この記事は、6月11日開催、「先輩に聞く!進学選択のリアルとホンネ」生命科学分野のイベントレポートです。進学選択に悩む1,2年生に向けて、内定者が学科の内容から将来の進路までお答えします!
「自分の興味のある分野の人に話を聞いてみたいけれど誰に相談すればいいのかわからない...」
「そもそも〇〇学科って何するところなの?」
「学科のパンフレットだけではわからない、雰囲気やホンネを知りたい!」
そんな疑問に答えるべく、Twitterでアンケートをとった結果、特に人気の高かった6分野の先輩を集めて座談会を行いました。
今回は生命科学分野の紹介です。UT-BASEの学科紹介記事とも合わせてぜひご一読ください。
登壇者紹介
I.Tさん
・理科三類→医学部医学科(以下「医」)
・興味分野:宇宙医学
・迷った学科:なし
・将来の進路:研修医→有人宇宙開発
時間割
I.Hさん
・理科二類→理学部生物情報科学科(以下「生情」)
・興味分野:神経科学、バイオインフォマティクス
・迷った学科:後期教養 認知行動科学コース
・将来の進路:研究者
時間割
U.Rさん
・理科二類→農学部獣医学専修(以下「獣医」)
・興味分野:動物行動学
・迷った学科:農学部動物生命システム科学専修
・将来の進路:公務員獣医師か産業動物臨床医?
時間割
O.Kさん
・文科一類→教養学部統合生命科学コース(以下「統合生命」)
・興味分野:培養肉、合成生物学
・迷った学科:工学部化生、農学部応用生命科学専修、法学部
・将来の進路:博士課程、戦コン、シンクタンク
時間割
T.Kさん
・理科二類→農学部応用生命科学・工学科(以下「農2」)
・興味分野:食品科学、脳神経科学
・迷った学科:工学部化生、シス創
・将来の進路:文系就職か研究職
時間割
B.Mさん
・理科二類→工学部化学生命工学科(以下「化生」)
・興味分野:有機機能材料、分子センサー
・迷った学科:薬学部、工学部 応化、化シス
・将来の進路:化学系企業の研究職
時間割
H.Fさん
・理科二類→理学部生物学科(以下「理生」)
・興味分野:発生生物学、進化生物学、神経生理学
・迷った学科:生化、統合生命、社心 など
・将来の進路:アカデミアか就職
時間割
M.Sさん
・理科二類→理学部生物化学科(以下「生化」
・興味分野:量子生物学、非平衡統計力学
・迷った学科:理物、生情 など
・将来の進路:アカデミア
時間割
なし
授業や学生生活の様子
学問の特徴は?
M.S.さん(生化):分子生物学などのミクロな内容から、体内時計などのマクロなものまで扱います。実験も頻繁にあり、理論から実践まで幅広い内容を学ぶことができます。
I.Hさん(生情):生物化学科や情報学科と実習・授業を同じくすることもあります。3年生の後半からは生物系のビックデータを扱うようになります。情報系の理論から、実際にデータを扱う実習まで幅広く学びます。
H.Fさん(理生):理論系、基礎研究が多いです。対象は幅広く、データを扱う情報系から分子生物学、個体、さらに個体群や生態系まで扱うことができます。
B.Mさん(化生命):生物系、化学系の基礎理論だけでなく、実験室での反応をどうやって工業で応用するかまで学びます。体の中で起きていることを化学で扱うというミクロな部分が多めです。
T.Kさん(農2):実践に重きを置いています。有機化学や情報系、細胞・微生物から、大きな動物も扱います。特に食品科学はこの学科でしか扱えません。
授業の実態は?
