、と考えるのではなく、引き出しを増やすと考えて取り組むのも良いんじゃないかなと思います。
分野横断ごとに学科を比較することで、より自分が興味のある学科を絞り込むことができると思います。学科のパンフレットを見るだけではなく、研究室のホームページを見たり教授にコンタクトをとったりするのもおすすめです。後悔のない進学選択を応援しています!