I.Hさん(生情):生物と情報をどちらもマスターしなければならないという点では辛いです。
U.Rさん(獣医):午前が座学、午後が実習となっています。1限が毎日あって大変ですが、実験が早く終わると課外活動もできます。現在は座学はオンラインです。実習は内容によって対面となります。オンラインと対面の割合は大体半々くらいです。
I.Tさん(医):拘束時間は長いですが、内容は難しくありません。早く終わることもあるので課外活動も両立できます。課題が特に多いわけでもありませんが、覚えることは多いです。実習は対面のものも多いです。
O.Kさん(統合生命):課題はハードではありません。試験がなく、レポートでほとんど評価される事が多いので、レポートが好きな人におすすめです。人が少ないので悪い成績もあまり来ない印象です。実習も多いです。なんでもやっていますが、特に融合分野を扱うことが特徴です。
質疑応答
Q1.(農2や化学生命工学科の進路(有名企業)は自由公募によるものですか?学校推薦枠も存在していますか?)
A1.
T.Kさん(農2):旭化成などには学校推薦枠があります。学校推薦枠は面接までいけますが、そこからは自力での選抜となります。食品メーカーは自由公募が多い印象です。
B.Mさん(化生):AGCなど、企業と共同研究している研究室はコネクションが強いかもしれません。
Q2.(ウイルスに関する研究に興味があるのですが、生物・医学・獣医だとどこが向いていますか?)
A2.
H.Fさん(理生):今ある研究室は真核生物が中心なので、ウイルスは扱われていません。
I.Tさん(医):「感染症」という括りではできるかもしれませんが、あまりやっていない印象です。医科学研究所ではウイルス学を研究することができますが、医学部とは別組織になるので、医学部医学科から行く人はあまり見ません。
U.Rさん(獣医):人獣共通感染症など、公衆衛生的な研究として扱うことがあります。
Q3.農学部、化学生命工学科は文系でもついていけますか?
A3.
T.Kさん(農2):全然ついていけます。サポートもしっかりしている上、ゆったりとした雰囲気なのでやる気さえあればついていけると思います。
B.Mさん(化生):工学部は覚えることが多いので、無理ではないと思いますが簡単ではないと思います。理系で知識がないだけであれば、2Aでしっかり学べるので心配ないと思います。数学や物理を扱うという点で厳しいと思われます。
U.Rさん(獣医):生物選択が少ないことから、生命科学の知識についてはそこまで心配することはないと思います。文系でもやる気があれば問題ないです。
Q4.統合生命を選んだ理由はなんですか?
A4.
O.Kさん(統合生命):行きたい院の研究室が、後期教養に総合する総合文化研究科からしか受け入れられていなかったから、数学系、物理系、認知系の人などが皆受けるので授業の導入が丁寧であろうと考えたから、先生の人数が多く、サポートを欲すればきっちりと得られること、分野が興味に近かったことも挙げられます。また、要求科目がなく利点しやすかったことこと、他の学科の全科類枠の数が少なかったことも理由です。
Q5.後期教養に興味があるのですが、駒場にずっと残るのがネックです。その点についてはどう考えていますか?
A5.
O.Kさん(統合生命):本郷キャンパスではないのか、という気持ちは確かにありました。しかしながら、僕の場合は今の研究室がみなさんがいる第一キャンパスではなく第二キャンパスの先端研や生産研という雰囲気落ち着いている好みのキャンパス場所にいられるので個人的には特に問題なかったと思います。また、2020年に関してはコロナ禍で特殊でしたが、どの学科もオンラインだったので、ほとんど影響はありませんでした。最終的には、自分のやりたいことと駒場に残ることに関しての自分の気持ちとの天秤になると思います。
Q6.生物化学は化学系のことはやらないのですか?
A6.
M.Sさん(生化):やります。代謝や分子生物学的なものを扱います。例えば私は膜タンパク質を扱っていますが、その膜に化学が関わっています。扱う人は扱い、扱わない人は扱わない、という感じです。
Q7.生物学科の時間割は忙しそうですが、バイトやサークルをする時間はありますか?
A7.
H.Fさん(理生):あります。基本的に午後の実習が遅くても6時には終わるので、それ以降にバイトに行く人が多いです。私は土曜日にバイトを入れています。運動系のサークルに入っている人もいます。
分野横断ごとに学科を比較することで、より自分が興味のある学科を絞り込むことができると思います。学科のパンフレットを見るだけではなく、研究室のホームページを見たり教授にコンタクトをとったりするのもおすすめです。後悔のない進学選択を応援しています!